平野啓一郎のレビュー一覧

  • 文学は何の役に立つのか?

    Posted by ブクログ

    本書の表題となった講演録を含む、主に文学・芸術論について語られたエッセイ・批評集成。

    文学は何の「役に立つ」のか?
    著者は、「〇〇は何の「役に立つ」の?という問い自体に不思議さがあることを指摘し、役に立つかどうかは幾つかある価値のうちの一つでしかない」とした上で論を進めています。ズバリ最初に語られたその回答は、「だから自分は本を読んでいるのだろうか」と、自分の読書習慣を肯定されたような気持ちになりました(あまり文学は読んでませんが)。

    自分はいつから役に立つかどうかだけで物事を判断するようになったのだろう、と過去を振り返ってみた。そして、自分もその価値観だけで他人の行動や判断に対して制限を

    0
    2025年12月10日
  • 空白を満たしなさい(下)

    Posted by ブクログ

    起承転結が明白なスリリングなお話ではなく、もっと哲学的な内容だった。作者の平野さんは、「主人公の自殺」という極端な例を用いて、「分人主義」という思想を提唱している。
    分人主義とは、個人主義とは違い、対人ごと、環境ごとにいろいろな自分になり、鎧をかぶった「本当の自分」を認めないという考え方だそう。
    作者の平野さんがこの分人主義を使って願っていることは意外とシンプルで、ただ生きてほしい、己の人生を全うしてほしい、それだけじゃないかなと思う。
    物語だからこの主人公は空白を満たすために戻ってきた。でもこれは物語だから。現実世界に生きて、今どこかで思い悩んでいる人にもしもがあれば、もう二度と空白は満たせ

    0
    2025年12月08日
  • マチネの終わりに

    Posted by ブクログ

    愛は運命的なものか?
    それとも選択によって形成されるものか?
    作為的に変えられるものなのか?

    読んで初めて、
    映画では削ぎ落とされた微細な感情や思想が、
    どれほど物語の核だったのかがわかった。
    平野さん、駄作だと思ってました。ごめんなさい。

    0
    2025年12月31日
  • 高瀬川

    Posted by ブクログ

    清水
    人の生死の一部始終は、清水の水滴が落ちるその一瞬なのかもしれない。滴り落ちる水滴の音は希死念慮だったのか…。

    高瀬川
    官能的な時間は、その後の出来事や明かされる過去によって、こうも印象が変わってしまうのか、と感じた。一度読んで感じた気持ちはもう戻ってこないと思い知らされます。

    追憶
    「複雑なことを複雑に考えている人にとっての追憶とはこうなのか?」と思う新たな読者体験。
    伝えたい内容の難解さを前に、言葉の定義を自分は果たしてしっかりと理解できているだろうかと自問させられた。

    氷塊
    氷は2人にとって何を意味していたのだろう。溶けることは…
    描かれなかった物語の背景ー氷山の下では、氷に触

    0
    2025年12月07日
  • マチネの終わりに

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    何度読んでも2人が結ばれなかったのが惜しく感じてしまいます( ᐪ ᐪ ) 後半にかけて止まらなくなる。かっこいい洋子さんが大好き

    0
    2025年12月02日
  • 文学は何の役に立つのか?

    Posted by ブクログ

    「役にたつ」ではなく「価値がある」と言い換えたい。

    絵画については知識がなさすぎて言っている内容が理解できなかった。

    0
    2025年11月27日
  • マチネの終わりに

    Posted by ブクログ

    かなり良かった。過去は変えられるというキーワード。お互いがお互いを同じ尺度で理解し合える、ということの強い引力。外的要因での嘘みたいなすれ違いは後半ずっと苦しい。大人であることの難しさを感じた。

    0
    2025年11月25日
  • 空白を満たしなさい(下)

    Posted by ブクログ

    人の死について考えさせられる作品でした。

    大切な人に先立たれ、この世に置いてかれた人たちは、その、ぽっかりと空いた「空白」をその大切な人との記憶や記録などで満たそうとする。
    それは故人を、ある意味「理想化」することでもあり、はたして正しかったとは限らない。
    しかし、そうでもしないと「空白」を満たせずに壊れてしまうから。

    「分人」という考え方に納得しました。
    (「分人」とは他人と関わっている自分の部分的一面のようなこと。)
    自分もこれに思い当たる節があり、裏表を使い分けているってよりかは、あの人といると自然とこういう態度をとるなぁってことがありました。
    完璧主義な自分でもあるので、自己否定し

    0
    2025年11月24日
  • 文学は何の役に立つのか?

    Posted by ブクログ

    文章を添削する立場になって手に取った本。
    思ってたんと違う、って思ったのに、思った以上に面白くて全部読んでしまった。
    瀬戸内寂聴とドストエフスキーついて知りたくなった。

    役に立つことと価値がある事は違う。
    人間は役に立つかどうかは関係無く、存在そのものに価値がある。憲法で謳っている。
    主人公への共感から多くを得る。

    0
    2025年12月22日
  • 空白を満たしなさい(上)

    Posted by ブクログ

    自分はすでに死んでいる!?
    主人公は、復生者として蘇った死者。
    死ぬ直前の記憶がなく、妻と子供と幸せな家庭を築いていたはずなのに、自殺したと非難されていた。
    自殺などするはずがない…。
    死の間際には一体何があったのか、真実に迫る作品。
    読んでいると、真実は一体何なのか、頭が混乱します笑
    下も続けて読みます。

    0
    2025年11月20日
  • 空白を満たしなさい(下)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「死」について深く考えさせられた作品。特に自殺について。自殺をしてしまう人の考えは、もちろん死者に聞くことができないのであくまで推測の話になると思うが、自分自身を消してしまいたくなるほどに追い込まれていると死のうとしていなくてもそういう行動となってしまうという作者の考えに深く考えさせられ印象に残った。最後の終わり方も読者にその後を託すような感じのため想像力を掻き立てられた。読後の口コミや評価などをみて読者それぞれの解釈、ストーリーがあって見ていて楽しい。

    0
    2025年11月16日
  • 文学は何の役に立つのか?

