平野啓一郎のレビュー一覧

  • 文明の憂鬱

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    20年以上前のエッセイだが、楽しめた。

    ソニーのAIBOとか、9.11同時多発テロとか、そんな頃の作品だが、話題の古さよりも、言い回しや説明の仕方、言語を用いて正確にかつできるだけフランクに伝えようとする姿勢が印象的。

    「鍵というものは、あのキザギザした複雑な形状に或る種の色気があって、それは聞より明かされてはならない等の錠の内部の秘密を精密になぞったものであるのだが、その錠の秘密こそは、奥に隠された錠に守られるべき秘密と直接に通ずるものであるのだから、鍵の形状は、いわば錠の奥に控える秘密そのものの内から銀った堅固なネガということになる。宝物を収めた箱の鍵であるならば、それは、宝物そのもの

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    2025年04月14日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    3/22 人が蘇るとか現実にはなさそうだけど、あったりするのか…?と思わせるようなリアリティある話で引き込まれた。

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    2025年04月14日
  • 葬送 第一部(下)

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    試験勉強のため暫し読書をやめていましたが、終了したらこの人から読もうと決めていたので…2025年の初めは平野さんからです。

    ショパンとサンドの関係は知ってはいたけれど、詳しくはなかった…小説なので…どこまでが、とも思うけれども、詳細な取材があってのことだと思うので、この物語りで語られるあり様から思うこと。

    ドラクロワの芸術論は、正直難しい…ただ、かれの描く絵画から、その性格であったり思想を読み解くと、当時の画壇では異端児的ない扱いでサロンでも悪評があったにも関わらず、ロマン主義の旗手として第一線で活躍し続けたこと、そして比類なき仕事量を思うに、やはり仕事に対する理想と、それに向かう情熱が抜

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    2025年03月09日
  • ドーン

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    分人思想についての本を読み、こちらを読んだ。
    「結局、なんの話だったんだろう」というのが正直なところ大雑把な感想。
    だけど、宇宙船内の様子などまんまコロナ禍の時に起こった事だ。
    密室に同じ人間が長時間いると軋轢が生まれるその様は、コロナ禍を体験した身からするととてつもないリアリティがあった。
    分人思想についても物語を通して理解が深まった。

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    2025年03月08日
  • 文明の憂鬱

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     芥川賞受賞作家、平野啓一郎の2000年頃の時事に対する随筆。流石に二十年以上も前のことなのでAIBOや狂牛病の問題など、些か古くはあったものの、気付けば忘れ去られていたことの中に、結局のところ何だったのかと、その本質も知ることがいかに難しく、またそういった物事に対して考えるということが、いかに大事なのかと知らされた。
     個人的には「錠と鍵とを巡るイメージ」、「新しい身体」などは共通点が垣間見えて興味深かった。しかし平野啓一郎は、こういった時事の随筆よりは小説の方が断然その表現力が圧倒していると思うのは私だけであろうか。

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    2025年02月12日
  • 透明な迷宮

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    ネタバレ

    不思議な話だったな。
    非現実的でふわふわした感じが村上春樹っぽいなと思った。



    「消えた蜜蜂」
    人間は自分が気にな物事の確証や反証を得るために、
    人生をかけるところがある。それを感じる話だった。

    Kは実家の養蜂場が廃業して、兄が出て行っちゃったことが悲しかったんじゃないのかなと思った。

    証拠不十分で敗訴になったこと、それ以降近隣住民が同情的だったこと全てが納得いかなくて、
    ずっと怒っていたんじゃないかな。

    はがきを真似して書いて、「クレームがこない」という事を体験することで、敗訴にした世間だったり同情的だった住民の無知を確認して自分を納得させているように感じた。

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    2025年01月08日
  • 本心 分冊版 プロローグ/第一章 <母>を作った事情

    購入済み

    語り口が昔っぽい

    作中にも言及しているように 三島由紀夫や川端康成が書いたような現代の日常では使わない言い回しが多用されている。しかし読者に与える印象は、三島のように鮮烈華麗でもなく川端のように凄みがあるわけでもない。この作者の文体からはやや沈んだ古風な印象を受ける。
    ストーリー展開はいま大流行しているAIや一昔前に流行したVRの近未来版でSFであることになる。テーマや展開は面白いのだが、文体がどうも馴染めない。

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    2024年12月04日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    前半サスペンス要素強くどんどん読み進めたが、後半(下巻)ちょっと精神的な話がメインすぎてトーンダウンしてしまった。
    小説そのものの感想ではないが、分人思考という考え方は納得。父親が死にそうになったとき、あぁ娘としてはもう生きられないんだな、と感覚的に思った。
    友達にも、この人といると素直になれるという人がいる。
    本当の自分というより、厳密に言えば関わる人の数だけ分人がいるということだ。

    自分の価値観と自分が合致してると幸せ、みたいな文章がありなるほどと感じた。

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    2024年11月29日
  • サロメ

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    難しかった。
    サロメと首だけの知識で読み始めたが、比喩、詩的表現が続き物語が進むようで進まない。
    解説を読んでようやく理解できた。
    推理小説のようであり、大学の授業を思い出すようであり。

