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千八百四十八年二月、大好評を博したショパン六年ぶりの演奏会の一週間後、フランス二月革命が勃発する。民衆の怒濤の奔流は、首相の解任、王の退位を実現し、共和国を生み出した。貴族達の惑乱と不安、活気づく民衆。ショパンは英国に移るが、過酷な演奏旅行を強いられ、体調は悪化する。一方ドラクロワは、ある画家の評伝の執筆にとりかかる。時代の巨大なうねりを描く第二部前編。
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Posted by ブクログ
ショパンのピアノ観、演奏。夫の凡人性を自覚したヴィヨ夫人とその後のヴィヨ。ミツキェヴィチのイデオロギー、宗教にとらわれていくさま。スターリング嬢の愛によって正当化した暴走ぶり。サンドのショパンを忘れた日常。ショパンを通して語られた母語が人生に持つ意味。ドラクロワとヴィヨ夫人による天才論も白眉。
購入済み 内容(「BOOK」データベースより) 千八百四十八年二月、大好評を博したショパン六年ぶりの演奏会の一週間後、フランス二月革命が勃発する。民衆の怒涛の奔流は、首相の解任、王の退位を実現し、共和国を生み出した。貴族達の惑乱と不安、活気づく民衆。ショパンは英国に移るが、過酷な演奏旅行を強いられ...続きを読む、体調は悪化する。一方ドラクロワは、ある画家の評伝の執筆にとりかかる。時代の巨大なうねりを描く第二部前編。 もう入れ込みすぎていて 「ショパン」の史実に基づいて書かれた小説だというのを忘れてしまう。 こんなこと続けたらショパン死んじゃうじゃない! とか 本気で怒りながら読んでいる自分がいる(汗) もう決まっていることなのにはらはらしてしまう。 7月革命後イギリスでの生活で疲弊していくショパンが痛々しくて。 さてこれから続きよみますか(^^♪
2部は革命が絡んでくる。それから、ショパンの死期を早めたといわれるイギリス行。前々からスターリング嬢というヤツはバカじゃないかと思ってたけど、なるほどそういうわけだったのか……。空気読めないっぷりが痛々しい。 全てにおいて丹念な描写なのに無駄がないのがすごい。ショパンのリサイタルのシーンは圧巻の...続きを読む描写力。音楽が文章になっている!?!?
冒頭から始まる、ショパンの演奏会の描写で一気に引き込まれました。文字から音楽が聞こえてくるような。その演奏を是非とも聞いてみたいと思いました。あぁ、あの当時に録音技術があれば。他には、ドラクロワの語る「芸術とは」「才能とは」が印象的でした。著者の考えを一番代弁しているのが彼なのかな、と思います。
この人は、文章で絵を描き、文章で音楽を奏でるすごい人です。特に第2部の始めで展開される、ショパンの演奏会の描写。繊細、大胆、優雅、華やか、小心、独創、芸術、思わず、ショパンの生演奏を聴きたくなった。あの難しい曲を作曲した人が、生で演奏するわけなんだから、それはそれは感動的な代物になるのだろうと思う。
ショパンが演奏会をするらしい! パリの社交界は噂で賑わった 『ピアノの周りに集まった親しい友人の胸の奥に巣食う本人すらも定かには知らない秘密にそっと触れ、彼らの無言の告白を自然に引き出してやるような演奏』 を好んでいたショパンがなぜ? それはショパンをどうしても元気づけたく、 そして、収入を得た...続きを読む上で、また作曲に没頭できるようにとの仲間たちの愛だった 誰一人としてショパンをほっておくことは できなかったのでしょう 演奏会の一週間後3月革命が勃発 かつての愛人サンドの活躍や訳のわからない 世間から逃れるようにショパンは イギリスに移る スターリング嬢の思惑通りイギリス、スコットランドで演奏や、挨拶周りなどこなすうちに ショパンの体調はどんどん悪くなっていく 一方でドラクロワは親友とのすれ違い、わだかまりを抱えたまま、憂鬱な日々を過ごす 時代の流れの中で必死に生きる 歴史上の人々 こんな身動きの取れない時代だったからこそ 今尚残る名作が生まれたのだろうか? ショパンの体調が悪すぎてつらい そこまでして何が得られたのか? いよいよ最終巻に突入です
ここでは各登場人物の紹介をしたい 個人的な目線なので偏っていることをご了承いただきたい ■ショパン リサイタルを好まず、小さなサロンでの演奏会や作曲活動、教育活動の方が好きな音楽家 教え方は熱心だったようだ 繊細、優美、(この辺りは想像通り)感情的にならず、醜い心もできるだけ表に出さずジェントル...続きを読むな姿を披露 大きなリサイタルが嫌いなのも納得ができるほどの繊細ぶり(悪く言えば神経質) 一方身に着けるものなど、結構な浪費家 それほどお金があったわけでもない割に贅沢さを随所に感じる 人に対しては誠実な印象 とにかく愛された音楽家であることがよくわかる 皆がショパンを助けようと一生懸命で必死だ ショパンが気を回さないよう気づかれないようショパンを援助する人たちがいかに多いことか 皮肉なことにショパンの愛情は報われなかった そう、サンド夫人とその娘に対する愛情だ さらに悲しいことに彼女らには届かなかっただろうが、長年にわたり相当深かったであろうと感じる そしてショパンの才能をあらわした文章 ~六週間もかかって何度も書き直した数小節が、まるで一分と掛けずに書き上げられたかのような自然さ 苦しみ抜いた挙句に発した声が賛美歌のように明るく美しい~ ショパンは感覚的でなく、緻密にロジックを以て芸術を突き詰めるタイプだったようだ ■ドラクロワ 画家 「民衆を導く自由の女神」が有名で個人的にも好きである かなり理屈っぽくこだわりがあり、自分の芸術に対する強い思想を感じる 寂しがりやで「孤独だ!