平野啓一郎のレビュー一覧

  • 日蝕・一月物語

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    表面的には、硬派な文体を取っている。それでも、どこか暴風のような乱流も感じる。それはまるで、本質そのものを知ってしまったが、若さゆえに、その非情な感情が過剰な顕示欲に結晶化しているような感触だ。確かに硬派な清閑さはあるが、その裡で燃え盛る狂気にも近い情動を感じる。しかもその光景は、無声映画を見るように、静かだ。そこに作者自身の強烈な生命力を感じた。

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    2012年03月02日
  • 葬送 第二部(下)

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    全4巻、やっと読み終わった。去年の秋くらいから読み始め、ゆっくり併読しながら読み進めていった。

    ドラクロワとショパンが邂逅するフランスを描いた重厚な大作だった。この二人を中心に様々な人が登場し、それを通して二人の天才の姿、芸術が語られる。僕の中では、トルストイの小説のような手触りに似ている。トルストイはロシア文学だが、似ていると思ったのは、狙ったと思われる古めかしさだけではなく、きっとその当時の国の姿、そこで生きる人々の姿が、主人公達の強い輝きとともに生き生きと語られていたからだろう。

    最も素晴らしかったのは、ショパンの演奏会のシーン、ドラクロワの天井画のシーン。それぞれ、聴覚と視覚、別個

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    2012年02月21日
  • 決壊(上)

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    比較的面白く読めたが、物語が大きく展開するまで、少々辛抱が必要かもしれない。主人公の人物描写は当然必要なのであろうが、上巻での親友の室田との会話のくだりは食傷気味だ。
     とは言え、「重たい」小説が好きな自分としては、かなりの長編にもかかわらず、すんなりと読めた。
     重犯罪の果てに生起しうる様々な悲劇を改めて認識させられ、どっぷりと「哲学的」な思考ができた。
     作者の平野氏は頭のいい人なんだろうなと思う。文章の一つ一つ、表現の細部にわたるまで計算されている。ただ、自身の才能に酔っているのではと感じる個所も多少あった。
     「文学」なんだと思った。

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    2012年02月06日
  • 日蝕・一月物語

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    著者の作品は初めて読んだが、独特の世界観に引き込まれた。
    文章や単語の使い方の分かりにくさはあるにしても、それを上回る魅力たっぷりの作品だった。
    読み応えのありそうな著作が多々ありそうなので、今後も楽しめそうだ。

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    2011年11月16日
  • ウェブ人間論

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    ネタバレ

     2006年の書だが、ブログやSNSにおいての自身の人格やポジションについて考えるためのたたき台として良資料。二人の見方がズレていないことも確認できる。

    ・私的なことを公的な場所へ持ち込まない「日本人の古い美徳」があり、むしろリアルな世界で仮面をかぶって生きていかなくてはならない社会性。という環境においてWEBは個々のアイデンティティを豊かで確固たるものにしていく大切な道具である。

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    2011年11月15日
  • 文明の憂鬱

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    芥川賞作家・平野啓一郎氏による時事に関するエッセイです。この本を読んでいてとき、狂牛病の話が九州であって、 平野氏はそれより先にこの話題を書いていた箇所を読んで 平野氏の先見の鋭さに驚いたことがあります。

    実のところを申し上げますと、僕が平野啓一郎氏の一連の作品を読もうと思ったのは、ツイッターで平野氏に送ったメッセージになんと、平野氏ご本人から返事を貰ったからという実に単純な理由からでした。でも、高校時代に『日蝕』で挫折して以来、彼が文句なしの天才なことは分かっているのですが、正直言ってどうもとっつきにくかったので、小説はともかくとしてエッセイからまずは始めてみようと思って手にとって読んでみ

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    2013年08月18日
  • 日蝕・一月物語

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    『日蝕』も『一月物語』も単行本で読みました。
    読みづらいとかいう意見はよく聞きましたが、大学時代に、お前の頭の中は別世界か!ってつっこみたくなる哲学書を読まされてばかりだったので、それに比べたら読みやすかったです。漢字もわざと難しいものを用いてますが、文脈でおおよそ読めます。
     逆にこんな漢字があるんだと新しい発見もあったりして、別の楽しみもあります。

     

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    2017年08月15日
  • ウェブ人間論

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    島宇宙化していくウェブ世界への懸念を述べる平野氏に対し、自分にあった居場所を見つけられれば人は幸せになれると説く梅田氏。ウェブ世界のみならずリアル世界への両氏の態度の違いが鮮明になる第四章が特に興味深く読めた。この本の刊行後以降もツイッターやフェイスブックなど新たな潮流が生まれているので、それらをふまえた再度の対談を期待したい。

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    2011年04月22日
  • あなたが、いなかった、あなた

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    短編が全部実験ぽくて、筆致も違ってるし、作家さんが楽しんで書いてるんだろうなという感じがします。ただし実験がすご過ぎて物理的に読めない作品?もあります

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    2011年02月26日
  • ウェブ人間論

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    ★★★★= 80~100点 = I like it.
    インターネットが人間に与える影響を考えさせられる本です。

    こんな人に特にオススメ
    ・ネットなしの生活には戻れない人

    以下、本の内容に触れます(ネタバレあり注意!)。


    内容
    「ウェブ進化論」の梅田望夫と「決壊」の平野啓一郎の
    ネット社会をテーマにした対談。


    感想
     本書に出てくる「ネットは増幅器」とは、
     インターネットの特性を見事に表現した言葉だと思います。

     ネットを使えば、自分の興味のある分野に、
     どこまでも詳しくなることができるような、
     知の増幅器としての機能。

     スーザン・ボイルに見られるように、
     人の感動

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    2011年02月24日
  • 葬送 第一部(下)

