平野啓一郎のレビュー一覧

  • 本心

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    ネタバレ

    身近な人が自らの意思で命を立ちたいと考えたとき、自分は止めるだろうかそれとも本人の意思を尊重するだろうか。それが母なら?もしくは恋人なら?

    私はこの物語を読んで、格差が浮き彫りになった社会では、貧困層は自らの命を終えると言う選択をしなくてはならない時が来るのに対し、富裕層はそういった心配をせずに寿命を迎えることができると言う差に愕然とした。自らの命を「もう十分」と思ってしまう時が来るのだろうか。

    この物語は主人公の心情がありありと描写されている。中でも、自問自答の形式が多く、葛藤の中で生活していることがわかる。V Fである「母」に、生前の彼女の「自由死」の本心を尋ねようとするが、次第に現実

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    2026年05月21日
  • 本心

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    ネタバレ

    それぞれの人物の背景によって、本心を語るまたは本心がわかるまでは難しい…。それに、結果的に主人公が良い方向に向かいそうで安心したが、「あの時こうしておけば」という後悔は少しでも排除したいと思わされる。
    平野さんの描写は、難しく感じる時もあるが、なんとなくわかるような気もして、読み応えがある。 475ページとボリュームがあったが、半分くらいからどんどん没入していった。

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    2026年05月20日
  • ご本、出しときますね?

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    作家の人たちってこんなに話上手いんだなと驚く。
    飲み会の場で話しているようなフランクさもありつつ芯を食った内容になっている。
    紹介されている本も面白そうなものばかりで、ウォッチリストにたくさん入れた。話し手さんの本も未読のものは代表作くらいは読んでおこうという気になった。

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    2026年05月19日
  • ある男

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    愛にとっての、人にとっての過去とは何かを問う小説。面白い。

    過去が人生を形作ってきたのは間違いなく、
    他人が関知する余地はない気もするが、犯罪者の子など知られたくない過去を持つ人からすると、他人に知られることで不条理にさらされる。

    幼少期の環境や出自、学歴が原因で貧困になった人などは貧困のまま老後を迎えたりなど、環境のせいで人生が苦しい人がいる。

    この小説のように悪手に縋ってでも過去を変えたい人がいるが、国家として救済の措置がない社会問題を反映した小説だと感じた。

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    2026年05月16日
  • ある男

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    「あなたはどうなのか」と問いかけられた。

    世間の目を逃れて究極の手段で他人になり代わり、その過去まで引き継いで生きることで手にした幸せ。愛は若枝のように、中途からでも芽生え直し、従来の枝の延長上をしなやかに伸びゆくことができる…という像が思い浮かんだ。
    この場合、彼を縛っていた「世間の目」とは倫理的に正当といえるのか。咎められることのない安全なポジションから、彼に不当な責め苦を負わせていたのではないか。

    事実関係の輪郭を澄明に綴る筆致はルポルタージュさながら。この手触りが、愛と苦悩についての問いかけを、読者を当事者に巻き込みながら、生きたものにしているように感じる。

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    2026年05月12日
  • ある男

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    すごいお話だと思う。この言葉はどう紡がれたのかと考えてしまうくらい、人の出自、背景にまつわるいろいろが根底にあるのだなと感じた。
    依頼人は大切な人との別れを経験し、特に子どもとの別れの話が辛く、なかなか読み進められずにいたが、「ある男」とは、、、という部分が気になり読み続けた。徐々に、出てくる人々の表面と中身、他者からの姿とその人自身が思うことなど、折り重なり、つながってくるところが、読み進めずにはいられない物語だった。
    人生にはたくさんの悲しみがあるけれど、「幸せ」と感じた瞬間をずっとずっと大切にしようと思える話だった。

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    2026年05月09日
  • ある男

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    真実を求めるミステリー的な一面もありつつ、
    自分を自分たらしめているものは何か?
    他人の全てを知ることはできないのに、その人を愛せるのか?
    といった疑問を投げかけてくるような一冊。

    先日読んだ『怒り』にも通じるテーマでした。

    余談ですが、直前に読んだ『君のクイズ』にクイズの解答として登場した『アンナ・カレーニナ』が引用されていて、その偶然に驚きました。

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    2026年05月05日
  • マチネの終わりに

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    すれ違いと運命

    面白かった。未来が変わることで過去が変わる。過去も変えることができる。

    抜粋
    「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」
    洋子は、長い黒い髪を首の辺りで押さえながら、何度も頷いて話を聴いていた。
    「今のこの瞬間も例外じゃないのね。未来から振り返れば、それくらい繊細で、感じやすいもの。
    ....・生きていく上で、どうなのかしらね、でも、その考えは?少し怖い気もする。楽しい夜だから。いつまでもこのままであればいいのに。

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    2026年05月03日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    私自身、属するコミュニティによって無意識にキャラクターが変わることは、以前から自覚していた。
    ただ、その変化のなかで「他者の存在」をそこまで意識したことはなかった。ここでいう分人とは、「相手との反復的なコミュニケーションを通じて、自分の中に形成されていくパターンとしての人格」だという。

