平野啓一郎のレビュー一覧

  • マチネの終わりに

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    かなり良かった。過去は変えられるというキーワード。お互いがお互いを同じ尺度で理解し合える、ということの強い引力。外的要因での嘘みたいなすれ違いは後半ずっと苦しい。大人であることの難しさを感じた。

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    2025年11月25日
  • 空白を満たしなさい(下)

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    人の死について考えさせられる作品でした。

    大切な人に先立たれ、この世に置いてかれた人たちは、その、ぽっかりと空いた「空白」をその大切な人との記憶や記録などで満たそうとする。
    それは故人を、ある意味「理想化」することでもあり、はたして正しかったとは限らない。
    しかし、そうでもしないと「空白」を満たせずに壊れてしまうから。

    「分人」という考え方に納得しました。
    (「分人」とは他人と関わっている自分の部分的一面のようなこと。)
    自分もこれに思い当たる節があり、裏表を使い分けているってよりかは、あの人といると自然とこういう態度をとるなぁってことがありました。
    完璧主義な自分でもあるので、自己否定し

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    2025年11月24日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    たぶん11/7〜11/20

    かなり新鮮な新書。大学受験を思い出した。評論ってこんな感じだったな。新書って、主張がある分、例示に逆説、視点を変えて主張に向かう感じが若干疲れたかも。新書ってエネルギーいるかも。

    中身については…、
    分人主義っていうのはたしかに言い得て妙で面白かった。たしかに、今まで、本当の自分って何?本当の自分があるってことは偽って無理して欺いている自分がいるのか?と思うところはあったかもしれない。

    分人主義はindividual(個人)の対義語divisualとして定義される。個人の中には、相手とのコミュニケーションを円滑にするための分人がコミュニティないしは相手単位で存

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    2025年11月20日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    自分はすでに死んでいる!?
    主人公は、復生者として蘇った死者。
    死ぬ直前の記憶がなく、妻と子供と幸せな家庭を築いていたはずなのに、自殺したと非難されていた。
    自殺などするはずがない…。
    死の間際には一体何があったのか、真実に迫る作品。
    読んでいると、真実は一体何なのか、頭が混乱します笑
    下も続けて読みます。

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    2025年11月20日
  • 空白を満たしなさい(下)

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    ネタバレ

    「死」について深く考えさせられた作品。特に自殺について。自殺をしてしまう人の考えは、もちろん死者に聞くことができないのであくまで推測の話になると思うが、自分自身を消してしまいたくなるほどに追い込まれていると死のうとしていなくてもそういう行動となってしまうという作者の考えに深く考えさせられ印象に残った。最後の終わり方も読者にその後を託すような感じのため想像力を掻き立てられた。読後の口コミや評価などをみて読者それぞれの解釈、ストーリーがあって見ていて楽しい。

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    2025年11月16日
  • 文学は何の役に立つのか?

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    いろんな雑誌に著者が書いたエッセイを中心にまとめた本。わかりやすい。
    平野氏はなんとなく敬遠していた作家だった。デビュー作の『日蝕』を読んだのもほんの数年前。ところがやはり同じころ、私は死刑について考えたくなっていて、たまたま書店で平野氏の『死刑について』を見つけ買って読んでみたところ、見事にはまった。文章の運び、思考の流れが滑らかで素直に頷けた。
    ちょうど同じころに東京新聞で「本心」の連載が始まり、毎日欠かさず読んだ。読ませる面白さがあった。
    そんなこんなで作家平野啓一郎の書くものが好きになった。
    そしてこの本。文学をどう捉えるか考える上で私にとってよい導き手になった。

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    2025年11月09日
  • 小説の読み方

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    本書は、文字通り小説の読み方を解説した作品。国語の教科書的な印象を受けつつ、小説ってそうやって読むんだという新鮮な気づきがあった。主語について、情報を追加していく文章と、物語のプロットを進めていく文章とに分かれるという視点だけでも、今後結構読み方が変わりそう。

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    2025年11月08日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    人によってキャラを演じ分けるという行動はだれにでもあるはず。私自身も、恋人と職場の同僚への接し方は明らかに違います。著者はそのような現象を「分人」という「個人」とは異なる単位で説明しており、生きていく上では、自分が複数の分人を抱えていることを肯定すべきだと主張しています。

    本書ではあらゆる対人関係をこの「分人」の視点で解説しています。例えばコミュニケーションが苦手だと思っている人について、その原因を「相互の分人化の失敗」だと主張しているのも興味深かったです。

    また、思春期の反抗も分人で説明しています。親に対する分人と友達同士の分人とが、混ざってしまうことを避けようとするからだと言います。さ

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    2025年11月07日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    頭の中ではぼんやり分かっていたことを、明確に言語化してくれた本。
    あえてキャッチーに"分人"としてマーケティング的に使われているような気もするが、分かりやすかった。
    あとは言葉選びとかがかなり哲学的で、この人の活字を見るだけでも勉強になる。

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    2025年11月05日
  • マチネの終わりに

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    ネタバレ

    やっぱり平野啓一郎さんの聡明で堅実な文章が好きだ。
    マチネの終わりに私も一緒に泣いてしまった。あくまでも賢い大人である二人の純愛が尊い。
    蒔野と洋子、それにリチャードや早苗や武田もそれぞれ違う価値観をもった深い人間味があって、今もそれぞれの人生を歩んでいる気がするから平野さんはすごい。現実にモデルがいるのだろうか。
    冷たいと評されていたけれも、大切な家族リチャードに対してもあくまで客観的に評価して真っ直ぐであり続ける洋子の強さに感銘を受けた。真似しようとしてもできないよ。

