平野啓一郎のレビュー一覧

  • かたちだけの愛
    恋愛物が苦手なのだが、「マチネの終わりに」が良かったので読んでみた。

    タイトルが「かたちだけの愛」とあるので、結局最後別れてしまう話かと思っていたが、どうもタイトルの「かたち」は義足という形あるものをめぐる「愛のかたち」についてを示しているような気がする。

    この作品はプロダクト・デザイナー相良郁...続きを読む
  • 透明な迷宮
    著者の試み通り、「ページを捲らずにいつまでも留まっていたくなる」小説。

    依田氏からの依頼は中盤からスローモーションの情景が頭に浮かんでくる。そんな情景を文体で表せるのは凄い。

    個人的には「消えた蜜蜂」が好き。
  • 「カッコいい」とは何か
     SNSでの時事コメントやメディア上での時評では(ろくな文化人の少ないこの世代では例外的に)至極真っ当な平野啓一郎だが、肝心の書くもの(小説・評論)が個人的にはつまらないことが多い。本書も西欧中心主義的な思想系譜認識や、生理的な「体感」を「カッコよさ」受容の本質とするアクロバットな力技に恣意性を感じ...続きを読む
  • 「カッコいい」とは何か
    つまりその、ついていけなかったわけで。古代から現代までに通じるあれこれを平野さんの博識で語る。カッコいいのはシビれる感じなんだって。
  • 賢人の読書術
    流し読みができる本。筆者達の参考本を是非読んでみたい。本は批判精神を持って読むべしの部分は、なるほどと感じた。批判感情を持ち読むと、たしかに記憶に残りやすく、今後も活用できそう。
  • 「カッコいい」とは何か
    難しい部分は斜め読み。
    「カッコいい」が現代語辞典に登場するのは1990年代で、一般的な言葉として普及したのは、1960年代だそうである。
  • マチネの終わりに(文庫版)

    しんどい

    久しぶりにとても読むのが辛い本だった。中盤は噛み締めながら読むのが無理だった。明るい兆しを含むラストであったが、救われるわけではない。この本を読むには自分はまだ人間性や教養が足りてないと感じた。5年後10年後にまた読んでみたいと思う。その時人間的な深みを得られていればじっくりと読み込むことができるか...続きを読む
  • 「カッコいい」とは何か
    不発。著者とテーマの組み合わせが「カッコいい」と思い、期待しましたが、なんか惜しい感じ。確かに著者が「小説以外では、この十年来、私が最も書きたかった本」というだけあって、古今東西の文献から「カッコいい」の成立を見出して行こうという意欲はビンビンに溢れていて、新書にしてはめちゃ分厚い本になっています。...続きを読む
  • 「カッコいい」とは何か
    ラジオで紹介されていて読んでみた本。著者が感じる”カッコいい”について深く考察されており、かなりのボリュームの1冊。カッコいいをここまで分析できることに関心させられた。
  • あなたが、いなかった、あなた
    作者の作品を読むのは、「決壊」に続いて二作目。難しい、難解。。読みやすいのは、「義足」と「慈善」くらいか。(「義足」は、あの後藤健二さんの著作を参考にしてるそう。)
  • 「カッコいい」とは何か
    「かっこいい」という概念についての考察。平野さん的なかっこいい論。なかなかボリュームのある内容でとても興味深かった。
  • 賢人の読書術
    著者が1人ではないのもあり部分により内容への賛否は分かれるのですが、全体的に納得できるような内容ではあったと思います
    しかし以前に読んだ読書本と比較するとどうしても薄いように感じました
    図説により取っ付きやすい仕上がりになっているのは良いのですが、それにより流行に乗っただけのビジネス本のような、何と...続きを読む
  • ドーン
    分人やディヴ、それから次世代のテクノロジーに加えて火星探査など、なかなか想像の簡単でない近未来が描かれてました。偉業を成し遂げる人が登場して、大統領選挙に絡めた戦争や国家に対する思想が説明されているのに、みんな暗い一面を背負っていて、尊大な感じがないです。未来ってこんなに微妙なバランスの上に成り立っ...続きを読む
  • ウェブ人間論
    『ウェブ進化論』(ちくま新書)の著者である梅田夫望と、『日蝕』『葬送』(ともに新潮文庫)などで知られる小説家の平野啓一郎が、ウェブ世界の可能性とそれにともなう人間観の変化について語った本です。

    両者とも、インターネットのもつインパクトの大きさを認めながらも、人間の理解については異なった意見をもって...続きを読む
  • 考える葦
    「考える葦」
    「透明な迷宮」「マチネの終わりに」「ある男」執筆時に、作家は何を考えてきたのか。


    文学、思想、美術、音楽、エンタテインメントから社会問題まで広範なテーマに亘る六十七篇の論考を集成した批評・エッセイ集。


    第1章:私達自身のような「夭折の天才」(ドナルド・キーン「石川啄木」)か...続きを読む
  • ドーン
    人類初の火星の有人探査船ドーン。迫るアメリカ大統領選挙の行方と陰謀に巻き込まれていくクルーの運命は。火星探査は正直おまけであり、メインは大統領選挙。SF要素はほぼない。
    話としては正直詰め込みすぎで、宇宙の話必要なかったのでは?という気もする。しかし、背表紙解説にも書かれているが、「分人(ディビジュ...続きを読む
  • 透明な迷宮
    短編。
    興味深い視点から書かれた内容が多く、気付かされることがある。
    これは平野啓一郎文学の特徴でもあると思う。
    でも長編の方が好き!
  • 決壊(上)
    さすが京大出身という感じの文体。
    難しいところは読み飛ばしたが、
    文体は嫌いじゃない。
    他の平野啓一郎も読んだが、決壊が一番好き。
  • ドーン
    作者が提唱する「分人」の思想にあまりしっくり来なかったため、ストーリー自体は楽しく追えたけれどイマイチはまりきれなかった。「会社での私、恋人の前の私、家族の前の私はみんな違うけどどれも自分の人格だよね」っていう主張自体はごもっともなのだけど、それが作中で世界的に、ここまで一般的に普及するほどのものか...続きを読む
  • 日蝕・一月物語
    著者のデビュー作である『日蝕』と、第二作『一月物語』を収録しています。

    『日蝕』は、ルネサンス期のリヨンを舞台に、トマス主義者である一人の青年僧が、ヘルメス主義にもとづいて錬金術をおこなっているという老人のもとを訪ね、奇怪な出来事を体験する話。『一月物語』は、明治30年の奈良県十津川村を訪れた青年...続きを読む