平野啓一郎のレビュー一覧

  • ウェブ人間論
    「WEB進化論」の梅田さんと75年生まれの作家・平野さんの対談集。ネット世界にどっぷりつかり、自在に泳ぎまくる梅田さんと、そういう世界になんだかんだで懐疑的で否定的な意見を出してくる平野さんが、超平行線上でガチンコ勝負。初めのうちはどちらかと言えば平野さんよりだったけど、後半は梅田さんの意見の方が納...続きを読む
  • 自由のこれから
     技術の進化のよって、私たちの生活からは「自分で選択する機会」が失われつつある、と言う。
     そのように考えたことがなかった。自由に考え決めていたと思っていたが、それはある選択肢がある中での自由決定だった。
     そう分かっても、それを「問題あり」とは感じないのは問題なのだろうか。
     いまいちはっきりと要...続きを読む
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ
    他者との関わり、コミュニケーションの中で分人が生まれる。分割可能な分人という単位で捉えれば、身近な悩みに対しても自分を一方的に責める事なく、客観的な視点で自分を捉え直す事も出来る。分人主義という新しい概念が、人付き合い、恋愛、死などという普遍的なフィールドで存分に活躍するのではないかと思った。そして...続きを読む
  • 決壊(下)
    平野氏の作品は本当によく考えられ練られている。
    上巻では止まらなくなる。一体何が起こっているのか?犯人は誰なのか想像せざるを得ない。
    下巻では謎解きが少しずつ。様々なこれまでの言葉の仕掛けが明かされていく。
    自分的にはあまり殺人というテーマは好きではないのだが、読んでしまった。うーん。
  • マチネの終わりに
    現実はままならない…

    《読者は、直接的な共感をあまりに性急に求めすぎると、肩透かしを喰らうかもしれない。》
    と(序)にあるが
    すっかり肩透かしを喰らった私です
  • 本心
    2040年の世界設定がとてもリアルで面白い。リアルアバターや自由死、仮想空間など近未来に存在しうるものを想像しながら読み進められ、見応えがありました。
  • サロメ
    オスカー・ワイルド作、平野啓一郎訳
    ワイルドはアイルランド人なのに、原作はフランス語とのこと。

    筋書きは知っていたつもりだけど、元々持っていたイメージとはだいぶ異なる印象。とてもわがままな王女が無茶苦茶をする話であることは同じなのだが、少女の超ツンデレぶりが逆に清々しいくらいだ。サロメが、ヨカナー...続きを読む
  • ある男
    ストーリーはとても面白いが、色んな人の名前が出てきて、自分の中で整理しながら読まなければならず、少し疲れた。
    映画で見た方が楽しかったかもしれない。
  • ある男
    離婚し故郷に戻って知り合った男性と結婚したが、その男性は戸籍ごと全くの別人であったことが判明。調査を依頼された弁護士がその謎を解明していく。

    自分を捨て別人として生きていくことを選択した男性を通して、世の中の理不尽さや弱者への容赦のなさが浮き彫りになる。そのような選択をせざるを得なかった背景がやる...続きを読む
  • 本心
    平野さんの本は、内容が濃く、いつも没頭して読む

    でも、比喩が過剰なのと、登場人物が「自分自分」していて、あまり好きなタイプが出てこないのが、、

    それでも、舞台が2040年、「自由死」「格差社会」「VF」など、設定がとても面白かった

    こうなるだろうな、ならないでほしいなと思う近未来だった
  • 本心
    2040年近未来の日本の話
    自由死が認められる世界で起きる新たな社会問題が前提で物語は展開する。構想の緻密さに驚いた。
    ベースがどんよりしてるから、正直進みづらかったけど何度も行を読み直して時間をかけてゆっくり読みたい作品だった。
  • マチネの終わりに(文庫版)
    こんなすれ違いってあるか!?
    ふたりとも饒舌なんだからもっと追求すればよかったのに!忖度し過ぎだよこれだから日本人は(言い過ぎ)
    まぁでも5年くらいならいいか(何が?)
    フィリップが一貫していい男だ
  • 本心
    重ための物語だけど2040年にはそんな世界にもなってるんだろうな、と思った。そう遠くはない未来の話。
  • マチネの終わりに(文庫版)
    前半はわりと物語のテンポがゆるく、じっとりしっとり進みますが中盤の劇的展開から目が離せなくなりました
    作中では40前後の主人公たちですが、余りにも落ち着いた言動から一回り上ぐらいのイメージで読んでいました(出産できる年齢ではないですが)。平野さんの紡ぐ言葉が美しすぎるせいですかね、映画のキャストぐら...続きを読む
  • マチネの終わりに(文庫版)
    平易に書いてしまうととってもベタな40代の恋愛小説なので、そう読まないほうが良いと思います。前段にそう作者が前置きしているのに、私はそのように読んでしまってこの微妙な評価です。(運命的な出会い→ 第三者の嫉妬からすれ違い →なんやかんやそれぞれ苦悩して立ち上がって→再会エンド)

    芸術家の苦悩/スラ...続きを読む
  • 本心
    難しかったけど読み応えあってよかった
    感想書くの難しいけど、自由死とかVRで死者をモデルにしたアバターを作って話すとか普段考えないことが出てきて面白いなと思った
  • 空白を満たしなさい(上)
    テーマが面白くて進んで読めた。上巻だけでは、どのタイプのストーリーに収まるのか全く想像がつかない。色んな可能性が見えてきてどうなるのか先が気になるので、2冊両方手元に置いておくのがおすすめ。さて続きを読もう。空白はまだまだ満たされていない。
  • 本心
    物凄く心に残った一節。
    『僕に今、あの木の緑が、あのように美しく見えていることには、僕が生きていくうえで、必要な意味があるのだった。』

    いつか宇宙の一つになって消えてしまう存在でも、自分が何かを見て美しいと感じる事や、幸せだったと過去を思い返すこと、将来に希望を持つことは、今この時間を生きている自...続きを読む
  • 本心
    生きることに関しての哲学的な表現が多く、理解のために何度も行をなぞることが多かったです。
    全体を通して、どんよりと曇りがかったような重い雰囲気で、若干読んでいて気が滅入る感じでした。
    仮想空間やアバターの話は、そう遠くない未来には実際に有り得そうと思います。
  • ある男
    他人の戸籍を譲り受け、自分の過去を上書きした男の話。男が死んで真相が判る。感動したのは、残された中学生の息子がその調査報告書を読んで、母親と会話を交わす場面。父親の過去を全部受け止めて生きていこうとする姿に胸が熱くなった。