【感想・ネタバレ】葬送 第二部(上)のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

今回もかなり盛りだくさんでした。
✔︎ショパンのピアノ論(リストとの比較)
✔︎ショパンの演奏会
 →表現が秀逸過ぎて音色が聞こえるようだった
✔︎人々のショパンの演奏会の感想(技術面に特化した)に対してのドラクロワの反発
 →分析よりも驚嘆が先に来るはずだというドラクロワの芸術論。「知識の増加が感性の摩耗を招くというのは、どうした不幸な現象だろう?」
✔︎フォルジェ男爵夫人の恋心と葛藤
 →会えない寂しさと、会うことによって生じる寂しさ
✔︎ドラクロワの天才としての葛藤、それをヴィヨに言えなくなってしまった気まずさ
✔︎ショパンの事故
 →死への恐怖よりもピアノが弾けなくなる恐怖の方が大きい
✔︎ドラクロワの花の模写
 →「個々の事物を意味の交わりに於て眺めるのではなく、その色の関係に於てのみ観ることに彼は強い安堵と心地好さとを感じた。」

0
2023年03月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

二月革命の余波で,貴族に対するピアノレッスンによる生活が立ちゆかなくなり,病身を押してのイギリス渡航を決行するショパン.しかし,それはショパンの体をさらに弱らせるばかりであった.一方,天井画を完成させたドラクロアは革命後も上手く立ち回るのだが,友人ヴィヨに関してショックな出来事が起こる.
時代と病に翻弄されるショパンを軸に話が展開するが,ドラクロワとヴィヨ夫人による天才についての談義も心に残る.

0
2016年10月25日

Posted by ブクログ

ショパンのピアノ観、演奏。夫の凡人性を自覚したヴィヨ夫人とその後のヴィヨ。ミツキェヴィチのイデオロギー、宗教にとらわれていくさま。スターリング嬢の愛によって正当化した暴走ぶり。サンドのショパンを忘れた日常。ショパンを通して語られた母語が人生に持つ意味。ドラクロワとヴィヨ夫人による天才論も白眉。

0
2016年01月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ショパンの演奏会のシーンが素晴らしい。
個人的にはバカみたいに鍵盤に指を叩きつけるような演奏が好きなのですが、ショパンの考えたピアノという楽器の使い方を聴いてみたくなった。

その後英国に移り、ショパンの体調は悪化する。
あんなもん、スターリング嬢に体調を悪化させられたようなものだ。
ショパンかわいそう。。。

0
2012年03月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

天才音楽家ショパン。
生きたいと願いつつも病に冒されてゆく「生」。

ショパンの友人であった天才画家ドラクロワ。
老いを感じいつか訪れる死を感じながら生きる「生」。

この本はショパンやドラクロワの生きた1800年代においても2000年を過ぎた現代においても共通する主題で描かれている。それは「生と死」についてであり、芸術論であり、人間関係である。

ショパンという偉大な天才もドラクロワという偉大な天才もひとりの人間として描かれている。
当時彼らは200年先の現在においてこれほど有名であるとは知らず、いち音楽家としていち画家としてその天才に翻弄されながら現代と同じように凡人と同じように人間関係に悩みながら生きている。

ショパンとドラクロワふたりの天才を中心に、ショパンの恋人である小説家であり革命家であるジョルジュ・サンドやその娘、ふたりの友人たちが登場する群像劇でもある。

多くの登場人物がいることで、口では語らず胸中で語るそれぞれの人の思いの交錯の描写が実に興味をそそられる。
現代(いま)も同じである。相手を思い、心中を察し、言葉を選ぶ。
また逆に相手の言葉から相手の本質や心中を垣間見たり詮索したりする。
そして自分の発した言葉や示した態度に嫌悪したり後悔したりもする。

この作品は、様々な人間の様々な性格、様々な考え方というものがいつの世も変わらないのだと知らしてくれる。
生と死というモチーフはいつの時代でも変わらず、天才であろうが凡人であろうが変わらず、芸術家の作品に対する思いもやはりいつの時代でも変わらない。
人間関係の煩わしさとそれによる幸福もいつの時代もどんな人間でも変わらない。

