平野啓一郎のレビュー一覧

  • 本心
    自分の中で感想をまとめるのが難しかった。
    「マチネの終わりに」がかなり好きな作品なので期待して読んだが、やはり日本語のうまさというか、文章がやや難解で読み応えがあって、美しいなと感じる。

    AIの「母」との交流を通して母との過去を解き明かしていく流れかと思ったが、社会の格差だったり母の死後新たにでき...続きを読む
  • マチネの終わりに
    40代を目前にした男女の物語。

    複雑でいて美しい。そして儚く苦しい。
    情緒の揺さぶられる作品です。

    お互い分別のつく年齢だからこそ、慮って行動のできなかったこと。取り巻く環境で度々訪れる様々な選択肢。決断した先に待ち受けている未来。

    気持ちに折り合いをつける難しさとやるせなさ。幸せとの向き合い...続きを読む
  • サロメ
    なぜ『サロメ』を平野啓一郎が?その狙いは?という答えは本人によるあとがきと宮本亜門が寄せた文章でしっかりと明らかに。そういうところから、この「古典新訳」シリーズ自体の意義や面白さについても考えさせられる。

    ファムファタール的イメージに支配されない、無垢な乙女であるサロメ像が、奇を衒わない堅実な訳文...続きを読む
  • 悲しみとともにどう生きるか
    いろんな視点から「悲しみ」について書かれており、とても良い本でした。
    大小あれど悲しみのない人生なんて存在しないと思います。そんな悲しみに寄り添ってくれる本でした。
  • マチネの終わりに(文庫版)
    未来は常に過去を変えていると言う言葉が印象的だった。
    未来の事、これからの行動で過去はいい意味でも悪い意味でも変わってしまう様な繊細なもの。
    過去の出来事は変えられない事実だと思っていたのが覆されるような文章だった。
  • ある男
    海外旅行に行った際、誰しも思うのではないだろうか。『ここには〝自分〟を知ってる人は誰1人いないのだ』と。そしてなんとなく心の皮が一枚向けたような、そんな解放感を味わったことはないだろうか。読後、ふとその感覚が心をよぎった。

    何を持って「自分だ」とするのか。そう聞かれたときに、一番自分を自分たらしめ...続きを読む
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ
    すごく分かりやすく、面白かった。
    付箋が沢山。

    多くの人が「分人」という考え方を
    導入するまで行かずとも まず認識したら、
    今より少し自由度の高い社会になりそう。
  • ある男
    登場人物の心理的な揺れ動きが丁寧に描かれて楽しんで読めた。

    あまり気にしてこなかった在日という背景がぼんやりとした不安に変わる。社会の風潮が変わると危うい立場に転落してしまうという不安。


    なるほどという感想。
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ
    本当の自分とは?自分らしさとは?
    常についてまわる呪いのような問いを軽くしてもらえた一冊です。

    対人関係ごとに見せる複数の顔を、「個人」をさらに分けた「分人」とし、
    分人は偽りの自分ではなくすべて本当の自分だという考え方を知りました。

    この人たちといる自分はのびのび笑っていられて好き。
    ここにい...続きを読む
  • 空白を満たしなさい(下)
    表紙がなぜゴッホの自画像なのかと考えながら読んでいたが、後編中盤に明らかになる。おそらくはゴッホの自画像の謎から着想を得た作品なのではと考える。分人という思想は、人格という解釈ておぼろげに思っていたが本編でとても丁寧に考察しておりとても面白く読めた。ネイバーというサービスはとても面白い着想て、実際に...続きを読む
  • ある男
    純文学、訳わかんない表現とかありそう…すごい偏見で読み始めたけど、どんどんストーリーに引き込まれて集中。
    ボランティア活動して、他人の為に動きたい主人公。それを偽善と呼び、家族や身内とそれ以外の人たちをきっぱり分ける奥さん。
    完全に私と夫の関係と同じだなぁと共感。私も夫にそれは偽善だとよく言われます...続きを読む
  • マチネの終わりに(文庫版)
    映画を途中で断念して小説へ。ロンドン、ニューヨーク、東京を舞台に、お互いを想いながら別々の人生を生きた男女のお話。「冷静と情熱の間」を思い出させる。
  • ある男
    愛に過去はどう関係するのか。

    この命題について、
    はじめから最後まで一貫したストーリー。

    この小説で気になるのは序盤の存在。
    これは誰が書いたことになっているのか。
    城戸さんと同じ1975年生まれ、小説家とあるから、著者の平野さんが城戸さんとあったというていで、この小説が始まっているのかな。

    ...続きを読む
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ
    自分は誰に対しても一貫性のある人格ではなく、対話をする相手によって、何人にも別人格として分けられるという考え方はとても理解しやすかった。私は誰とでも打ち解けて話すことができないので、コミュ力がないとしばしば落ち込んでいたけど、そうではなくて話が弾まない人との分人が育たなかっただけだと、割り切って考え...続きを読む
  • ある男
    城戸さんと、里枝さんと心の描写が丁寧に描かれているなあも思いました。
    城戸さんが周りから、「大丈夫?」と聞かれるのはいろいろ考えすぎる所があるからかしら?
    具体的に何かあった訳ではないけど、相手との心の動きが描かれているのは流石です。細やかでした。
    読み終わって、また最初を少し読みました。
    導入部分...続きを読む
  • マチネの終わりに(文庫版)
    この作家をそれほど読み込んでいる訳ではないのであくまで印象に過ぎませんが、19世紀頃の大河小説の日本語訳のような読感を意図的に構築した作りのように感じました。
    要するに今時のスピーディーなものではなく、ゆっくりと書き込むような文体で枝葉はあるけれども基本は大きくて、かつシンプルな物語を語るという。
    ...続きを読む
  • ドーン
    有人火星探査成功の裏でおきる『愚行』。片道8ヶ月、ミッション含めて3年もの長く、常に生命の危機に晒されている過酷な環境で起こり得る人間の性。帰還後に多くの人間に多様な苦難がまちうける。未来も現在も人間の本性と苦悩は変わらないようです。
  • 本心
    死って怖いし、考えたくない。でも年をとってきて考えざるを得なくなると、死が悲しいものであってほしくないと思う。幸せな死、とは。死とはどうあるべきなのか。参考になりました。こんな近未来、あると思う。映画、楽しみです。
  • マチネの終わりに(文庫版)
    物語の展開は劇的で、強く心が痛む場面もあったけど、場面ごとの心や思考の描写がリアルで、この感情をどう処理していくのかと興味を引いた。40代という年齢のため理性的に相手を思い遣り、自我を優先させない繊細な愛情に心が震えた。
  • マチネの終わりに(文庫版)
    大人のラブストーリー。
    ハッピーエンドなのかどうか曖昧だけど、
    最終章は、グッときた。

    未来で「過去は変えられる」って何度も出てくる言葉が印象的。