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    2024年11月10日
  • 高瀬川

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    読んでみて感じたのが、実験的な小説だなという
    印象でした。
    表題作の「高瀬川」は、ある男女の一夜を舞台に
    繰り広げられる生と性の物語です。
    物語の中で森鴎外の「高瀬川」が出てくるのですが、本作との共通点が見られるのか分からないが
    気になりました。
    「追憶」は言葉がバラバラに散りばめられいて、最初は意味が分からない印象だったが、ページを進むにつれて、文章がまとまっていくので、最後の
    ページでスッキリしました。

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    2024年11月04日
  • 日蝕・一月物語

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    芥川賞受賞作の「日蝕」よりも、もうひとつの「一月物語」の方がストーリーとしては面白かった。

    高子を貰い受けた坊主が山奥の庵で実際には何を行ったのかは、はっきりとは書いてないが、流れ的には、光源氏的生臭坊主なのかと思ってしまった。

    前半は、夏目漱石の「草枕」と雰囲気が似ていた。文体は当時読もうとして苦しんだ明治文語体風だし、場面設定も似た感じだし。

    二篇ともルビだらけなので、一頁あたり15行と空間がとってあって、その点は配慮があるつくりだった。

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    2024年10月08日
  • これからの教養 激変する世界を生き抜くための知の11講

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    全体的に横文字が広く多く使われていた印象。
    それなのに文学代表の平野啓一郎さんの文章はスッと入るし、本人の半生を知れてファンとして棚ぼたでした。
    最後の人類学代表の山極寿一さんの話は為になった。猿になる前に村に定住しようかなと思った

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    2024年09月27日
  • 透明な迷宮

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    6篇が収められているんだけど、それぞれ設定がさまざまで、それぞれの文体がその時代を感じさせて、そういうテクニックは、すごいなーと思います。本のタイトル通り不穏な感じがまた怖いのであります

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    2024年08月21日
  • かたちだけの愛

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    美しさに翻弄され、いつのまにか誰もが愛してしまう久美。でも彼女にとっては相手の配慮より、相手の無我夢中の自己満足を通してでないと、信用できない。だからやたらと試してみたりする。
    このひとたちは、なんなの?と眉ひそめながら読み進める。幻痛、分人、そして愛。理解することは難しいです。でもこの文章はなんか沁みた!
    「彼はその金瘡のように眩しい光を放つ痛みに眩暈を感じた。そして全身に戦慄の波紋が幾重にも広がって交わり合うたびに鈴のような恍惚が響いた」
     すべての登場人物が甘美な悪夢を見ているようなそんな印象を残しました。

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    2024年07月30日
  • 透明な迷宮

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    不思議なお話。
    夢なのか、現実なのか、妄想なのか。
    短編集でありながら長編作読んだような重みがあった。

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    2024年07月14日
  • あなたが、いなかった、あなた

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    芸術家が、油絵か、彫刻か、はたまたインスタレーションか、映像作品か、自分が伝えたいことをいろんなフォーマットで試してる、みたいな、一冊。平野さんのこの実験を同じ次元で受け取れる人がいるのなら、2人の会話を盗み聞きしてみたい。

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    2024年07月12日
  • 「カッコいい」とは何か

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    ファッション誌のキャッチコピーみたいなタイトルですが、「かっこいい」という概念について論じた本です。

    意外にも、その歴史は浅く、戦後に作られた言葉だそうです。「人はどうあるべきか」という考えが、封建制や全体主義下とは異なり、個人に一定程度委ねられた結果、個人が憧憬の念を抱く対象が多様化し、その中で体感によって得た憧れを表す言葉として「かっこいい」が誕生したと書かれていました。

    大切なのは、かっこいい対象を決める「体感」も、社会からの影響を強く受けているということだと思います。戦前の様に統制的に押し付けられるものではないにしても、社会の雰囲気、近しい人達の状況、企業のマーケティング等によって

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    2024年06月24日
  • 自由のこれから

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     技術の進化のよって、私たちの生活からは「自分で選択する機会」が失われつつある、と言う。
     そのように考えたことがなかった。自由に考え決めていたと思っていたが、それはある選択肢がある中での自由決定だった。
     そう分かっても、それを「問題あり」とは感じないのは問題なのだろうか。
     いまいちはっきりと要旨をつかんでいないので、時間をおいて読み直したほうがいいのかな。

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    2024年05月25日
  • 決壊(下)

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    平野氏の作品は本当によく考えられ練られている。
    上巻では止まらなくなる。一体何が起こっているのか?犯人は誰なのか想像せざるを得ない。
    下巻では謎解きが少しずつ。様々なこれまでの言葉の仕掛けが明かされていく。
    自分的にはあまり殺人というテーマは好きではないのだが、読んでしまった。うーん。

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    2024年05月25日
  • サロメ

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    オスカー・ワイルド作、平野啓一郎訳
    ワイルドはアイルランド人なのに、原作はフランス語とのこと。

    筋書きは知っていたつもりだけど、元々持っていたイメージとはだいぶ異なる印象。とてもわがままな王女が無茶苦茶をする話であることは同じなのだが、少女の超ツンデレぶりが逆に清々しいくらいだ。サロメが、ヨカナーン(ヨハネ)の白い肌、黒い髪、赤い唇を順に褒めたり貶したりする様は、滑稽でもあり、切なくもあり、ストーカーが死を以て相手を独占しようとする様とも重なる。どうしてもキスしたいから首を斬る、と言う発想はぶっ飛んでいるが、紀元前からずっと語り継がれてきたお話である以上は、ある程度は普遍性のある感情なのだろ

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    2024年05月21日