あらすじ
ロマン主義の全盛期、十九世紀パリ社交界に現れたポーランドの音楽家ショパン。その流麗な調べ、その物憂げな佇まいは、瞬く間に彼を寵児とした。高貴な婦人たちの注視の中、女流作家ジョルジュ・サンドが彼を射止める。彼の繊細に過ぎる精神は、ある孤高の画家をその支えとして選んでいた。近代絵画を確立した巨人ドラクロワとショパンの交流を軸に荘厳華麗な芸術の時代を描く雄編。
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Posted by ブクログ
読書感想文は苦手なのだが、この小説に感想を書こうなんて百万年くらい早い気がしてきた・・・。
再読しなければ、感想など書けないような、
そんな壮大な作品だった。
読み始めて挫折されている人が多いようだが、私も実にその一人である・・・。
読書にじっくり時間を割けないのであれば、
この作品は読まない方がいいのかもしれない。
じっくり向き合える時に読むべき、超大作なのではないかと思う。
この作品は「作者名」で「作者買い」してしまった一作なのだが、作者の初期の作品だからそこまでではないだろうと思ったのが敗因。。。
これは素晴らしい。
何度も何度も読み返し、web で調べて、また進んで、戻っての繰り返しだった。
そのくらい深く、難しく、自分の中でイメージを固めるのに時間がかかった。
私にはまだ早かったのかなぁ?と何度も諦めそうになってしまった。
やっと1冊終わったところだが、話は今とても面白くなっている・・・。
さて、私、次を読み進めるのか・・・。
一旦休憩するのか・・・。
私にもまだわからない。。。
Posted by ブクログ
ロマン主義の全盛期、十九世紀パリ。音楽家ショパンと画家のドラクロワとの友情を軸とし、女流作家でショパンの愛人でもあるジョルジュ・サンドを始めとする人物たちが織り成す豪華絢爛な芸術賛歌を描いております。
これは自分の中でずっと読むのを避けていた小説のひとつで、理由はというとなんといってもテーマの重厚さと原稿用紙2500枚分という膨大なボリュームからでした、しかし、今回この小説を読むきっかけとなり、また、僕の背中を押してしてくれたのは、誰あろう筆者である平野啓一郎氏その人でありました。
以前、平野氏のツイッター上で『葬送』の話題になっていたときに僕が
『僕も読もうと思っておりますが、あの重厚さに二の足を踏んでおります。』
と書き込んでみたところ、なんと平野氏本人から
『読み始めるのは大変ですが、ぼくの小説の中で一番好きだと言ってくれる人も多いです。最初が重たいとよく言われる小説ですので、第二部上のショパンのコンサートから読んで、この前後ってどうだったんだろうと、遡ってみるというのも、一つの方法かもしれません。』
というメッセージが返ってまいりました。
原作者からそこまで言われれば読まないわけにはいかないと。ある種の決意を持ってページを読み勧めてまいりました。物語の舞台になっているのは十九世紀パリ。芸術的な動向としてはロマン主義の真っ盛りだそうで、その辺の知識が欠如しているのは非常に残念です。物語の軸となるのは『天才音楽家』の称号を恣にしたフレデリック・ショパンと近代絵画を確立したウージェーヌ・ドラクロワとの友情とショパンの愛人であり、閨秀作家のジョルジュ・サンドとの関係を中心にして物語は進められていきます。ショパンやドラクロワにかかわらず、当時のサロンで語られている芸術論の情熱的な語り口や、彼らを取り巻く弟子、友人、そしてサンドの子供たちとショパンとの複雑な関係からにじみ出るような緊張感も非常にスリリングですし、特に、サンドの娘であるソランジュの結婚にまつわるひと騒動はとても印象に残っております。
当時の社会情勢や芸術界について、もっと自分に知識があれば物語世界に踏み込んでいけるんだけれどなぁと残念この上ないのですが、ショパンとドラクロワと取り巻く『人間ドラマ』としてこの小説を読んでも、深みのある物語ですし、当時の世相というか、芸術の動向を知る手がかりとしても面白く、何でこれを今まで読まなかったのかと、若干の後悔を持ちながら長い長い旅路をはじめたような気がいたします。
