【感想・ネタバレ】空白を満たしなさい(下)のレビュー

あらすじ

全国で生き返る「復生者」たち。その集会に参加した徹生は、自らの死についての衝撃的な真相を知る。すべての謎が解き明かされ、ようやく家族に訪れた幸福。しかし、彼にはやり残したことがあった……。生と死の狭間で「自分とは何か?」という根源的な問いを追究し、「分人」という思想が結実する感動長編。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

名作、、、平野さんの本はどれも示唆に富んでいて考えさせられるけど、中でも一番好きかも。
どの瞬間か分からないけどどこかで消失してしまうと分かってからの日常の輝きたるや、、最後の湖のほとりのピクニックは本当に何気ない一瞬なのに儚くて美しくてぼろぼろと泣いてしまった。公園の「イカ」も、何気ないけど楽しい日常の1シーンとして良い象徴だった。
千佳の「秘密」のこともすっかり忘れていたけど、一緒に実家に帰って徹生が千佳のことを「善い人」だと説いたシーンもとても印象的で泣いてしまった。このあとも一緒に生きていけたらいいのにね、残された千佳がまた実家に帰れる未来はあんまり想像できなかったな。分人主義の考え方も含め、自殺遺族の救いの書になり得るテーマだった。

ラデックとの会話は深くて、でも穏やかな時間で何度も読み返したくなる魅力がある。

「アダムとエヴァを追い出したあと寂しくなる神様」の詩
「誰も、人間の苦悩する権利を否定することは出来ません。それは、残酷なことです。我々はいつでも、癒しを与えることを急ぎすぎ、自分の住んでいる世界を憎悪から守るのに必死で、他者の苦悩を尊重することを忘れがちです。」
「苦悩を否定された人間は、悲劇的な方法で、それを証明するように追い詰められます。多くの場合、我々は、決して否定できない深刻な事態が生じてから、初めて彼の苦労を知るのです。」
「生きることに肯定的な人間も、否定的な人間も、同じこの世界を生き、同じ人間としての生を生きています。世界を愚弄され、人生を貶められれば、生きようとする人間は、当然、反発します。自分を守るためです。私たちは無価値な世界で、無価値な生を生きているなどということには到底耐えられません。それは恐ろしいことです。」

→本当に、だから生きることに否定的な人間は孤独なんだなあと思った。生きることに否定的だから死ぬんじゃなくて、否定的であることが許されないから死ぬって選択になることもあるよなあと思った。

「死は傲慢に人生を染める」
自分の人生を彩るための様々なインク壺で丹念にいろんな色を入れて重ねていく。たまたま最後に倒してしまったインク壺の色が全部を一色に染めてしまう。

→死に方で判断するのは違う。違うんだけど死ぬ瞬間はセンセーショナルで、その先のその人の話は新たに紡がれなくなって、周りの人の頭の中で想起されるのは常に「過去」
そして最も最近の過去が死ぬ瞬間だから(上巻の冒頭に繋がるが)、死に方でどうしても判断してしまうのだろうな。

文人主義の考え方、「誰かといるときの自分を愛す、その分人を足場に生きていけばいい。」というの刺さったなあ。

「心の誤訳」ラデックが説明した、伊勢物語の時代は現代の「自殺したい」という感情を「出家したい」と訳したのだろう、という考え面白いな。社会的な文人を消すことで命まで失わずに済む。この考えが自殺者を救う気がするな。

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2026年05月30日

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上下巻の構成とは知らずに上巻だけ買って一気読みしてしまい、待ちきれず途中駅でわざわざ下車して下巻を買った。本当に面白かった〜〜
一つ一つの描写で、自分が日々当たり前に見ている景色、考えていることがよりクリアに的確に表現されていく感じ、読んでいて気持ちいいなと思う。
分人主義についての本を読んだことがあったので考え方自体は元々知ってはいたけど、自殺についての見方は新しくて、且つ納得感があった。
あと、直前に原田マハの『たゆたえども沈まず』を読んだおかげで、ゴッホの肖像画のくだりがより一層深みを増したように思う。
佐伯は結局何者だったんだろう。
平野啓一郎の本、好き!

