平野啓一郎のレビュー一覧

  • 富士山

    H

    購入済み

    著者の小説(マチネの終わりに、空白を満たしなさい等)や分人論を読み、著者に興味を持っていました。私だけかもしれませんが、短編のためか、残念ながら物足りなさを感じました。

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    2026年01月02日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    前半(上巻)はミステリ色が、後半(下巻)は哲学色が濃厚。ひとつのお話の中で、それぞれに違った魅力を楽しめる2冊だった。

    上巻では、主人公の死が周囲にもたらした影響(痛み)が客観的に描かれ、少し離れたところからそっと眺めている感覚。犯人とされる人物以外にも、含みを持たせるような表現の巧みさに、続きが気になってどきどきしながら読み耽る。

    怪談的なものを読んだり、梶尾真治さん原作映画『黄泉がえり』を観たばかりだったせいか、突然戻ってきた死者はまた突然消えるというのが物語としての定番のような気がしていたので、復生者本人や周囲の人々がそのような不安に怯えていないのが不思議だった。

    上巻終盤の急展開以後、下巻ではもう少し主観的に、読者は(「分人」の主張に)視野を狭められ、全体を見渡しにくくなっていく。ゆえにこの上巻は物語の土台として重要な部分なのだけれど、久しぶりに読んだ講談社文庫、小文字の【 っ 】の主張が強くて、それだけのことなのにとてつもなく読み難かった。

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    2025年12月26日
  • 葬送 第二部(下)

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    だいぶ昔に、人生の中で絶対に読まねばならないと思い読んだ本。なぜなら、大学生の頃にポーランドにいき、ショパンの心臓が収められている教会にいったことや、戦場のピアニストでノクターンの響きにやられてしまったから。
    ショパンの友人にドラクロアという絵描きがいて、ホットチョコレートを飲みながら芸術とは何かについて話していることが、なんとも耽美的で、ぼくはそういうのには興味ないけど、美しいと思った。
    現代文ではあるが、芥川賞作家ということもあり、衒学的で、難解な長い一文を紐解くのに苦労し、ただでさえ大長編なうえに読むことも難しかったが、読み終わった感動はひとしおであった。

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    2025年12月20日
  • 空白を満たしなさい(下)

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     オーディブルで上下巻とも一気に聴いたが、それなりに面白い小説である。一度死んだ人が3年後に再び生を取り戻すという設定なのであるが、なぜ自分が死んだのかわからずに、殺されたに違いないと思っている段階までの方が面白かった。自殺したことがわかってからは、再び別れなければならないという心情をうまく描いているのだが、情緒より推理に重きを置いてしまう私は少し盛り上がりにかけると思ってしまった。

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    2025年12月20日
  • 死刑について

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    死刑廃止か存置か
    自分はどちら側なのか考えながら読んだ
    しかし答えは出すことができなかった
    おそらくいつになっても答えは出せない気がする

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    2025年11月25日
  • 「カッコいい」とは何か

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    メルカリでセット販売してて、たまたま手に入れた本(これも偶然性と思って購入)。ずっと積読しているのも忍びないので読んでみた。470ページぐらいの分厚い本で、よく「カッコいい」でここまで書いたものだと感動すら覚える。「カッコいい」という言葉が比較的新しく、その言葉が持つ動員能力や消費刺激力についての考察はとても面白い。一部、ロックや洋服など作者の趣味領域への言及も多いので読みづらいとも感じた。もっと哲学的に論じても面白いテーマ。

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    2025年11月25日
  • ご本、出しときますね?

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    村田沙耶香さんのインタビューを読み漁っていたところこの番組を知り、当方リトルトゥースでもあるので是非観てみたいと思い、映像を探していたら書籍化されてるとの事で読みました。
    若林さんと仲の良い西加奈子さんや朝井リョウさんのインタビューも載っていてとても面白かったです。

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    2025年11月09日
  • 文学は何の役に立つのか?

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    ネタバレ

     評価が低いのは自分が理解できないところがたくさんあったからで、決してこれがつまらないというわけではありません。
     ドフトエフスキーなんてカラマーゾフ上巻で挫折したし、絵画に至ってはほとんど分かりませんでした。

     平野さんがあらゆる芸術の造詣が深いことは分かりましたね。

     瀬戸内寂聴や大江健三郎との対談や弔辞は、羨ましいですね。これからの日本文学会をしょって立つ人ならではです。

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    2025年10月19日
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践

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    スローリーディングのススメ。じっくりと読み込むことで、その本が持つ真の姿を知り、味わうことができる。とても魅力的な読み方。一方で、読みたい本が増殖している現状があり、多読したいという欲求も捨てきれない。答えなんかない。一生迷ってそう

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    2025年10月15日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    装丁に惹かれました。
    ゴッホと目が合って。
    そんな人も多いはず、、!

    死んだ人が生き返るなんて嬉しいにきまってる、なんてこともないんだな。
    当の本人は復生者として肩身の狭い暮らしを余儀なくされ、死に方が自殺だったならば余計に生きづらい。
    自分の本当の顔というのはどれが正解なのか、親といるときか友人か家族か1人でいる時か。
    分人という考え方をそのまま物語に落とし込んだような世界観。
    大切な人を失うということは、その人と過ごした自分の分人も失うということ。
    深いところまで掘り下げて結局本当のところが見えないから人を心から信じられない。

    ドラマで実写もやってたの知らなくて、途中から役者さんに当てはめて読み進めたんだけど、佐伯の阿部サダヲ合うな、、観たい、、

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    2025年10月11日
  • 空白を満たしなさい(下)

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    この作品は自殺防止の意味も込めて書かれたのかなって思った。死んでまた生き返ってその時初めて自分のしたことに対する後悔と周りへの影響が身に沁みてわかるのだと思う。(実際、生き返れないから無理な話ではあるが)
    でも徹生もそうだったように、自殺する明確な理由ってきっとなくて一時の心の迷いなんだろうな…

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    2025年10月01日
  • サロメ

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    古い表現で理解が難しいが、解説がオスカーワイルドについて詳しく述べられていて、解説が読み応えあった。
    原田マハさんの「サロメ」を読んだ後に読んだため、原田さんの小説を背景として想像するとまた違った読み方ができた。

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    2025年09月30日
  • 文学は何の役に立つのか?