今後、彼らがどうなっていくかはまだわかりませんが、楽しみに読んで行こうと思っております。それにしても改めて知ったのですが、平野氏がこの作品を世に問うたのが25歳の頃。この事実を再確認するにつけ、本当の天才というのはやっぱりいるのだなと、筆者のような人間が『芸術の神』に愛された存在なんだなと、そういうことをとみに思うのでございました。
Posted by ブクログ
[ (注) 思ったこと感じたことをそのまま勢いで書いているので読みにくく、まとまりがないかもしれません。ご勘弁を。]
まず装丁。
大抵は単行本の方が良いのだけど『葬送』は文庫の装丁の方がいい。
たぶん単行本の方はショパンのイメージなんだろうと思う。軽やかで繊細で華やかで。
それに替わって文庫本の方はドラクロワのイメージ。
単行本の装丁の色みより文庫本の色みの方が内容に合っていると私は思う。
第一部(上)はあの有名なショパンの肖像。
第一部(下)はこちらも有名なドラクロワの自画像。下部には薄らと『サルダナパールの死』
第二部(上)はジョルジュ・サンドの肖像。本来ショパンの肖像と同じカンバスのショパンの隣に描かれていた絵。
第二部(下)は『サルダナパールの死』
私は元々平野啓一郎氏の作品が好きなのだけれど、この『葬送』は本当に良かった。私の好きな本ベスト3に入るかも知れない。そのくらい良かった。
Posted by ブクログ
ショパンに関する小説で、これほどのものはもう誰も書くことはできないだろう。この完成度に圧倒される。
とにかく文章が美しい。
言葉のひとつひとつが選び抜かれ、表現の精緻さが際立っている。
その選ばれた言葉はこれでしかありえないという洗練であいまいで表現しにくいニュアンスを余すとこなく伝える。
それは登場人物の背後の蝋燭の炎のチラチラとした揺らぎまで感じさせるほどだ。この精緻さに圧倒される。
速読や乱読は許されない。これはじっくりとそして何度も読み返すべき本だ。
Posted by ブクログ
冒頭、ショパンの葬儀の様子。本編は、ジョルジュ・サンドと不仲になり始めた頃のショパンから葬儀の少し後までのお話。ショパンとドラクロワという2人の芸術家の視点をメインに、周囲の人々の視点からも時代を浮き彫りにしていく。語り手の移行の滑らかさと正鵠に描かれている感情が素晴らしい。また、ドラクロワの芸術論が秀逸。
Posted by ブクログ
購入済み
内容(「BOOK」データベースより)
ロマン主義の全盛期、十九世紀パリ社交界に現れたポーランドの音楽家ショパン。その流麗な調べ、その物憂げな佇まいは、瞬く間に彼を寵児とした。高貴な婦人たちの注視の中、女流作家ジョルジュ・サンドが彼を射止める。彼の繊細に過ぎる精神は、ある孤高の画家をその支えとして選んでいた。近代絵画を確立した巨人ドラクロワとショパンの交流を軸に荘厳華麗な芸術の時代を描く雄編。
普段いかに簡単な本しかよんでいないかが露呈するぐらい「読む」ことに苦戦した1冊。
本屋さんで平積みになっている文庫をみて
「あれ?これショパンの肖像画???」
っていう動機だけで購入したものだから
読み出してびっくり!
この文章の主部ってなに???となるくらい
1文節が長い=理解できない=繰り返し読む=全体が把握できない=最初から読み直し
という悪循環にはまり
平野啓一郎さんは文章が難しいってmarshkaさんもおっしゃっていたからしょうがない!
わたしには読めませーーーん!
と開き直りかなーーーりの時間を放置していた本。
でも今年に入ってやっぱりショパンの時代のサロン風景は知っていたいな~と思い再読をはじめた。
そしたらなんと!
読めるではないですか!!!
理解できるではないですか!!!
そしたらとても興味深く(そりゃそうだ。音楽論や芸術論がちりばめられている上に、その当時の知識人との交流が山のようにでてくるので)
読めました。
とりあえず(下)に取りかかります。
本当はあと2部の上下巻があるので先は長いのですが
楽しみに読んでいこうと思います。
時には放置してみるのも手なんですね。
自分でブログみてびっくりした!2005年9月に買ってる(汗)
1年くらい放置していたのね(焦)
でも
なんでたかが1年で読めるようになったんだろうか?
