平野啓一郎のレビュー一覧

  • 本心
    物凄く心に残った一節。
    『僕に今、あの木の緑が、あのように美しく見えていることには、僕が生きていくうえで、必要な意味があるのだった。』

    いつか宇宙の一つになって消えてしまう存在でも、自分が何かを見て美しいと感じる事や、幸せだったと過去を思い返すこと、将来に希望を持つことは、今この時間を生きている自...続きを読む
  • 本心
    生きることに関しての哲学的な表現が多く、理解のために何度も行をなぞることが多かったです。
    全体を通して、どんよりと曇りがかったような重い雰囲気で、若干読んでいて気が滅入る感じでした。
    仮想空間やアバターの話は、そう遠くない未来には実際に有り得そうと思います。
  • ある男
    他人の戸籍を譲り受け、自分の過去を上書きした男の話。男が死んで真相が判る。感動したのは、残された中学生の息子がその調査報告書を読んで、母親と会話を交わす場面。父親の過去を全部受け止めて生きていこうとする姿に胸が熱くなった。
  • 決壊(下)
    一犯罪を取り巻く人々の悲哀がよく書かれている作品。崇を待ち受ける運命はただひたすら暗鬱であるが,それだけに共感をする人も多いのだろう。

    ただ各出来事がダイジェスト的にまとめられており,もっとやってくれれば面白いところなのに……という場面が多かった。オチは無難にまとめられているが,そこで問題提起が終...続きを読む
  • 決壊(上)
    一犯罪を取り巻く人々の悲哀がよく書かれている作品。崇を待ち受ける運命はただひたすら暗鬱であるが,それだけに共感をする人も多いのだろう。

    ただ各出来事がダイジェスト的にまとめられており,もっとやってくれれば面白いところなのに……という場面が多かった。オチは無難にまとめられているが,そこで問題提起が終...続きを読む
  • 小説の読み方
    後半の具体ケースは読んでいないが、小説とは正式でない物語であること、観点のフレームとして、①メカニズム、②発達、③機能、④進化はわかりやすい。プロットの大きな矢印と小さい矢印のバランスはまさにアートだなと思った
  • マチネの終わりに(文庫版)
    『幸福とは、日々経験されるこの世界の表面に、それについて語るべき相手の名前が、くっきりと示されることだった。』
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ
    平野啓一郎さんの実際の体験などをもとに書かれた本。実際に自分の周りにもありそうな実例で正直親近感が湧き、想像しながら読むことができた。ネットの中の姿とリアルの姿。正直私も平野さん同様、どちらが『本当』の姿でもいいと思う。肝心なのは本文にもあるように、一部を見て恣意的に他人が「本当の姿」だと本質を規定...続きを読む
  • ある男
    宮部みゆきの火車を思い出した
    そちらでも言及されていたと思うのだが戸籍とは一体なんなんだろうか
    こんなに簡単に交換などができてしまうものになんの意味があるのだろうか

    戸籍交換をした後に必要ないはずなのに、元の戸籍の持ち主の歴史を背負って振る舞うのは面白かった
    他人になることに快感を覚える描写があっ...続きを読む
  • ある男
    作者が天才過ぎて、難しい表現で話が遠くに飛んでしまうことが多々あった。私には理解できなかった。過去にも現在にも避けられない事実はある中で、みんな幸せになるために今を一生懸命生きてるんだな。
  • 本心
    もう一度読み返すとしたら、主人公がアバターとして働いているところ。自分の中で、ありそうでなかった発想だった。主人公が雇い主の代理で女性に告白したシーンが、なんか色んな感情がグチャ混ぜになってて、好みだった。

    VRやARに関心が湧いた。ゴーグル型の端末買ってみたいと思った。
  • 本心
    ヘッドセット1つで、理想の仮想空間に入り
    理想のアバターの姿で好きな事をする

    大切な人を亡くしても、その人の人格をAIに学ばせて、仮想空間に蘇らせる

    ほんとに、近い将来そんな事が当たり前の時代になるかもしれない

    それが良いことなのか、あるいは危険なことなのか
    考えさせられる作品だ

    たまに難し...続きを読む
  • ある男
    犯罪者の息子は何もしてないけど、被害者側からしたら、犯罪者の息子もきっと許せないだろうな。もし私がそうならば、できれば幸せになって欲しくないし、辛くて惨めに底辺で生きていてほしい。でも、犯罪者の息子からしたら?自分は何もしてないのに、何故日陰で生きねばならないのか。ふついに生きていたいだけなのに。
    ...続きを読む
  • 決壊(下)
    感想
    非常に内面的に切り込んだ作品。言い回しや文学的な表現が多いため、分からない部分もあるが、この作品を通して色々考えさせられることは間違いない。最後に何かどんでん返しがあるかと思ったが、救いようのないまま終わった。

    残された家族の苦しみなど色々考えてしまう。被害者家族も加害者家族も生きていくのが...続きを読む
  • 決壊(上)
    感想
    内面的に複雑な心情描写が多いので、登場人物の心情を容易に理解するのは難しいな。

    兄の崇の話が文学的過ぎて難しい。自分なんかもっと単純に物事を考えて生きてるって思ってしまう。

    上巻の最後になってようやく事件。殺人事件ものの小説で誰かが殺されるまでたどり着くのにここまで長かった小説は記憶にない...続きを読む
  • 本心
    読み始めてすぐは、難しくて少し読みにくく没頭しにくいと感じていたが、中盤からは主人公やその周辺の人のやり取り、心情の変化が面白かった。AIのことは全く詳しくないが、近未来のことを描いているようで自分の身に起こることかもしれないと言う視点で読むことができた。他者の本心なんて100%分かることはないが、...続きを読む
  • 死刑について
    普段はあまり考えない、死刑に関する主張の本でした。元々死刑は必要だと考えていました。
    読み終えて、共感する部分も多かったですが、やはり死刑は必要だという考えは消えませんでした。
    しかし、残された被害者の感情を加害者への憎しみの一点と捉え、そこだけに第三者たちの感情が乗ってしまい、被害者のケアが疎かで...続きを読む
  • 本心
    平野氏の登場人物の感情が細かく描写される文体が個人的には心動かされる。

    バーチャルフィギュア(VF)という見た目も声も性格も限りなく本人に近く作成できるAI技術が発達した時代。
    2024年現在では実現されていないが、近いうちの未来だと思う。
    すごい技術だとは思うが、本人にそっくりな画像だと思うと夢...続きを読む
  • 本心
    近未来の死生観に関するお話でありながら、現代とシンクロしている内容でした。主人公の内面が複雑過ぎて、感情移入が少ししにくかったです。
  • 空白を満たしなさい(下)
    徹生の死の真相や、改めて生きたいという気持ち、3年間にあったことなど次々と明らかになっていく。やっぱりなと思ったけれど、復生者たちが消えてしまうことも…

    徹生が、というより妻の千佳がいたたまれなくて
    千佳のために徹生を生かしてくれないだろうかとも思ったり。
    どんな経緯で死んでも、どんなにやり直した...続きを読む