平野啓一郎のレビュー一覧
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ネタバレ名前や戸籍は記号でしかない。それでいて、とりわけ現代人は記号に依存して生きている。戸籍交換をして幸せを掴み取った原誠と、対極とまではいかないものの、少なからず後悔をしている谷口大祐。子の成長とともに前に進んでいく里枝。
城戸は在日3世であることの悩みを抱え続けていた。何世代も前の木が、今の城戸を作っている。
自殺を2回試みて戸籍交換という手段で短いが確実な、目の前の幸せを得た原誠に対して、美涼との未来は選ばなかった城戸は大祐に対して尊敬と羨望の感情を抱いていたのではないか。
颯太への愛は絶対だとしても、幸せだと言い聞かせて、別の誰かに変身してまで変える勇気がなかった、もしくはそうしようとするほ -
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私は死刑廃止派
死刑について深く考えるために読む。
在置派だった筆者による考察・論調は自分では到達出来ないような視点を提示してくれる。
法のもとに人を殺すことが可能な国は…人権を軽視しているようで嫌だし、殺人をしてはいけないけれど死刑による殺人はOK(やむを得ない)というのは、人間が命に優劣をつけているとも取れる。
同じ命あるものに、同じ人間の自分が優劣を決める可笑しさ、悲しさ、、不思議に思うけれど、自分が判断・手を下す訳じゃないから、他人事なのかな?廃止は理想なのかな?
なんて自分の考えに固執しないよう、在置派の考え・論理をこれからも知っていきたい。
まずは、考えるきっかけに良本だと思う。 -
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「分人主義」という他者に対する「個人」という見方ではなく、いろんな他者と相対するときの複数の人格を自分と捉える考え方がベースにあって、そのベースの中で、「自由」「幸福」「テクノロジーの進化」「本当の自分」などのテーマをさまざまな専門家と対談しながら、書かれていた。
分人主義という考えが非常にしっくりきて、心理学的には「自立」の考え方と似てると思った。「自立」は1人でなんでもできることではなく、様々な組織、コミュニティーに属することで依存先を増やすこと。そうやって、自分を見つけることが「自立」と言われたりしてる。
「分人」や「自立」は全然違う表現だけど、複数の他者から見た自分という観点が全く同 -
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ネタバレ印象に残る考え方やフレーズが多くあったので星4つ
愛する人の過去が偽物だと知った時に、人はどうするのかという問いに対して、「愛し直す」という考え方。意外とない視点で、面白いと感じた。過去はもちろん愛を形成する重要な要素だが、全てではない。そもそも人間は過去のままではいられないのだから、愛を更新していくことは当たり前なのだと気付かされた。
また、人生の交換というテーマは斬新だった。特に印象的だったのは、人生の評価を客観的にできる点である。
もし自分がランダムで誰かの人生を引き継ぐとして、今の自分の人生が回ってきたとしたら、自分は喜ぶだろう。それはつまり、幸せということだ。
この内容にはハッとさせ -
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ネタバレ天才クラシックギタリストの蒔野聡史と国際ジャーナリストの小峰洋子。40代の2人のささやかな邂逅と深い愛情、そしてそれを引き裂く消失点。出会いから別れ、そして最後の再会までを重厚な世界観で描き、それに随分と浸ることができた作品だった。
作品の中で印象的な、過去は変えられない、しかし未来は常に過去を変えているのだという考えにひどく共感した。過去の事実は変えられないが、未来の出来事によって捉え方を変えることはできる。2人の愛やそれぞれの家族のこと、過去はさまざまな形でのしかかっているが、その先にある未来によって、今までの過去への思いが変わり、変化をもたらしてくれる。最後のシーンでは、そんな希望を抱