平野啓一郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
生成AIに対して、今後自分の読むべき作品について聞いたところ、本書の作者である平野啓一郎氏の作品が挙がったので、著者の思想の根底が「分人思想」であるということに興味を抱き購入。
著者は哲学者ではないものの、「個人」の概念を改めて問い直し、独自の「分人」思想を実体験も交えて展開する。
「個人」というのは唯一の人格なのか?「本当の自分」という確固たる自我は存在するのか?という、普段何気なく使っている言葉に対して疑問を呈し考察する姿勢は、哲学的アプローチであるといえる。
「個人」はindividualの訳とされるが、これは"もうこれ以上分割不可能なもの"という意味が込められて -
Posted by ブクログ
学生時代の友人といる時の自分
趣味の友人といる時の自分
同僚といる時の自分
家族といる時の自分
確かに違います。
個人の中に相対する人やグループに合わせて
自然と形成される様々な自分が分人とのこと。
時と場合によって微妙に違う自分を
若い頃は恥ずかしいというか、いけないことのように思っていた時期もありました。
「世界99」みたいな極端なモノではないけど。
「八方美人」と「分人」とは違うという話にも
モヤモヤがスッキリしました。
「八方美人とは、分人化の巧みな人ではない。むしろ、誰に対しても、同じ調子のイイ態度で通じるとたかを括って、相手ごとに分人化しようとしない人である。」
分人主義 -
Posted by ブクログ
ネタバレ現代より進んだ世界を題材にしており、AIやVF(ヴァーチャルフィギュア)と呼ばれるような技術は進歩している一方、格差は拡大し、生きることを負担に感じる人もいる、そんな中で出てくる「自由死」という概念について問う一作だった。
病などでもう助からない命に対する死の選択と、貧しい生活を強いられ、子供や周りへの負担を考えて半ば強制的な死の選択では大きく異なる。しかし、主に後者の境遇にいる者は、そこから抜け出すためにできることが少ないというジレンマを、自由死を願った母を持つ朔也と、彩花、岸谷、そしてイフィーという違った境遇にある者たちのやり取りからひしひしと感じた。この答えのない未来の問いに、これからの -
Posted by ブクログ
この作品は464ページあるのですが、その真ん中あたりで三谷さんという方が、つい魔が差してある行動をしてしまうシーンがあり、そこから一気に物語に引き込まれます。
序盤は音楽用語などのオンパレードで、もしかしたら音楽に詳しくない方は読むのを諦めてしまうかもしれませんが、そこはグッと堪えて、ぜひ真ん中あたりまで読み進めてみてほしいです。
そして洋子さんは最初、婚約者がいるのにどんどん蒔野さんに惹かれていくのは読んでいて複雑だったのですが、終盤のとあるシーンがとてもカッコよくて印象に残っています。
わたしもあの場面で、ああやって言えるような人間になりたいです。
ただ、洋子さんはチケット代まで受け取ら -
Posted by ブクログ
私は死刑廃止派
死刑について深く考えるために読む。
在置派だった筆者による考察・論調は自分では到達出来ないような視点を提示してくれる。
法のもとに人を殺すことが可能な国は…人権を軽視しているようで嫌だし、殺人をしてはいけないけれど死刑による殺人はOK(やむを得ない)というのは、人間が命に優劣をつけているとも取れる。
同じ命あるものに、同じ人間の自分が優劣を決める可笑しさ、悲しさ、、不思議に思うけれど、自分が判断・手を下す訳じゃないから、他人事なのかな?廃止は理想なのかな?
なんて自分の考えに固執しないよう、在置派の考え・論理をこれからも知っていきたい。
まずは、考えるきっかけに良本だと思う。