平野啓一郎のレビュー一覧

  • 透明な迷宮

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    audibleにて。

    平野さん6作目。
    今回は 聴読だったけど、やっぱり平野さん好きだ〜。

    短編集だけど、どの話も凄く引き込まれた。
    どことなく不思議で濃密。
    独特な味があってクセになりそう。
    どれも面白かったけど、私的には 『消えた蜜蜂』『火色の琥珀』が特に好きだった。
    その『火色の琥珀』は 火を愛する男の話で、朝井さんの『正欲』がめっちゃ頭をよぎるお話だったなぁ。

    平野さん他の作品も気になる〜

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    2026年06月06日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    バイオリニストとジャーナリストとしてそれぞれ華麗なキャリアを送っている2人だが心の内奥には不安を抱えている。2人が自然と出会う回数が増える中でも、お互いにないものを補完しながら支えあって送る日々は長続きしなかった。悩み抜いた末に出した別れという重い決断は必ずしも負の感情によるものでもない。人生の中で下す決断には常に悩みがつきまとう。新たなステージを歩もうとしているすべての人の後押しをする作品である。

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    2026年06月04日
  • マチネの終わりに

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    自分がいましているような若い恋愛ではなく、詩的で思慮深い大人の恋愛だった。困難が多く、憧れはしないが、素敵だった。イラクの話や音楽の話は正直あまりピンときていないが、その情景描写や、登場人物の心理描写は、こちらが経験していなくとも共感するほど繊細だった。初めて知る言葉遣いや熟語が多く、3ページごとにスマホでその意味や用法を検索した。自分の気持ちや状況を緻密に表現する力が向上した気がする。

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    2026年05月31日
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践

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    自分は日本語を母国語にして生まれ育ったから、日本語で書かれたものを理解することは難しいことではない、とは一切思えなくなったとき、他人はどのように文章を読み、小説を読むのか、ということが気になって、この手の類の本を集めている。

    ひと口に「本の読み方」「文章の読み方」と言っても、この道は果てしない。読みたい本、読むべき本は山のようにある。一つの本を一読ですべて理解することは不可能で、本質的には再読こそが真の読書のあるべき形である、などということを痛感している中で、私は本を読むのが遅いと告白してくれた小説家の存在にどれだけ救われたことか。

    読むスピードが書くスピードを上回るわけは絶対にないのだか

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    2026年05月30日
  • マチネの終わりに

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    ネタバレ

    音楽のことはわからないから情景はあまり想像できずそこは映画を見て確かめてみたい。
    正直早苗のやっていることは共感できなかったが
    そこをうまくまとめて最後には嫌悪感はなくなったから良かった。

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    2026年05月28日
  • 本心

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    恥ずかしながら、平野啓一郎は初めて読んだ。難解そうと勝手に思っていたのと、たぶん長編小説を読むのが面倒になってたからなのかも。でも読んで良かった。

    仮想空間が発達した近未来の日本。格差が広がり、固定し、「こっちの世界」と「あっちの世界」が同時進行している社会。どっちの世界に属するかはすでに固定されている階層で決まっている。金のない人間は仮想空間で一時の安らぎや刺激を「体験」しながら生きている。この社会では自由死が認められていて、主人公の青年の母は息子にも自由死したいと宣言したにもかかわらず、結局は事故死してしまう。母はなぜ自分から死にたがっていたのか・・・。経済的には豊かではないが、息子がい

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    2026年05月24日
  • 決壊(下)

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    ★★★★ 何度も読みたい

    本作の中心にはずっと『孤独』があった。悩みを相談できない孤独、近しい人の死、その悲しみを誰とも同等のものとして共有できない孤独。遺族でありながら疑われる崇を中心に、寂しさを抱え続ける登場人物たち。

    崇の独白やセリフには、ずっと誰しも関係者のそれぞれに対してペルソナを使い分けているという『自己の細分化』の思想が流れている。それが物語の後半では行動・罪にも拡大され、『原因の細分化』にまで差し掛かっている。心理学が発達した現代では、行動は全てが生育環境と遺伝に帰属し、罪は「不健康」の結果であると考えられてしまう。それに納得してしまう崇の姿勢は日本の法制度への『理想的』な

