平野啓一郎のレビュー一覧
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久しぶりにしっかり長編の小説を読みたいと思い、平野さんの小説に手を伸ばしました。
感想として、本腰を入れてじっくり楽しめる一冊でした。舞台は今の日本から近すぎず遠すぎずの未来で、今の日本よりさらに少人化が進んだ社会です。自由死という自分で死の時期を、「仕事の退職」のように自由に選択できるという権利が現実になっており、大きなテーマとなっています。
更に、貧困層と富裕層の二極化が進み、貧困層は仮想空間を心の拠りどころとしている描写がありました。プラットフォームに近い人間、例えばデザイナーや運営会社には多大な富をもたらしているのは今の社会と一致している部分も多くあると感じ、物語の社会もスッと入っ -
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ネタバレ本心なんて自分以外の人間全てわからなくて当たり前だ。メンタリストだって実際には本心を読んでいるのではなく統計から考察した予想でしかない。自分の理想がありそれに合致した答えじゃないと納得しない。幼稚だ。顔を合わせれば、目線で、仕草で、そういったものも想像でしかないだろう。こう思ってましたか?の質問に対して、はいそうです。が嘘ではない証拠は?どういう意図であれ、口から発された言葉は口にした者の責任のもと、発されている。騙し合いの場なら疑うのも無理ないが、日常生活内の真面目な話だ。嘘を言ったとしても嘘をつく理由があって嘘を真実と思わせたいから嘘を言うのだ。その言葉を自分が受け取るか受け取らないか、で
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本書は『本の読み方スロー・リーディングの実践』の続編であり実線偏であります。現代の純文学、ミステリーさらにはケータイ小説も含めた計九作品を題材に、予備校の授業のようなイメージで解説してくれます。
本書は芥川賞作家・平野啓一郎氏による読書論・第2弾です。個人的には『本の読み方スロー・リーディングの実践』の小説版であると捕らえております。
この記事を読むために何回か再読しましたが、読みながらイメージしたことは丁度、予備校の現代文の授業風景で、平野氏が黒板で講師をする映像が頭に浮かび、もしかしたら平野氏は小説家としてだけではなく、予備校講師の道を選んだとしても、人並み以上の成功を手にしてい -
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本書は作家・平野啓一郎氏が提唱する「スロー・リーディング」を解説したものです。夏目漱石『こころ』や三島由紀夫『金閣寺』から自作の『葬送』まで、古今の名作を題材に実践的な手法の数々を 教えてくれます。
この記事を書くために先ほど何度目かの再読をいたしました。本書は作家・平野啓一郎氏による「本の読み方」をいわばマンツーマンで指導してくれるといった趣旨のもので、3回ほど再読すると味の出るつくりになっております。
作中で平野氏が「もっと早く本が読めるといいんだけどなぁ」と嘆きつつ、先輩の作家に「自分は本を読むのが遅いんですが、どうすればいいのでしょうか?」と尋ね、「実は自分もなんだ」と回答を -
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いや〜ゴールイン!
第一部でも書いたけれど、難解な芸術論…は苦戦。
ただ、第二部はショパンの最期があり、彼を取り巻く人々の群像劇もあり…一気に読んだけれど、読後は魂が抜けたような、でも、壮大な時代を共に駆け抜けたような…そんな脱力感もありつつ、平野さんの力量を改めて実感した体験でした。
政変があり、伝染病があり…混乱する何か大きな出来事の中では芸術は…芸術家というものは…やはり影響をダイレクトに受けるものなのですね。。。
生きるか死ぬかと言う時に、絵画や音楽や文学なんて「不要不急」と云われた、コロナ禍を思い出し、なんだ何も変わってやしないじゃないか…と感じました。
ただ、だからそれらが -
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ネタバレなんだかずっと歴史の転換点にいるという話を聞くような気もするけれどー歴史的には、その「期間」が転換「点」とされるのか…
大澤真幸さんと平野啓一郎さんのお二方は、これまでも対談を重ねてこられていたそうで、
この本に収録されているのは、2020年~2022年に4度行われた対談。
1. 平成の天皇が退位を宣言した後の2019年1月
2. コロナ禍の2020年8月
3. コロナ禍の2021年3月
4. ロシアのウクライナ侵攻後の2022年4月
あとがきでは、
_諸々の大問題を直視するならば、未来予測はどうしても悲観的になりがちだが、私が大澤さんと一致しているのは、反シニシズムであり、また、自 -
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最近読書の勢いが増していたが、速く読むことを意識し過ぎているのではないかと自省し、本書を手に取ってみた。面白かった小説などは内容が映像として頭に残っているが、ふむふむと納得しながら読んでいると思っていた新書などは思い出せないものが多い。そんな中で「著者が長年書いたものを短時間に、ましてや速読法などで理解するのはおこがましい」というメッセージは心に突き刺さりました...
後半は古典作品から抜粋した文章を用いて本の読み方を説明していたが、自分が興味のあるところだけを読みました。本棚に残しておきたい本ではあるので、また気になったタイミングで読破したい。 -
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若林さんは不思議な人だ。
めっちゃ自意識過剰で自己防衛本能が強くて、見栄っ張りでカッコつけ。本音は言わない。
だけどスッと人の懐に入ってくる可愛げもあるんだなぁ。
この本では、若林さんのそんな部分が遺憾無く発揮されていて、終始ほっこり見守る気持ちで読むことができる。
人が死ぬ本ばっかり読んでたアタマが癒される〜。
私が好きなのは、羽田圭介さん&藤沢周さんの回。
この回は、若林さんが話すボリュームも多くて、羽田さん、藤沢さんとの相性の良さを感じる。話してることもほどよくカタくて、良い意味で、男同士っぽい感じ。小気味よくてずっと読んでたい。一冊丸ごとコレでもいいなぁ。
あとは角田光代さん