平野啓一郎のレビュー一覧

  • かたちだけの愛

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    ー それで、いつの間にか、こう思うようになってた。愛って、もっと偶然的で、選ばれる人間に優劣があるわけでもなければ、選ぶ人間が賢かったり、愚かだったりするわけでもない。ただたまたま、誰かと誰かが出会って、うまくいったり、いかかったりするだけだってね。

    そう思えば、俺の家族は、誰も傷つかずに済む。組み合わせの不幸だったって。―けど、そんなのが愛なんだろうか?別れた俺の妻が、ど うしても我慢できなかったのは、俺のそういう考えだった。なぜわたしと結婚したのって、よく訊かれたけど、あの頃は、今みたいなことが自分の中で整理できてなかったから、きちんと答えられなかった。……悪いことしたよ、彼女にも。ー

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    2024年03月29日
  • 死刑について

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    死刑制度について深く考えたことはありませんでしたが、何となくあった方が良いと考えていました。しかし、作者の考えに触れ、感情とは切り離して、国家が合法的に人を殺すことができる恐ろしさを理解しました。ただ、もし自分が被害者家族になってしまったら、やっぱり死刑をもとめるかもしれません。それくらい難しい問題ですね。

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    2024年03月25日
  • 空白を満たしなさい(下)

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    ・関わる人によって、分人が変わって、自分の中の不適切な分人をまともにするために攻撃して鬱になったり、自己嫌悪に陥る
    ・例)親と関わってる自分の分人:ほんまにいや、しんどい
    →時間的にも物理的にも距離とると分人が薄れて、楽になれる
    ・なにか気晴らしをしても体力を使うから、コップから水があふれるみたいに死に至ってしまうこともある

    最初、あんまりやなーって思ってたけど後半の自殺・鬱に対する考え方云々は興味深かった。

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    2024年03月23日
  • サロメ

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    なぜ『サロメ』を平野啓一郎が?その狙いは?という答えは本人によるあとがきと宮本亜門が寄せた文章でしっかりと明らかに。そういうところから、この「古典新訳」シリーズ自体の意義や面白さについても考えさせられる。

    ファムファタール的イメージに支配されない、無垢な乙女であるサロメ像が、奇を衒わない堅実な訳文から確かに浮かび上がっているように思う。その試みから、ワイルド→三島→平野の文学の系譜も見出せる。

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    2024年03月13日
  • 悲しみとともにどう生きるか

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    いろんな視点から「悲しみ」について書かれており、とても良い本でした。
    大小あれど悲しみのない人生なんて存在しないと思います。そんな悲しみに寄り添ってくれる本でした。

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    2024年03月12日
  • 空白を満たしなさい(下)

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    表紙がなぜゴッホの自画像なのかと考えながら読んでいたが、後編中盤に明らかになる。おそらくはゴッホの自画像の謎から着想を得た作品なのではと考える。分人という思想は、人格という解釈ておぼろげに思っていたが本編でとても丁寧に考察しておりとても面白く読めた。ネイバーというサービスはとても面白い着想て、実際にあったらいいのではと思う。生に観する様々な考察を一度生き返った人の考えに説得力を感じる。死んだ人が生き返るという超常現象については残留思念かな、程度で考えればいいと思う。作者の素敵な表現力が好きで、他の作品を読みたくなった。

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    2024年03月03日
  • 「カッコいい」とは何か

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    カッコいいという概念 私達は「カッコいい」という言葉を日常的に使うが、その意味はとても多様で広い。

    そもそもカッコいいという言葉が大衆に使用されるようになったのは、1960年代以降と比較的新しいものだ。

    カッコいいは、戦後の個人主義的な社会の規範となる存在として、メディアで広く知られ、大衆が判断できる価値基準として個人の間で重要な地位を占めるようになった。

    「カッコいい」を語源、類義語、音楽、ファッション、戦争、政治利用などさまざまな観点から論じた「カッコいい」の試論。

    著者の広範な見識と熱意を感じる良書である。

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    2026年01月02日
  • ドーン

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    有人火星探査成功の裏でおきる『愚行』。片道8ヶ月、ミッション含めて3年もの長く、常に生命の危機に晒されている過酷な環境で起こり得る人間の性。帰還後に多くの人間に多様な苦難がまちうける。未来も現在も人間の本性と苦悩は変わらないようです。