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    2026年05月24日
  • 決壊(上)

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    ★★★★ 何度も読みたい

    3歳の息子・妻に恵まれながらも、優秀な兄への劣等感を抱え続ける良介、幸せを感じながらも、夫に対しもっと頼ってほしいと無力感を感じている良介の妻・佳枝、万人に優しく振る舞いながらも、他者からの評価と自分の存在意義が結びついていると思えず悩む、良介の兄・崇、義実家との軋轢や仕事での不調で鬱病に悩む良介の父・治夫、夫と向き合いながらも、夫の鬱からくる暴言に限界を感じ始めた良介の母・和子といった、一見幸せながらも不協和音を奏でる沢野家と、学校でのいじめや過保護な母にうんざりし、厨二病まるだしのブログで心の安寧を得る中学生・友哉の人生が交わっていくミステリ?まだ前編だが、非常

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    2026年05月22日
  • 本心

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    ネタバレ

    身近な人が自らの意思で命を立ちたいと考えたとき、自分は止めるだろうかそれとも本人の意思を尊重するだろうか。それが母なら?もしくは恋人なら?

    私はこの物語を読んで、格差が浮き彫りになった社会では、貧困層は自らの命を終えると言う選択をしなくてはならない時が来るのに対し、富裕層はそういった心配をせずに寿命を迎えることができると言う差に愕然とした。自らの命を「もう十分」と思ってしまう時が来るのだろうか。

    この物語は主人公の心情がありありと描写されている。中でも、自問自答の形式が多く、葛藤の中で生活していることがわかる。V Fである「母」に、生前の彼女の「自由死」の本心を尋ねようとするが、次第に現実

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    2026年05月21日
  • 本心

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    ネタバレ

    それぞれの人物の背景によって、本心を語るまたは本心がわかるまでは難しい…。それに、結果的に主人公が良い方向に向かいそうで安心したが、「あの時こうしておけば」という後悔は少しでも排除したいと思わされる。
    平野さんの描写は、難しく感じる時もあるが、なんとなくわかるような気もして、読み応えがある。 475ページとボリュームがあったが、半分くらいからどんどん没入していった。

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    2026年05月20日
  • ご本、出しときますね?

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    作家の人たちってこんなに話上手いんだなと驚く。
    飲み会の場で話しているようなフランクさもありつつ芯を食った内容になっている。
    紹介されている本も面白そうなものばかりで、ウォッチリストにたくさん入れた。話し手さんの本も未読のものは代表作くらいは読んでおこうという気になった。

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    2026年05月19日
  • ある男

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    愛にとっての、人にとっての過去とは何かを問う小説。面白い。

    過去が人生を形作ってきたのは間違いなく、
    他人が関知する余地はない気もするが、犯罪者の子など知られたくない過去を持つ人からすると、他人に知られることで不条理にさらされる。

    幼少期の環境や出自、学歴が原因で貧困になった人などは貧困のまま老後を迎えたりなど、環境のせいで人生が苦しい人がいる。

    この小説のように悪手に縋ってでも過去を変えたい人がいるが、国家として救済の措置がない社会問題を反映した小説だと感じた。

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    2026年05月16日
  • ある男

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    「あなたはどうなのか」と問いかけられた。

    世間の目を逃れて究極の手段で他人になり代わり、その過去まで引き継いで生きることで手にした幸せ。愛は若枝のように、中途からでも芽生え直し、従来の枝の延長上をしなやかに伸びゆくことができる…という像が思い浮かんだ。
    この場合、彼を縛っていた「世間の目」とは倫理的に正当といえるのか。咎められることのない安全なポジションから、彼に不当な責め苦を負わせていたのではないか。

    事実関係の輪郭を澄明に綴る筆致はルポルタージュさながら。この手触りが、愛と苦悩についての問いかけを、読者を当事者に巻き込みながら、生きたものにしているように感じる。

