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※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 小説家と女性誌編集者が過ごす、京都の一夜を繊細な心理主義的方法で描き、現代の「性」を見つめる「高瀬川」。亡くした実母の面影を慕う少年と不倫を続ける女性の人生が並列して進行し、やがて1つに交錯する「氷塊」。記憶と現実の世界の間(あわい)をたゆたう「清水」など、斬新で、美しい技法を駆使した短編4作。
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Posted by ブクログ
3/6 「氷解」は上下二段で別の視点人物から物語を描いており、二人が共有する世界を描くときだけ中段に文字が置かれる。 言説/内容にもう一つの観点が用いられるようになった現代小説の先鋒。 青山真治の解説も秀逸。
清水 人の生死の一部始終は、清水の水滴が落ちるその一瞬なのかもしれない。滴り落ちる水滴の音は希死念慮だったのか…。 高瀬川 官能的な時間は、その後の出来事や明かされる過去によって、こうも印象が変わってしまうのか、と感じた。一度読んで感じた気持ちはもう戻ってこないと思い知らされます。 追憶 「複雑...続きを読むなことを複雑に考えている人にとっての追憶とはこうなのか?」と思う新たな読者体験。 伝えたい内容の難解さを前に、言葉の定義を自分は果たしてしっかりと理解できているだろうかと自問させられた。 氷塊 氷は2人にとって何を意味していたのだろう。溶けることは… 描かれなかった物語の背景ー氷山の下では、氷に触れ続けてしまった2人はこの短編の構造のように重なり合ってしまっていたのか…
とにかく実験精神に溢れた挑戦的な文学。 最初の掌編は記憶と流水のイメージを重ね合わせる。屁理屈っぽさすらあり読むのが少し苦しいが、ここで語られていることが後の3作のモチーフになるため、よく読むと読後感が変わる。 「高瀬川」は性交のための一夜の営みがクールっぽく描かれるも、何度か挟まれるダサい描写が印...続きを読む象的だ。 「追憶」は最後のページを読んで思わず拍手。なお、文庫と単行本で文字組はかわるの?と思って単行本も見てみたが、流石に同じだった。 「氷塊」は上下段の小説が同時間軸で展開され、終盤に交差する。読み応え抜群。
実験的な試みによる短編が収められた短編集。 ある一夜を切り取って細かな行動描写と 心理描写で男女の心のなかを探った高瀬川は、 セクシャルな内容に目が行きがちだけど 描写の模索が感じられて面白かった。 あとは、氷塊。 2人の物語の交錯が見事だった。
高瀬川、と氷解、が好きでした。 高瀬川は少し官能小説のようでもあるのだけれど、陳腐でなく愛情を感じるまでもないような、表現の仕方で。 でもやっぱり、少し男性目線かなと。 氷解が良かったのは特異な文章構造でときたま2人の人生が交差するところに少しはっとさせられる。 女の人から見た目線、思考、感情と...続きを読む 男の子が考える構想と現実のあい交える妄想と
「高瀬川」と「氷塊」は面白かった。「氷塊」のつながりは見事。「清水」と「追憶」はよくわからなかったが、全体を通して構成が芸術だと思った。カバー写真も美しい。
平野啓一郎さんが「葬送」後に著した短編集。 当時平野さんは28歳。ご自身の言葉によると 「作家としての挑戦」であり 「男と女の性的な関係に取り組んだ」作品集。 男女の性行為を細かに描いた「高瀬川」 不倫に悩む女性と 実母を求める少年の妄想が交差する「氷解」 の2作のみならず 難解な「清水」と「追憶...続きを読む」にも 確かに、若さが迸るにおいがする。 「高瀬川」には 男女間のズレの 居心地の悪さが見事に描かれている。 セックスという最も密なコミュニケーションを経ても ラブホテルの作為的で冷笑的な空気がそうさせるのか 二人の距離は濃厚になっていく。 そんな一夜を「ペットボトル」に詰め込み 時間という川に流してしまう男の残酷さ。 「氷解」では 喫茶店のガラスを隔てて 女性と少年が視線を交わす。 その瞬間に勘違いが生まれる。 二人の妄想が膨張し破裂する過程がスリリングだ。 不倫に悩む女性の心情も実にリアルに描かれている。 余談だが、女性が思っているように 「好きと言わないのが不倫」、である。 もしも既婚者が「好き」と言えば 新たな意味と時間が生まれてしまい 同時にそれを収束させる責任も生じる。 既婚者の皆さん、 不用意な発言にはご注意ください。 この作品とは関係ないけど(^.^)
小説は、他者と自己の関係というテーマを絶えず題材としてきた。 そんな中で、タイトルにもなっている「高瀬川」という短編は、男女の性にからんだ人間の関係性を、男と女がホテルで一夜を過ごすというシチュエーションで、こんなにリアルに掘り下げることができるのか、と驚かされる作品だった。 遠い昔にサトウトシ...続きを読むキのピンク映画を初めて見た時に、タブーである男女の性にまつわる心理描写をこんなにリアルに描く世界があるのか、と当時学生だった僕は驚いたのだが、それに似た、しかしそれを純文学としてさらりとやれるんだなあ、という感嘆と呆れが混じったような。。 どこまでが作者自身の体験に基づくものかは知らないが(知っちゃいけない気もする)、こんなに感情的な一コマを客観的な心理描写で重ねられると、僕だったら(同性だけど)怖くてこの人とはつき合えないなと思う。体を許した後に女性が、心を許すべく、自分の秘密を語り始める描写などは、リアルすぎて吐き気がした。 「大野」が主人公の短編は「フェカンにて」もあるが、いずれも読後感がたまらない。くせになる。
表題作。高瀬川。京都の一夜。その「性」をどっぷり。ただ性欲を満たすだけならば小説などなんの意味も立たない。SEX本。心理学本。そんなの意味がない。恍惚感。死の気配。隠された過去。本能。アンバランス。否定。肉体から心まで奪うこと。過去を消しさること。一度傷ついた心。もどらないこと。心の平安を取り戻すこ...続きを読むと。二人の絡み合った下着。押し込まれたペットボトル。衝動に駆られて決行した。心と心がどれだけ近づけるか。距離だ。ひとつになれるか。そうでなきゃ。切ないだろ。
純文学というのは、とっつきにくくてどうも苦手です。 「清水」「追憶」は、どうしても読めませんでした。 「清水」は、阿部公房のような、いわゆるシュールレアリズムというものでしょうか? 文庫版を電車の中で読んでたら疲れてしまいました。 「追憶」も同じく。実験的すぎて、頭に入ってこなかった。 こういう...続きを読む類の作品は、静かなところで落ち着いて読まなければならないな、と思いました。 「高瀬川」「氷塊」は、見事です。 丁寧な心象描写にぐいぐいと引き込まれていきます。 特に「氷塊」に出てくる少年の思春期らしい、真っ直ぐで繊細な感情は、読んでるこちらにもひしひしと伝わってきて、身を切られる思いでした。 収録4編とも、すべて毛色の違う、盛りだくさんな一冊でした。読み応えは十分あります!
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