平野啓一郎のレビュー一覧

  • 空白を満たしなさい(下)
    設定には最後まで違和感があったけど、このテーマを扱うにはこうするしかなかったし、これでよかったのだろうと思う。
    とても考えさせられる作品であったし、感情も揺さぶられました。
  • サロメ
    大好きなオスカーワイルド。サロメという作品は聞いたことがあったけど、まさか幸福の王子を書いたオスカーワイルドが書いたとは思わなかった。

    旧約聖書の一部分を抜き取ってお話にしたものなのかな。
    サロメが残酷な方面に純粋だった。ラスト、我に返ったような手のひら返しがすごい(これはヘロデ王)。
    ヘロディア...続きを読む
  • 空白を満たしなさい(上)
    人が空白を埋めるのは、人が死んだときだけではない。いじめられたとき、挫折したとき、失恋したとき、深く傷ついたとき。事実を事実として受け入れたら、それは穴のまま。前を向いて動いていくには、自分に折り合いをつけ、事実を再解釈することが必要。そうして、自分の受け入れられるかたちに心をかえる。それが事実とは...続きを読む
  • 小説の読み方
    小説を読んだあとの読後感を上手いこと言語化することに憧れてこの本を読んだ。本のセレクトもジャンルごとに名作を選んでいたので自分があまり読まないジャンルの小説にも興味を持つことができた。また、小説内での登場人物、そして自分自身の感情をうまく捉えることができるようになったと感じる。
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ
    分人と言う名前については少しイメージが合わない感じもしたが、考え方についてはとても納得されることが多かった。個人が一つの考えだけで、色んな人に対して同じ接し方で無くてもいいという考え方はちょっと気が楽になる感じがする。何もいろんな分野での交友関係が大切と言うことを分人の視点で考える事について、結局は...続きを読む
  • ご本、出しときますね?
    読書芸人の若林が小説家と対談する番組の書籍化らしい。
    常々小説大好きな人の気持ちを知りたいと思っていたが、この対談で多くの気づきを得られた。
    自分自身は現実的なビジネス書や、心理学、脳生理学などの役に立つ本を好んでいたので、なにゆえ個人の脳内で創作されたフィクションが好まれるのか不思議であった。
    ...続きを読む
  • 空白を満たしなさい(上)
    下巻まで読み終わってからの感想。
    主人公の葛藤、周囲の人々の迷いが伝わってくる作品。後半へ向けて、ミステリー要素強め。
  • マチネの終わりに
    天才ギタリストとジャーナリストとの大人の恋愛を描く一方で、芸術や音楽や映画、政治情勢や思想といった見聞が幅広く扱われていて、まさに大人向けの極上の恋愛をしっとりと、そして丁寧かつ緻密に表現した小説だった。

    たった3度しか会った事のない2人…
    運命という言葉で片付けるには手に余るほどの、男女の情愛が...続きを読む
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践(PHP文庫)
    軽薄な「速読」テクニックへの痛烈な批判本。
    本人も作家である立場から、物書きがいかに言葉選びを熟慮しているか、またそれを自分で読み取り感じることが著書に触れる喜びの一つであることが、作例を交えて書かれている。(勿論、本を読む目的は人それぞれだが。)「速読=脂肪。役に立たず、頭の回転を鈍らせる。知って...続きを読む
  • マチネの終わりに
    あー、切ない…。
    運命の出会いとなったアラフォー男女の恋の物語です。

    運命の悪戯や嫉妬による妨害で会えず。また40歳前後という分別のある大人然と振る舞うために、誤解を解くタイミングを逃したりして、すれ違うのがもどかしく、9割方読んでてツラいのですよ…。

    最後万々歳とは言えないがじんわり暖かいラス...続きを読む
  • かたちだけの愛
    愛するってなんだろうと深く考えさせられた。
    他の誰といる時の自分よりも好きで、そんな自分を愛せる。そういう相手を見つけるといいのかもしれないと思った。
    愛って深い。
  • 賢人の読書術
    ビジネスマン向け?私はビジネスマンではないですが、5人の著者の言ってることが矛盾してて逆に面白かったかも。
  • 三島由紀夫論
    もちろん、まずは著者の三島愛をたっぷり感じる。しっかりした骨格と、丁寧な調査と文献の読み込み、そして考察が同じ熱量で670ページ続く。論文とは、評論とは、こう書くもんだよね、と感服させられる思い。
  • 空白を満たしなさい(下)
    自分が死ぬことがあらかじめわかっていたとして、それがあとどのくらい残されているのかわからない、いつ消えるのかわからないといったとき、その残りをどのように過ごすのか、誰に会いに行くのかと思うと、今の私にできることは、いつも通りに好きなお店にお酒を飲みにいくことだけなような気がする。

    自殺や希死念慮を...続きを読む
  • 透明な迷宮
    久しぶりに本屋(蔦屋書店)でジャケ買いした
    本です。
    平野啓一郎さんという作家も初めてだったので
    予備知識もなく、ちょっとワクワクしながら
    読み始めました。

    「透明な迷宮」は短編小説で、どの話も少し奇妙で妖しい世界観が感じられて自分的に大好きな作品でした。

    表題にもなっている「透明な迷宮」はまさ...続きを読む
  • ドーン
    これが「分人」の概念が登場した初めての小説らしい。2033年の火星探査とアメリカ大統領選という壮大な舞台とは対照的に、その時代でも尚続く人間の業の深さ、対人関係から生じる内面的葛藤が生生しく描かれている。
    この小説の世界では「分人主義」が概念として一般化しているが、読み始めはその明示的な設定に違和感...続きを読む
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践(PHP文庫)
    作家による読書法の紹介本。
    わかりやすく、理にかなっていて面白かった。本来、個人が楽しみながら進める読書を、国語の時間が妨害している面はたしかにあるよなぁと思う。試験における作者の意図は、出題者の意図なのだと割り切って説明されていて、少しすっきりした。

    また、気持ちがいいほどのアンチ速読で、読んで...続きを読む
  • ドーン
    「閉鎖的な対人関係によって分人が過度に抑制されると、過去や未来の妄想の分人が大量に溢れ出て、収集がつかなくなる」

    この描写に自身の経験を重ね合わせ、離別による悲劇に見舞われた直後に誰にも会いたくなくなるのは、対象の分人を邪魔されずに大切にとっておきたいからなのだ、と合点がいった。
  • 空白を満たしなさい(下)
    以前読んで面白かったので再読。

    今まで読んだことのないタイプの小説だった

    美しい風景が頭に浮かぶような清々しさすら感じるラストだった
  • 空白を満たしなさい(上)
    数年前に読んで面白かったので再読
    死んだ人間が生き返る設定
    主人公が自殺なのか他殺なのかのミステリー要素
    とても続きが気になるストーリー
    あと認めたくないが佐伯というキーパーソンが
    この小説の魅力だと思います
    魅力とか言いたくないくらい
    関わりたくない人物ですが。