自分でも不思議。。。。。
そして勉強不足のわたくしは
「え?この人とこの人も同じ時代に生きていたの???」の連発です(汗)
ドラクロワとショパンだけでも豪華なのにね。
ゲーテも同じ時代を生きているし
メンデルスゾーンやシベリウスなんかの名前も出てくる。
すごいなぁ、この時代。
美術方面には疎いので画家の名前も羅列するとすごいことになりそう(汗)
ジョルジュ・サンドって読んだことありません(恥)が
今のところいやな女です。
これからどうなっていくかとってもたのしみです。
Posted by ブクログ
文庫なら…!と思って買ったのに、やっぱり積ん読になってしまった。。。
精神的に余裕がないと読むのは辛いかもしれない。好きなのに、なかなか読んでいけないのはジレンマ。
でもダメダメなショパンはちょっと分かった。
Posted by ブクログ
パリ社交界で活躍したショパン
物語は
ショパンが結核と思われる病によって死去した
その葬儀の当日の騒ぎから始まっている
そして
そこから遡ること3年ほど前
病に蝕まれつつも
女流作家ジョルジュサンドや、その子供たち
画家のドラクロワらと過ごす日々が綴られている
それぞれの心情が細かく表現されているので
その場で見ている気分になる
今も伝わる有名な芸術家たちが
パリを中心に集い
芸術に悩み、私生活で悩み
喜び、悲しみ、恨み
あるいは噂を語る
どれもが、些細なことであったりと
身近に感じてしまう
少し疲れたショパン
少し疲れたドラクロワ
次の下巻に続きます
Posted by ブクログ
フレデリック・ショパンとウ-ジェ-ヌ・ドラクロワ、共に好きな芸術家であり、名前の響きがとても素敵な芸術家です。
とても繊細な2人はシンパシ-を感じつつ、同じような境遇(愛人となり、病弱の身体となり)で、お互いにかけがえのない存在となっていきます。
ショパンの愛人、執筆家ジョルジュ・サンドとの関係が崩れていく過程を、非常に細やかな心の動き(あ-、繊細過ぎる)を通して覗くような‥ そんな作品。
残念ながら、人の心の中は見ることできませんからね、想像してみてください。
Posted by ブクログ
幼少期からクラッシックピアノを習っていた
10年は習ったのだろうか…
世の中のクラッシックファンの前では口が裂けても言えないのだが、とうとう一度もクラッシックピアノを好きにならずに大人になってしまった
好きでもないことを練習するのは子供心に相当苦痛であったため、余計に屈折した拒絶反応を身に着けてしまった気がする
しかしながら、唯一ショパンだけは違った
ショパンだけはなぜか好きだった
理由は今でもわからないし、ショパンのことは何も知らない…(恥)
先日読んだ「また、桜の国で」の作中での「革命のエチュード」を久しぶりに聴いたこともあり、本書を読みたくなった
物語の舞台は19世紀中盤のパリ
1846年11月から天才音楽家ショパンの死まで、2月革命前後の約3年間に焦点が当てられる
ショパン、ドラクロワを中心とした芸術家たちの心の葛藤や孤独、彼らを取り巻く人間関係をその時代の流れと同じようにじっくり描かれている
ファスト文化に慣れ親しんだ最近の我々には、もどかしさを覚え、こういったじっくり読みものを通読できない人も多い気がする(もちろんブクロガーさん達のことではないですよ!)
しかしこの時間のゆったりと進む時の流れを面倒くさがらず向き合い、とことんこの時代のパリ、そしてたくさんの登場人物達の元へタイムスリップする…
そんな醍醐味が得られる作品だ
文体も時代を感じさせるよう工夫が凝らされ、まるで一昔前の翻訳した作品のようで良い味を出している
また心理描写の文章の長さや古典的な技法もあちこちに散りばめられ、深いこだわりを感じる
平野氏が3年以上の月日をかけて書かれたと聞く
この時代の出来事や知識を相当な時間をかけ、調べ抜き、労力を惜しまず完成させた感が随所に溢れている
フランス語の原文でフランス文学を読まれているだけのことはあり、一貫して全く日本人が描いた作品には思えない!