作者が言いたいことを作品として読みやすく分かりやすくするためには、ショパンとドラクロワというふたりの天才、そしてその時代が必要だったのかもしれない。

0
2011年03月09日

Posted by ブクログ

購入済み

内容(「BOOK」データベースより)
千八百四十八年二月、大好評を博したショパン六年ぶりの演奏会の一週間後、フランス二月革命が勃発する。民衆の怒涛の奔流は、首相の解任、王の退位を実現し、共和国を生み出した。貴族達の惑乱と不安、活気づく民衆。ショパンは英国に移るが、過酷な演奏旅行を強いられ、体調は悪化する。一方ドラクロワは、ある画家の評伝の執筆にとりかかる。時代の巨大なうねりを描く第二部前編。

もう入れ込みすぎていて
「ショパン」の史実に基づいて書かれた小説だというのを忘れてしまう。
こんなこと続けたらショパン死んじゃうじゃない!
とか
本気で怒りながら読んでいる自分がいる(汗)
もう決まっていることなのにはらはらしてしまう。

7月革命後イギリスでの生活で疲弊していくショパンが痛々しくて。

さてこれから続きよみますか(^^♪

0
2010年04月22日

Posted by ブクログ

 2部は革命が絡んでくる。それから、ショパンの死期を早めたといわれるイギリス行。前々からスターリング嬢というヤツはバカじゃないかと思ってたけど、なるほどそういうわけだったのか……。空気読めないっぷりが痛々しい。
 全てにおいて丹念な描写なのに無駄がないのがすごい。ショパンのリサイタルのシーンは圧巻の描写力。音楽が文章になっている!?!?

0
2009年11月19日

Posted by ブクログ

冒頭から始まる、ショパンの演奏会の描写で一気に引き込まれました。文字から音楽が聞こえてくるような。その演奏を是非とも聞いてみたいと思いました。あぁ、あの当時に録音技術があれば。他には、ドラクロワの語る「芸術とは」「才能とは」が印象的でした。著者の考えを一番代弁しているのが彼なのかな、と思います。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

この人は、文章で絵を描き、文章で音楽を奏でるすごい人です。特に第2部の始めで展開される、ショパンの演奏会の描写。繊細、大胆、優雅、華やか、小心、独創、芸術、思わず、ショパンの生演奏を聴きたくなった。あの難しい曲を作曲した人が、生で演奏するわけなんだから、それはそれは感動的な代物になるのだろうと思う。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

ここでは各登場人物の紹介をしたい
個人的な目線なので偏っていることをご了承いただきたい


■ショパン
リサイタルを好まず、小さなサロンでの演奏会や作曲活動、教育活動の方が好きな音楽家
教え方は熱心だったようだ
繊細、優美、(この辺りは想像通り)感情的にならず、醜い心もできるだけ表に出さずジェントルな姿を披露
大きなリサイタルが嫌いなのも納得ができるほどの繊細ぶり(悪く言えば神経質)
一方身に着けるものなど、結構な浪費家
それほどお金があったわけでもない割に贅沢さを随所に感じる
人に対しては誠実な印象
とにかく愛された音楽家であることがよくわかる
皆がショパンを助けようと一生懸命で必死だ
ショパンが気を回さないよう気づかれないようショパンを援助する人たちがいかに多いことか
皮肉なことにショパンの愛情は報われなかった
そう、サンド夫人とその娘に対する愛情だ
さらに悲しいことに彼女らには届かなかっただろうが、長年にわたり相当深かったであろうと感じる
そしてショパンの才能をあらわした文章
~六週間もかかって何度も書き直した数小節が、まるで一分と掛けずに書き上げられたかのような自然さ
苦しみ抜いた挙句に発した声が賛美歌のように明るく美しい~
ショパンは感覚的でなく、緻密にロジックを以て芸術を突き詰めるタイプだったようだ

■ドラクロワ
画家
「民衆を導く自由の女神」が有名で個人的にも好きである
かなり理屈っぽくこだわりがあり、自分の芸術に対する強い思想を感じる
寂しがりやで「孤独だ!孤独だ!」と嘆いている割に、人に愚痴ったり、人に会いに行ったりして、気を晴らしたりもする
他人とのコミュニケーションより、無意識に自分の芸術が最優先してしまう…というタイプ
人と考えを分かち合いたいのに、なかなかわかってくれないと寂しく思っているあたり、自分の才能をわかっているんだかいないのかしら?
家族に恵まれないタイプだが、彼の性格の災いもある気がする
それでもフォルジェ男爵夫人という、なかなか好感もてる愛人とそれなりにうまくやっていく
内省的に思考(長考)するタイプで彼の独演会があちこちに出てくる
悲痛な心の悩みだろうが、凡人からすると贅沢な悩みに聞こえる(だからひがまれ敬遠されるんじゃないのかなぁ 天才ゆえの悲しさである)
ただ、芸術に対するウンチクは面白いし、参考になることも多々あった
(どんなに激しい気持ちを表現しようとしても、綺麗に演出することの大切さ…など為になった)