    Posted by ブクログ

    いろんな雑誌に著者が書いたエッセイを中心にまとめた本。わかりやすい。
    平野氏はなんとなく敬遠していた作家だった。デビュー作の『日蝕』を読んだのもほんの数年前。ところがやはり同じころ、私は死刑について考えたくなっていて、たまたま書店で平野氏の『死刑について』を見つけ買って読んでみたところ、見事にはまった。文章の運び、思考の流れが滑らかで素直に頷けた。
    ちょうど同じころに東京新聞で「本心」の連載が始まり、毎日欠かさず読んだ。読ませる面白さがあった。
    そんなこんなで作家平野啓一郎の書くものが好きになった。
    そしてこの本。文学をどう捉えるか考える上で私にとってよい導き手になった。

    0
    2025年11月09日
  • 小説の読み方

    Posted by ブクログ

    本書は、文字通り小説の読み方を解説した作品。国語の教科書的な印象を受けつつ、小説ってそうやって読むんだという新鮮な気づきがあった。主語について、情報を追加していく文章と、物語のプロットを進めていく文章とに分かれるという視点だけでも、今後結構読み方が変わりそう。

    0
    2025年11月08日
  • マチネの終わりに

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    やっぱり平野啓一郎さんの聡明で堅実な文章が好きだ。
    マチネの終わりに私も一緒に泣いてしまった。あくまでも賢い大人である二人の純愛が尊い。
    蒔野と洋子、それにリチャードや早苗や武田もそれぞれ違う価値観をもった深い人間味があって、今もそれぞれの人生を歩んでいる気がするから平野さんはすごい。現実にモデルがいるのだろうか。
    冷たいと評されていたけれも、大切な家族リチャードに対してもあくまで客観的に評価して真っ直ぐであり続ける洋子の強さに感銘を受けた。真似しようとしてもできないよ。

    0
    2025年11月05日
  • 決壊(下)

    Posted by ブクログ

    非常に陰惨。殺人描写だけではなくて、犯罪被害者や加害者家族を取り巻く状況が全てグロテスクに感じた。
    著者は本当に現代の日本社会のありようを、ものすごくシビアにみていて、その通りに写し込んである。
    読むのが辛くなるような展開なうえに救いがない。
    崇を誰も救えない、その状況がまた居た堪れない。

    特にリアルに感じたのは、義理の妹の態度だ。
    自分の言葉によって崇を冤罪一歩手前に追い込んだのにも関わらず、自責の念はあまり感じられない。
    他に犯人が見つかっても、心の中ではまだどこかで疑っているようで、子どもが抱き抱えられたとき、明らかに触ってほしくない、と思っているように描写されていた。

    一度疑われて

    0
    2025年11月03日
  • マチネの終わりに

    Posted by ブクログ

    「赦す」って難しい。負の感情を理性で納得させるのは難しい。
    アーレントの「赦しは、過去を消すことではなく、過去に対する自由を与えることである。」はこの作品にはまる言葉だと思う。

    0
    2025年11月01日
  • 本心

    Posted by ブクログ

    リアルアバターとして働く主人公が、自由死を望むも息子である主人公に反対されながら事故死してしまった母のバーチャル・フィギュアを創り、コミュニケーションを取り自由死を望んだ真相を確かめようとする過程を軸に、格差社会を通奏低音としLGBT的な要素も織り交ぜながら、その中で出会う人々との触れ合いや出来事を通して、新たな自立した自分を見つけて行く物語。
    AI、格差、自由死等の社会問題に対する問題意識を近未来を舞台にちょうど良いテイストで描いているのが秀逸。

    0
    2025年10月12日
  • 本心

    Posted by ブクログ

    2040年、今から15年後の近未来。
    アナログな私にとって、物語の始めは世の中の移り変わりに置いていかれそうでなかなか先に進めませんでした。
    それでも読む進めていくうちに、世が変わっても人間にとっては避けられない「死」について正面から対峙する作者の信念のようなものに引き込まれていきました。
    身近な人の「死」という喪失、そして自分が「生きていくこと」の意味。
    わかっていてもどこかで無意識に避けているこの永遠のテーマが、読み終わって自分の心のどこかに根付いたような気がします。
    それぞれの登場人物が向き合っている、日々の生活、生きていくこと。
    重く心にのしかかる場面もあったけれど、どの人の人生もその

    0
    2025年10月12日
  • 悲しみとともにどう生きるか

    Posted by ブクログ

    東畑開人さんのアジールとアサイラムの話、そして若松英輔さんの「死者は、、」という話がすごく良かった。

    0
    2025年10月11日
  • 文学は何の役に立つのか?

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    秀作。
    読む度に作者の見識の高さを感じさせられる。
    戦争についての内容が多い。作者は戦争を体験した世代でないのを踏まえながら。
    森鷗外の良さは分からない。三島由紀夫は凄い作家だと思う。
    分人は面白い発想。人は場面毎に色々な顔を持つが全てその人なのだと。なるほどと思わされた。それでいいんだと。

    0
    2025年10月11日