平野啓一郎のレビュー一覧
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スロー・リーディングを勧める本ですが、読みながら「速読や多読をそこまで否定しなくてもいいのでは」と何度も思いました。浴びるように本を読みたい時期もありますし、時に清涼剤のように一気に読み切る喉越し爽やかな読書体験が楽しい本もあります。
一方で、先へ先へと読み進めるあまり、小説の細部を取り落としているという指摘には耳が痛かったです。どんな本でもまず著者の主張を正確に理解すること、本に費やされた時間や関わった人たちへの敬意を忘れないことにも共感しました。
特に面白かったのは、引用、執筆時期の比較、共感からの想像、「誤読」など、具体的な読み方が紹介されているところです。森鴎外の作品を実際にどう読むのかという実践例もあり、「ゆっくり読む」とは何をすることなのかがよく分かりました。
速く読むか、遅く読むかの二択ではなく、その本をどう読みたいかによって選べばいいのだと思います。最後に「本は何をどんなふうに読んでも構わない」と着地するところには少し脱力しましたが、そのくらい自由でいいのかもしれません。自分の読書に「ゆっくり味わう」という選択肢に重みが増した一冊でした。 -
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ネタバレルーツあるいは遺伝子、置かれた環境、過去、戸籍
自分を構成する要素のあれこれ
重要なのは何だろう
大切なのはどれだろう
評価されるべきものは一体何で、本来関係ないものは何なのか
新天地で新しい人生を始める為に別人の戸籍まで必要とするのかと少々驚いた。だけど結婚して家族を持ちたいとなると親が殺人犯という事実は足枷以外の何物でもないのだろうなと思う。突然道路に突っ伏して泣いたと語られる原のシーンは印象的で彼の苦悩が忍ばれた。
継父亡き後も慕い、真実を知った後も継父に寄り添って涙した長男の存在がとても良かった。本書はとかく掴みの謎が興味を引くが、継子という視点があることで奥行きが感じられる造りになっていた。 -
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ネタバレ過去は未来の経験によって捉え方が変えられる というキーワードが とても 印象的でした 過去によって未来が変わるのは 時間軸からいってそうなのだと理解できるけれども その逆もあるんだなと気づかされた
過去のことを変えられるのは 未来しかないという言い方もできるかもしれない
また一人の人が自分のエゴを突き通し間違った行動を起こしてもそれを間違えたと思うか思わないか そしてエゴがあるからこそ そのれは間違いではないのじゃないか
そして もし仮に過ちを犯したと思っていてもその人の人格 全てが過ちを犯した人にはならない
その人の他の部分も面で評価してしてるからこそ人間の心は揺れ動き 苦しいんだと思う -
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クラシックギター奏者の蒔野と、記者の洋子。
現実の社会情勢を背景に、二人の出会いからすれ違い、それぞれの人生、そして再会までが、フィクションとは思えないほど丁寧に描かれている。読み終えて、「運命とは何だろう」と改めて考えさせられた。
私が特に心に残ったのは、「過去は変わる」という考え方。
過去に起きた出来事そのものは変えられなくても、その出来事をどう受け止めるか、どんな意味を持たせるかは、その後の人生によって変わっていく。
実際に私自身も、今が良い方向に変わったことで、以前は嫌だった過去の記憶まで少し違って感じられた経験があり、この言葉にはとても納得した。
読み終えたあとも、「この先、二人はどうなるのだろう」と誰かと語り合いたくなる。
そんな余韻がいつまでも残る作品だった。 -
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ネタバレ過去は変えられないが 未来は変えられる
私が知っている その人の面は一面でしかない この方に登場する主人公の城戸の妻 香織が浮気をしていた。母親の顔、妻である顔、会社員の顔。
裏切りの行為であっても 許す 許さないのではなく そして なぜそういう風にしたのか と問いただす でもなく それはその人の一場面でしかなく 全てを知ろうと思うこと自体無理である
自体が大ごとになった時に対処するにとどめ る。
とある男の真相を探る中で人間はいろんな面を持つということを理解した主人公。
だからこそ 一番身近である 妻でさえも 色んな面があると理解できた。 -
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感想
この作品は登場人物の内面をよく描くことで構成される。自己とは一体何なのか?
人であれば一度は考えることかな。
最後、城戸の結末が書いてないので気になる
あらすじ
弁護士の城戸は、里枝という女性から亡くなった夫の素性を調べて欲しいと依頼される。里枝は宮崎の田舎で結婚し、次男を失ったことから夫と別れ、谷口大佑と出会った。しかし、大佑は1年後に事故で亡くなる。その後、実家に知らせると兄がきたが、大佑ではないと言う。里枝は離婚調停の時に世話になった城戸に大佑の素性を調べてもらうように依頼する。
城戸は大佑の素性を洗いながら自己というものについて考える。自身が在日3世のコリアであること、東日本大震災をキッカケに妻とソリが合わなくなったことなど。そのうち戸籍の交換を仲介して服役している小見浦に会いに行き、戸籍交換のヒントを得る。調べるうちに死刑囚の小林の息子が、大佑である可能性が浮上する。しかも、複数人と何度も戸籍交換したかもしれないことが分かってくる。そして、大佑を名乗った人物はやはり死刑囚の息子の原誠であるとわかる。
大佑の元カノである美涼が大佑になりすまして作ったfacebookのアカウントにきていたメールを糸口にして曽根崎と名乗る大佑に会って情報交換する。また、城戸は妻の香織に事情を話して、関係がよくなるように話し合いたいと言って、関係が改善される。しかし、妻の携帯から不倫の兆候らしきものを見つけたが黙っていた。
城戸は原誠の調査報告を里枝の元へ出向いて報告する。自我に対する考え方にも決着をつける。 -
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ネタバレエンタメ★
学び★★★★
癒し★★★
本の読み方に続く続編、
小説の読み方で紹介しているのが
小説の読み方のアプローチとしてニコラス,のティンバーゲンの4つの質問というもので
1メカニズム
2発達
3機能
4進化
というもの。もともと動物行動学における動物の行動に対するものだが、小説の読み方にも通じる物があるとしてそれぞれの項目を説明するところから始まる。それと
矢印の方向にも気を使うよう説明している。
その後具体的に色々なジャンルの小説の一場面を紹介し、4つの質問に沿って解説していく。深い読み方だし、そうやって読むのかと今回も新しい発見があった。 -
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ネタバレ「人は変えられるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えているのです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。それくらい繊細で、感じやすいものではないでしょうか。」
本の冒頭と後半に出てくるこのセリフ。2回目が染みるの何の。
天才ギタリストと、努力家の美しきジャーナリスト。教養を持って世界を違う目で見る2人にしか分かち合えない世界。嫉妬してしまうくらい素敵だった。儚かった。
めちゃくちゃ面白かった。久しぶりにぐいぐい読んでしまう小説を読んだ。面白かった、は違うか。ただ2人の男女が出会い、すれ違い、また再開するまでの話なのだが。そこにイラク戦争での体験や、天才ゆえのスランプなどがもつれあい、洋子の知性や教養の美しさも相まって情熱的な崇高な愛に感じられる。人はこんなに、何個の罪を犯してでも、誰かを愛してしまうものなのだろうか。
海外の話がよく出てくるので、この海外にいるタイミングで読めたのは良かったと思う。
教養を身につけたいと浅はかに思ってしまう。洋子さん素敵すぎる。憧れる萌子先輩のようだと思いながら読んでいた。