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    2024年02月18日
  • 死刑について

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    今まで深くは考えられておらず、更生の望みや意志がなく、社会に不安定を及ぼすこと、被害者救済の観点で、死刑があることはやむを得ない、という漠然とした立場だったが、様々な観点と、特に被害者への丁寧な取材をベースとした意見で、より多面的にこのテーマを捉えられるようになった。

    ・憎しみに対する報復は、必ずしも死を持って償うことだけではなく、最高刑である点も重要。死刑があるからこそ、死刑でないことの説明に苦しむ被害者がいることはとてもその通りだと思った。被害者と一括りにするのではなく、より解像度高く、そしてその人たちの支援をいかにしていくか、が重要

    ・基本的人権の内容については学校教育で触れてはいた

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    2024年01月28日
  • 死刑について

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     本書は、タイトル通り、「死刑」について平野啓一郎さんが講演で語った内容をテキストにしたものです。

     平野さんは死刑について、以前は存置派でしたが、いまは廃止派になったといいます。ヨーロッパの人々との出会いから変化していったのだそうです。

     また、平野さんは小説家らしく、書くことで考えを深めて、存置派から廃止派になったとも語っています。犯罪被害者側の視点を究めた小説『決壊』を書く上での思索が、反対派になった理由でもあるそうです。

     本書では、大きく三つの理由から反対を論じられています。ざっくりとご紹介すると、「冤罪の理由」「自己責任論の理由」「倫理上の理由」です。

     ところで、一九九七

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    2024年01月12日
  • 小説の読み方

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    ネタバレ

    ⚫︎受け取ったメッセージ
    小説を読む上でのアプローチの仕方がわかる本
    実際の小説を用いての実践編が充実している
    小説家による読み方指南であり、
    大変興味深かった


    ⚫︎感想
    絵画、音楽、芸能…芸術はただ漠然と受け止めて楽しむのもいいだろうが、枠組みをベースに味わうことは、その作品への理解が深まり、自分にとってとても有意義なものになる。一冊の本との出会いを大切にするためにも、読み方を知っておくことは大変有用だと思う。

    一冊の本を読み、「なぜ」と考えることが、その作品や作家と向き合い、自分と向き合う時間となる


    以下勉強になったこと。
    2.4に関しては、意識的に考えていたが、
    1.3について

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    2024年01月01日
  • 空白を満たしなさい(下)

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    分人主義全開。
    切ない展開になり、泣けてきた。
    人が今ここにこうして生きているのは奇跡、この奇跡がずっと続くことを心より願う。

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    2023年12月24日
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践(PHP文庫)

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    ネタバレ

    ⚫︎受け取ったメッセージ
    ※引用
    「一冊の本を価値あるものにするかどうかは、
     読み方次第」

    「読者が本を選ぶように、本も読者を選ぶ」



    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)

    "本はどう読んだらいいのか? 速読は本当に効果があるのか?
    闇雲に活字を追うだけの貧しい読書から、深く感じる豊かな読書へ。
    『マチネの終わりに』の平野啓一郎が、自身も実践している、
    「速読コンプレックス」から解放される、差がつく読書術を大公開。

    「スロー・リーディング」でも、必要な本は十分に読めるし、
    少なくとも、生きていく上で使える本が増えることは確かであり、
    それは思考や会話に着実に反映される。
    決して

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    2023年11月25日
  • 死刑について

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    ネタバレ

    ⚫︎受け取ったメッセージ
    どちらかといえば死刑制度に賛成だった著者が
    死刑制度反対に至るまで

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    死刑廃止の国際的な趨勢に反し、死刑を存置し続ける日本。支持する声も根強い。しかし、私たちは本当に被害者の複雑な悲しみに向き合っているだろうか。また、加害者への憎悪ばかりが煽られる社会は何かを失っていないだろうか。「生」と「死」をめぐり真摯に創作を続けてきた小説家が自身の体験を交え根源から問う。

    ⚫︎感想
    死刑制度に賛成・反対どちらかだとしても、どちらの意見も自分なりに吟味した上で立場を考えねばと思った。日本に終身刑という最高刑があるのならば、多くの日本人は死刑制度を

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    2023年11月19日
  • 決壊(上)

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    ⚫︎受け取ったメッセージ
    平野啓一郎さんの提唱する「分人主義」前期の作品。相手の、全く知らない相手の部分を知る怖さを、ミステリー、サスペンスの形で見せてくれる。