「マチネ…」しか読んだことがなかったためか、驚いた
重厚だとは聞いていたがこれほどまでとは…
その時代、その場所にすごい力で持っていかれる
というわけでここでは本書の本題にも入らない程度の紹介にとどめる
なんせ長いから慌てる必要もない(笑)
次回から本書の内容に触れていきたい
Posted by ブクログ
ドラクロワとショパンの二人の芸術家を中心に、ロマン主義の大きな潮流に包まれる19世紀パリの社交界をえがいた作品です。
著者は、作品におうじてさまざまな文体を使い分ける作家ですが、この作品では翻訳小説を思わせる文体と、とくに第一分冊となるこの巻ではドラクロワの芸術観が長いセリフを用いて描写されており、独特の雰囲気にどっぷり身を浸すことができました。
ドラクロワは、感性の表層的な動きにしたがうような流行の芸術をしりぞけつつも、古典的な美の理念を墨守することも拒否し、ダイナミックな理念を追求しようとする意志と明確に示しています。そうした彼の芸術観が、パリのサロンにおける名士たちとの交流のなかで語られており、現代の小説ではなかなかあじわうことのできない作品世界が構築されています。
Posted by ブクログ
ずっと気になっていた作品。
美術の方に関しては全くといっていいほど知識がないため、分からない部分も多かったが、ショパンとサンド夫人との関係、ドラクロワとの関係、サンド夫人の家族との関係がとても興味深く、すんなりと読み進められた。もっと暗くて堅くて読みにくいのかとも思っていたけど、そんなこともなく、読み進めるのが楽しみで仕方ない。
Posted by ブクログ
いろいろあって最後にショパンの死と思い込んでいたので、いきなりショパンの葬送で驚いた。
人間ショパンが生々しい。が、これを読んでもショパンの音楽が理解出来るというのは幻想だけどね。
面白かった。
Posted by ブクログ
ショパンとドラクロワが小説の中心ですが、物語というよりもその二人を通して作者が哲学的・芸術的思索をしているように感じました。しかし人物の心理描写が非常に細かいので、物語としての質は保っています。一月物語などよりも語彙は平易。
Posted by ブクログ
ショパンとサンド夫人は、愛し合っていたのかと思っていたんだけど、この本を読むと、壊れないようにお互いが気を遣っていて息苦しい関係だったように思える。
ショパンが純粋で優しい。
ショパンもドラクロワも体調が悪く「どこもかしこも病人だらけ」。
そういえば、最初の葬式シーンにサンド夫人は出ない。
ドラクロワはデュマのファンなのか、「家でモンテクリスト伯ばっかり読んでる」らしく、自分も同じものが好きで嬉しくなった。しかし、ショパンともども「面白い、それだけ」という感想。病人には「疲れなくて済む」作品が必要だと共感した。
Posted by ブクログ
『葬送 第一部 上』
音楽家・ショパンと画家・ドラクロワを取り巻く人々の物語。
ショパンの葬式から始まり、そこに至るまでの3年間に何が起こるのかが気になり読み進めていく。
第一部の上巻は人物説明・描写も多めにとられている印象であるため、少し進みが重たい感じもしたが、後半から徐々に物語に動きが出てきた。
心に引っかかったのは主にドラクロワの言葉。
「(アングル派の絵を指して)絵の中にはある奇妙な時間が流れている。たるんだ時間とも言うべき時間がね。」
これはいかに自分自身が絵画を描くために生き生きと情景を捉え、表現しているかを説いている場面。
「(今の若い画家を指して)絵は決して語らず画家こそが語ろうとするんだ。そんな絵は、言ってみれば文学の下僕のようなものだよ!だけど、今にそんな退屈な時代が来るよ。」 ここでもドラクロワは自身の苦労を語りながら、若い世代への苦言をショパンに語っている。
「作品というものは、作者が残そうという努力をしなければ残らないものだというのが僕の持論です。(中略)どうするか?政府に買い取ってもらい、宮殿や美術館に飾ってもらう(中略)そして、そのどちらも官展での勝利なくして不可能なことですよ!」
「八年経って世間の風潮が変われば、駄作も突如として傑作に変わる。しかも、作品そのものには、ただの一筆も加えることなく!」
「どのような立場でものを言うにしても、最低限満たしておかねばならない言説の水準はある筈であった。(中略)問題は、何故そのような手法が採られたか、その意義とそこから生み出された結果の是非とを考えることだ。」
このあたりの発言はドラクロワだけではなくあらゆる芸術家や著者自身にも根差した言葉であるように感じた。
ショパンについてはまだ印象が薄めであるが、サンド夫人とその家族との関係性の中でどのような結末に至るのか、下巻・第二部が楽しみである。
Posted by ブクログ
ドストエフスキーやトルストイの小説を読んでいるようである.
