平野啓一郎のレビュー一覧

  • ウェブ人間論

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    島宇宙化していくウェブ世界への懸念を述べる平野氏に対し、自分にあった居場所を見つけられれば人は幸せになれると説く梅田氏。ウェブ世界のみならずリアル世界への両氏の態度の違いが鮮明になる第四章が特に興味深く読めた。この本の刊行後以降もツイッターやフェイスブックなど新たな潮流が生まれているので、それらをふまえた再度の対談を期待したい。

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    2011年04月22日
  • あなたが、いなかった、あなた

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    短編が全部実験ぽくて、筆致も違ってるし、作家さんが楽しんで書いてるんだろうなという感じがします。ただし実験がすご過ぎて物理的に読めない作品?もあります

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    2011年02月26日
  • ウェブ人間論

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    ★★★★= 80~100点 = I like it.
    インターネットが人間に与える影響を考えさせられる本です。

    こんな人に特にオススメ
    ・ネットなしの生活には戻れない人

    以下、本の内容に触れます(ネタバレあり注意!)。


    内容
    「ウェブ進化論」の梅田望夫と「決壊」の平野啓一郎の
    ネット社会をテーマにした対談。


    感想
     本書に出てくる「ネットは増幅器」とは、
     インターネットの特性を見事に表現した言葉だと思います。

     ネットを使えば、自分の興味のある分野に、
     どこまでも詳しくなることができるような、
     知の増幅器としての機能。

     スーザン・ボイルに見られるように、
     人の感動

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    2011年02月24日
  • 葬送 第一部(下)

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     この巻で主に語られているのはサンド夫人の娘・ソランジュの結婚をめぐる一連の騒動で、それに引っ張られてどんどん読み進めることができたんだけど、読み終わって印象に残るのはやっぱりドラクロワの煩悶だったりします。
     ようやく完成した議員図書室の天井画とそれを見るドラクロワの描写で第一部が完結するからかも知れないですが(しかしこの天井画、ほんとうに見たい……!)
     作中ドラクロワは仕事をするためにアトリエへ行くことへの「抵抗」を、単なる「怠け癖」ではなく「時間の問題」ではないか、というようなことを考え続けていて、最後に完成した天井画の下で「奪われたのは享楽の時ばかりではなかった。彼の生の時そのもので

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    2021年02月19日
  • 葬送 第一部(上)

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    いろいろあって最後にショパンの死と思い込んでいたので、いきなりショパンの葬送で驚いた。

    人間ショパンが生々しい。が、これを読んでもショパンの音楽が理解出来るというのは幻想だけどね。

    面白かった。

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    2010年11月18日
  • あなたが、いなかった、あなた

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    『フェカンにて』
    小説ってこういう構造にもなりうるって知らなかった。
    さらっと読めるものではなかったのでやや時間かかったけど、そういう残響みたいのが、好き

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    2010年10月25日
  • 葬送 第二部(下)

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    襟を正して読んでいた長編がようやく読み終わった。
    昨今主流のストーリィを追いかけ、言葉を読み飛ばしてはいけない小説。
    思いの他、時間がかかったのもやむをえない。

    一昨日、「ショパン伝説のラストコンサート」横浜公演で
    平野氏のお話と朗読を聴く。
    人間ショパンと天才ショパンを描きたかったのだそうだ。

    四巻は人が死ぬこと、いなくなるということの実感について
    絶えず問われ、答えを求めていたように読める。
    フランショームとドラクロワ、ショパンの親友だけが
    真の寂しさと戦い、そして芸術家として飛翔することを
    思わせる結末に、19世紀を生きた彼らの姿が
    今現代の私たちの生活と関わっていくような気がした。

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    2010年09月27日
  • ウェブ人間論

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    『ウェブ進化論』は読んだことがなかったけど、平野啓一郎の『本の読み方 スロー・リーディングの実践』は読んだことがあったので手にとってみました(ちなみに小説はまだ読んだことがない)。
    同じ新潮新書の対談集としては『14歳の子を持つ親たちへ』(内田樹/名越康文)以来で、これはそれとは主題が違うので比べられないのですが、どちらかというとこちらの方が刺激的だったような気がします。というのも対談している二人が文学とITという、全く異なる世界で生きている二人だから。

    随所に見られる二人のネットに対する捉え方の微妙な違いが面白い。おおまかな部分についてはお互い同意している部分も多いけど、もっと深く探ってい

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    2010年08月02日
  • 文明の憂鬱

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    この人は特異な人なんだろうか。視点が面白い。あえて書いているようだが平易なほうがこの人の魅力は上がるように感じる。

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    2010年05月25日
  • ウェブ人間論

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     ここではあくまでも「人間」がテーマの対談。平野氏の言説は、われわれ一般の読者に近い。梅田氏の姿勢も常に寛容であり、器の広さを感じさせる。

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    2010年04月13日
  • 顔のない裸体たち

