平野啓一郎のレビュー一覧

  • 決壊(下)

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    ネタバレ

    ⚫︎受け取ったメッセージ
    信じることの難しさ

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    戦慄のバラバラ殺人──汚れた言葉とともに全国で発見される沢野良介の四肢に、生きる者たちはあらゆる感情を奪われ立ちすくむ。悲劇はネットとマスコミ経由で人々に拡散し、一転兄の崇を被疑者にする。追い詰められる崇。そして、同時多発テロの爆音が東京を覆うなか、「悪魔」がその姿を現した! 2000年代日本の罪と赦しを問う、平野文学の集大成。芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。

    ⚫︎感想(ネタバレ)
    一度疑い始めると、とめどなく押し寄せる不信感。
    宗の完璧さは高知能は、平均的な平凡を生きるには、解像度が高すぎて難しいのだろう。それ

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    2023年11月19日
  • 透明な迷宮

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    ネタバレ

    ⚫︎受け取ったメッセージ
    奇妙、官能的、美しい短編集。

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    深夜のブタペストで監禁された初対面の男女。見世物として「愛し合う」ことを強いられた彼らは、その後、悲劇の記憶を「真の愛」で上書きしようと懸命に互いを求め合う。その意外な顛末は……。表題作「透明な迷宮」のほか、事故で恋人を失い、九死に一生を得た劇作家の奇妙な時間体験を描いた「Re:依田氏からの依頼」など、孤独な現代人の悲喜劇を官能的な筆致で結晶化した傑作短編集。

    ⚫︎感想(ネタバレ)
    平野啓一郎さんの作品は、静かで美しい空気が感じられて好き。

    1.消えた蜂蜜 レアな特技、ハガキ全写し。
    2.ハワイにさが

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    2023年11月19日
  • かたちだけの愛

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    ネタバレ

    ⚫︎受け取ったメッセージ、感想
    印象的なフレーズは、
    「自分勝手に、自分の欲するまま見せること
     =遠慮のなさで愛を示す事」。
    自分では思い至らず、ハッとさせられた。
    遠慮する、気を遣うというのは、
    時にその距離を見せつけられているようで
    寂しい時もある。
    どうしても欲しい!と激しく求める潔さの美しさ
    みたいなものもあるよなぁと思った。



    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    事故による大怪我で片足を失った女優と、その義足を作ることになったデザイナー。しだいに心を通わせていく二人の前に立ちはだかる絶望、誤解、嫉妬…。愛に傷ついた彼らが見つけた愛のかたちとは?「分人」という概念で「愛」をとらえ直し

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    2023年11月15日
  • 空白を満たしなさい(下)

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    設定には最後まで違和感があったけど、このテーマを扱うにはこうするしかなかったし、これでよかったのだろうと思う。
    とても考えさせられる作品であったし、感情も揺さぶられました。

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    2023年11月07日
  • サロメ

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    大好きなオスカーワイルド。サロメという作品は聞いたことがあったけど、まさか幸福の王子を書いたオスカーワイルドが書いたとは思わなかった。

    旧約聖書の一部分を抜き取ってお話にしたものなのかな。
    サロメが残酷な方面に純粋だった。ラスト、我に返ったような手のひら返しがすごい(これはヘロデ王)。
    ヘロディアは誰も見ていない、という記述が興味深かった。原典(フランス語)でも読んでみたいな。

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    2023年11月01日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    人が空白を埋めるのは、人が死んだときだけではない。いじめられたとき、挫折したとき、失恋したとき、深く傷ついたとき。事実を事実として受け入れたら、それは穴のまま。前を向いて動いていくには、自分に折り合いをつけ、事実を再解釈することが必要。そうして、自分の受け入れられるかたちに心をかえる。それが事実とは大きく異なっていたとしても、自分を守る術。その解釈が違っていたという事実を突きつけられるのは再び深い穴を掘り起こすことになる。たとえ良い方向だとしても、大きな苦しみをともなう。

    私がモラハラ父と元カレと別れた時を思い出した。彼らの私への暴言、心をえぐる言葉の数々は深い傷を残した。私は、最初それらを

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    2023年10月28日
  • 小説の読み方

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    小説を読んだあとの読後感を上手いこと言語化することに憧れてこの本を読んだ。本のセレクトもジャンルごとに名作を選んでいたので自分があまり読まないジャンルの小説にも興味を持つことができた。また、小説内での登場人物、そして自分自身の感情をうまく捉えることができるようになったと感じる。

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    2023年10月23日
  • ご本、出しときますね?