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2026年05月09日

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最後の最後まで結末がわからず、ハラハラしすぎて本当に見てられない、、眩しくて残酷な運命の中でどう行き、どう死ぬのか。分人主義を切り口に、人が生きるとは、死ぬとはを深く感じさせる小説

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2026年02月20日

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すごく面白い小説でした。
前半と後半が別の話のような展開ですが、最初から最後まで展開が多くて一気に読み進められました。

「死」とは何か?
「肉体的に無くなること」「人の記憶や様々な記録から無くなること」など、色々と定義されますが本の中でも登場人物が様々な解釈をしています。解釈は人それぞれで答えなんて無いのかもしれないですね。

主人公ほど若い頃ではないものの、私も父親を亡くしています。大切な人が死ぬことで悲しみ苦しみますが、それを最初に癒して慰めてくれるのは作品でも言及がある通り「ある程度の時間」でした。そして、いつまでも悲しんでいられずに、大切な人の死を受け入れて普段通りに仕事をしなければならない。強引に戻した日常に揉まれて、少しずつ大切な存在が薄れていく。
残酷な現実の中で働いて生活していかなければならならい、感情のコップに水が溢れそうなときに大切な人の死を思い出すと水が溢れてしまいます。

上手く言えないけれど、思い出すタイミングは残された人が決めて良いのだと思います。何かに迷ったときは「あの人ならどうするか?」、少し心細いときは「あの人なら何て言葉をかけてくれるか?」、生きている日常で感情がいっぱいいっぱいのときは思い出すトリガーとなりそうなものから少し距離をおいておく事も大事なのかもしれないです。

そうやって死者との距離感が上手くなっていくことで、人はやっと大切な人の悲しみや苦しみを乗り越えられるのだと思います。

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2026年01月23日

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人にはいくつかの分人が存在する。
家族や友達、同僚、上司と。
それぞれと接する時の自分はテンションや気の使い方も異なっていていろんな自分がそのにいる。
どれが本当の自分なのか。
幸せであっても疲労は溜まるし嫌いな自分は消したくなる。
この装丁はなぜゴッホなんだろうという謎も納得。
ゴッホのいろんな顔と自殺の真実が物語と結びついて後半はかなり面白くなってきました。

そして、終わり方に鳥肌、、。
りっくんを抱きしめる直前に消えちゃったってこと、、?
彼の悔いが残った空白が満たされたから消滅したのかな。
2回も大切な人がいなくなるなんて耐えられないけど、これを読みきって生の尊さが身に染みました。

死んだものは蘇らないから生は尊い。
今を大事に噛み締めた生きなければ。

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2025年10月16日

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この人はえげつないものを書くなーと毎回思わされる。小説であり哲学書でもあるような。

同著の『私とは何か』を読んだことがあったから文人主義の理解は容易かったけど、この概念を復生者のレンズでみるって言うのはほんとに面白い。

なんかまたすごい本に出会ってしまったなぁ。
しばらくは余韻に浸ろう。

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2025年08月09日

Posted by ブクログ

衝撃的なストーリー
哲学的であり、心理学的であり
その都度納得の内容にため息が出る
ゴッホの絵の繋がりもたっぷり盛り込まれている
ただ、切ない

分人という考えにも納得ではあるが
すべてひっくるめてのその人で
自分でも考えれば
何個の分人を抱えているか数えきれない
なんともせつない

生き返った意味があったから
生き返ってやることがあったから
生き返ってきたのだろうか
そうでなければ
危険人物も蘇ってしまうわけで‥
閻魔様の悪戯なのか
だとしてもせつない

