平野啓一郎のレビュー一覧
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「分人主義」という他者に対する「個人」という見方ではなく、いろんな他者と相対するときの複数の人格を自分と捉える考え方がベースにあって、そのベースの中で、「自由」「幸福」「テクノロジーの進化」「本当の自分」などのテーマをさまざまな専門家と対談しながら、書かれていた。
分人主義という考えが非常にしっくりきて、心理学的には「自立」の考え方と似てると思った。「自立」は1人でなんでもできることではなく、様々な組織、コミュニティーに属することで依存先を増やすこと。そうやって、自分を見つけることが「自立」と言われたりしてる。
「分人」や「自立」は全然違う表現だけど、複数の他者から見た自分という観点が全く同 -
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ネタバレ天才クラシックギタリストの蒔野聡史と国際ジャーナリストの小峰洋子。40代の2人のささやかな邂逅と深い愛情、そしてそれを引き裂く消失点。出会いから別れ、そして最後の再会までを重厚な世界観で描き、それに随分と浸ることができた作品だった。
作品の中で印象的な、過去は変えられない、しかし未来は常に過去を変えているのだという考えにひどく共感した。過去の事実は変えられないが、未来の出来事によって捉え方を変えることはできる。2人の愛やそれぞれの家族のこと、過去はさまざまな形でのしかかっているが、その先にある未来によって、今までの過去への思いが変わり、変化をもたらしてくれる。最後のシーンでは、そんな希望を抱 -
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ネタバレ最近、自分でも本の読み方にスピードを求めず、ゆっくり、じっくり読むことを心掛けている。丁寧に本を読み終えることで、読書により得られるものが濃厚になってきたように感じる。そのことを確かめたいという目的もかねて、本書を読んでみた。
”「スロー・リーディング」とは、差がつく読書術である。その「差」とは、速さや量ではなく、質である。”とあり、これの事だな思った。確かに著者が言われるように、試験勉強や、期限に間に合わせるために論文を仕上げるというような目的でもなければ、本を速く読まなければならない理由など何もない(笑)。
”「速読」は明日の為の読書、「スロー・リーディング」は、5年後、10年後の為の -
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上下巻を一気に読んだので疲労感と謎の涙。
黄泉がえりという映画が昔あったなぁ。
死者がやり残したことをやるというファンタジー感と、誰が犯人なのか?というサスペンスミステリー感がありつつも、テーマは「死」そのもの。残された人の空白や、残してしまう人への焦燥感、一瞬の死際の印象でそれまでの「生」が塗り変わってしまう影響力、自殺、分人の概念など、さまざまな角度から「死」を照らしている。
「死」は暗闇、消滅といったイメージもある一方、佐伯のいうように、義務からの解放という救いの側面もあるように思う。
「死」という事実やそれまでの過程を知ってしまうと思い出すたびに胸が苦しくなるので、いっそのことなにも知 -
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創作活動と並行して積み重ねた講演、批評、随筆をまとめたもの。
文学は、声にならない違和感、説明できない痛み、うまく言えない孤独。そういうものを、 無理に整理せず、そのまま差し出す。
平野啓一郎氏が
読んでると、どんな文学に影響を受け、どんな作家を座標軸にしているのかがわかる。
流行や話題性ではなく、 人間の内面・倫理・孤独・分断・時間を 粘り強く掘り下げてきた作家たち。
だからこの本は、 文学論であると同時に、 平野啓一郎という作家の精神史みたいにも読める。
文学は役に立つか、ではなく 自分はどんな文学を必要としてきたか。
と言う感じ?
関係ないけど、
最近「瀬戸内寂聴」というワードが出て -
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2026年1冊目はこちらの本。何気なく買ったものの積読されていた本。読み始めたらあっという間に読み終わってしまった…面白い…
まず速読というものについて、痛烈な批判が展開されるのがなんとも面白い、まったく容赦がない。速読というものに憧れたことも取り組んでみたことは無し、逆にいうと特に悪いイメージもなかったけど、この本で完全に否定派になりました笑 速読本が最終的には自己啓発と結びついており、未知なる自分を解放していく的な文脈で語られている、というのは大変面白いなと思った。
第2部、魅力的な誤読、そもそもこの捉え方がもう面白い。そうか、誤読って別に悪いことじゃ無いんだ。余地が残された点について -
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芥川賞受賞作家による死刑廃止論。
講演の内容ベースだから読みやすい。
なぜ死刑廃止論の立場に至ったか、日本での死刑存置論の問題点はどこか。単なる冤罪のおそれを超えて、日本の立法、行政、行政、さらに人権教育の不完全さにまで及ぶ、考え抜かれた廃止論が展開される。
死刑に賛成し存置を唱えることは、被害者遺族への真の思いやりではない、というのは重要だと思う。
「憎しみ」の連帯ではなく、「優しさ」を持つ国へ、という主張は、死刑に限らず、昨今の日本の抱える分断・対立全般に当てはまる。著者の小説のファンにも是非読んでもらいたい。
それにしても、某有名大学で名誉教授の憲法学者は、死刑に当た