平野啓一郎のレビュー一覧
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すれ違いと運命
面白かった。未来が変わることで過去が変わる。過去も変えることができる。
抜粋
「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」
洋子は、長い黒い髪を首の辺りで押さえながら、何度も頷いて話を聴いていた。
「今のこの瞬間も例外じゃないのね。未来から振り返れば、それくらい繊細で、感じやすいもの。
....・生きていく上で、どうなのかしらね、でも、その考えは?少し怖い気もする。楽しい夜だから。いつまでもこのままであればいいのに。 -
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私自身、属するコミュニティによって無意識にキャラクターが変わることは、以前から自覚していた。
ただ、その変化のなかで「他者の存在」をそこまで意識したことはなかった。ここでいう分人とは、「相手との反復的なコミュニケーションを通じて、自分の中に形成されていくパターンとしての人格」だという。
個性とは分人の構成比率である。そう考えると、「自身の理想の個性を保つためには、付き合う人を選ぶことが重要だ」という考えが、腑に落ちた。
特に印象に残ったのは、愛についての記述。愛する相手とは、その人に向き合うことで生まれる“自分の分人”を、好きでいさせてくれる存在なのだという。
「一緒にいて楽しい人を選びな -
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ネタバレ大好きな「本心」のご本人解説目当てで読んだ。
何作かの小説を解説する実践編が面白くて、特にミルチャ・エリアーデの「若さなき若さ」の、なりたかった自分となり得たかもしれない自分に一斉に見舞われることによるアイデンティティの動揺というのが印象に残った。「作品を書かなかったゲーテ」というパワーワードを解説のおかげで理解できて楽しかった。
◼️小説を飲むときのアプローチ「四つの質問」
①メカニズム:話を動かしている仕組み
②発達:作者の人生の中のタイミングや変化の過程
③機能:作者と読者の間で持つ意味⇒単純化したものがジャンル分け
④進化:社会や時代の雰囲気から受けた影響
◼️小説は小さな矢印(主 -
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分人とは、例えば学校の中のあなたと家庭内のあなたの人格、ネットの中全然違うよね。
キャラとか人によってあなたは変容している。
でも、顔はひとつしかない。
個性だとか自分らしくとか言うけど、違うのが普通だし分人が多ければ多いほど、あなたと人との関係は柔らかくコミュニーションがとれている。
嫌なことがあっても、それはその人と分人の自分が合わなかっただけで、自分は愛されなかった人間だと本質規定してしまってはならない。
引きこもりなどの閉鎖的な環境は、過去の分人しか生きられないので苦しくなる。
色んな人と出会い複数の分人がいるからこそ、幸せな自分に出会うことが出来る。
分人のレベルで見ると、愛とはその -
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生成AIに対して、今後自分の読むべき作品について聞いたところ、本書の作者である平野啓一郎氏の作品が挙がったので、著者の思想の根底が「分人思想」であるということに興味を抱き購入。
著者は哲学者ではないものの、「個人」の概念を改めて問い直し、独自の「分人」思想を実体験も交えて展開する。
「個人」というのは唯一の人格なのか?「本当の自分」という確固たる自我は存在するのか?という、普段何気なく使っている言葉に対して疑問を呈し考察する姿勢は、哲学的アプローチであるといえる。
「個人」はindividualの訳とされるが、これは"もうこれ以上分割不可能なもの"という意味が込められて -
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ネタバレ現代より進んだ世界を題材にしており、AIやVF(ヴァーチャルフィギュア)と呼ばれるような技術は進歩している一方、格差は拡大し、生きることを負担に感じる人もいる、そんな中で出てくる「自由死」という概念について問う一作だった。
病などでもう助からない命に対する死の選択と、貧しい生活を強いられ、子供や周りへの負担を考えて半ば強制的な死の選択では大きく異なる。しかし、主に後者の境遇にいる者は、そこから抜け出すためにできることが少ないというジレンマを、自由死を願った母を持つ朔也と、彩花、岸谷、そしてイフィーという違った境遇にある者たちのやり取りからひしひしと感じた。この答えのない未来の問いに、これからの -
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私は死刑廃止派
死刑について深く考えるために読む。
在置派だった筆者による考察・論調は自分では到達出来ないような視点を提示してくれる。
法のもとに人を殺すことが可能な国は…人権を軽視しているようで嫌だし、殺人をしてはいけないけれど死刑による殺人はOK(やむを得ない)というのは、人間が命に優劣をつけているとも取れる。
同じ命あるものに、同じ人間の自分が優劣を決める可笑しさ、悲しさ、、不思議に思うけれど、自分が判断・手を下す訳じゃないから、他人事なのかな?廃止は理想なのかな?
なんて自分の考えに固執しないよう、在置派の考え・論理をこれからも知っていきたい。
まずは、考えるきっかけに良本だと思う。 -
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「分人主義」という他者に対する「個人」という見方ではなく、いろんな他者と相対するときの複数の人格を自分と捉える考え方がベースにあって、そのベースの中で、「自由」「幸福」「テクノロジーの進化」「本当の自分」などのテーマをさまざまな専門家と対談しながら、書かれていた。
分人主義という考えが非常にしっくりきて、心理学的には「自立」の考え方と似てると思った。「自立」は1人でなんでもできることではなく、様々な組織、コミュニティーに属することで依存先を増やすこと。そうやって、自分を見つけることが「自立」と言われたりしてる。
「分人」や「自立」は全然違う表現だけど、複数の他者から見た自分という観点が全く同