璃久ちゃんのどんぶらっこは
はたして父を運んできたのか
これからの父への暗示なのか?
今もどこかでこんなことが
おこっているのではないかと
思わずにはいられない

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2025年07月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ゴッホのついての学びを深めたかった時に、ゴッホの表紙が気になり購読。
「分人」という新しい哲学に触れ、自分の中でも腑に落ちる点があったので、新たな視点として咀嚼していきたい。
分人は、相手毎に生じる自分の分身がいるという思想で、自分という根本は変わらないが、相手が恋人なのか友達か、嫌いな人かによって異なる分人がいるということである。
自殺についての解釈は、自身にいる嫌な分人を「消したい」という感情から生まれ、分人を理解していない人にとっては、嫌な自分を「殺す」しか手段がなく自殺するということに納得がいった。
嫌な分人と向き合うには、「見守る」と本書ではアドバイスしていたが、私の意見では「受け入れる」と感じている。そういう分人も含めて自分を愛したいからだ。
ゴッホとの関連性は薄かったが、分人と自殺の解釈を説明するうえでの、新しい視点としては興味深い話だった。

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2025年06月29日

Posted by ブクログ

氏の分人の概念が、小説内で存分に開陳される。なるほど。個人的には既知のものなので、特に違和感なく物語の重要ポイントとして味わえたけど、結構唐突に出てきたな、っていう気がしないこともなく…。上巻に比べたら文学感が増したけど、それでもやっぱり、ミステリやSF的にも楽しめた。素敵。

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2025年05月19日

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上巻は推理小説みたいに読んでいたんだけど、下巻は生きるってなんだろうとずっと考えながら読んだ。「死は傲慢に人生を染めるべきではない」という話と、分人についての考え方は、すごくいいものもらった‼︎って感じ。

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2025年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

平野さんは、死んだ人間が生き返るカラクリを一ミリたりとも解説しない。この物語にそれは不要だからだ。

この世が、二度生きる(二度死ぬ)ことができる世界だとしたら?自分の死後の世界をもう一度生きれるとしたら?そんな世界になったら、死生観はどうなる?
そんな問いを深めるための、ただの装置のための設定にすぎないんだろうな。読み始めは解説を期待していたけれど、それでいいと思える読後感だった。

谷川俊太郎さんの詩の
「ほんとうに出会った者に別れはこない
あなたはまだそこにいる」
という一節を思い出す。

最近活動休止を発表したMOROHAの
「最後のライブ観たかったのに、って人が居たら伝えてほしいです。これが最後でも構わないという気持ちでライブをやってきた自負があります」「あなたが観たのは最後にふさわしいライブでした」
というコメントも思い出す。

これが最後かもしれないと思いながら人と向き合えたら、わたしはどんな分人をその人の中に残したいだろうか、とか
わたしの中にいるたくさんの大切な分人たちは、疎遠になったとしても大切な人たちの存在を、確かに証明してくれているな、とか
自分の中のいろんな分人を自覚して、人生を正面から歩もう、と思わせてくれる下巻だった。

そしてきっと、汲み取れきれていない平野さんの哲学が多分たくさん詰まっている。その数%の咀嚼だけでも、心揺さぶられる体験をさせてくれる本だった。

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2025年01月30日

購入済み

スッキリした

下巻に入り、謎が次々と明かされていく。
少しずつ記憶が呼び戻され、周りの人との対話の中で考え方も変わっていく。
分人の考え方や表紙になっているゴッホの考察も面白かった。家族の在り方もそれぞれだけど、主人公の母親の言葉には深いものがあった。毎日を大切に生きていきたいと思える本だった。

#アツい #感動する #深い

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2023年06月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

下巻は「分人」解説主体で、そこばかりに目が向きがちになるけれど、ラデック氏や池端氏の語りから"生き方"や"死後の生き方"など、なかなか重たいものについて考えさせられる。哲学的なようで、宗教的なようで、現実的でもあり、混乱。

未知の父親の影を追い求めていた主人公だからこその「空白を満たしなさい」。父から息子への想いが凝縮されたタイトルの意味に、鳥肌其の一。どう活用するかは、大人になった息子がその時判断するでしょう。託せば良いさ。つべこべ言わず、子を信じろ。

