平野啓一郎のレビュー一覧

  • 死刑について
    著者の意見に概ね賛成。
    死刑制度の何が一番問題かというと、被害者救済を何もしていないことの隠れ蓑になっているということ。
    以前、報道で見たが、自宅で家族を殺された人が、その自宅に住むことはできず、しかし売れないので、ローンは払い続け、その上に賃貸で暮らす生活費がかかると嘆いていた。精神的にも経済的に...続きを読む
  • 空白を満たしなさい(下)
    表紙のゴッホの意味が分かった辺りからは夢中で読んだ。
    生きることと死ぬこと。遺していく人と遺される人。分人の話はかなり納得した。誰しも自分が出会う人に影響を受けてる。
    ドラマも楽しみだ。
  • 高瀬川
    とにかく実験精神に溢れた挑戦的な文学。
    最初の掌編は記憶と流水のイメージを重ね合わせる。屁理屈っぽさすらあり読むのが少し苦しいが、ここで語られていることが後の3作のモチーフになるため、よく読むと読後感が変わる。
    「高瀬川」は性交のための一夜の営みがクールっぽく描かれるも、何度か挟まれるダサい描写が印...続きを読む
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践(PHP文庫)
    【読もうと思った理由】
    最近、一度読むだけだと難解で理解しにくい本を徐々に読むようになり、「もっと読解力があったらなぁ」と思うことが多くなっていた。そんな折、この本とたまたま出会い読むに至る。

    【読後の感想】
    プロの作家の方は、「ここまで考えて本を読んでいるのか」と脱帽し、恐れ入った。

    (以下、...続きを読む
  • マチネの終わりに
    切ないもどかしい大人の恋愛。

    映画を観た後に原作を読むのは、通常とは逆の順番だ。
    石田ゆり子と福山雅治が原作と合致し、読みながら映像が目に浮かぶ。
    もう一度映画を観て、本を読み直したいと思った。
    主要参考文献の冊数多いことも理由である。
  • ドーン
    分人主義の話。

    最近読んだ転職自己啓発本で、株式会社自分という概念があったんだけど、それと似ている。株式会社自分の中には、家族事業部やお仕事事業部、音楽事業部などがある。一個の事業が上手くいかなくなっても大丈夫なように、いろいろな事業部を抱えている方がリスク分散になって安心だなと、この本を読んだ時...続きを読む
  • 空白を満たしなさい(下)
    復生いいなと思ったけど、また消滅してしまうのは2回悲しみが来るようで余計につらそう…。
    タイトルの意図はなるほどと思った。
    あとは分人の考え方が非常に興味深かった。
    この本を読んで、生の儚さの方がより強く感じてしまい、もう少し有意義に生きなければという気になった。
    結局、佐伯は徹生の父親だったのか?...続きを読む
  • かたちだけの愛
    読みやすい恋愛小説。
    最後の愛についての考察、わたしもそうなのではないかと最近考えていた。
    自分のままでいられ、くつろげる、自分を含めたその空間と時間もまるごと好きでいられる。
    そうできる相手に出会い、同じでいられることは紛れもなく幸せだと思う。
  • 空白を満たしなさい(上)
    死んだはずなのに3年ぶりに生き返った徹生。しかしその死因は「自殺」。愛する妻と子供を置いて本当に自殺していたのか。

    上巻読んで、続きがめちゃめちゃ気になる…
    徹生は果たして自殺なのか殺されたのか。殺されたのなら誰が犯人なのか気になるし、怪しい人々も。
  • マチネの終わりに
    大人な作品でした。読み応えは凄い。
    様々なすれ違いにより人生は変わる、それもまた運命って事なんだろうけれど、ちょっと残酷だったなぁ。
    こんな大恋愛はした事無いし出来ないのだろうけれど、愛とか恋とかって強がってしまって結局後悔するんですよね。
  • ご本、出しときますね?
    オードリー・若林正恭と作家二名との鼎談13回分が収められた本。テレビ番組で放映されていたことは知らなかったが、とても面白く読めた。作品からは分からない作家の素顔が知られて良かった。「○○にオススメの一冊」のなかで、『シェア』、『変愛小説集』、『ライン』を読んでみたいと思った。
  • 小説の読み方
     「小説読んだら深い感想を書けるようになりたい」そんな思いで本書を手に取った。本の読み方に関する本はたくさんあるが、小説の読み方に特化した本は少ないので貴重。また著者が現役の小説家なので説得力がある。

     本書の重要キーワードでもある「四つの質問(メカニズム、発達、機能、進化)」が目から鱗だった。こ...続きを読む
  • 死刑について
    友人から薦められて。平野啓一郎の本だとしても自分では手に取らなかったかもしれません。自分からは積極的に関わりたくないテーマ。でも、それこそが本書で言う〈三人称の死〉としてでしか死刑を見ていないことなんだと思います。昨年11月に「法務大臣は死刑のはんこを押したときだけニュースになる地味な役職だ」と発言...続きを読む
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ
    私という個人を分人というものに分けて考えて生きるという、今までにない人間観を与えてくれた本。人と向き合うときに悩む自分、例えば自分以外の相手同士の人間関係、自分と相手との人間関係におけるウエイトの考え方を持つことでその相手との付き合い方にシンプルな考え方を持つことができ、悩みの解消につながるかもしれ...続きを読む
  • 死刑について
    難しいテーマかつ、難しい内容。死刑制度を賛成か反対かの択一では議論し尽くせないことがよく分かる。世界、取り分け欧州での考え方の中枢、巻末の一覧は日本の特異さの一端を表すよう。
  • マチネの終わりに
    それそれ別の人と結婚しても、互いに想い続ける。大人の恋愛って、若い頃のそれより、よほど情熱的なんだ。
  • 平野啓一郎「分人」シリーズ合本版:『空白を満たしなさい』『ドーン』『私とは何か―「個人」から「分人」へ』
    「個人individual」という単語は否定語inと「分ける」というdividualでできていて、「(もうこれ以上)分けられない」という意味なのだそう。ひと(人格)はこれ以上分けられないのかというと、そうではなくて、対応する相手や場面によりすこしずつ違った人格が生じていて、しかしそれは何も多重人格と...続きを読む
  • 小説の読み方
    「機能」というのは、ある小説が、作者と読者との間で持つ意味である。人間の優しさを伝えたいと作者が意図し、読者がそのように作品を受け止める。あるいは、自分を理解してもらいたいと思って小説を書き、読者がそれを読んで、少しだけ作者のことが分かったような気になる。現代社会の複雑さが映し出す。人間の心の暗黒面...続きを読む
  • 空白を満たしなさい(下)
    まずあまりに突飛な設定に戸惑ったが、小説としての面白さは抜群です。
    死んだ人間がいつの間にがこの社会に戻って普通に暮らし始める。しかしなぜ自分が死ぬ羽目になったのか?家族との絆はどうだったのか?
    主人公は生前のことを思い出しながら反省をしながら家族と生きる決心をする。
    しかし….ということです。
    ...続きを読む
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践(PHP文庫)
    速く、一冊でも多く本を読みたいと思っていたが、自分がこれだ、と思った本をじっくりゆっくり読んでみたくなった。