平野啓一郎のレビュー一覧

  • 空白を満たしなさい(下)
    真相がわかり、分人という考え方についてはじめて知り、発見があった。
    一方で、悲しさも感じる。最後に向かっているのかなという確かな感触があった。謎も多く残っているので、自分としては少し消化不良だけど、主人公はきっとやり残したことをある程度はできたんだと思う。
  • 葬送 第二部(上)
    “病の牢獄”からどうやったら抜け出せるのかわからない。健康になるように工夫をしても、あまり効果は無い。
    ショパンは日に日にやつれていった。スターリング嬢が病の直接的な原因では無いだろうけど、嬢に気を遣って慣れないことをして病状悪化が加速したか。
    ブルジョワ側のサンド夫人が、なぜ突然共和主義革命を起こ...続きを読む
  • 空白を満たしなさい(下)
    この本の表紙がなんでゴッホなんだろうと思ってたけど、そういうことか。
    「分人」の考え方について、なるほどなと思った。

    結局、「復生者」たちがなんで生き返ったのかはちゃんと説明されてなかったような気がするけど、主人公のやりたかったことが実現されればいいなと思った。
  • 葬送 第一部(上)
    ショパンとサンド夫人は、愛し合っていたのかと思っていたんだけど、この本を読むと、壊れないようにお互いが気を遣っていて息苦しい関係だったように思える。
    ショパンが純粋で優しい。
    ショパンもドラクロワも体調が悪く「どこもかしこも病人だらけ」。
    そういえば、最初の葬式シーンにサンド夫人は出ない。
    ドラクロ...続きを読む
  • 空白を満たしなさい(上)
    3年前死んだはずの主人公がある日突然「復生者」として生き返った。
    自分が死んでも回り続けていた世界に、自分の居場所はなくなっていて……
    生き直そうと必死にもがく主人公。
    佐伯という人物がとにかく気持ち悪い。

    後半、物語が動き出して続きが気になる。
  • ご本、出しときますね?
    若さま一人のエッセイのほうがだんぜん面白い。
    暗くて、ネガティブで、面倒臭い部分がいいのだ。
    聞き役にまわると、気を使う感じが透けてみえるから
  • サロメ
    先輩に薦められて。視線のドラマ。人は誰しも「悦びに呪われている」というのが引っかかる本でした。


    <平野啓一郎解説>
    ・今回、私に《サロメ》の新訳を依頼したのは、演出家の宮本亜門氏
    ・「古典を権威にまで堕落させ」、新しい「美」の創造に対して古典を「棍棒として」振り回す保守的な読者への揶揄
    ・ワイル...続きを読む
  • ある男

    ある男

    この小説のミステリーな部分とあったかい部分の割合が心地よかったです。
    じんわりあったまる感じが。

    人ってびっくりするようなことが自分に起きたら、実際はこんな感じなんだろうな、て気がしました。
    この微妙な感じをうまーく表現出来ていて、引き込まれたんだと思います。

    家族の在り方てほんとそれぞれだけど...続きを読む
  • 死刑について
    「決壊」、「ある男」の2作を読んだ後だったのでより、考えながら読めた。
    自分の大切な人が殺された時、目を逸らしたくなるような事件を知った時、殺されたのが一人だった時、大量殺人だった時。
    わたしはその犯人に対して「生きて償え」と思うのか「死んで償え」と思うのか。
    考えさせられた。決して他人事ではない。
  • 死刑について
    深く考え込んだことがなかったので読んでみて新たな認識や発見ができた。
    日本の人権教育は失敗している点と憲法について確かにそうだと思った。

    死刑制度について変わる時が来るだろうか。
  • 空白を満たしなさい(下)
    分人思想で佐伯も自殺から救うことができるか?
    現実世界には土屋よりも佐伯が多いと思う。
    そこを小説としてリアルに書いてほしい。
  • 「カッコいい」とは何か
    筆者の博識と分析力には、常々、感嘆の念を禁じ得ない。カッコいい!という表現を考察した文章だが、、非常にレベルの高い内容で、読み応えがあった。
  • 決壊(下)
    平野啓一郎二作目。
    どのカテゴリーにもカテゴライズされない作品を描く人だなと思った。
    作品については感想が思いつかない。
  • 空白を満たしなさい(下)
    面白かった。
    諸行無常を感じた。
    だから存在する「今」が尊いし、誰かが側にいてくれることは奇跡なんだよなと改めて思った。

    今を大切にしようと思えた。
  • 空白を満たしなさい(下)
    分人という考え方、自分にとっては納得感もあり新鮮味もある面白いものだった。
    朱に交われば赤くなるというけど、それは自分が接する相手を変えることで自分の中の分人の構成比率が変わり、結果自分の思考と行動が変わることを指してるんだな。
    漠然と、環境を変えると人は変わるよなあと思っていたところがより言語化さ...続きを読む
  • 「カッコいい」とは何か
    平野啓一郎さんの本で小説以外は初読。
    最後は主観でしかないはずの「カッコいい」についてトコトン考察する本。

    最後の方で、クールジャパンといって、国がカッコよさを煽る姿勢自体が「カッコ悪い」とぶった斬る。

    ビートルマニアの自分としては、『アトランティック•クロッシング』(大西洋横断)の章が一番おも...続きを読む
  • マチネの終わりに
    最初はなかなか読み進められなかったが、中盤〜後半は一気に読み終えた。

    一人一人が、愛のためにどんな行動をとるのか面白かった。
  • 死刑について
    芥川賞作家である著者が、死刑制度存置派から廃止派に転向した経験も踏まえ、死刑制度について廃止論の立場から考察した講演をもとにした本。
    流石、芥川賞作家だけあって、文章が洗練されてていて、主張の筋道を追いやすい。社会の側の怠慢を問わなくてよいのか、「人を殺してはいけない」ということは相対的な規範であっ...続きを読む
  • 「カッコいい」とは何か
    感想
    人類が持つ共同体の規範を遵守する傾向。それが感情と結びつき生じるカッコいい。法律や不文律の成熟で多様化した価値観。今後も枝分かれ続ける。
  • かたちだけの愛
    平野さんの本も三冊目。

    前回読んだ本が結構私の中ではSF的だったので
    今回は、普通な設定(そうでもないけど)で良かった。

    形だけの愛というか、女の、女優のプライドというか理解できないけど、いろんなことを足し算したりしながらする恋愛っていうのは、やっぱりなんだかね~と思いながら聞いた本だった。

    ...続きを読む