平野啓一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
壮大な物語と緻密な心理描写。なにより、日本語の美しさを感じる。「ある男」で感じた言い得て妙というか、細かな機微を言葉にする力を、また違った形で感じられる。平野さんの丁寧な言葉たちが、ともするとどこまでもひろがっていってしまいそうなストーリーをきれいにひとまとまりにおさめている。
分人主義というものを理解するためには必読の一冊で、もとより社会のなかで、家族といるときや友達といるときや先生に対してなど、様々な顔をして生活している我々は、現代においてネット世界の深化によりさらにその顔を複雑に入り乱れて所有し、使い分けることとなった。それこそ家族で幸せそうにターキーを囲むときにも自分の子どもに自分の知 -
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Posted by ブクログ
毎度この方の文章を読むたびに、文学、歴史、音楽等の広範な知識とそれに基づく深遠な視点と思想に驚かされる。ややニヒリスティックに感じることもあるけれど。ともあれ、圧倒的な知識をとっても、それを反映させる筆力をとっても、この方は本当に天才だと思う。同じ時代に生きていることを感謝するくらい。
本書が書かれたのは同時多発テロが起こった2000年頃。BSEやライフスペース、そんなこともあったなとなつかしく思う一方で、その視点や発想は今読んでも全く色褪せることがない。むしろ今こそ議論してもよいのではとさえ思う。特にパトリオティズムやナショナリズムのくだりは今こそ日本人が考えるべき内容だと思った。 -
Posted by ブクログ
ここまで本当に長かったが、終盤はショパンの「最後」…である
ここで息がつけないような展開で一気にスピードアップしていく
ショパンに死が迫る
何度も喀血し、死と隣り合わせで生きるショパン
少し回復してはまた悪化…を繰り返す
そんな時期にショパンは周りの技術者(指揮者、調律師、医師など)たちの死について、
~一人死ぬたびに彼らばかりではなくその技術までもが道連れにされてしまう
自分が死ねば音楽もしかり
自分の演奏がその死の瞬間にこの世から一切消えてなくなってしまう~
このように考え、何か残したいという思いが強くなる
自らの音楽についての考えをまとめるべく「メトード・ド・メトード」(未完のピアノ