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    2025年11月05日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    ネタバレ

    やっぱり平野啓一郎さんの聡明で堅実な文章が好きだ。
    マチネの終わりに私も一緒に泣いてしまった。あくまでも賢い大人である二人の純愛が尊い。

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    2025年11月04日
  • 決壊(下)

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    非常に陰惨。殺人描写だけではなくて、犯罪被害者や加害者家族を取り巻く状況が全てグロテスクに感じた。
    著者は本当に現代の日本社会のありようを、ものすごくシビアにみていて、その通りに写し込んである。
    読むのが辛くなるような展開なうえに救いがない。
    崇を誰も救えない、その状況がまた居た堪れない。

    特にリアルに感じたのは、義理の妹の態度だ。
    自分の言葉によって崇を冤罪一歩手前に追い込んだのにも関わらず、自責の念はあまり感じられない。
    他に犯人が見つかっても、心の中ではまだどこかで疑っているようで、子どもが抱き抱えられたとき、明らかに触ってほしくない、と思っているように描写されていた。

    一度疑われて

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    2025年11月03日
  • マチネの終わりに

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    「赦す」って難しい。負の感情を理性で納得させるのは難しい。
    アーレントの「赦しは、過去を消すことではなく、過去に対する自由を与えることである。」はこの作品にはまる言葉だと思う。

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    2025年11月01日
  • マチネの終わりに

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    外国が舞台に出てくる男女の物語ということで、最初、昔読んだ『冷静と情熱のあいだ』が思い出されました。

    「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです」の言葉が心に残っています。なるほど、現在未来の捉え方によっては、過去の解釈が変わることはあり得るなと気付かされました。

    あと、無理をして通してきたことは、結局は何年かかってもバネのように戻ることになるのだなと思いました。大きな流れには逆らえず、在るべきところに向かって流れていく。

    平野啓一郎さん、沢山の文献を参考にしたり調査されたとは思いますが、このような作品に書き上げるなんて凄い方だなと思い

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    2025年10月30日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    自分の内面を1枚の紙のように捉えていると、裏表の概念に囚われて本当の自分とは?となりがちだが、多面体(分人)と考えることで自分には色々な人の前での様々な人格がある。それは全て自分自身であり、相手との間で作り上げられた人格だから矛盾や裏の顔などではない、、ということな?

    相手と一緒にいる時の自分が好きかどうかという指標も納得した。
    新しい考え方を知れてよかった。

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    2025年10月27日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    Xでまたバズってて読みなおした。首尾一貫した自分でいたいと思って、他人と関わり影響されることを不必要に恐れてるか、誰にでも通用するコミュニケーションみたいなのが存在するとたかを括ってサボってる自覚あり、反省

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    2025年10月26日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    最初、分人ってペルソナを言い換えただけかよお金無駄にした、と思ってたけど最後まで読んでみたら良かった。

    愛の定義と文末の言葉が好き。

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    2025年10月25日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    良かったです、タイトル通り「私とは何か」についての解釈を深められる本だなと思いました。

    過去と現在、誰といるか、で何となく自分のコミュニケーションが変わることは自覚があった。

    あとは、大人になるにつれてあんなに仲良かったあの子とは会わなくなったり。何となく一緒にいることに気疲れしちゃったり。新しく大好きな友達に出会ったり。そんな変化も感じていたこの頃、この本を読んで腑に落ちるところがありました。

    「私という人間は、幾つもの人格の上で成り立つもの」というのが本書の内容である。その人格は他者との交流を経て形成される。

    個性とはその人格の構成要素で決定するゆえに、誰と関わるか、つまり誰と関わ

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    2025年10月22日
  • ある男

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    ネタバレ

    次男の死と離婚を経て故郷に戻った里枝は「谷口 大祐」と出会い再婚する。長女も産まれ、家族4人で幸せに暮らしていた。しかし、大祐は林業の仕事中に事故死してしまう。
    大祐から止められていたが、大祐の親族に連絡を取ると、大祐は別人だと告げられる。
    里枝から相談をうけ、弁護士の城戸は「谷口 大祐」の正体を調べていく。

    難しい!? いや、面白かったんです! でも、最後までいろいろ考えました。
    時間がかかりました。Audibleなのに。

    城戸と里枝を中心に、登場人物に感情移入し、楽しみながらも、自分は全てを理解しきれない、明確な答えを出しきれないモヤモヤを抱えて読み進めてるしんどさがありました。

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    2025年10月19日
  • 本心

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    リアルアバターとして働く主人公が、自由死を望むも息子である主人公に反対されながら事故死してしまった母のバーチャル・フィギュアを創り、コミュニケーションを取り自由死を望んだ真相を確かめようとする過程を軸に、格差社会を通奏低音としLGBT的な要素も織り交ぜながら、その中で出会う人々との触れ合いや出来事を通して、新たな自立した自分を見つけて行く物語。
    AI、格差、自由死等の社会問題に対する問題意識を近未来を舞台にちょうど良いテイストで描いているのが秀逸。

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    2025年10月12日