平野啓一郎のレビュー一覧
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ついに終わりがやってきてしまいました
イギリスで体調を崩して
やっとパリに戻ったショパン
自分の死期を少しずつ受け入れて
言葉を残していく
どうしても会いたい人がいた
母親、そしてサンド
どちらも叶うことはなかった
ショパンの人生ははたして
輝かしいものだったのか?
少なくとも亡くなる前のこの3年間は
苦悩ばかり
天才ゆえに受け入れられない
ことがある
天才ゆえに思い通りに
生きられないことがある
ドラクロワとて同じ
同じような苦悩を抱えながら
不器用に生きていくことに
必死で
ショパンの死を受け入れることが
できなかった
ショパンのそばで寄り添うことが
できなかった
毎日会わなくても
心 -
Posted by ブクログ
ショパンが演奏会をするらしい!
パリの社交界は噂で賑わった
『ピアノの周りに集まった親しい友人の胸の奥に巣食う本人すらも定かには知らない秘密にそっと触れ、彼らの無言の告白を自然に引き出してやるような演奏』
を好んでいたショパンがなぜ?
それはショパンをどうしても元気づけたく、
そして、収入を得た上で、また作曲に没頭できるようにとの仲間たちの愛だった
誰一人としてショパンをほっておくことは
できなかったのでしょう
演奏会の一週間後3月革命が勃発
かつての愛人サンドの活躍や訳のわからない
世間から逃れるようにショパンは
イギリスに移る
スターリング嬢の思惑通りイギリス、スコットランドで演奏や、 -
Posted by ブクログ
在日三世であることを川底に置きながら、弁護士として関わる人の人生をなぞり、自分とはなにか、死とは何か問い続ける。これは、日常の自分にいつもある問いではなくとも、ふとした時に気付かぬうちに隣ににあるような問い。そして慈善活動に対する思いの家族間での違いもリアル。夫婦とは、そのような些細なしかし根底として譲れない価値観を実は押し込めながら長年過ごし、人によっては見ないふりをしたり別れたりする。
平野作品は過去に何度か挫折していて、文体が自分に合わないのではと思っていた。この本を読んで、他の本も絶対読もうとすぐに次の本を探すほどに作者に興味が湧いた。
自分とは何か、戸籍とは、無戸籍になること、在 -
Posted by ブクログ
パリ社交界で活躍したショパン
物語は
ショパンが結核と思われる病によって死去した
その葬儀の当日の騒ぎから始まっている
そして
そこから遡ること3年ほど前
病に蝕まれつつも
女流作家ジョルジュサンドや、その子供たち
画家のドラクロワらと過ごす日々が綴られている
それぞれの心情が細かく表現されているので
その場で見ている気分になる
今も伝わる有名な芸術家たちが
パリを中心に集い
芸術に悩み、私生活で悩み
喜び、悲しみ、恨み
あるいは噂を語る
どれもが、些細なことであったりと
身近に感じてしまう
少し疲れたショパン
少し疲れたドラクロワ
次の下巻に続きます
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Posted by ブクログ
ネタバレ鑑賞日 2025/6~2025/8
評価点3.8
過去に打ち勝てなかった人たちに寄り添う作品。
平野啓一郎という作家は、過去に対しての向き合い方を恋愛や家族といった人間関係をテーマにして度々問い直そうとしてくれる。
多分、内容のなかで述べられていたみたいに、現在(いま)以降の結果を変えていかないと過去に向き合うことなんて出来るはずもなかったんだろう。理性でどう言い聞かせ、どう問い直そうとしても、感性が納得しない限りは再定義など出来るはずもないのだから。だから過去とは末恐ろしいもので、未来の可能性に思い馳せるか、単に忘れようとするかでその回想という時制を回避しなければならなくなる。実際、ど -
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若松英輔さんと平野啓一郎さんの名前があるし、と軽い気持ちで手にした本。そして、長らく積読本。今回、ようやく読み始め、初めて世田谷事件の被害者家族である入江杏さん主催のミシュカの森という会があることを知った。そして、その会の講演をまとめたのがこの本であることも初めて知り、心して読まねば、との気持ちになって読んだ。
平野啓一郎さんの話では、死刑について考えさせられ、東畑開人さんの話では、居場所についてを考えた。特に居場所の話は自分レベルで考えられたと思う。そして、自分にとっての居場所について考えられた。もっと居場所を作らなくては、とも思う。居場所、座っていられる場所。立っている場所は落ち着かず、疎