平野啓一郎のレビュー一覧

  • マチネの終わりに(文庫版)

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    途中のメール偽装まで読んで、やばい小説だなと思って、心配になり結末を先に検索してしまった。そこでは、「優しい作品」と感想があった。そのまま読み進めると、確かに、過去の出来事の捉え方は変えられるというテーマが随所に滲み出て来ており、最後は良かったなあという気持ちになれた。

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    2026年07月04日
  • ドーン

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    「私とは何かー個人から分人へ」が平野啓一郎さんの著書ではじめて。その中で紹介されていたため読んでみることにしたのが今回。
    分人が当たり前の世界で、それが他者の良い面悪い面を受け入れやすい世の中を作ってるようで、別の分人を別人のように扱う節も見えたり、悪いことが肯定されたり、良いことの評価が弱くなったり。人間そんなもんだよなと思った。

    監視社会の生きづらさと安心感の狭間のもやもやもよく分かる。「神様が見てる」みたいな程よい「恥」は似たような要素を持つのかもしれない。でも生き過ぎた恥の文化は同調圧力にも繋がる。

    分人主義も監視社会も、何事もバランスが結局大事やなと。

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    2026年06月30日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    恋愛小説は読まないけれど、これは読んで良かっふたと思える本。
    うまく言葉にできない自分の語彙力のなさと表現力の無さがもどかしい
    数年後に読み返したい本

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    2026年06月29日
  • 死刑について

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    小生は、仇討ちが禁じられているのだから、死刑廃止には反対派の立場だ。
    しかし、本書を読み、被害者遺族の真の気持ちや感情が蔑ろにされているという視点にはなるほどと思った。
    大変難しい問題であるが、憎しみばかりに焦点を合わせるのは違うと気付かされた本。

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    2026年06月25日
  • サロメ

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    読む以前はピアズリーの絵の印象が強かったのと、あと最後のサロメのセリフ「やっとお前にキスしたよヨカナーン」だけを知っている状態で読んだ。
    読んで良かった。ヨカナーンに対するサロメの純性と純だからこその狂気性の二つが、読んで伝わって、そのあとあとがきを読んでさらに分析的に読めた。
    田中祐介の解説だけ、途中で頓挫してしまったので、ちゃんと読み直さないと…

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    2026年06月24日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    天才ピアニストと聡明かつ美人ジャーナリストの結ばれない愛の物語。

    2人の出会いのシーンで感じたのは、教養で付き合える人の幅が広がるということ。
    洋子の教養には驚かされるものがあった。

    話の中盤からは「三谷はなんてことをしてくれたんだ…」という想いでしかなかった。
    彼女さえいなければ蒔田と洋子は深い愛で結ばれ、幸せな家庭を築いていたというのに。
    しかし、蒔田に尊敬と異常なまでの愛情を持って大きな過ちを犯した三谷を強く責めるものは、誰もいなかった。責められなかったという方が正しいのか。

    愛に結ばれず、しかし互いに愛と信じた道を歩んでいく。なんとも寂しく、大人な話だと思った。

    40を過ぎて人

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    2026年06月20日
  • ご本、出しときますね?

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    言葉を扱うプロたちのトークはおもしろく、
    意外な一面や交友関係が知れたのも読んでいて楽しかった。
    作家さんたちがお勧めしている本がどれも本屋さんで入手するのが難しそうなものばかりで思わずにやにや。いつか出会いたいと思いながら読みたいリストに書き連ねた

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    2026年06月20日
  • ある男

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    人間なら誰でも一度は考えたことがあるであろう「別の誰かになったら」を体験できる今作。戸籍を変えたら別人になるのか。否、戸籍は変われど別人とはなり得ず戸籍を変えた自分も含めて1人の人間(自分)である、と自分は結論付けた。
    中盤で間延びしている感があったが、全体的にはとても面白かった。豊富な語彙で人間の”存在”と”内面”を哲学的に描写する平野啓一郎らしさ全開の作品ではないか。

