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深夜のブタペストで監禁された初対面の男女。見世物として「愛し合う」ことを強いられた彼らは、その後、悲劇の記憶を「真の愛」で上書きしようと懸命に互いを求め合う。その意外な顛末は……。表題作「透明な迷宮」のほか、事故で恋人を失い、九死に一生を得た劇作家の奇妙な時間体験を描いた「Re:依田氏からの依頼」など、孤独な現代人の悲喜劇を官能的な筆致で結晶化した傑作短編集。
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Posted by ブクログ
記憶の連続 寝て起きたときの自分は、昨日の自分の続きである。疑いもなく信じている。その人が、その人であることを支えるものとは何なのか。記憶なのか、記録なのか。 日常のすぐそばに紛れている非日常を描くことで生み出されるリアリティ。人にはどこか思い当たることがあるのではないかなぁ。短編6話。
一つの体験を複数の人間が体験した時に、それぞれがどう感じ、どう行動するかの違いとか、自身の選択の結果で人生が決まっていること、他人の影響が自分の人生に関与してくることを、複数の短編を読みながら考えた。
愛情や欲求、善悪、時間や空間の掛け違い、すれ違いといった、平野さんの描く異次元ワールドを、次々に擬似体験させられる傑作短編集。不思議な後味がしばらく残ります。
依田さんの話はインテリ過ぎてよくわからんかったけど、火しか愛せない彼と、書写の天才の彼の話がお気に入りでした。
久しぶりに本屋(蔦屋書店)でジャケ買いした 本です。 平野啓一郎さんという作家も初めてだったので 予備知識もなく、ちょっとワクワクしながら 読み始めました。 「透明な迷宮」は短編小説で、どの話も少し奇妙で妖しい世界観が感じられて自分的に大好きな作品でした。 表題にもなっている「透明な迷宮」はまさ...続きを読むに妖しい世界観とエロス、サスペンス的な要素が入り混じっていてとても面白かったです! ブダペストっていう場所もなんか、こういう事が起こりそうっていう漠然としたイメージがあって すごくしっくりきました。 「ホステル」ていう映画を少し思い起こさせる 雰囲気もあって、ちょっと興奮しました。 「火色の琥珀」という話も好きな作品でした。 村上春樹の「納屋を焼く」を思い起こさせる感じで でも、こちらの方がより変態性を感じられて 江戸川乱歩と村上春樹のハイブリッド的な感じで 大好きです! 平野啓一郎さん! 初めて読みましたが、この世界観は大好きなので 是非とも他の作品も読みたいと思いました。 この猛暑の中、涼しいカフェで読むのにオススメな 読みやすい短編小説なので、ぜひおすすめです!
平野啓一郎短編集。「冒頭〜消えた蜜蜂」と「火色の琥珀」がとくに耽美で好みでした。とても。妖艶さを感じる。
透明な迷宮。 忘れられない辛い記憶、消えない後悔、トラウマ、完治しないキズ。 多くの人がある段階で生涯に引き連れてきてしまう痛みを、文学という方法で癒そうとしてくれるように感じました。 「マチネの終わりに」と同じように、過去の捉え方に、平野啓一郎さんならではの哲学が見られました。
世界が壊されて、また再構築されるような感覚を得られる短編集。 なかでも私が気に入ったのは、「火色の琥珀」。 火にしか恋愛感情や性欲を抱けない男の独白である。平野さんの好きな、三島由紀夫の「仮面の告白」に似ている。 あちらが同性愛なのに対し、こちらは無生物への愛。そんな本作は火に関する描写がとても緻...続きを読む密でうつくしい。 おもしろく、シュールで、しかし切実だ。居場所がないと感じる者の切実な独白というのはえもいわれぬ美しさがあり、良いものだ。 表題作「透明な迷宮」は、海外で悪趣味な富豪に捕らえられ、衆人環視下での性行為を求められる話。 その後も二転三転と驚くような展開があり、割と荒唐無稽な話なのだけど、類稀な文章力のおかげでリアリティを持って迫ってくる。 平野さんは、「普通」な人々や普通の日常をあの筆力ですごく仔細に丹念に描くから、導入部分が退屈だったりするんだけど、それがあってこそ非日常なものや異常なものが際立ち、生々しさが出てくる。 特に印象的だったフレーズはこちら。 「凡庸な思想は、人間の唯一性への憧れを唆し、交換可能性にヒステリックに抵抗する。しかしその実、愛とは、誰でもよかったという交換可能性にだけ開かれた神秘ではあるまいか」
久しぶりに、同時代の作家で、文学らしい作品を読んだ。という印象。 わたしの言う「文学らしい」とは、ストーリーを追うのではなく、じっくり細部を読み込みたくなる、という意味。あらすじに還元してしまったら、もったいない感じ。
いやー、面白かった! どれも不思議な感じのする短編ばかり。 とにかく最後の「Re:依田氏からの依頼」がすごかった。 表題作「透明な迷宮」も結構好き。 「Re:依田氏からの依頼」の中の気に入ったフレーズを少し。 「受信したメールの返事を書きそこなって過ぎた二日間は、あっという間に感じる。しかし、送...続きを読む信したメールの返事を待つ二日間は長い」232頁
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透明な迷宮
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平野啓一郎
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