平野啓一郎のレビュー一覧
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「私とは何かー個人から分人へ」が平野啓一郎さんの著書ではじめて。その中で紹介されていたため読んでみることにしたのが今回。
分人が当たり前の世界で、それが他者の良い面悪い面を受け入れやすい世の中を作ってるようで、別の分人を別人のように扱う節も見えたり、悪いことが肯定されたり、良いことの評価が弱くなったり。人間そんなもんだよなと思った。
監視社会の生きづらさと安心感の狭間のもやもやもよく分かる。「神様が見てる」みたいな程よい「恥」は似たような要素を持つのかもしれない。でも生き過ぎた恥の文化は同調圧力にも繋がる。
分人主義も監視社会も、何事もバランスが結局大事やなと。 -
Posted by ブクログ
天才ピアニストと聡明かつ美人ジャーナリストの結ばれない愛の物語。
2人の出会いのシーンで感じたのは、教養で付き合える人の幅が広がるということ。
洋子の教養には驚かされるものがあった。
話の中盤からは「三谷はなんてことをしてくれたんだ…」という想いでしかなかった。
彼女さえいなければ蒔田と洋子は深い愛で結ばれ、幸せな家庭を築いていたというのに。
しかし、蒔田に尊敬と異常なまでの愛情を持って大きな過ちを犯した三谷を強く責めるものは、誰もいなかった。責められなかったという方が正しいのか。
愛に結ばれず、しかし互いに愛と信じた道を歩んでいく。なんとも寂しく、大人な話だと思った。
40を過ぎて人 -
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Posted by ブクログ
「一体,愛に過去は必要なのだろうか?」の問いに,今までとは違う観点から考えさせてくれた一昨.
心に残った場面.
「彼は今,自分とは何か,ではなく,何だったのかということを,生きるためというより,寧ろどういう人間として死ぬのか,ということを意識しながら,問い直すように迫られていた.」
「国家は,この一人の国民の人生の不幸に対して,不作為だった.にも拘らず,国家が,その法秩序からの逸脱を理由に,彼を死刑によって排除し,宛らに,現実があるべき姿をしているかのように取り澄ます態度を,城戸は間違っていると思っていた.立法と行政の失敗を,司法が,逸脱者の存在自体をなかったことにすることで帳消しにする,と -
Posted by ブクログ
新型コロナウィルスのパンデミックを挟んで、10年近く前にまとめられた書籍であるにも関わらず、アテンションエコノミー、SNSがもたらすエコーチェンバー、そしてAIによるオートメーション化がどのように「私たちの自由」と関わるのか、問いことに言及している視点の奥行きの広さと深さに驚かされる。
刊行当時理解されなかったであろう事柄、特にUber Eatsが都市部では当たり前となり、リモート会議も珍しくなくなったパンデミック以降の感覚では、「職業」によって回収される近代的個人から分人的な働き方を通じて得られる自由、あるいはリモートワークで得られる住む場所の自由も実感のあるものとして深く理解できる。