平野啓一郎のレビュー一覧
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2040年、今から15年後の近未来。
アナログな私にとって、物語の始めは世の中の移り変わりに置いていかれそうでなかなか先に進めませんでした。
それでも読む進めていくうちに、世が変わっても人間にとっては避けられない「死」について正面から対峙する作者の信念のようなものに引き込まれていきました。
身近な人の「死」という喪失、そして自分が「生きていくこと」の意味。
わかっていてもどこかで無意識に避けているこの永遠のテーマが、読み終わって自分の心のどこかに根付いたような気がします。
それぞれの登場人物が向き合っている、日々の生活、生きていくこと。
重く心にのしかかる場面もあったけれど、どの人の人生もその -
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全体のテーマ
『本心』は、テクノロジーが人間の記憶や死後の存在までも再現できるようになった社会で、「愛」「自己」「他者とのつながり」が何によって成り立つのかを問う物語
・「愛は、今日のその、既に違ってしまっている存在を、昨日のそれと同一視して持続する。」
…愛とは変化し続ける他者を「同じ存在」と見なす行為であることを示す。
相手が変わっても、それでも愛そうとする「鈍感さ」「誤解」「強さ」のいずれかによって、愛は続く一方で、「今日の愛もまた昨日とは違い、明日には消えてしまうかもしれない」という、愛は永遠ではないが、だからこそ尊いのだという哲学的命題。
・「どの自分として死を迎えるか」という -
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【文学は何の役に立つのか?】 平野 啓一郎 著
いつも疑問に思うことがタイトルになっていたので読んでみました。本書は、著者の講演などをまとめたもので、表題については冒頭の35ページとなっています。著者も「答えるのに苦慮する問い」とのことですが、「一つの理由」を見つけたとあります。ネタバレはまずいと思いますが、この理由やその後の論考などは同意するところ大でした。
平野氏の著作は好きでほとんど読んでいますが、本書のほかの論考を読むと、自分と幼少期の経験が似ていることがわかりました。また、文章もきらきらと美しいのですが、三島由紀夫に留まらず、ハイデガー、大江健三郎など多数の文学・芸術に接して -
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平野啓一郎はジャンルがないと言われるけれど、私にとってはやっぱり平野作品にしかない特徴があると思う。文体の滑らかさも含めて。
出てくる人物の思考が、紡がれる描写の端々から伺えて、人格を持った存在として認識させられる。当たり前だけれど、悪人や善人で人を切り分けない。だからなのか、物語が終わると置いてけぼりにさせられた気持ちになる。あまりにも人々がリアルすぎて、この人たちのその後の人生があることを前提のように捉えてしまって、私にはもうその人生を垣間見させてくれる権利が無くなったような。そんな心持ちになる。
分人思考というが作家の思想に深くあるのだと思うけれど、そこが本作品に組み込まれたことで、それ -
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平野啓一郎はジャンルがないと言われるけれど、私にとってはやっぱり平野作品にしかない特徴があると思う。文体の滑らかさも含めて。
出てくる人物の思考が、紡がれる描写の端々から伺えて、人格を持った存在として認識させられる。当たり前だけれど、悪人や善人で人を切り分けない。だからなのか、物語が終わると置いてけぼりにさせられた気持ちになる。あまりにも人々がリアルすぎて、この人たちのその後の人生があることを前提のように捉えてしまって、私にはもうその人生を垣間見させてくれる権利が無くなったような。そんな心持ちになる。
分人思考というが作家の思想に深くあるのだと思うけれど、そこが本作品に組み込まれたことで、それ -
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ついに終わりがやってきてしまいました
イギリスで体調を崩して
やっとパリに戻ったショパン
自分の死期を少しずつ受け入れて
言葉を残していく
どうしても会いたい人がいた
母親、そしてサンド
どちらも叶うことはなかった
ショパンの人生ははたして
輝かしいものだったのか?
少なくとも亡くなる前のこの3年間は
苦悩ばかり
天才ゆえに受け入れられない
ことがある
天才ゆえに思い通りに
生きられないことがある
ドラクロワとて同じ
同じような苦悩を抱えながら
不器用に生きていくことに
必死で
ショパンの死を受け入れることが
できなかった
ショパンのそばで寄り添うことが
できなかった
毎日会わなくても
心 -
Posted by ブクログ
ショパンが演奏会をするらしい!
パリの社交界は噂で賑わった
『ピアノの周りに集まった親しい友人の胸の奥に巣食う本人すらも定かには知らない秘密にそっと触れ、彼らの無言の告白を自然に引き出してやるような演奏』
を好んでいたショパンがなぜ?
それはショパンをどうしても元気づけたく、
そして、収入を得た上で、また作曲に没頭できるようにとの仲間たちの愛だった
誰一人としてショパンをほっておくことは
できなかったのでしょう
演奏会の一週間後3月革命が勃発
かつての愛人サンドの活躍や訳のわからない
世間から逃れるようにショパンは
イギリスに移る
スターリング嬢の思惑通りイギリス、スコットランドで演奏や、