平野啓一郎のレビュー一覧

  • 葬送 第二部(下)

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    ついに終わりがやってきてしまいました
    イギリスで体調を崩して
    やっとパリに戻ったショパン
    自分の死期を少しずつ受け入れて
    言葉を残していく
    どうしても会いたい人がいた
    母親、そしてサンド
    どちらも叶うことはなかった

    ショパンの人生ははたして
    輝かしいものだったのか?
    少なくとも亡くなる前のこの3年間は
    苦悩ばかり
    天才ゆえに受け入れられない
    ことがある
    天才ゆえに思い通りに
    生きられないことがある

    ドラクロワとて同じ
    同じような苦悩を抱えながら
    不器用に生きていくことに
    必死で
    ショパンの死を受け入れることが
    できなかった
    ショパンのそばで寄り添うことが
    できなかった
    毎日会わなくても

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    2025年09月12日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    個々がどうしてその心理に至ったのかがとても丁寧に描写されていて、まさに大人の恋愛小説だと感じた。ある出来事からの蒔野と洋子のすれ違いが歯がゆい。

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    2025年09月11日
  • 葬送 第二部(上)

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    ショパンが演奏会をするらしい!
    パリの社交界は噂で賑わった

    『ピアノの周りに集まった親しい友人の胸の奥に巣食う本人すらも定かには知らない秘密にそっと触れ、彼らの無言の告白を自然に引き出してやるような演奏』

    を好んでいたショパンがなぜ?
    それはショパンをどうしても元気づけたく、
    そして、収入を得た上で、また作曲に没頭できるようにとの仲間たちの愛だった
    誰一人としてショパンをほっておくことは
    できなかったのでしょう
    演奏会の一週間後3月革命が勃発
    かつての愛人サンドの活躍や訳のわからない
    世間から逃れるようにショパンは
    イギリスに移る
    スターリング嬢の思惑通りイギリス、スコットランドで演奏や、

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    2025年09月11日
  • 空白を満たしなさい(下)

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    ネタバレ

    死んだ人が生き返って、その死の真相を探るミステリー……だと思ってた。その謎の部分を指して「空白を満たしなさい」っていうタイトルだと思ってた。違う違うそうじゃない。私が思うに、これは残された人たちの空白を満たすための物語だったのだ。

    普通は人が一度死んだらもう二度と蘇ることはない。残された人たちの中にはその人の死を引き摺り続ける人もいるだろう。心にポッカリと空いた穴を塞がないまま生き続けることの辛さは推し量るべくもない。彼らがそういう人たちのために生き返ったのだとしたら……。さあ、空白を満たしなさい。

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    2025年09月10日
  • ある男

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    在日三世であることを川底に置きながら、弁護士として関わる人の人生をなぞり、自分とはなにか、死とは何か問い続ける。これは、日常の自分にいつもある問いではなくとも、ふとした時に気付かぬうちに隣ににあるような問い。そして慈善活動に対する思いの家族間での違いもリアル。夫婦とは、そのような些細なしかし根底として譲れない価値観を実は押し込めながら長年過ごし、人によっては見ないふりをしたり別れたりする。

    平野作品は過去に何度か挫折していて、文体が自分に合わないのではと思っていた。この本を読んで、他の本も絶対読もうとすぐに次の本を探すほどに作者に興味が湧いた。

    自分とは何か、戸籍とは、無戸籍になること、在

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    2025年09月09日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    人間には唯一無二の個人なんてものはなく、外との関係性で生まれる色々な人間、分人で構成されている。

    だから、人生が嫌なのだとしても、その分人だけがいなくなればよいという考え方には救われることもあると思った。

    ただ、この考え方を説明するのに本1冊というのは少し長い気もする。氏の他の小説を読んで補完してみたい。

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    2025年09月08日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    同じ著者の「決壊」は断念したけどなんとか読み切ることができた。

    死んだ人が生き返るのは無条件でいいことだと思ってたけど、そんなに楽観視できることじゃないんだなぁ……そもそも幸せって一体なんなんだろう?
    そんなことを深く考えさせる作品でした。

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    2025年09月07日
  • ある男

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    他人の人生を生きるって
    どうなんだろ…
    幸せにはなれないと思う

    次男の話は読んでいて辛かったけど
    里枝と長男の関係は素敵だな

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    2025年09月07日
  • 葬送 第一部(上)

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    パリ社交界で活躍したショパン
    物語は
    ショパンが結核と思われる病によって死去した
    その葬儀の当日の騒ぎから始まっている
    そして
    そこから遡ること3年ほど前
    病に蝕まれつつも
    女流作家ジョルジュサンドや、その子供たち
    画家のドラクロワらと過ごす日々が綴られている
    それぞれの心情が細かく表現されているので
    その場で見ている気分になる

    今も伝わる有名な芸術家たちが
    パリを中心に集い
    芸術に悩み、私生活で悩み
    喜び、悲しみ、恨み
    あるいは噂を語る
    どれもが、些細なことであったりと
    身近に感じてしまう
    少し疲れたショパン
    少し疲れたドラクロワ

    次の下巻に続きます


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    2025年09月03日
  • マチネの終わりに

