平野啓一郎のレビュー一覧
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ネタバレ過去は変えられないが 未来は変えられる
私が知っている その人の面は一面でしかない この方に登場する主人公の城戸の妻 香織が浮気をしていた。母親の顔、妻である顔、会社員の顔。
裏切りの行為であっても 許す 許さないのではなく そして なぜそういう風にしたのか と問いただす でもなく それはその人の一場面でしかなく 全てを知ろうと思うこと自体無理である
自体が大ごとになった時に対処するにとどめ る。
とある男の真相を探る中で人間はいろんな面を持つということを理解した主人公。
だからこそ 一番身近である 妻でさえも 色んな面があると理解できた。 -
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感想
この作品は登場人物の内面をよく描くことで構成される。自己とは一体何なのか?
人であれば一度は考えることかな。
最後、城戸の結末が書いてないので気になる
あらすじ
弁護士の城戸は、里枝という女性から亡くなった夫の素性を調べて欲しいと依頼される。里枝は宮崎の田舎で結婚し、次男を失ったことから夫と別れ、谷口大佑と出会った。しかし、大佑は1年後に事故で亡くなる。その後、実家に知らせると兄がきたが、大佑ではないと言う。里枝は離婚調停の時に世話になった城戸に大佑の素性を調べてもらうように依頼する。
城戸は大佑の素性を洗いながら自己というものについて考える。自身が在日3世のコリアであること、東日本大震災をキッカケに妻とソリが合わなくなったことなど。そのうち戸籍の交換を仲介して服役している小見浦に会いに行き、戸籍交換のヒントを得る。調べるうちに死刑囚の小林の息子が、大佑である可能性が浮上する。しかも、複数人と何度も戸籍交換したかもしれないことが分かってくる。そして、大佑を名乗った人物はやはり死刑囚の息子の原誠であるとわかる。
大佑の元カノである美涼が大佑になりすまして作ったfacebookのアカウントにきていたメールを糸口にして曽根崎と名乗る大佑に会って情報交換する。また、城戸は妻の香織に事情を話して、関係がよくなるように話し合いたいと言って、関係が改善される。しかし、妻の携帯から不倫の兆候らしきものを見つけたが黙っていた。
城戸は原誠の調査報告を里枝の元へ出向いて報告する。自我に対する考え方にも決着をつける。 -
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ネタバレエンタメ★
学び★★★★
癒し★★★
本の読み方に続く続編、
小説の読み方で紹介しているのが
小説の読み方のアプローチとしてニコラス,のティンバーゲンの4つの質問というもので
1メカニズム
2発達
3機能
4進化
というもの。もともと動物行動学における動物の行動に対するものだが、小説の読み方にも通じる物があるとしてそれぞれの項目を説明するところから始まる。それと
矢印の方向にも気を使うよう説明している。
その後具体的に色々なジャンルの小説の一場面を紹介し、4つの質問に沿って解説していく。深い読み方だし、そうやって読むのかと今回も新しい発見があった。 -
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ネタバレ「人は変えられるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えているのです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。それくらい繊細で、感じやすいものではないでしょうか。」
本の冒頭と後半に出てくるこのセリフ。2回目が染みるの何の。
天才ギタリストと、努力家の美しきジャーナリスト。教養を持って世界を違う目で見る2人にしか分かち合えない世界。嫉妬してしまうくらい素敵だった。儚かった。
めちゃくちゃ面白かった。久しぶりにぐいぐい読んでしまう小説を読んだ。面白かった、は違うか。ただ2人の男女が出会い、すれ違い、また再開するまでの話なのだが。そこにイラク戦争での体験や、天才ゆえのスランプなどがもつれあい、洋子の知性や教養の美しさも相まって情熱的な崇高な愛に感じられる。人はこんなに、何個の罪を犯してでも、誰かを愛してしまうものなのだろうか。
海外の話がよく出てくるので、この海外にいるタイミングで読めたのは良かったと思う。
教養を身につけたいと浅はかに思ってしまう。洋子さん素敵すぎる。憧れる萌子先輩のようだと思いながら読んでいた。
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恋愛が人生を大きく変えてしまう強さがある反面、それは自らだけではないため、すべてはタイミングであり、それが運命と呼べるのだと感じた。
洋子の父ソリッチが言っていた「自由意志というのは、未来に対してはなくてはならない希望だ。自分には、何かが出来るはずだと、人間は信じる必要がある。そうだね? しかし洋子、だからこそ、過去に対しては悔恨となる。何か出来たはずではなかったか、と。運命論の方が、慰めになることもある。」
まさに強い意志たちが交差したいわゆる"運命"を、お互いの意志により惹き合わしたラスト。
なにが幸せかはわからない。
ただこれがなければ生きられないはあるのだろう。 -
