平野啓一郎のレビュー一覧

  • 本心

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    最愛の人の他者性と向き合う。というフレーズが印象的だった。
    空白を満たしなさいで知った平野啓一郎だったが
    本心はより哲学的というか、考えさせられる一面が多かった。

    母が死んだら、わたしは母のVFを作りたいと思うんだろうか

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    2026年03月26日
  • 本心

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    かなり哲学的で難しく、読むのに時間がかかった。
    中盤で出てきた「縁起」に引き込まれた。実際に体験してみたいし、文字として読んでいるだけで不思議な気分になり、印象に残った。

    自分は深く考えもせず自由死に賛成派だったが、社会の格差が広がり、強者が弱者に強いるために生まれるものなのかと衝撃を受けた。
    人生における「もう十分」が社会に言わされている言葉なのだとしたら、あまりにも救いがない。。

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    2026年03月21日
  • マチネの終わりに

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    大人の恋愛小説の代表と言っても過言ではないでしょう。
    2人の間に強い気持ちがあるにも関わらず、環境や周りの人たちによって一つ歯車がズレるだけで、全然違う展開になっていくのが、読者にはわかっているだけにもどかしいです。
    最後の最後まで2人を見守っていたくなります。
    そして、滲み出てくる我慢の愛情を感じることができました。

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    2026年03月20日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    ネタバレ

    死んだ人間が復生者となって蘇る。自分は自殺するような人間ではない。自殺したのではなく、殺されたのではないかと疑い、自分が死んだ理由を追求していく。対人関係ごとに色んな自分がいて、〈個人〉に対して〈分人〉と呼ぶ考え方に出会う。的はずれであるけれども、NHKで漱石についての番組を見た直後に読んだので、明治になって近代人は〈国家〉と〈個人〉の問題に苦しんだが、〈分人〉という考え方は、現代人を〈個人〉から解放するのかみたいな、途方もないことを思い浮かべてしまった。

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    2026年03月17日
  • 死刑について

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    私は死刑廃止派
    死刑について深く考えるために読む。
    在置派だった筆者による考察・論調は自分では到達出来ないような視点を提示してくれる。
    法のもとに人を殺すことが可能な国は…人権を軽視しているようで嫌だし、殺人をしてはいけないけれど死刑による殺人はOK(やむを得ない)というのは、人間が命に優劣をつけているとも取れる。
    同じ命あるものに、同じ人間の自分が優劣を決める可笑しさ、悲しさ、、不思議に思うけれど、自分が判断・手を下す訳じゃないから、他人事なのかな?廃止は理想なのかな?
    なんて自分の考えに固執しないよう、在置派の考え・論理をこれからも知っていきたい。

    まずは、考えるきっかけに良本だと思う。

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    2026年03月10日
  • 自由のこれから

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    「分人主義」という他者に対する「個人」という見方ではなく、いろんな他者と相対するときの複数の人格を自分と捉える考え方がベースにあって、そのベースの中で、「自由」「幸福」「テクノロジーの進化」「本当の自分」などのテーマをさまざまな専門家と対談しながら、書かれていた。

    分人主義という考えが非常にしっくりきて、心理学的には「自立」の考え方と似てると思った。「自立」は1人でなんでもできることではなく、様々な組織、コミュニティーに属することで依存先を増やすこと。そうやって、自分を見つけることが「自立」と言われたりしてる。
    「分人」や「自立」は全然違う表現だけど、複数の他者から見た自分という観点が全く同じだと思った。

    いくつか感銘を受けた部分はあるが、個人的には大屋さんとの対談で出てきた「幸福」の見解が良かった。幸福とは振り返ったときに「満足」しているかどうか。"振り返ったときに"というのが肝だなと。今この瞬間だけの幸せとなると、快楽(食、スマホ、など)が浮かぶが振り返るとだいたい後悔することが多い。振り返って満足するときは大抵、そのときは面倒だと思ったりすることだったりもする。
    そして、その行動を選択する「自由」も自分で選択できることが重要であり、そういうシステム設計や政策が必要だよねって話があった。

    結構オススメです。

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    2026年03月09日
  • 本心

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    エッセイや評論的なものは割と読むけど、小説は、日蝕で幾度となく挫折しているから、ほぼ読んでいない。しかし、さすがの平野啓一郎。ストーリー展開、リアリティ、言葉の選択、どれをとっても圧巻。読んでいて決して心地よい話でもないのだけれど、作者の筆力に圧倒される。どれだけ構想し、推敲したのかと唸らされる。薄っぺらい言葉や文章表現がネットもリアルも飛び交っているなか、この密度はすごい。何年かかるか分からないけど、真正面から向き合いたい、向き合わないとならない作家だなと再認識。

