平野啓一郎のレビュー一覧

  • 「生命力」の行方――変わりゆく世界と分人主義

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    社会からアート、エンターテイメント、そして文学まで、多様性における生命力(強い影響力を持つこと)が何処に向かうのかをエッセイと対談で考察、通低するのは個人の多様性である分人です。本丸の文学についてはやや難解ではあるものの他の分野での著者の博覧強記ぶりには驚かされる。先日参加した人工知能のイベントでは暦本教授と対談もされていたので、次は人工知能関連のエッセイにも期待したいところです。

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    2017年03月26日
  • 葬送 第一部(下)

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    ネタバレ

    上巻ではややもたついていたストーリー展開が,サンド夫人の娘のソランジュがクレサンジュと結婚するあたりから加速し,ドラクロアが自ら描いたリュクサンブール宮の天井画を観て自ら驚愕するところまで.
    徐々に病に冒されていくショパンの影が薄くなってゆき,話の着地点がどこなのかが見えなくなってきた.第2部が楽しみだ.
    この小説を読んでいて見事だと思うのは,登場人物が会話を,特に親しい友人と,交わす場面における思考の流れ,飛躍の描写である.
    ドラクロアは,例の自由の女神の絵の印象が強いのだが,リュクサンブール宮の天井画はすごく観たくなった.ショパンももっとちゃんと聴いてみようかしらん.

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    2017年11月28日
  • 高瀬川

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    平野啓一郎さんが「葬送」後に著した短編集。
    当時平野さんは28歳。ご自身の言葉によると
    「作家としての挑戦」であり
    「男と女の性的な関係に取り組んだ」作品集。

    男女の性行為を細かに描いた「高瀬川」
    不倫に悩む女性と
    実母を求める少年の妄想が交差する「氷解」
    の2作のみならず
    難解な「清水」と「追憶」にも
    確かに、若さが迸るにおいがする。

    「高瀬川」には 男女間のズレの
    居心地の悪さが見事に描かれている。
    セックスという最も密なコミュニケーションを経ても
    ラブホテルの作為的で冷笑的な空気がそうさせるのか
    二人の距離は濃厚になっていく。
    そんな一夜を「ペットボトル」に詰め込み
    時間という川に流

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    2016年06月07日
  • あなたが、いなかった、あなた

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    短編集だが、色々な手法を凝らしている。
    これまでに味わったことのない短編集。

    「鏡」「女の部屋」「母と子」は特に驚いた。

    文学には程遠い自分が一番気に入ったのが「フェカンにて」
    この短編の主役は、平野啓一郎先生ごい本人にとても近い。
    私はご本人であろうと思い込んで読んでいた。

    先生の作品である「葬送」にも触れられ、
    私が先日読んで、どう読むべきか酷く迷っていたドフトエフスキーの
    罪と罰にも触れていた。とても興味深い。
    当たり前だが、私の軟弱な「あぁ面白かった。」という感想とは
    かけ離れている。
    読み方のレベルが違いすぎて溜息しか出てこない・・・。

    この本を読んで、何故かもう一度平野啓一

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    2016年05月29日
  • 葬送 第一部(上)

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    日本人らしからぬ古典のような書き口。心のひだに分け入った心情表現。ドラクロワ、ショパン、サンド…いい意味で偉人を俗にしてくれている。

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    2016年01月13日
  • 「生命力」の行方――変わりゆく世界と分人主義

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    ネタバレ

    平野啓一郎のエッセイ集
    社会論、思想論からエンターテインメント論まで、理論の納得感と博覧強記ぶりに感動しました。
    以下、印象的だったところ
    ・教養は話題のデータベース。話題たりうるトピックが色々ある中でも、それを話題にすることでコミュニケーションが一段上等になるものが、教養だった(p.18)
    ・殺人事件には赦す本来の主体がいない(p.47)
    ・機能分化された社会では職業選択を自由化することが効率的。職業選択は義務でもある。自分のアイデンティティーに相応しい職業を選べと。自分とは何かを問うて人生の目的を考える必要が生じる(p.55)
    ・神秘主義・オカルティズムにおける病気治し。万人が否定しない価

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    2016年01月03日
  • ウェブ人間論

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    梅田望夫と平野啓一郎との対談本。
    9年前に発行された本だが、梅田望夫のウェブに対する見方はおおむね合っているのかなと感じた。
    細かいところを見れば確かに違う進化の仕方をしたものも見られるが、彼の主張の根本の部分はその通りであったなぁと見ます。

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    2015年12月29日
  • 葬送 第二部(下)

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    やっと読み終わった。
    とにかく凄いボリュームで、それはページ数や文字数ということでなく、話の重さ、文章、世界観、何をとっても凄いボリュームであった。

    私が読んだ本の中では、共に過ごした時間が一番長い作品だったと思う。

    カタカナの名前が主人公である小説は大の苦手だが、これだけ長いと誰が誰なのか明確に判別できるようになる。

    世の中には、こんなに美しい文章で表現出来る人が居るのだなぁと、一文一文読む事に感動を覚える程、文章が心地よい。

    この作品の中では、たくさんの人物が登場し、彼らの心の動きが丁寧に描かれている。
    何故男性作家さんなのに、こんなに女性の心の動きまで熟知されているのだろう。。。

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    2015年11月22日
  • 葬送 第二部(上)

