平野啓一郎のレビュー一覧

  • 日蝕・一月物語
     ルビなしでは読めない漢字の連なりで、読み続けることができるか不安なままページを進めるうちに、この漢字を含めた表現力に引き釣りこまれていきました。 自分にもう少し、中世キリスト教の基礎知識があったらなぁとも思いました。
     科学ではまだ解き明かされない領域の広いころを舞台にしているて、この「日蝕」も「...続きを読む
  • 葬送 第二部(上)
    第3巻。

    重苦しい空気が漂い、物語の展開も陰鬱であった前二巻とは打って変わって、第二部は華々しいショパンの演奏会で幕を開ける。
    著者自身が曲を聴きこんで聴きこんで、徹底的な取材と分析を重ねて書いたのであろう「紙上演奏会」は圧巻の一言で、読者は鬼気迫るショパンの姿をハラハラしながら見守ることになる。...続きを読む
  • 決壊(上)
    平野啓一郎の比較的新しい小説。上下巻で1000ページ強ってことで、とにかく長い。現代社会における「違和感」や「気持ち悪さ」をあぶり出す表現力はさすがであり、これぞ現代文学って感じ。この人は本当に頭いいね。
  • ウェブ人間論
    ウェブの発展とともに、人間はどう進化していくのか?
    ネットの光の部分、影の部分、各業界、各個人のネットの活用方法を規定するモノはない。
    情報をうまく制御する能力が求められているのだ。
    私は、人間がものすごく成長したり感動したりするのはやっぱり現実の世界だと思うから、ウェブをうまく活用し、現実世界での...続きを読む
  • 決壊(上)
    勉強好きな人の文章って感じ。わかりやすくはないし読みやすくもない。僕は好き。
    なんか細部に目がいってしまって、物語の核というか、著者の「一番主張したいこと」をよく読めてない気がするという反省。現代社会と人間を、その「世界」の脆さという観点から描いてるって感じかねー
  • サロメ
    淫靡! その一言に尽きる。聖人に恋した王女サロメの「わたし、あなたの唇にキスしたいわ」は殺し文句。継父の子への執着、同僚の兵士を見つめる兵士と、禁断の愛要素にも満ちております……!
  • 日蝕・一月物語
    表面的には、硬派な文体を取っている。それでも、どこか暴風のような乱流も感じる。それはまるで、本質そのものを知ってしまったが、若さゆえに、その非情な感情が過剰な顕示欲に結晶化しているような感触だ。確かに硬派な清閑さはあるが、その裡で燃え盛る狂気にも近い情動を感じる。しかもその光景は、無声映画を見るよう...続きを読む
  • 葬送 第二部(下)
    全4巻、やっと読み終わった。去年の秋くらいから読み始め、ゆっくり併読しながら読み進めていった。

    ドラクロワとショパンが邂逅するフランスを描いた重厚な大作だった。この二人を中心に様々な人が登場し、それを通して二人の天才の姿、芸術が語られる。僕の中では、トルストイの小説のような手触りに似ている。トルス...続きを読む
  • 決壊(上)
    比較的面白く読めたが、物語が大きく展開するまで、少々辛抱が必要かもしれない。主人公の人物描写は当然必要なのであろうが、上巻での親友の室田との会話のくだりは食傷気味だ。
     とは言え、「重たい」小説が好きな自分としては、かなりの長編にもかかわらず、すんなりと読めた。
     重犯罪の果てに生起しうる様々な悲劇...続きを読む
  • 日蝕・一月物語
    著者の作品は初めて読んだが、独特の世界観に引き込まれた。
    文章や単語の使い方の分かりにくさはあるにしても、それを上回る魅力たっぷりの作品だった。
    読み応えのありそうな著作が多々ありそうなので、今後も楽しめそうだ。
  • ウェブ人間論
     2006年の書だが、ブログやSNSにおいての自身の人格やポジションについて考えるためのたたき台として良資料。二人の見方がズレていないことも確認できる。

    ・私的なことを公的な場所へ持ち込まない「日本人の古い美徳」があり、むしろリアルな世界で仮面をかぶって生きていかなくてはならない社会性。という環境...続きを読む
  • 決壊(上)
    まだ面白いゾーンまで達してないっぽいけど十分面白い。平野啓一郎好きだな。一つずつの事象の裏に意味を考え過ぎなとことか。
  • 文明の憂鬱
    芥川賞作家・平野啓一郎氏による時事に関するエッセイです。この本を読んでいてとき、狂牛病の話が九州であって、 平野氏はそれより先にこの話題を書いていた箇所を読んで 平野氏の先見の鋭さに驚いたことがあります。

    実のところを申し上げますと、僕が平野啓一郎氏の一連の作品を読もうと思ったのは、ツイッターで平...続きを読む
  • 日蝕・一月物語
    『日蝕』も『一月物語』も単行本で読みました。
    読みづらいとかいう意見はよく聞きましたが、大学時代に、お前の頭の中は別世界か!ってつっこみたくなる哲学書を読まされてばかりだったので、それに比べたら読みやすかったです。漢字もわざと難しいものを用いてますが、文脈でおおよそ読めます。
     逆にこんな漢字がある...続きを読む
  • ウェブ人間論
    島宇宙化していくウェブ世界への懸念を述べる平野氏に対し、自分にあった居場所を見つけられれば人は幸せになれると説く梅田氏。ウェブ世界のみならずリアル世界への両氏の態度の違いが鮮明になる第四章が特に興味深く読めた。この本の刊行後以降もツイッターやフェイスブックなど新たな潮流が生まれているので、それらをふ...続きを読む
  • あなたが、いなかった、あなた
    短編が全部実験ぽくて、筆致も違ってるし、作家さんが楽しんで書いてるんだろうなという感じがします。ただし実験がすご過ぎて物理的に読めない作品?もあります
  • ウェブ人間論
    ★★★★= 80~100点 = I like it.
    インターネットが人間に与える影響を考えさせられる本です。

    こんな人に特にオススメ
    ・ネットなしの生活には戻れない人

    以下、本の内容に触れます(ネタバレあり注意!)。


    内容
    「ウェブ進化論」の梅田望夫と「決壊」の平野啓一郎の
    ネット社会...続きを読む
  • 葬送 第一部(下)
     この巻で主に語られているのはサンド夫人の娘・ソランジュの結婚をめぐる一連の騒動で、それに引っ張られてどんどん読み進めることができたんだけど、読み終わって印象に残るのはやっぱりドラクロワの煩悶だったりします。
     ようやく完成した議員図書室の天井画とそれを見るドラクロワの描写で第一部が完結するからかも...続きを読む
  • 葬送 第一部(上)
    いろいろあって最後にショパンの死と思い込んでいたので、いきなりショパンの葬送で驚いた。

    人間ショパンが生々しい。が、これを読んでもショパンの音楽が理解出来るというのは幻想だけどね。

    面白かった。
  • あなたが、いなかった、あなた
    『フェカンにて』
    小説ってこういう構造にもなりうるって知らなかった。
    さらっと読めるものではなかったのでやや時間かかったけど、そういう残響みたいのが、好き