個人的には、自分が死んだ後で誰に何と言われようと気にならないし、まだまだ生きていかねばならない人たちにいつまでも自分を想ってほしいなどとは思わない方なので、〈ネイバー〉の在り方や復生者のエゴに、後半はあまり共感できない部分も多かった。何をしたかよりも何が目立ったのか問題とか、死後どうありたいかを考えるとか、あとゴッホの件などは納得しかないのだけれど。

ただ生きて、今そこに存在していることが尊いのだと、改めて思った。一度死に、生き返ったからこそ、の二重三重の苦悩も、不幸なようで幸せな時間だったと言えるのかも知れない。

最後の最後に鳥肌其のニ。これはどういうことなのでしょう?
「だった。」が「だ。」とか、「あと少」でぶったぎるとか、色んなパターンに置き換えて考えてみたのだけれど……。ただ、璃久くんがそれまで以上に傷ついていなければいいなと思う。4歳の子供にこれは惨すぎる。

分人主義という考え方をもう少し掘り下げてみたくなって、この本を読みながら新書をポチり。

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2025年12月26日

Posted by ブクログ

起承転結が明白なスリリングなお話ではなく、もっと哲学的な内容だった。作者の平野さんは、「主人公の自殺」という極端な例を用いて、「分人主義」という思想を提唱している。
分人主義とは、個人主義とは違い、対人ごと、環境ごとにいろいろな自分になり、鎧をかぶった「本当の自分」を認めないという考え方だそう。
者の平野さんがこの分人主義を使って願っていることは意外とシンプルで、ただ生きてほしい、己の人生を全うしてほしい、それだけじゃないかなと思う。
物語だからこの主人公は空白を満たすために戻ってきた。でもこれは物語だから。現実世界に生きて、今どこかで思い悩んでいる人にもしもがあれば、もう二度と空白は満たせない。
平野さんの願いが詰まったこの本が、今どこかで思い悩んでいる人に届いてほしいと思う。

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

人の死について考えさせられる作品でした。

大切な人に先立たれ、この世に置いてかれた人たちは、その、ぽっかりと空いた「空白」をその大切な人との記憶や記録などで満たそうとする。
それは故人を、ある意味「理想化」することでもあり、はたして正しかったとは限らない。
しかし、そうでもしないと「空白」を満たせずに壊れてしまうから。

「分人」という考え方に納得しました。
(「分人」とは他人と関わっている自分の部分的一面のようなこと。)
自分もこれに思い当たる節があり、裏表を使い分けているってよりかは、あの人といると自然とこういう態度をとるなぁってことがありました。
完璧主義な自分でもあるので、自己否定して嫌になるときには、その「分人」を見守るような人になりたい。

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2025年11月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「死」について深く考えさせられた作品。特に自殺について。自殺をしてしまう人の考えは、もちろん死者に聞くことができないのであくまで推測の話になると思うが、自分自身を消してしまいたくなるほどに追い込まれていると死のうとしていなくてもそういう行動となってしまうという作者の考えに深く考えさせられ印象に残った。最後の終わり方も読者にその後を託すような感じのため想像力を掻き立てられた。読後の口コミや評価などをみて読者それぞれの解釈、ストーリーがあって見ていて楽しい。

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2025年11月16日

Posted by ブクログ

平野啓一郎はジャンルがないと言われるけれど、私にとってはやっぱり平野作品にしかない特徴があると思う。文体の滑らかさも含めて。
出てくる人物の思考が、紡がれる描写の端々から伺えて、人格を持った存在として認識させられる。当たり前だけれど、悪人や善人で人を切り分けない。だからなのか、物語が終わると置いてけぼりにさせられた気持ちになる。あまりにも人々がリアルすぎて、この人たちのその後の人生があることを前提のように捉えてしまって、私にはもうその人生を垣間見させてくれる権利が無くなったような。そんな心持ちになる。
分人思考というが作家の思想に深くあるのだと思うけれど、そこが本作品に組み込まれたことで、それゆえに物語の輪郭がぼやけてしまった?追えなくなった部分が発生した。
それでも読んで良かったと心から思う作品。