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    読書芸人の若林が小説家と対談する番組の書籍化らしい。
    常々小説大好きな人の気持ちを知りたいと思っていたが、この対談で多くの気づきを得られた。
    自分自身は現実的なビジネス書や、心理学、脳生理学などの役に立つ本を好んでいたので、なにゆえ個人の脳内で創作されたフィクションが好まれるのか不思議であった。
    本書や小説家(書くほう)の視点の言葉が多いが、彼らは読書家でもあるので示唆に富む会話が飛び交っている。

    ・「弱者」って言葉を言い換えると「大多数」のこと
    ・登場人物が自分の身代わりになってくれるような気がした

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    2023年10月05日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    下巻まで読み終わってからの感想。
    主人公の葛藤、周囲の人々の迷いが伝わってくる作品。後半へ向けて、ミステリー要素強め。

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    2023年09月15日
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践(PHP文庫)

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    軽薄な「速読」テクニックへの痛烈な批判本。
    本人も作家である立場から、物書きがいかに言葉選びを熟慮しているか、またそれを自分で読み取り感じることが著書に触れる喜びの一つであることが、作例を交えて書かれている。(勿論、本を読む目的は人それぞれだが。)「速読=脂肪。役に立たず、頭の回転を鈍らせる。知ってることの補完でしかなく、何なら歪曲させて読み取ってしまう。」→すごく納得。

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    2023年09月02日
  • かたちだけの愛

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    愛するってなんだろうと深く考えさせられた。
    他の誰といる時の自分よりも好きで、そんな自分を愛せる。そういう相手を見つけるといいのかもしれないと思った。
    愛って深い。

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    2023年08月09日
  • 賢人の読書術

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    ビジネスマン向け?私はビジネスマンではないですが、5人の著者の言ってることが矛盾してて逆に面白かったかも。

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    2023年08月06日
  • 三島由紀夫論

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    もちろん、まずは著者の三島愛をたっぷり感じる。しっかりした骨格と、丁寧な調査と文献の読み込み、そして考察が同じ熱量で670ページ続く。論文とは、評論とは、こう書くもんだよね、と感服させられる思い。

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    2023年07月29日
  • 透明な迷宮

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    久しぶりに本屋(蔦屋書店)でジャケ買いした
    本です。
    平野啓一郎さんという作家も初めてだったので
    予備知識もなく、ちょっとワクワクしながら
    読み始めました。

    「透明な迷宮」は短編小説で、どの話も少し奇妙で妖しい世界観が感じられて自分的に大好きな作品でした。

    表題にもなっている「透明な迷宮」はまさに妖しい世界観とエロス、サスペンス的な要素が入り混じっていてとても面白かったです!
    ブダペストっていう場所もなんか、こういう事が起こりそうっていう漠然としたイメージがあって
    すごくしっくりきました。
    「ホステル」ていう映画を少し思い起こさせる
    雰囲気もあって、ちょっと興奮しました。

    「火色の琥珀」

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    2023年07月20日
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践(PHP文庫)

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    作家による読書法の紹介本。
    わかりやすく、理にかなっていて面白かった。本来、個人が楽しみながら進める読書を、国語の時間が妨害している面はたしかにあるよなぁと思う。試験における作者の意図は、出題者の意図なのだと割り切って説明されていて、少しすっきりした。

    また、気持ちがいいほどのアンチ速読で、読んでいて楽しかった。もちろん、ただこき下ろしているわけではなく、速読の危険性や罠について論理的に説明しているので、内容は頷けるものばかりだった。

    実践編では実際の小説の一部を取り上げながら、スローリーディングを進めていく。
    私はこの職業についていながら『こころ』の中編にあまり価値を置いていなかったけれ

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    2023年07月16日
  • ドーン

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    これが「分人」の概念が登場した初めての小説らしい。2033年の火星探査とアメリカ大統領選という壮大な舞台とは対照的に、その時代でも尚続く人間の業の深さ、対人関係から生じる内面的葛藤が生生しく描かれている。
    この小説の世界では「分人主義」が概念として一般化しているが、読み始めはその明示的な設定に違和感を感じた。ただ、主人公をはじめ様々な登場人物たちは、それぞれある分人には葛藤・苦悩を抱えながらも別の分人には未来への足場をつくりながら生きていく希望の輪郭が次第にくっきりと見えてきた。
    後半、「恥」と「悪」に関する会話シーンがあるが、これが分人の考え方と相まって印象深かった。"恥"

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    2023年07月16日
  • ドーン

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    「閉鎖的な対人関係によって分人が過度に抑制されると、過去や未来の妄想の分人が大量に溢れ出て、収集がつかなくなる」

    この描写に自身の経験を重ね合わせ、離別による悲劇に見舞われた直後に誰にも会いたくなくなるのは、対象の分人を邪魔されずに大切にとっておきたいからなのだ、と合点がいった。

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    2023年07月12日
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践(PHP文庫)

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    作家が語る、スローリーディングを語った本。
    書き手の視点で読む、精読し読んだものを自分のものにしていく、どちらかといえば速読気味な私には耳の痛い話も。
    書き手の産み出す文章を、読者は一言一句、噛みしめるように糧にしていかなければと思った。

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    2023年07月04日
  • ご本、出しときますね?

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    3.7面白かった。二人づつなのが良。ラジオとかで続いてくれないかな。その方が出てくれる作家さん増えそうだし。

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    2023年06月20日
  • 死刑について

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    実際、あまり深く考えたことはない。死刑はニュースの中の話としてこれからもあまり考えたくない。でも平野さんの考えはものすごく納得できた。終身刑があれば廃止してもよいのではないかと思った。

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    2023年06月14日