孤独だ!」と嘆いている割に、人に愚痴ったり、人に会いに行ったりして、気を晴らしたりもする 他人とのコミュニケーションより、無意識に自分の芸術が最優先してしまう…というタイプ 人と考えを分かち合いたいのに、なかなかわかってくれないと寂しく思っているあたり、自分の才能をわかっているんだかいないのかしら? 家族に恵まれないタイプだが、彼の性格の災いもある気がする それでもフォルジェ男爵夫人という、なかなか好感もてる愛人とそれなりにうまくやっていく 内省的に思考(長考)するタイプで彼の独演会があちこちに出てくる 悲痛な心の悩みだろうが、凡人からすると贅沢な悩みに聞こえる(だからひがまれ敬遠されるんじゃないのかなぁ 天才ゆえの悲しさである) ただ、芸術に対するウンチクは面白いし、参考になることも多々あった (どんなに激しい気持ちを表現しようとしても、綺麗に演出することの大切さ…など為になった) ■サンド夫人 ショパンの愛人 小説家 女手で子供たちを育て上げ、小説家として独立し、政治活動にも参加する精力的な女性 勝手はイメージはショートカットでパンツにピンヒール(時代が違うけど…) そのせいか自分の考えに自信満々で人からの意見は受け入れられないタイプ 当然プライドも高い ショパンのことも「年下で子供を育てたこともないくせに!」と心で思っているため、聞く耳を持たない 娘に対しても同様、「これだけ愛情をかけてあげているのに、どうしてわからないのかしら? 一体何が不満なのかしら?…」 本気で理解できないし、しようとしない うーん、困った人だ ■ソランジュ サンド夫人の娘 母親からの愛情が希薄だと思い込み、素直になれず、ひねくれたものの見方をしている だが母親の存在を常に感じ続け、完全に母親を断ち切れない また思い込みが激しく、世間に疎く幼稚 ショパンは彼女の性格をわかっている上で、それでもとても大切にしている ■スターリング嬢 ショパンが大大大好きなスコットランド貴族 この方は非常に厄介だ 決して悪い人物ではない 彼女のショパンにたいする愛情は純真で、誠実で、一生懸命だ ただ気持ちが純粋過ぎるせいか、その気持ちにばかり夢中になり、ある意味ショパンを追い詰める羽目に ええ、ショパンのことを思っての行動なんですよね? わかるんだけど、そこまでするとショパンがほらますます追い詰められるでしょうに! 最後は彼女の善意がショパンをがんじがらめに追い詰め、体調が悪化する… この人をみていると愛情というのはバランスが大切だと実感 他にも、魅力的な人物や、いけすかないやつや、面白い人や、素敵な女性や… たくさんの個性的な登場人物に事欠かない上、彼らの心理描写も深く掘り下げられるのでドラマ性がある内容になっている 次回はとうとう最終巻となる
ショパンの演奏会が開催されることになり、多くの人びとの注目が集まるなかで彼の芸術観が反映された演奏を、著者が緻密な文章で描写しています。しかしその後、フランス革命の勃発によってパリの街は混乱の渦に飲み込まれ、ショパンはジェイン・スターリング嬢にみちびかれてイギリスへわたることになります。しかしそこで...続きを読むの生活は、彼の意に染むものではありませんでした。 一方ドラクロワも、フランス革命の混乱のなかでみずからの作品を守る術を考えます。そんななか、親友で銅版画家のフレデリック・ヴィヨが、ルーブル美術館の絵画部門部長に就任したという報せを受け、さまざまな思いが彼の胸を駆けめぐります。ヴィヨの家を訪れたドラクロワは、ヴィヨの妻を相手に「天才」についての思索を語ります。 カントの『判断力批判』における天才論などを参照しながら展開されるドラクロワの議論では、創造能力と判定能力を区別して、前者をさずかった者こそが天才であり、自然はそうした天才を通じて創造を実現するという主張が展開されています。その一方で著者は、ショパンの演奏会の魅力をことばを通して緻密にえがきだすという試みをおこなっています。本作は、19世紀に完成された「小説」のスタイルを模倣する試みだとされていますが、上のような一見矛盾するかのような試みは、「小説」の形式にのっとりつつも、そうした「形式」そのものを内側から問いなおす試みということができるでしょう。そうした意味で、本作はやはり現代小説であるというべきであるように感じました。
読み終わるのに半月もかかってしまった・・・。 3冊目に入り、益々内容が濃くなっていく。 私とショパン、ドラクロワ達と共有する時間もどんどん増えて、あらゆる想像を巡らせながらページを捲っていった。 あぁやっとここまで来たか・・・ でももう、あと残り一冊しかないのか・・・
名文の嵐。天才を描けるのは天才だけなのだ。が、いかんせん読むのは苦行のようだった。タイトル通りで全編通してとにかく薄暗い。特に第二部は、ずーーーーーっとショパンが追い詰められてて死にそうで死にそうでなかなか死なない。つらい。
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平野啓一郎
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