平野啓一郎のレビュー一覧

  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ
    私は個人ではなくて分人。それぞれの分人がある。
    例えば、家族といる時、友達といる時、1人でいる時など、それぞれに対する分人がいる。
    好きな分人があれば、それを足場にして生きていけばいい。そこが自分を肯定する入り口だ。
    好きな分人が増えていけば、自分をより肯定することができる。

    他人もまた分人。他人...続きを読む
  • 本心
    物語の新鮮さや登場人物等の思想に感動しつつも、、つねに生きる意味、死とはどうあるべきかを考えさせれる小説でした。登場人物ひとりひとりに価値があり、その人物を知ることにより自分の思考が広がるのように感じました。
    この小説の好きなところは、無理にラストシーンを気持ちよく終わらせていないところ。この小説の...続きを読む
  • マチネの終わりに(文庫版)
    文化的造詣が深く知的水準の高い二人に憧れるというか、知らない語彙も多く、こんな会話が出来る人間になってみたいという欲望が出てくるというか、とにかく素敵

    恋に落ちて、でも会えなくて、会った時の事を何度も思い返しながら相手への気持ちを高めていた時が1番読んでいて楽しかった。

    もちろん脳内では福山雅治...続きを読む
  • 本心
    自由死、VF、社会格差。
    それぞれに十分重たいテーマに、主人公が母親の死を通じて対峙していく。
    バーチャル世界に自分の理想郷を投影しても、結局はそれを形作る自分がリアルな世界で感じている不条理さが滲み出してしまうから、自ずと自分と向き合ってひとつひとつのわだかまりを紐解いていかざるを得なくなる。苦し...続きを読む
  • 死刑について
    今まで深くは考えられておらず、更生の望みや意志がなく、社会に不安定を及ぼすこと、被害者救済の観点で、死刑があることはやむを得ない、という漠然とした立場だったが、様々な観点と、特に被害者への丁寧な取材をベースとした意見で、より多面的にこのテーマを捉えられるようになった。

    ・憎しみに対する報復は、必ず...続きを読む
  • 本心
    最愛の人の他者性とどのように向き合うのか。

    どれだけ親しい人であっても、その人の本心を知り得ることは不可能である。たとえ本人であっても自身の本心を100%意識的に把握することは難しいだろう。このような他者性を前提とした時に、人は他者とどう向き合うべきだろうか。他人のことは分からないと突き放すのは簡...続きを読む
  • 本心
    感情の言語化が上手な作家さんだなと思った。
    主人公の繊細な心の変化を巧みに描写している。

    優しいが、主張が少なく、自分の気持ちを押し殺してしまう彼は、損をしてしまうことが多いと思う。
    しかし、同時にその性格が多くの人を救えると思う。

    この物語は未来を想定して描かれているが、すごくリアルだと感じた...続きを読む
  • 本心
    近未来の2040年、母を事故で亡くした29才の主人公朔也は寂しさからVF(バーチャルフィギュア)で母を作ってもらう。
    彼の仕事は「リアルアバター」依頼者のために現地に赴き、ヘッドセット越しに現実感を提供する。
    近未来、本当にこんな世界が広がるのかもしれない。
    そんな設定の中で描かれるのは生きている人...続きを読む
  • 本心
    亡くなった母のVF(ヴァーチャルフィギュア)を作るものの、そのVFの母は“本心”で会話していないのでは無いかと悩む主人公の気持ちが印象的であった。私も亡くなってしまった大切な人ともう一度会えたらと望む事はある。しかし、本書のようにVFとして再現でき、再び日常を共に過ごせたとしても主人公の様に“本心”...続きを読む
  • 死刑について
     本書は、タイトル通り、「死刑」について平野啓一郎さんが講演で語った内容をテキストにしたものです。