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    2026年09月04日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    大人の高尚な関係性を感じて、恋愛ものかな?と感じて読み進めた。
    主人公の周りの人間臭い人達の中で、主人公たちも他者には人間臭い対応の中、それぞれに対する慈しみや感応性に特別感を感じていきました。
    終わり方も、読者の想像でいろんな形が広がる形で、どんな形を想像しても、一緒に歩もうがそれぞれ歩もうが、かけがえの無い人との繋がりが続く良い形だなぁと、余韻に浸りました。

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    2026年06月13日
  • 自由のこれから

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    新型コロナウィルスのパンデミックを挟んで、10年近く前にまとめられた書籍であるにも関わらず、アテンションエコノミー、SNSがもたらすエコーチェンバー、そしてAIによるオートメーション化がどのように「私たちの自由」と関わるのか、問いことに言及している視点の奥行きの広さと深さに驚かされる。

    刊行当時理解されなかったであろう事柄、特にUber Eatsが都市部では当たり前となり、リモート会議も珍しくなくなったパンデミック以降の感覚では、「職業」によって回収される近代的個人から分人的な働き方を通じて得られる自由、あるいはリモートワークで得られる住む場所の自由も実感のあるものとして深く理解できる。

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    2026年06月07日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    本当の私はいない。様々な相手との間で分人が生まれる。心地よい分人、好きな分人を足場にその分人の構成比率を高めれば良い。

    たとえいじめられたとしても、自分を愛されない人間と本質規定してしまってはならないとの言葉に勇気をもらった。
    本当の自分、自分はひとつと思っている人はそこが汚されると苦しみが生まれる。
    あくまでその時々の出来事に過ぎないのだ。
    黒いシミが現れたとしても、シミを広げることはない。自分は多面的である。広い目でみれば良いのだと思った。

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    2026年06月06日
  • 透明な迷宮

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    audibleにて。

    平野さん6作目。
    今回は 聴読だったけど、やっぱり平野さん好きだ〜。

    短編集だけど、どの話も凄く引き込まれた。
    どことなく不思議で濃密。
    独特な味があってクセになりそう。
    どれも面白かったけど、私的には 『消えた蜜蜂』『火色の琥珀』が特に好きだった。
    その『火色の琥珀』は 火を愛する男の話で、朝井さんの『正欲』がめっちゃ頭をよぎるお話だったなぁ。

    平野さん他の作品も気になる〜

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    2026年06月06日
  • マチネの終わりに

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    自分がいましているような若い恋愛ではなく、詩的で思慮深い大人の恋愛だった。困難が多く、憧れはしないが、素敵だった。イラクの話や音楽の話は正直あまりピンときていないが、その情景描写や、登場人物の心理描写は、こちらが経験していなくとも共感するほど繊細だった。初めて知る言葉遣いや熟語が多く、3ページごとにスマホでその意味や用法を検索した。自分の気持ちや状況を緻密に表現する力が向上した気がする。

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    2026年05月31日
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践

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    自分は日本語を母国語にして生まれ育ったから、日本語で書かれたものを理解することは難しいことではない、とは一切思えなくなったとき、他人はどのように文章を読み、小説を読むのか、ということが気になって、この手の類の本を集めている。

    ひと口に「本の読み方」「文章の読み方」と言っても、この道は果てしない。読みたい本、読むべき本は山のようにある。一つの本を一読ですべて理解することは不可能で、本質的には再読こそが真の読書のあるべき形である、などということを痛感している中で、私は本を読むのが遅いと告白してくれた小説家の存在にどれだけ救われたことか。

    読むスピードが書くスピードを上回るわけは絶対にないのだか

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    2026年05月30日
  • マチネの終わりに