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2025年09月15日

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死というテーマを考える 死をテーマにした題材。面白いな。死者が現代で蘇る設定も良かった。死を考えるきっかけになるのと、死んだら元には戻せない貴重さが伝わる作品。

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2026年03月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

死んだ人が生き返って、その死の真相を探るミステリー……だと思ってた。その謎の部分を指して「空白を満たしなさい」っていうタイトルだと思ってた。違う違うそうじゃない。私が思うに、これは残された人たちの空白を満たすための物語だったのだ。

普通は人が一度死んだらもう二度と蘇ることはない。残された人たちの中にはその人の死を引き摺り続ける人もいるだろう。心にポッカリと空いた穴を塞がないまま生き続けることの辛さは推し量るべくもない。彼らがそういう人たちのために生き返ったのだとしたら……。さあ、空白を満たしなさい。

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2025年09月10日

Posted by ブクログ

他人との関係を「分人」という概念を使って表現していた。自分も、自己について周りとの関係によって変わる曖昧なものだと感じていたので、理解が深まった。
この本を読んで思ったこととしては、分人は離散的でなく連続的な概念だと思った。筆者もきっと分かっていて、離散的の方が分かりやすいからそう書いたんだと思うけ
自分にはいま子供のような守るべきものはないが、もし大切な存在ができたら徹夫と同じような考えをしてしまうかもしれないと思った。

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2025年08月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一気に読んでしまった下巻。
平野作品のカバーはよく考えられているのだろうと思ったから、絶対にゴッホの「自殺」についての描写(もしくは自
殺ではなかったのではないか)というテーマが出てくるのかと思ったら、下巻の絵が実はゴッホではなく、弟のテオだったのでは?という説が出てきて、それは私も初耳だった。
野さんが興味を示している「分人」についてこの作品ではよりわかりやすく語られている気がする。やはりこの作品を読んでから、「本心」を読むともっとわかりやすかったのかなとも思う。
でも入門というか、手にとるようなテーマとして、「本心」に出てくる母親のVFっていうのは興味深かった。
子供2人、家族を持つものとして読んでいくとしかし、やっぱり徹生は幸せ像に殺されてしまったのではないかと思ってしまう。必死になりすぎて、疲れていることも認めずに、自ら命を絶ってしまうなんて。でもそれが日本社会が築き上げた、働きづくめの日常、そしてそれすら相談し合えない時間の無さとすれ違い、こんなことはあり得るんじゃないかという気がしてくる。あまり育児のプレッシャーや子供への愛情を感じなかったけれど、それは璃久との描写が「子供の日の兜の写真を撮った時」ばかり強調されたからかもしれない。でも、叱ってしまう部分の描写や、離乳食を食べさせるときにイライラしてしまうのは共感した。
側から見ていると、もっと良いアプローチがある(正解)がある、と思ってしまうのかもしれないけれど、両親たちは必死にやっているんだよな。親たちのメンタルを健康に保ちつつ、子供をしつけていくのって本当に大変だと思う。

映像化作品も途中まで見てみたのだが、やはり徹生の心理描写が全然足りていない気がしたのと、妻、千佳は小説にはもっと可愛らしさとうちに秘めた弱さや脆さみたいな絶妙なバランス感があった気がする。

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2025年07月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

分人という視点、苦悩の扱い方、そして「死」がもたらす余波に深く揺さぶられた。
分人について、誰かと一緒にいるときの自分と、一人のときの自分って確かに違う。その中には好きな自分もいれば、あまり好きじゃない自分もいる。