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    本書はいわゆる、エッセイ集といったものであるから、タイトルにある「文学は何の役に立つのか?」について、延々と語られるわけではない。
    小生はタイトルのみで本書を手にとったため、やや拍子抜けしたが、オッペンハイマーに関する内容はとても興味深かった。

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    2025年09月25日
  • 小説の読み方

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    ネタバレ

    速読が流行る中、本書は「スローリーディング」を軸に、小説をどう味わうかを提示している。

    印象に残ったのは「述語」の二種類――主語を説明するものと、物語を前進させるもの。これを意識するだけで小説のテンポの違いが見えてくるのは大きな発見だった。

    一方で、理論編と実践編のつながりがやや分かりにくく、登場人物が多い小説の攻略法が示されていないのは残念。そこで自分なりに「人物を主語として整理し、述語の役割で物語を動かす人物を見極める」という読み方を提案したい。

    小説を論理的に読む試みとして刺激的な一冊。自分なりの読み方を模索するきっかけになった。

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    2025年09月21日
  • 文学は何の役に立つのか?

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    なかなかに難しい本でした。

    ドストエフスキーに関しては、まともに読んでないからさっぱり理解できず(汗

    三島由紀夫、森鴎外、安部公房は、少しだけ見識深めたかも。上面ですが・・・

    個人と分人、なかなかに興味深いお話でしたが、説明しろといわれるとそこまで理解できていないのが本音かな。

    文学は役に立つのか?
    そんな高尚なことは考えず、読むだけの私です。

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    2025年09月16日
  • 「カッコいい」とは何か

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    平野啓一郎さんの「カッコいい」を論じた真面目な本なのだが、どうしても薀蓄満載の本になってしまっている感がある。本人は楽しんで書いたと思うし、もちろん、現代においてそれを論じる意味は十分にあると思うが。

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    2025年09月13日
  • 決壊(上)

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    やっと読み終わった上巻
    ぞわぞわと恐怖の波が押し寄せてくる
    はじめから
    畳み掛けるように一気に話す崇の言葉に
    ちょっと戸惑いつつ
    一気に読み進めてきたけれど
    頭が理解するのに時間がかかる文章に
    自分の理解力のなさを
    感じずにはいられないと共に
    なんだか違和感を感じた
    すべてが夢の中のことのように

    何気ない家族の出来事は
    どこにでもある
    家族の悩みであって
    何も珍しいことではない
    だからこそかえって
    恐怖を感じるような気がする

    時に信頼が疑惑に突然かわることがある
    その瞬間を
    自分の目で見たかのような衝撃
    崇と佳枝の関係がいったいどんなものなのか?
    母と父の関係は?
    少年と両親、同級生との関係は?
    はたしてどうなるのか?
    このまま下巻に巻き込まれた方がいいのか
    少し、気持ちを落ち着かせてから
    にしようか?

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    2025年08月31日
  • 高瀬川

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    ネタバレ

     若いときっていろいろやりたくなるんだろうね。わざと読みにくくして、読者を困惑させようとしたのかな。
     表題の「高瀬川」はいちばんつまらなかったな。性行為を詳細に書くことにどんな意味があるのだろう?官能小説とは違うんだと言いたい?
     「氷塊」には困った。どこまで読んだらええんやって感じ。

     とまあ、いろんな技法を試したかったのでしょうね。

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    2025年08月24日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    「生き返る」ことは御伽話の世界で、かつポジティブなイメージを持つものだ。しかし本書では生き返ることで生じるつらさを生々しく描いていると感じる。働き口が無い、運転免許が無いなど社会的な部分もあるが、妻や子供に100%歓迎されてるわけではない雰囲気が切実につらい。さらに主人公の死ぬ直前の記憶が曖昧なことが不幸を呼んでいる。自殺なのか他殺なのかで社会からの受け入れられ方はかなり異なる。彼の死因は自殺とされているが、認めたくない気持ちが強くなっていくのとは反対に佐伯の存在やDVDの記録から自殺の可能性が強まってくるところは見てて可哀想だった。

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    2025年08月23日
  • 決壊(上)

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    登場人物の特徴的な部分でもあるが、哲学的な要素と独特な比喩表現が相まって読みづらい部分と、物語として面白いゾクゾクする狂気的な部分が入り混じっていて読み進める速度に山がある…笑

    悪魔的な思想の「死」「殺人」において、自分のテリトリーで起きるか、テリトリーの外で起きるかによって考え方が違うという言い分はとても共感できる。

    初・平野啓一郎で作家のクセって面白いなぁと俯瞰的に思いながら読む自分もいた。

    【あらすじ】
    地方都市で妻子と平凡な暮らしを送るサラリーマン沢野良介は、東京に住むエリート公務員の兄・崇と、自分の人生への違和感をネットの匿名日記に残していた。一方、いじめに苦しむ中学生・北崎友哉は、殺人の夢想を孤独に膨らませていた。ある日、良介は忽然と姿を消した。無関係だった二つの人生に、何かが起こっている。

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    2025年07月30日