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    2026年02月23日
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践

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    760円(税抜)で、この濃い内容を読めるのは、お得だと思う。読んですぐに実践できるかと言われると不安を覚えるが、難しい本を難しいままにしてきた自分を振り返り、再読してみようと思った。

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    2026年02月18日
  • トーマス・マンはなぜ日本で愛されるのか

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    三人のバランスが良い。
    平野氏の広範な議論は難しかったが、鈴木氏のゲーテを通したマン像は分かりやすい。
    小黒氏の翻訳の話が特に面白かった。

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    2026年02月07日
  • マチネの終わりに

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    音楽や歴史に自分が疎いこともあり、さらさらと滑らすように読んでしまった部分はあったものの総じて自分と向き合う時間になったと思う。

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    2026年01月27日
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践

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    スローリーディングという、速読法の新書に並びそうなワーディングに、初めの方は少し疑いながら読んでいたが、途中からどんどん面白くなった。
    音読や書写をすすめないというのは意外だった。
    大学での精読の講義を受けているような感覚で読んだ。

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    2026年01月27日
  • マチネの終わりに

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    すごく良かった!!!
    変わるのは未来だけじゃない。何かの渦中にいる時には知ることができなかったものを改めて知って、それだけで簡単に過去の見え方が変わってしまう感覚がそのまま感じられた。
    私も転勤が多くて、自分のルーツとかに関しては重なる部分があってすごく考えさせられた。
    恋愛小説なのに、むしろそこより哲学的な要素が強く感じられて面白かった

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    2026年01月21日
  • 決壊(下)

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    崇の饒舌っぷりに何度も気を失いかけたけど、読破。文学的な描写がなんともすばらしく感じる反面、行間を読む隙間が1ミリもないような、みっちりしてた。
    平野さんが書く程度の低い人間は、みんな小学生みたいだった。

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    2026年01月18日
  • 本心

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    今後AIが発達していくと、こういう世界が出来上がるのか?と思えるほどのリアリティさだった。

    「自由死」に対し、様々な角度からの意見が見れたが、果たして「正しさ」とは何か?「倫理観」とは何か?を問いただけれ、難しさを感じた。

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    2026年01月17日
  • 死刑について

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    死刑を廃止するか、存置するか。

    日本ではまだまだ存置派が多い中で、
    著者の小川哲也さんは廃止派。

    その理由を書いているわけだけど、
    さすが芥川賞受賞歴のある作家さんなだけあって、
    思慮深さがえぐい。

    単に、廃止すべき理由を書いているだけでなく、
    もともと存置派だったからこその視点も書かれているから、例え廃止派だったとしても違和感なく読める。

    私たちは日本人だから、
    死を待って償うという概念が
    当たり前に染み付いてたのかもしれない。

    死が本当に償いになるのか、
    という前提が少し揺らいだ。

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    2026年01月16日
  • 文学は何の役に立つのか?

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    書き下ろしでなく、寄稿したものを集めたものだが、書名の答えを多くの方は感じられると思う。本書の内容そのものが、文学から得られること、考えること、書くことなどが凝縮されているし、改めて著者の凄さを実感できた。

    登場人物の描写を詳細にすると、読者も同じように感じるので、読み疲れしないようにコントロールしているとの内容が、個人的に大きな気づきだった。

    そんなに文学作品は読まないが、読んで良かったと思う。

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    2026年01月11日
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践

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    ネタバレ

    最近、自分でも本の読み方にスピードを求めず、ゆっくり、じっくり読むことを心掛けている。丁寧に本を読み終えることで、読書により得られるものが濃厚になってきたように感じる。そのことを確かめたいという目的もかねて、本書を読んでみた。

    ”「スロー・リーディング」とは、差がつく読書術である。その「差」とは、速さや量ではなく、質である。”とあり、これの事だな思った。確かに著者が言われるように、試験勉強や、期限に間に合わせるために論文を仕上げるというような目的でもなければ、本を速く読まなければならない理由など何もない(笑)。