    個性とは分人の構成比率である。そう考えると、「自身の理想の個性を保つためには、付き合う人を選ぶことが重要だ」という考えが、腑に落ちた。

    特に印象に残ったのは、愛についての記述。愛する相手とは、その人に向き合うことで生まれる“自分の分人”を、好きでいさせてくれる存在なのだという。
    「一緒にいて楽しい人を選びな

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    2026年05月01日
  • ある男

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    戸籍を交換して新たに他人の人生を生きていたある男の話。

    法的にはよくないとされることではあるけれど、家庭環境や過去の人生から離れて新たな人として幸せを感じたいという心理からやっていること。

    そのある男と家族になった人たちにとっては、家族として幸せな時を過ごせたと思えている事実がある。その男にとっても幸せだったと思う!

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    2026年04月29日
  • ある男

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    人は時の流れによって、関わる人によって印象か変わる。正体を偽って生活を営んでいたある男を調査するにつれて、自分自身のルーツとも向き合う。人は過去によって現在の印象をいかようにでも解釈できるが、その中において愛とはなにかを問い続けている。

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    2026年04月26日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    分人とは、例えば学校の中のあなたと家庭内のあなたの人格、ネットの中全然違うよね。
    キャラとか人によってあなたは変容している。
    でも、顔はひとつしかない。
    個性だとか自分らしくとか言うけど、違うのが普通だし分人が多ければ多いほど、あなたと人との関係は柔らかくコミュニーションがとれている。
    嫌なことがあっても、それはその人と分人の自分が合わなかっただけで、自分は愛されなかった人間だと本質規定してしまってはならない。
    引きこもりなどの閉鎖的な環境は、過去の分人しか生きられないので苦しくなる。
    色んな人と出会い複数の分人がいるからこそ、幸せな自分に出会うことが出来る。
    分人のレベルで見ると、愛とはその

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    2026年04月26日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    日頃の対人での悩み事は、基本的には個人と分人の考え方を落とし込むことで解決すると感じた
    身近な人であればあるほど、どうしても相手をコントロールしたくなってしまうような瞬間があるけれど、『自分が口出しをして良いのは、自分の相手に対する分人と、相手の自分に対する分人だけだ』という文章に触れて、人と接するとはそういうことだと改めて感じた。
    自分自身とはなんだろう、という問いに対しても、全ての分人は自分であり、それらが合わさって自分を形成しているのだ、という内容についても、つい忙殺されると見落としがちな点だと感じた

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    2026年04月26日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    人との相互作用で作られる分人の考え方面白かった!大学の友達と高校の友達といる時の自分確かに違うし、しほの中で好きな自分の構成比が変わっていくことも感じた。この本を読んで、さらに自分と接する人を大切にしたいって思った!
    最後の方の、キリスト教的な神と1人の関係性が色んなところに影響してるなって気付かされた。

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    2026年04月25日
  • ある男

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    ネタバレ

    夫だと思っていた人が夫ではなかった…という話。妻の里枝目線で全部進むのかと思いきや、弁護士の城戸目線中心に物語が進んでいく。Xの戸籍交換の話と、在日3世という城戸の出生の背景があって人生と出生について深く考えさせられた。戸籍交換ブローカーの小見浦のキャラが物語の中でスパイス的存在となっていて面白かった。映画の方も観たけど、全体的にナイスキャスティングだった!

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    2026年04月25日
  • 三島由紀夫論

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    生と死の全体を思想化しようとし、
    その思想が生と死の全体に一体化するよう行動した
    それが三島由紀夫である

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    2026年04月21日
  • マチネの終わりに

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    ネタバレ

    大人の恋愛小説。温度感がいいなと思った。現実の目の前の選択肢から選んで生きている大人の人生。時を超えて、掛け違えたボタンに気づき、また再びふたりが向き合うラストに報われる。

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    2026年04月18日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    分人の考え方はいろんな私を同時に肯定することを促す。個人的には、ある自分にとって嫌いな分人を捨て去りたくなるという話が、今までの自分に当てはまるもので、すっきりした言語化だった。後から振り返って嫌いな自分になっていた瞬間も含めて、受け止めるようにしたい。

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    2026年04月10日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    ネタバレ

    新しい視点を学べた!
    八方美人は分人をたくさん作っているように見えて、実は真逆で、分人を作ろうと努力していない人って解釈は結構おもしろいなとおもった

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    2026年04月09日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    生成AIに対して、今後自分の読むべき作品について聞いたところ、本書の作者である平野啓一郎氏の作品が挙がったので、著者の思想の根底が「分人思想」であるということに興味を抱き購入。

    著者は哲学者ではないものの、「個人」の概念を改めて問い直し、独自の「分人」思想を実体験も交えて展開する。
    「個人」というのは唯一の人格なのか?「本当の自分」という確固たる自我は存在するのか?という、普段何気なく使っている言葉に対して疑問を呈し考察する姿勢は、哲学的アプローチであるといえる。

    「個人」はindividualの訳とされるが、これは"もうこれ以上分割不可能なもの"という意味が込められて

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    2026年04月08日