平野啓一郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ印象に残る考え方やフレーズが多くあったので星4つ
愛する人の過去が偽物だと知った時に、人はどうするのかという問いに対して、「愛し直す」という考え方。意外とない視点で、面白いと感じた。過去はもちろん愛を形成する重要な要素だが、全てではない。そもそも人間は過去のままではいられないのだから、愛を更新していくことは当たり前なのだと気付かされた。
また、人生の交換というテーマは斬新だった。特に印象的だったのは、人生の評価を客観的にできる点である。
もし自分がランダムで誰かの人生を引き継ぐとして、今の自分の人生が回ってきたとしたら、自分は喜ぶだろう。それはつまり、幸せということだ。
この内容にはハッとさせ -
Posted by ブクログ
ネタバレ天才クラシックギタリストの蒔野聡史と国際ジャーナリストの小峰洋子。40代の2人のささやかな邂逅と深い愛情、そしてそれを引き裂く消失点。出会いから別れ、そして最後の再会までを重厚な世界観で描き、それに随分と浸ることができた作品だった。
作品の中で印象的な、過去は変えられない、しかし未来は常に過去を変えているのだという考えにひどく共感した。過去の事実は変えられないが、未来の出来事によって捉え方を変えることはできる。2人の愛やそれぞれの家族のこと、過去はさまざまな形でのしかかっているが、その先にある未来によって、今までの過去への思いが変わり、変化をもたらしてくれる。最後のシーンでは、そんな希望を抱 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最近、自分でも本の読み方にスピードを求めず、ゆっくり、じっくり読むことを心掛けている。丁寧に本を読み終えることで、読書により得られるものが濃厚になってきたように感じる。そのことを確かめたいという目的もかねて、本書を読んでみた。
”「スロー・リーディング」とは、差がつく読書術である。その「差」とは、速さや量ではなく、質である。”とあり、これの事だな思った。確かに著者が言われるように、試験勉強や、期限に間に合わせるために論文を仕上げるというような目的でもなければ、本を速く読まなければならない理由など何もない(笑)。
”「速読」は明日の為の読書、「スロー・リーディング」は、5年後、10年後の為の -
Posted by ブクログ
上下巻を一気に読んだので疲労感と謎の涙。
黄泉がえりという映画が昔あったなぁ。
死者がやり残したことをやるというファンタジー感と、誰が犯人なのか?というサスペンスミステリー感がありつつも、テーマは「死」そのもの。残された人の空白や、残してしまう人への焦燥感、一瞬の死際の印象でそれまでの「生」が塗り変わってしまう影響力、自殺、分人の概念など、さまざまな角度から「死」を照らしている。
「死」は暗闇、消滅といったイメージもある一方、佐伯のいうように、義務からの解放という救いの側面もあるように思う。
「死」という事実やそれまでの過程を知ってしまうと思い出すたびに胸が苦しくなるので、いっそのことなにも知 -
Posted by ブクログ
創作活動と並行して積み重ねた講演、批評、随筆をまとめたもの。
文学は、声にならない違和感、説明できない痛み、うまく言えない孤独。そういうものを、 無理に整理せず、そのまま差し出す。
平野啓一郎氏が
読んでると、どんな文学に影響を受け、どんな作家を座標軸にしているのかがわかる。
流行や話題性ではなく、 人間の内面・倫理・孤独・分断・時間を 粘り強く掘り下げてきた作家たち。
だからこの本は、 文学論であると同時に、 平野啓一郎という作家の精神史みたいにも読める。
文学は役に立つか、ではなく 自分はどんな文学を必要としてきたか。
と言う感じ?
関係ないけど、
最近「瀬戸内寂聴」というワードが出て -
Posted by ブクログ
2026年1冊目はこちらの本。何気なく買ったものの積読されていた本。読み始めたらあっという間に読み終わってしまった…面白い…
まず速読というものについて、痛烈な批判が展開されるのがなんとも面白い、まったく容赦がない。速読というものに憧れたことも取り組んでみたことは無し、逆にいうと特に悪いイメージもなかったけど、この本で完全に否定派になりました笑 速読本が最終的には自己啓発と結びついており、未知なる自分を解放していく的な文脈で語られている、というのは大変面白いなと思った。
第2部、魅力的な誤読、そもそもこの捉え方がもう面白い。そうか、誤読って別に悪いことじゃ無いんだ。余地が残された点について -
Posted by ブクログ
ネタバレ「大人の恋愛小説を、インテリな著者が文学にしたらこうなりました」という感じ。
以下、少しネタバレになりそうです。
韓国ドラマとかの設定にもありそうな、壮大な設定やすれ違い、恋の天敵、ドラマチックな展開などなど、一見俗っぽい??って思うんだけど、旧ユーゴスラビアの歴史的な問題や、シリアの紛争、クラシック音楽やドイツ文学をはじめとする文学や詩の世界の奥深さなどをお話に盛り込みながらなので、俗っぽさがなくなる感じでした。
このスタイルの本、初めてでした。
初めての読書体験。
私の教養が浅いので、分からない文学作品等も多く、後から読み返して学びたいので付箋を貼りました!
トーマス・マンとか、読