■サンド夫人
ショパンの愛人
小説家
女手で子供たちを育て上げ、小説家として独立し、政治活動にも参加する精力的な女性
勝手はイメージはショートカットでパンツにピンヒール(時代が違うけど…)
そのせいか自分の考えに自信満々で人からの意見は受け入れられないタイプ
当然プライドも高い
ショパンのことも「年下で子供を育てたこともないくせに!」と心で思っているため、聞く耳を持たない
娘に対しても同様、「これだけ愛情をかけてあげているのに、どうしてわからないのかしら?
一体何が不満なのかしら?…」
本気で理解できないし、しようとしない
うーん、困った人だ

■ソランジュ
サンド夫人の娘
母親からの愛情が希薄だと思い込み、素直になれず、ひねくれたものの見方をしている
だが母親の存在を常に感じ続け、完全に母親を断ち切れない
また思い込みが激しく、世間に疎く幼稚
ショパンは彼女の性格をわかっている上で、それでもとても大切にしている

■スターリング嬢
ショパンが大大大好きなスコットランド貴族
この方は非常に厄介だ
決して悪い人物ではない
彼女のショパンにたいする愛情は純真で、誠実で、一生懸命だ
ただ気持ちが純粋過ぎるせいか、その気持ちにばかり夢中になり、ある意味ショパンを追い詰める羽目に
ええ、ショパンのことを思っての行動なんですよね?
わかるんだけど、そこまでするとショパンがほらますます追い詰められるでしょうに!
最後は彼女の善意がショパンをがんじがらめに追い詰め、体調が悪化する…
この人をみていると愛情というのはバランスが大切だと実感

他にも、魅力的な人物や、いけすかないやつや、面白い人や、素敵な女性や…
たくさんの個性的な登場人物に事欠かない上、彼らの心理描写も深く掘り下げられるのでドラマ性がある内容になっている

次回はとうとう最終巻となる

0
2021年07月07日

Posted by ブクログ

ショパンの演奏会が開催されることになり、多くの人びとの注目が集まるなかで彼の芸術観が反映された演奏を、著者が緻密な文章で描写しています。しかしその後、フランス革命の勃発によってパリの街は混乱の渦に飲み込まれ、ショパンはジェイン・スターリング嬢にみちびかれてイギリスへわたることになります。しかしそこでの生活は、彼の意に染むものではありませんでした。

一方ドラクロワも、フランス革命の混乱のなかでみずからの作品を守る術を考えます。そんななか、親友で銅版画家のフレデリック・ヴィヨが、ルーブル美術館の絵画部門部長に就任したという報せを受け、さまざまな思いが彼の胸を駆けめぐります。ヴィヨの家を訪れたドラクロワは、ヴィヨの妻を相手に「天才」についての思索を語ります。

カントの『判断力批判』における天才論などを参照しながら展開されるドラクロワの議論では、創造能力と判定能力を区別して、前者をさずかった者こそが天才であり、自然はそうした天才を通じて創造を実現するという主張が展開されています。その一方で著者は、ショパンの演奏会の魅力をことばを通して緻密にえがきだすという試みをおこなっています。本作は、19世紀に完成された「小説」のスタイルを模倣する試みだとされていますが、上のような一見矛盾するかのような試みは、「小説」の形式にのっとりつつも、そうした「形式」そのものを内側から問いなおす試みということができるでしょう。そうした意味で、本作はやはり現代小説であるというべきであるように感じました。

0
2021年02月26日

Posted by ブクログ

読み終わるのに半月もかかってしまった・・・。

3冊目に入り、益々内容が濃くなっていく。
私とショパン、ドラクロワ達と共有する時間もどんどん増えて、あらゆる想像を巡らせながらページを捲っていった。

あぁやっとここまで来たか・・・

でももう、あと残り一冊しかないのか・・・

0
2015年09月19日

Posted by ブクログ

名文の嵐。天才を描けるのは天才だけなのだ。が、いかんせん読むのは苦行のようだった。タイトル通りで全編通してとにかく薄暗い。特に第二部は、ずーーーーーっとショパンが追い詰められてて死にそうで死にそうでなかなか死なない。つらい。