    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    地方都市で妻子と平凡な暮らしを送るサラリーマン沢野良介は、東京に住むエリート公務員の兄・崇と、自分の人生への違和感をネットの匿名日記に残していた。一方、いじめに苦しむ中学生・北崎友哉は、殺人の夢想を孤独に膨らませていた。ある日、良介は忽然と姿を消した。無関係だった二つの人生に、何かが起こっている。許されぬ罪を巡り息づまる物語が幕を開く。衝撃の長編小説。


    ⚫︎感想
    一気に引き込まれる設定。すぐに下

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    2023年11月19日
  • 決壊(下)

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    ネタバレ

    ⚫︎受け取ったメッセージ
    信じることの難しさ

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    戦慄のバラバラ殺人──汚れた言葉とともに全国で発見される沢野良介の四肢に、生きる者たちはあらゆる感情を奪われ立ちすくむ。悲劇はネットとマスコミ経由で人々に拡散し、一転兄の崇を被疑者にする。追い詰められる崇。そして、同時多発テロの爆音が東京を覆うなか、「悪魔」がその姿を現した! 2000年代日本の罪と赦しを問う、平野文学の集大成。芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。

    ⚫︎感想(ネタバレ)
    一度疑い始めると、とめどなく押し寄せる不信感。
    宗の完璧さは高知能は、平均的な平凡を生きるには、解像度が高すぎて難しいのだろう。それ

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    2023年11月19日
  • 透明な迷宮

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    ネタバレ

    ⚫︎受け取ったメッセージ
    奇妙、官能的、美しい短編集。

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    深夜のブタペストで監禁された初対面の男女。見世物として「愛し合う」ことを強いられた彼らは、その後、悲劇の記憶を「真の愛」で上書きしようと懸命に互いを求め合う。その意外な顛末は……。表題作「透明な迷宮」のほか、事故で恋人を失い、九死に一生を得た劇作家の奇妙な時間体験を描いた「Re:依田氏からの依頼」など、孤独な現代人の悲喜劇を官能的な筆致で結晶化した傑作短編集。

    ⚫︎感想(ネタバレ)
    平野啓一郎さんの作品は、静かで美しい空気が感じられて好き。

    1.消えた蜂蜜 レアな特技、ハガキ全写し。
    2.ハワイにさが

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    2023年11月19日
  • かたちだけの愛

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    ネタバレ

    ⚫︎受け取ったメッセージ、感想
    印象的なフレーズは、
    「自分勝手に、自分の欲するまま見せること
     =遠慮のなさで愛を示す事」。
    自分では思い至らず、ハッとさせられた。
    遠慮する、気を遣うというのは、
    時にその距離を見せつけられているようで
    寂しい時もある。
    どうしても欲しい!と激しく求める潔さの美しさ
    みたいなものもあるよなぁと思った。



    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    事故による大怪我で片足を失った女優と、その義足を作ることになったデザイナー。しだいに心を通わせていく二人の前に立ちはだかる絶望、誤解、嫉妬…。愛に傷ついた彼らが見つけた愛のかたちとは?「分人」という概念で「愛」をとらえ直し

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    2023年11月15日
  • サロメ

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    大好きなオスカーワイルド。サロメという作品は聞いたことがあったけど、まさか幸福の王子を書いたオスカーワイルドが書いたとは思わなかった。

    旧約聖書の一部分を抜き取ってお話にしたものなのかな。
    サロメが残酷な方面に純粋だった。ラスト、我に返ったような手のひら返しがすごい(これはヘロデ王)。
    ヘロディアは誰も見ていない、という記述が興味深かった。原典(フランス語)でも読んでみたいな。

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    2023年11月01日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    人が空白を埋めるのは、人が死んだときだけではない。いじめられたとき、挫折したとき、失恋したとき、深く傷ついたとき。事実を事実として受け入れたら、それは穴のまま。前を向いて動いていくには、自分に折り合いをつけ、事実を再解釈することが必要。そうして、自分の受け入れられるかたちに心をかえる。それが事実とは大きく異なっていたとしても、自分を守る術。その解釈が違っていたという事実を突きつけられるのは再び深い穴を掘り起こすことになる。たとえ良い方向だとしても、大きな苦しみをともなう。

    私がモラハラ父と元カレと別れた時を思い出した。彼らの私への暴言、心をえぐる言葉の数々は深い傷を残した。私は、最初それらを

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    2023年10月28日