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    第三者の目を通して冷静に描く主人公二人の描写がリアリティーに溢れ、本当に現実の事件として起こっているのではないかと思うほど。

    平凡な中学校教師<吉田希美子>は、とあるきっかけで出会い系サイトを介し、一人の男性<方原盈>と出会う。<ミッキー>というニックネームを名乗っている間は、現実の地味な<吉田希美子>とは切り離され、大胆に振舞えた。

    インターネット上、特に自分を知るものがいないとき、人は奔放に自分を表現できる。現実社会での「自分」、例えばSNSの中での「自分」。もちろん両者とも「自分」である。
    「本当の自分」とは一体何なのか、少し立ち止まって考えてみるいいきっかけになる一作だと思う。

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    2010年03月27日
  • ウェブ人間論

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    梅田望夫さんと芥川賞作家の平野啓一郎さんの対談を収めた本
    です。
    梅田さんほどはウェブについて詳しくない平野さんが、梅田さん
    とは違った視点からいろいろと聞いてくださっているので、ウェ
    ブについて詳しくない人にも読みやすくなっているのではないで
    しょうか。
    私が聞きたかったことも平野さんが変わりに聞いてくださってい
    る(と勝手に解釈しているのですが)ところもあり、梅田さんの
    考えをもっと深く知りたいという方にもおすすめです。
    対談の良さが本当にプラスに働いている本だと思います。

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    2010年03月10日
  • ウェブ人間論

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    ・ウェブ=外部記憶
    ・ネット上に膨大な情報がある=情報がないに等しい
     -膨大すぎて埋もれてしまう
    ・逆に情報をばらまくことで情報を隠せる
     -一度出た情報そのものを消し去ることは難しい
    ・リアルが充実していない人がネットに傾倒しがち?

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    2009年10月26日
  • 高瀬川

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    表題作。高瀬川。京都の一夜。その「性」をどっぷり。ただ性欲を満たすだけならば小説などなんの意味も立たない。SEX本。心理学本。そんなの意味がない。恍惚感。死の気配。隠された過去。本能。アンバランス。否定。肉体から心まで奪うこと。過去を消しさること。一度傷ついた心。もどらないこと。心の平安を取り戻すこと。二人の絡み合った下着。押し込まれたペットボトル。衝動に駆られて決行した。心と心がどれだけ近づけるか。距離だ。ひとつになれるか。そうでなきゃ。切ないだろ。

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    2011年09月15日
  • ウェブ人間論

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    ネタバレ

    自分が日頃から疑問に思っていることや、うすうす感じ始めていることが明文化されており、「あ。やっぱりそうか。」と思えた。
    (本という媒体がなくならないことに関して)梅田 一覧性とか携帯性とか、やっぱりコンテンツ自身ではなくパッケージ性が重視されているということですよね。
    (グーグルはダークサイド的なものを嫌悪しているのに、中国の検閲を受けたり、アメリカ政府の介入を認めていることについて)梅田 情報を広くあまねく皆に利用可能にするというビジョンを、世の中との軋轢を最小化しつつできる限り実現していくという、プラクティカルな考え方だと思います。
    (ハッカー・エシックスについて)梅田 プログラマーという

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    2020年01月04日
  • 文明の憂鬱

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    好きな作家平野啓一郎さん。梅田望夫さんとの対談本もあったり、はてなでブログ書いていたり、小説はガチな純文学系ですけどけっこうメディア・テクノロジー系も強いのだと思っています。

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    2009年10月04日
  • 高瀬川

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    純文学というのは、とっつきにくくてどうも苦手です。

    「清水」「追憶」は、どうしても読めませんでした。
    「清水」は、阿部公房のような、いわゆるシュールレアリズムというものでしょうか?
    文庫版を電車の中で読んでたら疲れてしまいました。
    「追憶」も同じく。実験的すぎて、頭に入ってこなかった。

    こういう類の作品は、静かなところで落ち着いて読まなければならないな、と思いました。

    「高瀬川」「氷塊」は、見事です。
    丁寧な心象描写にぐいぐいと引き込まれていきます。

    特に「氷塊」に出てくる少年の思春期らしい、真っ直ぐで繊細な感情は、読んでるこちらにもひしひしと伝わってきて、身を切られる思いでした。

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    2009年10月04日
  • 葬送 第一部(上)

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     創造という行為の価値を考える。具体的な作品名が挿入されるおかげでショパンやドラクロワの芸術に浸れる(気分になる)ところも魅力的。

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    2022年11月20日
  • 葬送 第一部(上)

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     ショパンとドラクロワが小説の中心ですが、物語というよりもその二人を通して作者が哲学的・芸術的思索をしているように感じました。しかし人物の心理描写が非常に細かいので、物語としての質は保っています。一月物語などよりも語彙は平易。

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    2009年11月01日
  • 葬送 第一部(上)

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    長い物語です。最期を迎えるまでの人間ショパンを見てください。圧倒的な文書力、平野啓一郎の最高傑作です。

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    2009年10月04日