いきなりショパンの葬儀から始まるが,その後はショパンと,その親友ドラクロワの間を行ったり来たり.
この二人の心理描写,心の声が,かなり事細かに描かれるのだが,さまよう魂の軌跡が微に入り細に入り描写される.
上巻では特にドラマチックな出来事はないともいえるので,下巻が楽しみだ.
Posted by ブクログ
ショパンとドラクロワの友情を中心に描かれる彼らを取り巻く人間関係と、芸術家としての創作の日々。
いきなりショパンの葬儀の場面から物語は始まる。既にして複雑な人間関係が見て取れる。時を遡って、晩年のショパンとドラクロアの係わり合いを中心に物語は進む。愛人との関係が終わりに近づいたショパン。円熟期を迎え、これから更なる大作に挑もうとするドラクロア。
上巻では、芸術批評の場面が多く、理解できないところも多かったのは事実。ただ、もともと第一部として1冊の本だったことを考えると、前半は時代背景や人物像を紹介するために割かれたと考えても致し方ないところでしょう。
Posted by ブクログ
全4巻から成る大作の、一冊目。
この巻は主人公たるショパンとドラクロワの人物像、彼らの日常と交流の様子、その周辺人物と舞台である19世紀のパリの街並、といった背景の描写が中心となっていて、何か重要な事件が起きるわけではない。だから正直、重苦しい語り口とも相俟って、読みやすいとは言い難い。
しかし300ページも使って語られるほどに作り込まれた人物像、舞台背景はとても魅力的で、念入りに推敲されたのであろう重厚な文体はまるで、一つの荘厳な建築物を思わせる。
読み進めるにつれて、冒頭から立ち込めていた「死」の匂いが次第に濃くなり、『葬送』という題名の意図するところが見え始めてきたところ。
繊細なピアノの音色が流れ、勇ましくも思索に満ちた絵画が飾られた、この聖堂のような大作を、最後まで、心行くまで堪能したいと思う。
Posted by ブクログ
クラッシックなスタイルの大作。しかし、途中で。冗長な感じにくたびれてしまって流し読み。続きは、買わないなぁ…。
彼には、フランス語で藤沢周平的日本歴史小説を書いてもらいたい。
Posted by ブクログ
最初のほうは、章の中で視点が定まっていないこともあり、混乱することもあったが、次第に内容に引き込まれていった。やはり読んでいておもしろいのは、ショパンとドラクロワの芸術談義。ドラクロワの技術についての意見については、同感。彼が現代のインスタレーションなどにどのような感想を抱くか、聞いてみたい。…ちなみに私はけっこうインスタレーション好きです。
Posted by ブクログ
ショパン、ドラクロワをはじめジョルジュ・サンドなど後世に名を残した芸術家たちの日常を垣間見ている気分で、読んでいて楽しいです。結構下世話な話題で盛り上がっていたりするし、ドラクロワはしよっちゅう批評家や他の画家の悪口を言っているし。
単純に「天使のような」(と作中でさんざん絶賛されている)美しい金髪のショパンと、自画像を見ても男前なドラクロワが親しく話をしているところは想像するだけでテンションが上がる。
ショパンとドラクロワは篤い友情で結ばれているのですが、ドラクロワがショパンの音楽をも深く尊敬しているのに対してショパンはドラクロワの絵を心からは好いておらず、「自分が彼の音楽を愛するほどに、彼にも自分の絵を愛してもらいたいと」ドラクロワが思っているあたりは切ないです……
ドラクロワは作中で結構酷評にさらされているんですが、読んでいると彼の絵を実際に観たくてたまらなくなる。国会の図書室の天井画とか、「地獄のダンテとヴェルギリウス」とか、「キオス島の虐殺」とかを。
まだまだあと3冊あるので続きが楽しみです。