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    2026年05月12日
  • ある男

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    すごいお話だと思う。この言葉はどう紡がれたのかと考えてしまうくらい、人の出自、背景にまつわるいろいろが根底にあるのだなと感じた。
    依頼人は大切な人との別れを経験し、特に子どもとの別れの話が辛く、なかなか読み進められずにいたが、「ある男」とは、、、という部分が気になり読み続けた。徐々に、出てくる人々の表面と中身、他者からの姿とその人自身が思うことなど、折り重なり、つながってくるところが、読み進めずにはいられない物語だった。
    人生にはたくさんの悲しみがあるけれど、「幸せ」と感じた瞬間をずっとずっと大切にしようと思える話だった。

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    2026年05月09日
  • ある男

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    真実を求めるミステリー的な一面もありつつ、
    自分を自分たらしめているものは何か?
    他人の全てを知ることはできないのに、その人を愛せるのか?
    といった疑問を投げかけてくるような一冊。

    先日読んだ『怒り』にも通じるテーマでした。

    余談ですが、直前に読んだ『君のクイズ』にクイズの解答として登場した『アンナ・カレーニナ』が引用されていて、その偶然に驚きました。

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    2026年05月05日
  • マチネの終わりに

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    すれ違いと運命

    面白かった。未来が変わることで過去が変わる。過去も変えることができる。

    抜粋
    「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」
    洋子は、長い黒い髪を首の辺りで押さえながら、何度も頷いて話を聴いていた。
    「今のこの瞬間も例外じゃないのね。未来から振り返れば、それくらい繊細で、感じやすいもの。
    ....・生きていく上で、どうなのかしらね、でも、その考えは?少し怖い気もする。楽しい夜だから。いつまでもこのままであればいいのに。

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    2026年05月03日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    私自身、属するコミュニティによって無意識にキャラクターが変わることは、以前から自覚していた。
    ただ、その変化のなかで「他者の存在」をそこまで意識したことはなかった。ここでいう分人とは、「相手との反復的なコミュニケーションを通じて、自分の中に形成されていくパターンとしての人格」だという。

    個性とは分人の構成比率である。そう考えると、「自身の理想の個性を保つためには、付き合う人を選ぶことが重要だ」という考えが、腑に落ちた。

    特に印象に残ったのは、愛についての記述。愛する相手とは、その人に向き合うことで生まれる“自分の分人”を、好きでいさせてくれる存在なのだという。
    「一緒にいて楽しい人を選びな

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    2026年05月01日
  • ある男

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    戸籍を交換して新たに他人の人生を生きていたある男の話。

    法的にはよくないとされることではあるけれど、家庭環境や過去の人生から離れて新たな人として幸せを感じたいという心理からやっていること。

    そのある男と家族になった人たちにとっては、家族として幸せな時を過ごせたと思えている事実がある。その男にとっても幸せだったと思う!

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    2026年04月29日
  • ある男

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    人は時の流れによって、関わる人によって印象か変わる。正体を偽って生活を営んでいたある男を調査するにつれて、自分自身のルーツとも向き合う。人は過去によって現在の印象をいかようにでも解釈できるが、その中において愛とはなにかを問い続けている。

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    2026年04月26日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    分人とは、例えば学校の中のあなたと家庭内のあなたの人格、ネットの中全然違うよね。
    キャラとか人によってあなたは変容している。
    でも、顔はひとつしかない。
    個性だとか自分らしくとか言うけど、違うのが普通だし分人が多ければ多いほど、あなたと人との関係は柔らかくコミュニーションがとれている。
    嫌なことがあっても、それはその人と分人の自分が合わなかっただけで、自分は愛されなかった人間だと本質規定してしまってはならない。
    引きこもりなどの閉鎖的な環境は、過去の分人しか生きられないので苦しくなる。
    色んな人と出会い複数の分人がいるからこそ、幸せな自分に出会うことが出来る。
    分人のレベルで見ると、愛とはその

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    2026年04月26日