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     この巻で主に語られているのはサンド夫人の娘・ソランジュの結婚をめぐる一連の騒動で、それに引っ張られてどんどん読み進めることができたんだけど、読み終わって印象に残るのはやっぱりドラクロワの煩悶だったりします。
     ようやく完成した議員図書室の天井画とそれを見るドラクロワの描写で第一部が完結するからかも知れないですが(しかしこの天井画、ほんとうに見たい……!)
     作中ドラクロワは仕事をするためにアトリエへ行くことへの「抵抗」を、単なる「怠け癖」ではなく「時間の問題」ではないか、というようなことを考え続けていて、最後に完成した天井画の下で「奪われたのは享楽の時ばかりではなかった。彼の生の時そのもので

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    2021年02月19日
  • 葬送 第一部(上)

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    いろいろあって最後にショパンの死と思い込んでいたので、いきなりショパンの葬送で驚いた。

    人間ショパンが生々しい。が、これを読んでもショパンの音楽が理解出来るというのは幻想だけどね。

    面白かった。

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    2010年11月18日
  • あなたが、いなかった、あなた

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    『フェカンにて』
    小説ってこういう構造にもなりうるって知らなかった。
    さらっと読めるものではなかったのでやや時間かかったけど、そういう残響みたいのが、好き

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    2010年10月25日
  • 葬送 第二部(下)

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    襟を正して読んでいた長編がようやく読み終わった。
    昨今主流のストーリィを追いかけ、言葉を読み飛ばしてはいけない小説。
    思いの他、時間がかかったのもやむをえない。

    一昨日、「ショパン伝説のラストコンサート」横浜公演で
    平野氏のお話と朗読を聴く。
    人間ショパンと天才ショパンを描きたかったのだそうだ。

    四巻は人が死ぬこと、いなくなるということの実感について
    絶えず問われ、答えを求めていたように読める。
    フランショームとドラクロワ、ショパンの親友だけが
    真の寂しさと戦い、そして芸術家として飛翔することを
    思わせる結末に、19世紀を生きた彼らの姿が
    今現代の私たちの生活と関わっていくような気がした。

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    2010年09月27日
  • ウェブ人間論

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    『ウェブ進化論』は読んだことがなかったけど、平野啓一郎の『本の読み方 スロー・リーディングの実践』は読んだことがあったので手にとってみました(ちなみに小説はまだ読んだことがない)。
    同じ新潮新書の対談集としては『14歳の子を持つ親たちへ』(内田樹/名越康文)以来で、これはそれとは主題が違うので比べられないのですが、どちらかというとこちらの方が刺激的だったような気がします。というのも対談している二人が文学とITという、全く異なる世界で生きている二人だから。

    随所に見られる二人のネットに対する捉え方の微妙な違いが面白い。おおまかな部分についてはお互い同意している部分も多いけど、もっと深く探ってい

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    2010年08月02日
  • 文明の憂鬱

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    この人は特異な人なんだろうか。視点が面白い。あえて書いているようだが平易なほうがこの人の魅力は上がるように感じる。

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    2010年05月25日
  • ウェブ人間論

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     ここではあくまでも「人間」がテーマの対談。平野氏の言説は、われわれ一般の読者に近い。梅田氏の姿勢も常に寛容であり、器の広さを感じさせる。

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    2010年04月13日
  • 顔のない裸体たち

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    第三者の目を通して冷静に描く主人公二人の描写がリアリティーに溢れ、本当に現実の事件として起こっているのではないかと思うほど。

    平凡な中学校教師<吉田希美子>は、とあるきっかけで出会い系サイトを介し、一人の男性<方原盈>と出会う。<ミッキー>というニックネームを名乗っている間は、現実の地味な<吉田希美子>とは切り離され、大胆に振舞えた。

    インターネット上、特に自分を知るものがいないとき、人は奔放に自分を表現できる。現実社会での「自分」、例えばSNSの中での「自分」。もちろん両者とも「自分」である。
    「本当の自分」とは一体何なのか、少し立ち止まって考えてみるいいきっかけになる一作だと思う。

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    2010年03月27日
  • ウェブ人間論

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    梅田望夫さんと芥川賞作家の平野啓一郎さんの対談を収めた本
    です。
    梅田さんほどはウェブについて詳しくない平野さんが、梅田さん
    とは違った視点からいろいろと聞いてくださっているので、ウェ
    ブについて詳しくない人にも読みやすくなっているのではないで
    しょうか。
    私が聞きたかったことも平野さんが変わりに聞いてくださってい
    る(と勝手に解釈しているのですが)ところもあり、梅田さんの
    考えをもっと深く知りたいという方にもおすすめです。
    対談の良さが本当にプラスに働いている本だと思います。

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    2010年03月10日
  • ウェブ人間論

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    ・ウェブ=外部記憶
    ・ネット上に膨大な情報がある=情報がないに等しい
     -膨大すぎて埋もれてしまう
    ・逆に情報をばらまくことで情報を隠せる
     -一度出た情報そのものを消し去ることは難しい
    ・リアルが充実していない人がネットに傾倒しがち?

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    2009年10月26日