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    ネタバレ

    音楽のことはわからないから情景はあまり想像できずそこは映画を見て確かめてみたい。
    正直早苗のやっていることは共感できなかったが
    そこをうまくまとめて最後には嫌悪感はなくなったから良かった。

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    2026年05月28日
  • 本心

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    恥ずかしながら、平野啓一郎は初めて読んだ。難解そうと勝手に思っていたのと、たぶん長編小説を読むのが面倒になってたからなのかも。でも読んで良かった。

    仮想空間が発達した近未来の日本。格差が広がり、固定し、「こっちの世界」と「あっちの世界」が同時進行している社会。どっちの世界に属するかはすでに固定されている階層で決まっている。金のない人間は仮想空間で一時の安らぎや刺激を「体験」しながら生きている。この社会では自由死が認められていて、主人公の青年の母は息子にも自由死したいと宣言したにもかかわらず、結局は事故死してしまう。母はなぜ自分から死にたがっていたのか・・・。経済的には豊かではないが、息子がい

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    2026年05月24日
  • 決壊(下)

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    ★★★★ 何度も読みたい

    本作の中心にはずっと『孤独』があった。悩みを相談できない孤独、近しい人の死、その悲しみを誰とも同等のものとして共有できない孤独。遺族でありながら疑われる崇を中心に、寂しさを抱え続ける登場人物たち。

    崇の独白やセリフには、ずっと誰しも関係者のそれぞれに対してペルソナを使い分けているという『自己の細分化』の思想が流れている。それが物語の後半では行動・罪にも拡大され、『原因の細分化』にまで差し掛かっている。心理学が発達した現代では、行動は全てが生育環境と遺伝に帰属し、罪は「不健康」の結果であると考えられてしまう。それに納得してしまう崇の姿勢は日本の法制度への『理想的』な

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    2026年05月24日
  • 決壊(上)

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    ★★★★ 何度も読みたい

    3歳の息子・妻に恵まれながらも、優秀な兄への劣等感を抱え続ける良介、幸せを感じながらも、夫に対しもっと頼ってほしいと無力感を感じている良介の妻・佳枝、万人に優しく振る舞いながらも、他者からの評価と自分の存在意義が結びついていると思えず悩む、良介の兄・崇、義実家との軋轢や仕事での不調で鬱病に悩む良介の父・治夫、夫と向き合いながらも、夫の鬱からくる暴言に限界を感じ始めた良介の母・和子といった、一見幸せながらも不協和音を奏でる沢野家と、学校でのいじめや過保護な母にうんざりし、厨二病まるだしのブログで心の安寧を得る中学生・友哉の人生が交わっていくミステリ?まだ前編だが、非常

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    2026年05月22日
  • 本心

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    ネタバレ

    身近な人が自らの意思で命を立ちたいと考えたとき、自分は止めるだろうかそれとも本人の意思を尊重するだろうか。それが母なら?もしくは恋人なら?

    私はこの物語を読んで、格差が浮き彫りになった社会では、貧困層は自らの命を終えると言う選択をしなくてはならない時が来るのに対し、富裕層はそういった心配をせずに寿命を迎えることができると言う差に愕然とした。自らの命を「もう十分」と思ってしまう時が来るのだろうか。

    この物語は主人公の心情がありありと描写されている。中でも、自問自答の形式が多く、葛藤の中で生活していることがわかる。V Fである「母」に、生前の彼女の「自由死」の本心を尋ねようとするが、次第に現実

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    2026年05月21日
  • 本心

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    ネタバレ

    それぞれの人物の背景によって、本心を語るまたは本心がわかるまでは難しい…。それに、結果的に主人公が良い方向に向かいそうで安心したが、「あの時こうしておけば」という後悔は少しでも排除したいと思わされる。
    平野さんの描写は、難しく感じる時もあるが、なんとなくわかるような気もして、読み応えがある。 475ページとボリュームがあったが、半分くらいからどんどん没入していった。

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    2026年05月20日