平野啓一郎のレビュー一覧

  • ウェブ人間論
    梅田望夫と平野啓一郎との対談本。
    9年前に発行された本だが、梅田望夫のウェブに対する見方はおおむね合っているのかなと感じた。
    細かいところを見れば確かに違う進化の仕方をしたものも見られるが、彼の主張の根本の部分はその通りであったなぁと見ます。
  • 葬送 第二部(下)
    やっと読み終わった。
    とにかく凄いボリュームで、それはページ数や文字数ということでなく、話の重さ、文章、世界観、何をとっても凄いボリュームであった。

    私が読んだ本の中では、共に過ごした時間が一番長い作品だったと思う。

    カタカナの名前が主人公である小説は大の苦手だが、これだけ長いと誰が誰なのか明確...続きを読む
  • 決壊(下)
    サラリーマン沢野良介は、妻と息子との三人暮らしをする平凡な男。
    良介の兄崇は優秀で、そんな兄への羨望や嫉妬といった日常の思いをネットブログに記していた。
    中学生北崎友哉は、クラスメイト女子への叶わぬ恋心と、その女子の恋人からの暴力に耐えるといった鬱屈した思いから、殺人への夢想を膨らませていた。
    ある...続きを読む
  • 葬送 第二部(上)
    読み終わるのに半月もかかってしまった・・・。

    3冊目に入り、益々内容が濃くなっていく。
    私とショパン、ドラクロワ達と共有する時間もどんどん増えて、あらゆる想像を巡らせながらページを捲っていった。

    あぁやっとここまで来たか・・・

    でももう、あと残り一冊しかないのか・・・
  • 決壊(上)
    主人公のイメージが平野啓一郎にそのままあてはまるので、そのつもりで読み進めてみる。

    実際に主人公の行動や考えには、たぶんに著者の思想も含まれているんだと思われる。

    知的で冷静な主人公が、事件に巻き込まれ、壊れていくまで。
    人身事故で電車が止まることに慣れすぎているように、他者の深い闇を想像するこ...続きを読む
  • サロメ
    まるで完成された素晴らしい絵画のように、陰惨ながらもとても美しい物語でした。最後の、サロメがヨカナーンの首にキスをする場面が好きです。恐ろしく、グロテスクで、不条理極まりない、けれど完全に純粋な恋。美しい、と思います。
  • 決壊(下)
    真犯人は誰なのか?悪魔は?離脱者とは?…登場人物たちの疑念や憎しみの連鎖、中傷、哀しみ、怒り、様々な感情がなだれ込んできて、読みながら絶望的な思いに包まれた。赦しって何なのか?本当の自分って?平野文学の真骨頂、分人の要素をとりいれつつ…人から見た自分など、関わりや内面、人間の濃い色の部分がとても深く...続きを読む
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

    ありがとう分人主義

    大変現実に即したわれわれの精神の捉え方で、観察的にも統計的にも物理的にも、この説明がしっくりくるし、具体的な問題解決の方法も見えてくる。
    発明、発見!
  • 葬送 第二部(上)
    名文の嵐。天才を描けるのは天才だけなのだ。が、いかんせん読むのは苦行のようだった。タイトル通りで全編通してとにかく薄暗い。特に第二部は、ずーーーーーっとショパンが追い詰められてて死にそうで死にそうでなかなか死なない。つらい。
  • 「生命力」の行方――変わりゆく世界と分人主義
    平野啓一郎さんの、知識の広さや、感性の多様さがわかる本。他の著書やコラムなどで読んだ内容もありましたが、様々な切り口の対談などは、とても読みやすく面白かった。まだ読んでない平野作品を読みたくなった。
  • 賢人の読書術
    各人で言ってることが反発しあってたりする

    が、絶対的に正しい読書法がない以上、誰か一人の読書術を読むよりも複数人の読み方を知った方がいいと思う
  • 決壊(上)
    文才があるというのは、この人のような人を言うのだろうなと思う。そう感じる本を読むと、本を読むことは好きだが、作家には絶対なれないなと感じさせる。そんな感じの本。
    文体が哲学的で癖があるので、合わない人もたくさん居るだろうと思うけれど、私はぐいぐい引き込まれ、あっという間に読めた。
  • 高瀬川
     近作『空白を満たしなさい』の感想ツイートがわたしのTLを潤す今日このごろ、待って待ってまだ追いかけ切れてない作品いっぱいあるねん!! ということで読んでみた『高瀬川』。
     ざっくり言うとおもしろかったです。

    ■清水
     この人の小説には、いつも説明が明晰すぎるところがあると思う。「存在が、――そう...続きを読む
  • 葬送 第一部(上)
    ずっと気になっていた作品。
    美術の方に関しては全くといっていいほど知識がないため、分からない部分も多かったが、ショパンとサンド夫人との関係、ドラクロワとの関係、サンド夫人の家族との関係がとても興味深く、すんなりと読み進められた。もっと暗くて堅くて読みにくいのかとも思っていたけど、そんなこともなく、読...続きを読む
  • 葬送 第二部(上)
    第2部は、愛人と別れた傷心のショパンが久しぶりの演奏会を開催するところから始まる。この演奏会におけるショパンの内面、外面の表現がすごい。
    やがて革命が起こった影響で、イギリスへ向かうショパン。病は進み、イギリスの文化とも相容れない。一方、ドラクロワは、親友との関係に悩む。
    第一部後半からのストーリー...続きを読む
  • 葬送 第一部(下)
    第一部下巻。ショパンの愛人の娘が身持ちの悪さで有名な彫刻家と結婚することになり、物語は急展開。登場人物の感情表現の細かさ深さに圧倒されつつ引き込まれる。一方でドラクロワは全身全霊をこめて大作を完成させるが、最後に完成された作品を眺めて、自らに驚愕する場面が凄い。
    とにかく隙のない、密度の物凄く濃い小...続きを読む
  • 高瀬川
    小説は、他者と自己の関係というテーマを絶えず題材としてきた。

    そんな中で、タイトルにもなっている「高瀬川」という短編は、男女の性にからんだ人間の関係性を、男と女がホテルで一夜を過ごすというシチュエーションで、こんなにリアルに掘り下げることができるのか、と驚かされる作品だった。

    遠い昔にサトウトシ...続きを読む
  • ディアローグ
    今まで読んだ小説家の対談集は、作家同士のダイアローグが多かったので、起業家、映画監督、建築家、宗教家から文豪まで多岐にわたっていて、筆者の関心領域の広さに素直に驚いた。一方で、対談相手も高橋源一郎や瀬戸内寂聴のように、「三島の再来」と言われた筆者の素顔を引き出そうと逆質問を仕掛けたりと、ただ「ダベリ...続きを読む
  • 文明の憂鬱
    10年以上前の随筆集。日常的な生活の変化(進歩)が人間の思想、人間関係、感情に与える微妙な影響を考察し、それがやがて文明社会の在り方に変化をもたらしていく考察を丹念に行っている。そのため、全然古びていない。難解な文体を操る小説家は、自らの思考過程をこんなにもストレートに、かつ深く、それでいて簡潔に書...続きを読む
  • 日蝕・一月物語
     ルビなしでは読めない漢字の連なりで、読み続けることができるか不安なままページを進めるうちに、この漢字を含めた表現力に引き釣りこまれていきました。 自分にもう少し、中世キリスト教の基礎知識があったらなぁとも思いました。
     科学ではまだ解き明かされない領域の広いころを舞台にしているて、この「日蝕」も「...続きを読む