    ”「速読」は明日の為の読書、「スロー・リーディング」は、5年後、10年後の為の読書”という言葉には、大きくうなずける。

    3章あるうち、最後は「古今のテクストを読む」として、著者による「スロー・リーディング」の実践講義となっていた。題材として取り上げられていた作品は、次の通り。
    ・夏目漱石「こころ」
    ・森鴎外「高瀬舟」
    ・カフカ「橋」
    ・三島由紀夫「金閣寺」
    ・川端康成「伊豆の踊子」
    ・金原ひとみ「蛇にピアス」
    ・平野啓一郎「葬送」
    ・フーコー「性の歴史Ⅰ 知への意志」

    学校では学べない、国語の授業のようだった。自分はちゃんと読んだぞと思っていても、講義を聞いてみて、「やっぱり安易に読んでいたんだ」とか、「大事なところを読み落としてしまっていたんだ」とか、過去の読書姿勢を改めて反省するハメになってしまった。

    ”「遅読」は「知読」”という言葉、良い言葉だなと思う。

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    2026年01月09日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    上下巻を一気に読んだので疲労感と謎の涙。
    黄泉がえりという映画が昔あったなぁ。
    死者がやり残したことをやるというファンタジー感と、誰が犯人なのか?というサスペンスミステリー感がありつつも、テーマは「死」そのもの。残された人の空白や、残してしまう人への焦燥感、一瞬の死際の印象でそれまでの「生」が塗り変わってしまう影響力、自殺、分人の概念など、さまざまな角度から「死」を照らしている。
    「死」は暗闇、消滅といったイメージもある一方、佐伯のいうように、義務からの解放という救いの側面もあるように思う。
    「死」という事実やそれまでの過程を知ってしまうと思い出すたびに胸が苦しくなるので、いっそのことなにも知らないまま、遠いどこかで元気に過ごしていることにしたい。それほど「死」は強烈にショッキングだ。やはりこれを受容するには、真っ当に歳を取り少しずつ機能を失っていくような死に方をせめてすべきで、自殺や事故のような唐突な「死」だと残された者に与える穴が大きすぎる。
    尊大なようで、一瞬の宇宙の塵にも満たないような人生。深く考えすぎず良い自分も悪い自分も受け入れてシンプルに生きていけたら楽なのだがなかなかそうもいかない。
    分人については「私とは何か」を先に読んでいたのですぐに理解できた。

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    2026年01月06日
  • 文学は何の役に立つのか?

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    創作活動と並行して積み重ねた講演、批評、随筆をまとめたもの。
    文学は、声にならない違和感、説明できない痛み、うまく言えない孤独。そういうものを、
無理に整理せず、そのまま差し出す。
    平野啓一郎氏が
    読んでると、どんな文学に影響を受け、どんな作家を座標軸にしているのかがわかる。
    
流行や話題性ではなく、
人間の内面・倫理・孤独・分断・時間を
粘り強く掘り下げてきた作家たち。
    だからこの本は、
文学論であると同時に、
平野啓一郎という作家の精神史みたいにも読める。
    文学は役に立つか、ではなく
自分はどんな文学を必要としてきたか。
    と言う感じ?

    関係ないけど、
    最近「瀬戸内寂聴」というワードが出てくる・・・多作だからまようけど読んでみようかな

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    2026年01月02日
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践

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    2026年1冊目はこちらの本。何気なく買ったものの積読されていた本。読み始めたらあっという間に読み終わってしまった…面白い…

    まず速読というものについて、痛烈な批判が展開されるのがなんとも面白い、まったく容赦がない。速読というものに憧れたことも取り組んでみたことは無し、逆にいうと特に悪いイメージもなかったけど、この本で完全に否定派になりました笑 速読本が最終的には自己啓発と結びついており、未知なる自分を解放していく的な文脈で語られている、というのは大変面白いなと思った。

    第2部、魅力的な誤読、そもそもこの捉え方がもう面白い。そうか、誤読って別に悪いことじゃ無いんだ。余地が残された点について、読者は独自の解釈や想像をしていいし、それが醍醐味なんだなと改めて。先へ先へじゃなくてより深くへ。

    第3部、実際の作品の一節を紹介しながら具体的にどのように読んでいくといいのか、の超実践的な部分。あるようでなかったというか、ここまで小説の文章そのものを題材にじっくり読み解いていく本ってあまり無いのでは?読む上でのコツを感覚で掴めるのと同時に、それぞれの作品についても読んでみたいと思えるというお得感。

    改めて、漫然と読んでいることが多いなあと実感。作者の意図や伝えたいものを読み取りながら読む癖をつけていきたいです。

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    2026年01月02日