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    ネタバレ

    鑑賞日 2025/6~2025/8
    評価点3.8

    過去に打ち勝てなかった人たちに寄り添う作品。

    平野啓一郎という作家は、過去に対しての向き合い方を恋愛や家族といった人間関係をテーマにして度々問い直そうとしてくれる。

    多分、内容のなかで述べられていたみたいに、現在(いま)以降の結果を変えていかないと過去に向き合うことなんて出来るはずもなかったんだろう。理性でどう言い聞かせ、どう問い直そうとしても、感性が納得しない限りは再定義など出来るはずもないのだから。だから過去とは末恐ろしいもので、未来の可能性に思い馳せるか、単に忘れようとするかでその回想という時制を回避しなければならなくなる。実際、ど

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    2025年08月31日
  • 悲しみとともにどう生きるか

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    若松英輔さんと平野啓一郎さんの名前があるし、と軽い気持ちで手にした本。そして、長らく積読本。今回、ようやく読み始め、初めて世田谷事件の被害者家族である入江杏さん主催のミシュカの森という会があることを知った。そして、その会の講演をまとめたのがこの本であることも初めて知り、心して読まねば、との気持ちになって読んだ。
    平野啓一郎さんの話では、死刑について考えさせられ、東畑開人さんの話では、居場所についてを考えた。特に居場所の話は自分レベルで考えられたと思う。そして、自分にとっての居場所について考えられた。もっと居場所を作らなくては、とも思う。居場所、座っていられる場所。立っている場所は落ち着かず、疎

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    2025年08月27日
  • 本心

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    ネタバレ

    自由死という題材が面白い。看護師の私からすれば、日本でも安楽死推奨するべきだと思うし。
    この日本だけじゃないけど、こーゆー国っていうか人間の構造って変わらないんだろうなと思うし、自分は恵まれてる側だし、何も言えない。し、困ってないからなんとかしたいとは思わないし、そのための何かって多少偽善だなって思うし。そういう意味で人間性が現れる本だなと思った。終わり方はスッキリしなかったけど。

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    2025年08月21日
  • マチネの終わりに

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    ネタバレ

    難しい単語や表現が多く、最初は読みづらかったが、慣れてくると物語の世界観に入り込むことができた。
    天才ギタリストと映画監督の娘でありジャーナリストという2人が結ばれて、色んなアクシデントがあって関係を終わらせることになって、お互い別の人と結婚したけど、2人の思い出をずっと忘れずに心にしまっていて、すてきだった。
    2人の関係を邪魔することが起きたとき、自分が物語に入り込んで全部説明したくなったぐらい物語にのめりこんだ。

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    2025年08月21日
  • 空白を満たしなさい(下)

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    他人との関係を「分人」という概念を使って表現していた。自分も、自己について周りとの関係によって変わる曖昧なものだと感じていたので、理解が深まった。
    この本を読んで思ったこととしては、分人は離散的でなく連続的な概念だと思った。筆者もきっと分かっていて、離散的の方が分かりやすいからそう書いたんだと思うけど
    自分にはいま子供のような守るべきものはないが、もし大切な存在ができたら徹夫と同じような考えをしてしまうかもしれないと思った。

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    2025年08月18日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    大人の恋愛小説。
    年齢を重ねてしまったからこそ、簡単には相手に気持ちを伝えられないもどかしさと疑ってしまう矛盾がある。
    そう簡単には「付き合う」「結婚する」には進まないながらも、相手を想う気持ちは大きくなっていく。
    マネージャーが好きではなかったけど、もし自分がその立場だったら、自分の幸せのために同じような行動を取ってしまうのかなあ。
    文体が読みにくかったが、終盤は駆け抜けるように読んでしまった。

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    2025年08月16日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    40代の話で自分に置き換えるのは難しかったけど、すれ違いが切なかった。全然音楽知らないけどピアニストの話っておもしろい

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    2025年08月11日
  • 死刑について

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    死刑制度には反対。
    しかし昔は賛成だった。
    海外の作家と交流したり、『決壊』を書く中で価値観が変わった。

    なぜ死刑制度に賛成の人が多いのか→人権教育がなっていないからだ。

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    2025年08月03日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    ネタバレ

    「好き」とか「愛してる」みたいな言葉を使わないのに、どれだけ思い合っているかわかる言葉の使い方が美しい。
    すれ違いが切なくて悲しくて、何度読んでも泣いてしまうのに、でも何度も読みたくなる。

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    2025年08月03日
  • 決壊(下)

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    ネタバレ

    最後まで読者をぞくぞくさせる感じ。登場人物の些細な仕草や言葉遣い。

    最後に崇が持ってきた黒いバッグ、後で改めて中身見たのかな。怖すぎる。

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    2025年08月01日
  • マチネの終わりに

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    芸術を介した大人の恋のお話。
    かっこいいけど、、、
    そこで終わり?
    あとはご想像にお任せします、ってこと?
    不完全燃焼。
    問題だけ羅列しておいて終わる韓国ドラマかよ、と
    文章が美しかっただけに惜しく感じた。

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    2025年07月28日