平野啓一郎のレビュー一覧
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第一部(上)は、深い思索がとても哲学的で、時に難解さをも感じたけれども、(下)の途中からは一転、昼ドラ的などろどろとした人間模様が描写されていて、それはそれでおもしろかった。ドラクロワやショパン、ジョルジュ=サンドの感じている憂鬱は、現代の若者の抱えているそれにも通じるような気がしたが、これは、ドラクロワらが現代にも通じるような同じような悩みを抱えて当時を生きていたということを表しているのか、それとも著者である平野氏自身が感じている現代社会の若者の悩みを、ドラクロワ、ショパン、サンド夫人を通して語らせているのか、ちょっとした倒錯感があって、それがまたおもしろかった。
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感想
この作品は登場人物の内面をよく描くことで構成される。自己とは一体何なのか?
人であれば一度は考えることかな。
最後、城戸の結末が書いてないので気になる
あらすじ
弁護士の城戸は、里枝という女性から亡くなった夫の素性を調べて欲しいと依頼される。里枝は宮崎の田舎で結婚し、次男を失ったことから夫と別れ、谷口大佑と出会った。しかし、大佑は1年後に事故で亡くなる。その後、実家に知らせると兄がきたが、大佑ではないと言う。里枝は離婚調停の時に世話になった城戸に大佑の素性を調べてもらうように依頼する。
城戸は大佑の素性を洗いながら自己というものについて考える。自身が在日3世のコリアであること、 -
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ネタバレエンタメ★
学び★★★★
癒し★★★
本の読み方に続く続編、
小説の読み方で紹介しているのが
小説の読み方のアプローチとしてニコラス,のティンバーゲンの4つの質問というもので
1メカニズム
2発達
3機能
4進化
というもの。もともと動物行動学における動物の行動に対するものだが、小説の読み方にも通じる物があるとしてそれぞれの項目を説明するところから始まる。それと
矢印の方向にも気を使うよう説明している。
その後具体的に色々なジャンルの小説の一場面を紹介し、4つの質問に沿って解説していく。深い読み方だし、そうやって読むのかと今回も新しい発見があった。 -
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ネタバレ「人は変えられるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えているのです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。それくらい繊細で、感じやすいものではないでしょうか。」
本の冒頭と後半に出てくるこのセリフ。2回目が染みるの何の。
天才ギタリストと、努力家の美しきジャーナリスト。教養を持って世界を違う目で見る2人にしか分かち合えない世界。嫉妬してしまうくらい素敵だった。儚かった。
めちゃくちゃ面白かった。久しぶりにぐいぐい読んでしまう小説を読んだ。面白かった、は違うか。ただ2人の男女が出会い、すれ違い、また再開するまでの話なのだが。そこにイラク戦争での体験や、 -
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ネタバレ分人主義を提唱する平野啓一郎さんの著書。
複数の分人を一つの肉体に宿すとする分人主義。
戸籍を入れ替え、名前もその人の人生をも変えてしまって生きる"ある男"はある種「究極の分人」と考えられるのでは無いでしょうか?
夫婦といえど、相手のすべての分人を知ることは出来ない。但し、知ることは出来ずとも幸せを育むことは出来ると本書はまとめているように思えました。ある男の本当の名前や人生を知らないままに「幸せな時間」を過ごすことが出来たように。そして、その秘密を知ってもなお幸せだったと思えたように。
一方、主人公城戸の妻は最終盤に不倫を仄めかしています。城戸は敢えてそれに目を瞑り -
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『ある男』を読んでまず感じたのは、これは亡くなった夫の正体を追うミステリーではなく、「本当の自分とは何によって決まるのか」を問い続ける物語だった。
里枝は、再婚した夫・大祐と子どもたちとともに穏やかな家庭を築いていた。しかし、大祐が事故で亡くなったあと、彼がまったくの別人として生きていたことが判明する。里枝から相談を受けた弁護士・城戸は、「大祐」として生きていた男が本当は誰だったのかを調べ始める。物語の入り口には「この男は誰なのか」という強い謎があり、その正体を追っていく過程はミステリーとして純粋に面白い。しかし、過去が明らかになるほど、興味は男の本名ではなく、「なぜ彼は別人として生きること -
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恋愛が人生を大きく変えてしまう強さがある反面、それは自らだけではないため、すべてはタイミングであり、それが運命と呼べるのだと感じた。
洋子の父ソリッチが言っていた「自由意志というのは、未来に対してはなくてはならない希望だ。自分には、何かが出来るはずだと、人間は信じる必要がある。そうだね? しかし洋子、だからこそ、過去に対しては悔恨となる。何か出来たはずではなかったか、と。運命論の方が、慰めになることもある。」
まさに強い意志たちが交差したいわゆる"運命"を、お互いの意志により惹き合わしたラスト。
なにが幸せかはわからない。
ただこれがなければ生きられないはあるのだろう。 -
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純粋に恋愛小説としても楽しめると思うが、私自身は、「過去を変えられる」というフレーズに取り憑かれた。作者の作品で、直近に「ある男」を読んでいるのもあり、なにかこう、人が生きる上で、逆らえない、未来に向かう時間の流れと、その中で、人が人と魂同士で関わり合うことによってお互いに及ぼし合っているチカラを感じて、哲学的な物も感じた。作品から読み取ったとしては、あまりに月並みな薄っぺらい言葉になってしまうかもしれないけれど、辛い過去も、今、この瞬間を生きる事で、良いものに変わるのであれば良いなという勇気をもらえた。今、そして未来を生きる希望というか…いつか、きっと という。
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読んでて一番きついのは、二人とも相手を嫌いになったわけでも、気持ちが冷めたわけでもないってこと。むしろ想い合ってるのに、誤解とか、ちょっとした選択のズレとか、自分から動けない不器用さとかが積み重なって、取り返しのつかないところまで行ってしまう。「あの時ちゃんと確かめてたら」「あの一言を言えてたら」って、読んでるこっちが何度もやきもきさせられた。
平野啓一郎の「人生は連続してるようで、実はいくつかの決定的な選択の積み重ねでできてる」みたいな考え方が、この二人のすれ違いを通してめちゃくちゃ説得力持って迫ってくる。恋愛小説っていうより、大人になってからの選択とか後悔について考えさせられる話やっ