本書の中にはすごく哲学的な内容もあり難しい部分があって、そこは斜め読みしてしまった
いつか再読したときには少しでも分かるといいな。

ラストのシーン、光の描写が美しくて切なくて…。
残された家族のことを思うと胸が痛いし、「死ぬことって、自分だけの問題じゃないんだな」と改めて考えさせられた。読後も余韻が残る、深い一冊だった。

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2025年05月28日

Posted by ブクログ

オカルト?ミステリー?哲学?ジャンル分けするのが難しい作品ですが、平野さんが一貫して提唱されている分人主義という概念を知ることができる物語です。

一見オカルトチックな設定ですが平野さんの重厚で繊細な描写のおかげで没入感も深く、ずしんと重くて暗いけど気になる、気になるけど知るのが怖い。そう思いながら最後まで興味深く読みました。

ラデックの出家についての考え方もとても面白かったです。

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2025年04月27日

Posted by ブクログ

中学生の頃、「あいつは裏表があるから性格が悪い」みたいな陰口が横行していて、その時から相手によって態度、接し方が変わることは当たり前のことだと考えていたから、本書の分人の考え方には強く共感した。

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2025年03月24日

匿名

購入済み

よかったです。

いろいろと考えさせられる作品でした。
私には理解しづらい部分もありましたが、こういう終わり方、好きです。

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2022年09月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

難しかった。というのも、哲学的な要素が多く、すべての考えを理解し考えさせる内容で難しいと感じた。
作者はエッセイなどでも分人という考えを提唱しているようで、自身の考えをそのまんま物語に持ってきてしまうとはすごいなと思った。
また、死について、遺された側のことを考えると亡くなった側の葛藤もよくわかった
タイトルは完全に主人公目線の意図かと思いきや、遺された側へのメッセージとは思っていなかった。
装丁にも意図があり仕掛けが多い作品。

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2026年05月12日

Posted by ブクログ

記録。設定が面白く、平野氏が考える分人というあり方を知ることのできる作品です。生と死、親と子、夫婦、隣人、会社。いろいろ考えさせられます。

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2026年03月13日

Posted by ブクログ

 オーディブルで上下巻とも一気に聴いたが、それなりに面白い小説である。一度死んだ人が3年後に再び生を取り戻すという設定なのであるが、なぜ自分が死んだのかわからずに、殺されたに違いないと思っている段階までの方が面白かった。自殺したことがわかってからは、再び別れなければならないという心情をうまく描いているのだが、情緒より推理に重きを置いてしまう私は少し盛り上がりにかけると思ってしまった。

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2025年12月20日

Posted by ブクログ

この作品は自殺防止の意味も込めて書かれたのかなって思った。死んでまた生き返ってその時初めて自分のしたことに対する後悔と周りへの影響が身に沁みてわかるのだと思う。(実際、生き返れないから無理な話ではあるが)
でも徹生もそうだったように、自殺する明確な理由ってきっとなくて一時の心の迷いなんだろうな…

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2025年10月01日

Posted by ブクログ

後半が切ない... 小説で久しぶりに泣きました。
自分の死期を悟って、残る大切な家族や知人のために何かすることって第三者から見ても胸が張り裂けそうな思いになります。
平野さん、最後の一文がうまい...!徹生がどうなるのか断定的な描写はなく、読者の想像に任せる感じだと思いますが、言い切らないでくれたこと、書き切らないでくれたことにかなり救われました。

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2025年06月14日

Posted by ブクログ

上巻のミステリーわくわくな感じと違って、
下巻は分人の話が主。
ミステリーのわくわくの着地を期待してたので、
これが書きたかったんかよ…とちょっとずっこけた。分人の考え方に救われる人は読んでみてもいいかも。

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2025年02月16日

Posted by ブクログ

付箋の回収には、あまりにも詳細すぎた印象がある。復生は、ひょっとするとあるかもしれない。と思いつつ「命は恐らく、一つだけだから尊い」この言葉が、本作で最もグットきたワードだ。
生きる喜びと苦しさを感じる一冊。

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2024年07月30日

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