平野啓一郎のレビュー一覧
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いろんな雑誌に著者が書いたエッセイを中心にまとめた本。わかりやすい。
平野氏はなんとなく敬遠していた作家だった。デビュー作の『日蝕』を読んだのもほんの数年前。ところがやはり同じころ、私は死刑について考えたくなっていて、たまたま書店で平野氏の『死刑について』を見つけ買って読んでみたところ、見事にはまった。文章の運び、思考の流れが滑らかで素直に頷けた。
ちょうど同じころに東京新聞で「本心」の連載が始まり、毎日欠かさず読んだ。読ませる面白さがあった。
そんなこんなで作家平野啓一郎の書くものが好きになった。
そしてこの本。文学をどう捉えるか考える上で私にとってよい導き手になった。 -
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非常に陰惨。殺人描写だけではなくて、犯罪被害者や加害者家族を取り巻く状況が全てグロテスクに感じた。
著者は本当に現代の日本社会のありようを、ものすごくシビアにみていて、その通りに写し込んである。
読むのが辛くなるような展開なうえに救いがない。
崇を誰も救えない、その状況がまた居た堪れない。
特にリアルに感じたのは、義理の妹の態度だ。
自分の言葉によって崇を冤罪一歩手前に追い込んだのにも関わらず、自責の念はあまり感じられない。
他に犯人が見つかっても、心の中ではまだどこかで疑っているようで、子どもが抱き抱えられたとき、明らかに触ってほしくない、と思っているように描写されていた。
一度疑われて -
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外国が舞台に出てくる男女の物語ということで、最初、昔読んだ『冷静と情熱のあいだ』が思い出されました。
「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです」の言葉が心に残っています。なるほど、現在未来の捉え方によっては、過去の解釈が変わることはあり得るなと気付かされました。
あと、無理をして通してきたことは、結局は何年かかってもバネのように戻ることになるのだなと思いました。大きな流れには逆らえず、在るべきところに向かって流れていく。
平野啓一郎さん、沢山の文献を参考にしたり調査されたとは思いますが、このような作品に書き上げるなんて凄い方だなと思い -
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ネタバレ次男の死と離婚を経て故郷に戻った里枝は「谷口 大祐」と出会い再婚する。長女も産まれ、家族4人で幸せに暮らしていた。しかし、大祐は林業の仕事中に事故死してしまう。
大祐から止められていたが、大祐の親族に連絡を取ると、大祐は別人だと告げられる。
里枝から相談をうけ、弁護士の城戸は「谷口 大祐」の正体を調べていく。
難しい!? いや、面白かったんです! でも、最後までいろいろ考えました。
時間がかかりました。Audibleなのに。
城戸と里枝を中心に、登場人物に感情移入し、楽しみながらも、自分は全てを理解しきれない、明確な答えを出しきれないモヤモヤを抱えて読み進めてるしんどさがありました。
う -
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2040年、今から15年後の近未来。
アナログな私にとって、物語の始めは世の中の移り変わりに置いていかれそうでなかなか先に進めませんでした。
それでも読む進めていくうちに、世が変わっても人間にとっては避けられない「死」について正面から対峙する作者の信念のようなものに引き込まれていきました。
身近な人の「死」という喪失、そして自分が「生きていくこと」の意味。
わかっていてもどこかで無意識に避けているこの永遠のテーマが、読み終わって自分の心のどこかに根付いたような気がします。
それぞれの登場人物が向き合っている、日々の生活、生きていくこと。
重く心にのしかかる場面もあったけれど、どの人の人生もその -
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全体のテーマ
『本心』は、テクノロジーが人間の記憶や死後の存在までも再現できるようになった社会で、「愛」「自己」「他者とのつながり」が何によって成り立つのかを問う物語
・「愛は、今日のその、既に違ってしまっている存在を、昨日のそれと同一視して持続する。」
…愛とは変化し続ける他者を「同じ存在」と見なす行為であることを示す。
相手が変わっても、それでも愛そうとする「鈍感さ」「誤解」「強さ」のいずれかによって、愛は続く一方で、「今日の愛もまた昨日とは違い、明日には消えてしまうかもしれない」という、愛は永遠ではないが、だからこそ尊いのだという哲学的命題。
・「どの自分として死を迎えるか」という -
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【文学は何の役に立つのか?】 平野 啓一郎 著
いつも疑問に思うことがタイトルになっていたので読んでみました。本書は、著者の講演などをまとめたもので、表題については冒頭の35ページとなっています。著者も「答えるのに苦慮する問い」とのことですが、「一つの理由」を見つけたとあります。ネタバレはまずいと思いますが、この理由やその後の論考などは同意するところ大でした。
平野氏の著作は好きでほとんど読んでいますが、本書のほかの論考を読むと、自分と幼少期の経験が似ていることがわかりました。また、文章もきらきらと美しいのですが、三島由紀夫に留まらず、ハイデガー、大江健三郎など多数の文学・芸術に接して