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純粋に恋愛小説としても楽しめると思うが、私自身は、「過去を変えられる」というフレーズに取り憑かれた。作者の作品で、直近に「ある男」を読んでいるのもあり、なにかこう、人が生きる上で、逆らえない、未来に向かう時間の流れと、その中で、人が人と魂同士で関わり合うことによってお互いに及ぼし合っているチカラを感じて、哲学的な物も感じた。作品から読み取ったとしては、あまりに月並みな薄っぺらい言葉になってしまうかもしれないけれど、辛い過去も、今、この瞬間を生きる事で、良いものに変わるのであれば良いなという勇気をもらえた。今、そして未来を生きる希望というか…いつか、きっと という。
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読んでて一番きついのは、二人とも相手を嫌いになったわけでも、気持ちが冷めたわけでもないってこと。むしろ想い合ってるのに、誤解とか、ちょっとした選択のズレとか、自分から動けない不器用さとかが積み重なって、取り返しのつかないところまで行ってしまう。「あの時ちゃんと確かめてたら」「あの一言を言えてたら」って、読んでるこっちが何度もやきもきさせられた。
平野啓一郎の「人生は連続してるようで、実はいくつかの決定的な選択の積み重ねでできてる」みたいな考え方が、この二人のすれ違いを通してめちゃくちゃ説得力持って迫ってくる。恋愛小説っていうより、大人になってからの選択とか後悔について考えさせられる話やった。
読み終わった後、しばらく他の本に手が伸びんかったくらい、余韻がすごい一冊。 -
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気がつくと3年が経過し、徹生は一度死んでいた。
徹生だけでなく、日本では復生者として一度死んだ人が生き返る現象が起き始める。
当時の検死では自殺と判断された。
しかし、「自殺なんてあり得ない。誰に殺されたのか?」というミステリー調で物語は始まる。
ミステリーを好まないので身構えこそしたが、読み進めるうちに、平野啓一郎の思想である「分人主義」や深い「死生観」へとテーマが移り変わっていく。分人主義を小説という形式に落とし込んだ作品とも言える。
印象に残った一節を3つ抜粋したい。
まずは、死生観について。
「どんな人生でも、死に方にさえ立派であれば、立派な人生だ。――それは人を破滅させる思想です。」
第二次世界大戦中の惨劇、ホロコーストの舞台であるクラクフにて思いを巡らせながらこの本を読めたのも良かったかも。
日本には切腹を美徳とする文化があり、森鴎外の「阿部一族」のように、その価値観を感動的に描いた作品もある。しかし、文化や時代が変われば、その「美徳」は一変するし、共感も肯定もされないだろう。
とは言え、当時の倫理観が自死を肯定するならばその時代精神を全否定出来るだろうか。当時を生きた人々には、その時代ならではの当事者の苦悩や価値観は汲み取るべきであろう。
環境次第で、人は驚くほど残酷にもなれるし、自らの倫理観を見失うこともある。そんな脆弱さを認めた上で、死に方で人生を美化してはいけないと結論づけたい。
次は分人主義に関して素敵な一説があったので引用を。普段から引用するものの読んだことないので、またの機会に読んでみたい。
「自分のことをまるごと肯定する、まるごと愛するというのは、なかなか出来ないことです。
よほどのナルシストじゃ無い限り、色々嫌なところが目についてしまう。"しかし、誰かといるときの自分は好きだ"、と言うことはそんなに難しくは無い。
その人の前での自分は、自然と快活になれる。明るくなれる。生きていて心地が良い。全部じゃなくとも、少なくとも、"その自分は"愛せる。だとしたら、分人を足場に生きて行けばいい。もしそう言う相手が、2.3人いるなら、足場は2つになり、3つになる。だからこそ、分人化という発想が重要なんです。」
最後の引用は、疲労と幸福に関して。
我々体育会系は、とかく「Do my Best 」や限界まで追い込むことに美徳を感じがち。
だからこそ、この文章で自分の努力の尺度について再考の必要性を感じた(今は何も努力せずに遊んでるだけなのに大層なことを書いてる自分が恥ずかしい笑)。
「こんなに疲れるまで働いてるんだから、僕は胸を張って、幸せになっても良い気がしました。今の時代、人に誇れる本物の幸福は、お金でも運でも無く、疲労で手に入れたものじゃないか。」
「どんなに幸せでも、みんな疲労に加算されてしまう。晩婚化で人生の『幸せな出来事』が30代に集中している事実と、30代の自殺の多さには因果関係があるのでは無いだろうか。」
忙しいこと、疲れていることを、自分の価値や努力の証明にしてしまう。
「不安に対してやり切ること」だけが美徳ではない。頑張りすぎている友人や、いつか休息の必要性に気づくはずの未来の自分へ、この視点を伝えてあげたいと思う。
幸せになるために疲弊し、その疲労を正当化してしまう矛盾。
まさに今の時代を生きる私たちの危うさを鋭く突いてきてますね! -
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「私とは何かー個人から分人へ」が平野啓一郎さんの著書ではじめて。その中で紹介されていたため読んでみることにしたのが今回。
分人が当たり前の世界で、それが他者の良い面悪い面を受け入れやすい世の中を作ってるようで、別の分人を別人のように扱う節も見えたり、悪いことが肯定されたり、良いことの評価が弱くなったり。人間そんなもんだよなと思った。
監視社会の生きづらさと安心感の狭間のもやもやもよく分かる。「神様が見てる」みたいな程よい「恥」は似たような要素を持つのかもしれない。でも生き過ぎた恥の文化は同調圧力にも繋がる。
分人主義も監視社会も、何事もバランスが結局大事やなと。