     平野さんは死刑について、以前は存置派でしたが、いまは廃止派になったといいます。ヨーロッパの人々との出会いから変化していったのだそうです。

     また、平野さんは小説家らしく、書くことで考えを深めて、...続きを読む
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ
    分人という考え方、言われてみれば確かにそうで
    どの人に接するのも自分だが、
    その人にしか見せない自分がいる。
    しかし、ではどれが自分かと言われれば
    全て自分 という考えにはしっくりきた。

    また恋愛面で語られていたが恋愛だけではなく、
    その人といる自分(分人)がすきと
    思えること、そういう分人を
    ...続きを読む
  • 小説の読み方
    ⚫︎受け取ったメッセージ
    小説を読む上でのアプローチの仕方がわかる本
    実際の小説を用いての実践編が充実している
    小説家による読み方指南であり、
    大変興味深かった


    ⚫︎感想
    絵画、音楽、芸能…芸術はただ漠然と受け止めて楽しむのもいいだろうが、枠組みをベースに味わうことは、その作品への理解が深まり、...続きを読む
  • 空白を満たしなさい(下)
    分人主義全開。
    切ない展開になり、泣けてきた。
    人が今ここにこうして生きているのは奇跡、この奇跡がずっと続くことを心より願う。
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践(PHP文庫)
    ⚫︎受け取ったメッセージ
    ※引用
    「一冊の本を価値あるものにするかどうかは、
     読み方次第」

    「読者が本を選ぶように、本も読者を選ぶ」



    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)

    "本はどう読んだらいいのか? 速読は本当に効果があるのか?
    闇雲に活字を追うだけの貧しい読書から、深く感じる豊かな読書へ。...続きを読む
  • 透明な迷宮
    ⚫︎受け取ったメッセージ
    奇妙、官能的、美しい短編集。

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    深夜のブタペストで監禁された初対面の男女。見世物として「愛し合う」ことを強いられた彼らは、その後、悲劇の記憶を「真の愛」で上書きしようと懸命に互いを求め合う。その意外な顛末は……。表題作「透明な迷宮」のほか、事...続きを読む
  • 決壊(下)
    ⚫︎受け取ったメッセージ
    信じることの難しさ

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    戦慄のバラバラ殺人──汚れた言葉とともに全国で発見される沢野良介の四肢に、生きる者たちはあらゆる感情を奪われ立ちすくむ。悲劇はネットとマスコミ経由で人々に拡散し、一転兄の崇を被疑者にする。追い詰められる崇。そして、同時多...続きを読む
  • 死刑について
    ⚫︎受け取ったメッセージ
    どちらかといえば死刑制度に賛成だった著者が
    死刑制度反対に至るまで

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    死刑廃止の国際的な趨勢に反し、死刑を存置し続ける日本。支持する声も根強い。しかし、私たちは本当に被害者の複雑な悲しみに向き合っているだろうか。また、加害者への憎悪ばかりが煽...続きを読む
  • 決壊(上)
    ⚫︎受け取ったメッセージ
    平野啓一郎さんの提唱する「分人主義」前期の作品。相手の、全く知らない相手の部分を知る怖さを、ミステリー、サスペンスの形で見せてくれる。


    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    地方都市で妻子と平凡な暮らしを送るサラリーマン沢野良介は、東京に住むエリート公務員の兄・崇と、自分の人...続きを読む
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ
    ⚫︎受け取ったメッセージ
    分人主義の提唱

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    嫌いな自分を肯定するには? 自分らしさはどう生まれるのか? 他者との距離をいかに取るか? 恋愛・職場・家族……人間関係に悩むすべての人へ。小説と格闘する中で生まれた、目からウロコの人間観!

    ⚫︎感想
    この本で救われる人は多...続きを読む
  • かたちだけの愛
    ⚫︎受け取ったメッセージ、感想
    印象的なフレーズは、
    「自分勝手に、自分の欲するまま見せること
     =遠慮のなさで愛を示す事」。
    自分では思い至らず、ハッとさせられた。
    遠慮する、気を遣うというのは、
    時にその距離を見せつけられているようで
    寂しい時もある。
    どうしても欲しい!と激しく求める潔さの美し...続きを読む