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    読み終わるのに半月もかかってしまった・・・。

    3冊目に入り、益々内容が濃くなっていく。
    私とショパン、ドラクロワ達と共有する時間もどんどん増えて、あらゆる想像を巡らせながらページを捲っていった。

    あぁやっとここまで来たか・・・

    でももう、あと残り一冊しかないのか・・・

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    2015年09月19日
  • 決壊(上)

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    主人公のイメージが平野啓一郎にそのままあてはまるので、そのつもりで読み進めてみる。

    実際に主人公の行動や考えには、たぶんに著者の思想も含まれているんだと思われる。

    知的で冷静な主人公が、事件に巻き込まれ、壊れていくまで。
    人身事故で電車が止まることに慣れすぎているように、他者の深い闇を想像することや、社会のなかでの排除性や他者への攻撃に対する実感まで薄れているのはないかという気がしてくる。

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    2015年09月10日
  • サロメ

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    岩波文庫の福田恆存訳を読んだけど、新訳で再読。福田訳ではビアズリーの挿絵も相まってどこか妖艶な雰囲気で、典型的なファム・ファタールとして描かれていたサロメだけど、新訳では純真な少女としてのサロメが描かれている。同じ作品なのにガラッと雰囲気が変わった。新訳では初めての恋をするサロメの少女的な無邪気さの中に隠しきれない悪女としての素質が見え隠れする。雰囲気を楽しみたいなら岩波文庫、サロメの世界観知りたいなら光文社かな。本文の倍以上のボリュームで、解説が収録されているから。2012/437

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    2015年04月21日
  • サロメ

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    まるで完成された素晴らしい絵画のように、陰惨ながらもとても美しい物語でした。最後の、サロメがヨカナーンの首にキスをする場面が好きです。恐ろしく、グロテスクで、不条理極まりない、けれど完全に純粋な恋。美しい、と思います。

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    2015年03月13日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

    購入済み

    ありがとう分人主義

    大変現実に即したわれわれの精神の捉え方で、観察的にも統計的にも物理的にも、この説明がしっくりくるし、具体的な問題解決の方法も見えてくる。
    発明、発見!

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    2015年01月10日
  • 葬送 第二部(上)

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    名文の嵐。天才を描けるのは天才だけなのだ。が、いかんせん読むのは苦行のようだった。タイトル通りで全編通してとにかく薄暗い。特に第二部は、ずーーーーーっとショパンが追い詰められてて死にそうで死にそうでなかなか死なない。つらい。

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    2014年12月23日
  • 「生命力」の行方――変わりゆく世界と分人主義

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    平野啓一郎さんの、知識の広さや、感性の多様さがわかる本。他の著書やコラムなどで読んだ内容もありましたが、様々な切り口の対談などは、とても読みやすく面白かった。まだ読んでない平野作品を読みたくなった。

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    2014年12月17日
  • 賢人の読書術

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    各人で言ってることが反発しあってたりする

    が、絶対的に正しい読書法がない以上、誰か一人の読書術を読むよりも複数人の読み方を知った方がいいと思う

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    2014年04月12日
  • 決壊(上)

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    文才があるというのは、この人のような人を言うのだろうなと思う。そう感じる本を読むと、本を読むことは好きだが、作家には絶対なれないなと感じさせる。そんな感じの本。
    文体が哲学的で癖があるので、合わない人もたくさん居るだろうと思うけれど、私はぐいぐい引き込まれ、あっという間に読めた。

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    2013年11月12日
  • 高瀬川

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    ネタバレ

     近作『空白を満たしなさい』の感想ツイートがわたしのTLを潤す今日このごろ、待って待ってまだ追いかけ切れてない作品いっぱいあるねん!! ということで読んでみた『高瀬川』。
     ざっくり言うとおもしろかったです。

    ■清水
     この人の小説には、いつも説明が明晰すぎるところがあると思う。「存在が、――そう、今はもう疑うべくもなく、この私の存在が、次々と過去へと放り出されてゆくのだった。」(p22、原文は「この私の存在が」に傍点)この段落を書けるならば、この小説はあまり書かれる必要がなかったのではないか、というような気がした。滴り落ちていく清水とか、鳩の屍体とか、そういったイメージを付随することに意義

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    2013年07月13日
  • 葬送 第一部(上)

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    ずっと気になっていた作品。
    美術の方に関しては全くといっていいほど知識がないため、分からない部分も多かったが、ショパンとサンド夫人との関係、ドラクロワとの関係、サンド夫人の家族との関係がとても興味深く、すんなりと読み進められた。もっと暗くて堅くて読みにくいのかとも思っていたけど、そんなこともなく、読み進めるのが楽しみで仕方ない。

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    2013年04月22日
  • 葬送 第二部(上)

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    ネタバレ

    第2部は、愛人と別れた傷心のショパンが久しぶりの演奏会を開催するところから始まる。この演奏会におけるショパンの内面、外面の表現がすごい。
    やがて革命が起こった影響で、イギリスへ向かうショパン。病は進み、イギリスの文化とも相容れない。一方、ドラクロワは、親友との関係に悩む。
    第一部後半からのストーリー展開で、読み応えたっぷり。平野啓一郎の筆も冴え渡る。さて、最後の下巻ではどんな物語が待っているか。。

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    2013年02月01日