0
2014年12月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第2部は、愛人と別れた傷心のショパンが久しぶりの演奏会を開催するところから始まる。この演奏会におけるショパンの内面、外面の表現がすごい。
やがて革命が起こった影響で、イギリスへ向かうショパン。病は進み、イギリスの文化とも相容れない。一方、ドラクロワは、親友との関係に悩む。
第一部後半からのストーリー展開で、読み応えたっぷり。平野啓一郎の筆も冴え渡る。さて、最後の下巻ではどんな物語が待っているか。。

0
2013年02月01日

Posted by ブクログ

第3巻。

重苦しい空気が漂い、物語の展開も陰鬱であった前二巻とは打って変わって、第二部は華々しいショパンの演奏会で幕を開ける。
著者自身が曲を聴きこんで聴きこんで、徹底的な取材と分析を重ねて書いたのであろう「紙上演奏会」は圧巻の一言で、読者は鬼気迫るショパンの姿をハラハラしながら見守ることになる。ここまで感情移入させられてしまうのも前二冊によって形作られた「ショパン像」が読者の中にあるからで、これぞ長編小説の醍醐味だと思わされる。

復活を果たした病弱な音楽家に贈られる惜しみない拍手と歓声は、そのまま革命のシュプレヒコールに変わる。この華々しさと喧騒と、時代の変化を憂うかのような厭世感が物語を支配しているのだが、きっと当時のパリもそんな雰囲気だったのだろう。

全体を通してみて、第一部はドラクロワを視点に据えた描写が多かったのに対し、この巻ではショパンを中心として物語が進行している。
そのためだろうか。もしかして全四巻から成るこの小説は、四楽章で構成された一つの楽曲であるのではないか、という印象を新たに抱いた。
初楽章と第二楽章は短調で書かれていたのに対し、この巻は第三楽章にふさわしく長調で書かれ、前述のような華々しい第一主題と、勇ましく野心的な第二主題を持っている。

はたして最終楽章はどの調で書かれ、どのような響きの主題を持っているのだろう。とても楽しみだ。

0
2012年11月30日

Posted by ブクログ

“病の牢獄”からどうやったら抜け出せるのかわからない。健康になるように工夫をしても、あまり効果は無い。
ショパンは日に日にやつれていった。スターリング嬢が病の直接的な原因では無いだろうけど、嬢に気を遣って慣れないことをして病状悪化が加速したか。
ブルジョワ側のサンド夫人が、なぜ突然共和主義革命を起こした民衆に共感して、引っ張って行こうとしたのか。
仲の良かったヴィヨとドラクロワの友情にも陰が見え始めた。それ以外でも芸術の世界の派閥が、けっこう複雑に絡まっていて煩わしそう。

0
2023年06月28日

Posted by ブクログ

第二部冒頭からChopinの本領発揮。
当方クラシックは門外漢なのでChopin=作曲家という認識しかないのですが、演奏家なのね、言われてみればそうだなぁ。どう転んだって音楽の醍醐味はライブだもんね。
今でこそ技術進歩により音・映像という手段でもって追体験できるものの、音楽はやはり刹那的だからこそ魅力的。その世界を何とか文章に落とし込もうという試みは上手く行っていると思う。
そしてここに至ってやっと絵画と音楽の世界を振り子のように行ったり来たりする本作の構成が効果を発揮し始めると思われ。ちょっと長いけどね。

0
2015年12月23日

Posted by ブクログ

奏でられている音を言葉にするという、何とも不可能そうなことが表現されていることの不思議。それから、痛み、苦しみ、悩み、いろんな負の表現が秀逸。だが、しかし、わたしには難しい…なかなか読み進まなかった。あと、最後1冊!

0
2013年09月01日

Posted by ブクログ

第2部はフランス革命へと時代が流れ込んでいくさまが、独特の「引き込まれる感じ」で書かれています。
第2部冒頭部分の、ショパンの演奏会での演奏風景の書かれ方は、そこにショパンがいるような錯覚にも似た感覚です。

0
2009年10月04日

「小説」ランキング