【感想・ネタバレ】自由のこれからのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

自由というのは、一人ひとりが、尊厳を持った状態で暮らせる社会
・『私とは何か』を読んだ時にも感じたことですが、改めて平野さんは凄い人だと思いました。『私とは何か』では、私が中々腑に落とすことができないでいた構造主義についての疑問に「分人」という言葉でヒントを与えてくれました。この『自由のこれから』では、人類が一度は獲得したかのように見えた自由が、新自由主義の元、レコメンドという「仮想的な自由」によって束縛を強めているのではないか?という新たな問いを生む機会を作ってくれました。また、慶大法学部教授である大屋雄裕さんとの対談では、教授の見解「満足」を引き出しています。

・『私とは何か』は、私の人生の軌道を修正してくれた本の一つに入れたいほど良かったのですが、この『自由のこれから』も、現代社会を一刀両断にする中々切れ味のよい刀のような本です。著名な社会学者たちも、同じようなことを言っているのかもしれませんが、それを、私のような勉強不足のオジサンにも、分かりやすい事例(ある意味、如実に現象が現れている分野なのかもしれません)で示してくれています。

・首相や大統領、大企業の代表じゃなくたって、中小企業の社長、お父さんだって、自分が率いるコミュニティの隅々まで把握することは難しいし、集団の総意をまとめるのは大変ですよね。ある意味、個々の「全体最適を目指そうとする善や徳」に任せなければならないわけです。でも、みんな自分が可愛くて、システムにコッソリ無意識を埋め込むんですよね。

・この本の中で、特に好きなのは、慶大法学部教授である大屋雄裕さんが、ご自身の幸福感を「満足~自分が決めたという意識が必要だろうし、自分で考えて決めてそれが充足できたか、できなかったけど、俺はやるだけのことをやったとできる納得できることが重要です。」仰っているところです。私は、どのような内容の本であろうとも(たとえ小説であっても)、著者が問わずにはいられない問いと、その問いに対する自身で導き出した答えが醸し出されないと価値が低いと思います。

・平野啓一郎さんは、「社会のあらゆる分野で、テクノロジーの進歩の速さに、人文科学系・社会科学系の議論がまった追いつかなくなっている」「自分の70~80年の人生をどう設計していくかを考えようにも、変数が多すぎて、なかなか考えがまとまらない」「一生をかけて全うする一つの職業が"本当の自分"を象徴するという自己実現モデルから、自身のアイデンティティを、複数の仕事(収入源)といった多数の関係性の集合として捉え直さなけれなならない」と書いています。

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2020年05月03日

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今まで自分が考えていたことを正確に言葉で表現してくれていて、すごくスッキリした。
自分の行動は全て自由で自分自身が決断しているのだと思われがちだが、実は周りの価値観や環境によって行動が制限されている事実を認識しておかなければいけない。

この「〇〇しなければいけない」という表現自体も誰にとってどういう結果にとって〇〇しなければいけないのか、定義されていない。
こうやって設定を曖昧にして、自分に関係しているのではないかと思わせることも、人の行動を制限している。

自由と制限は表裏一体で、どちらかが大きくなれば、もう一方は小さくなる。そのバランスを認識しながら自分たちが、世の中がどの方向に進んでいきたいのかを考えることが大切なのだと感じた。

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2018年09月23日

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自由の根幹である「〜がしたい」あるいは「〜がしたくない」さらには「どっちでもいい」という欲望が自発的なものと外部から刺激がどのように組み合わさって作用するのかを考察。
イノベーションによる未来、法のシステム、遺伝と環境それぞれと自由の関係性についてはその道の専門家と対談を行い掘り下げる。
締めは著者の持論である分人、以前は個人の自立が無いように思えた分人ですが、膨大な選択肢に対して複数の分人を持ち、時間の経過(いわゆる加齢)に伴って自身の分人の比率を変えるとの考えは、100年ライフにふさわしい気がしてきた。

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2018年03月11日

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自由について、それはどういうことが問題になるの色々な話を通して見つめる。体系的な本ではないけれど対談などもあるので、多角的でわかりやすいかもしれない。自動運転の例なんかはわかりやすかった。

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2017年12月18日

Posted by ブクログ

「考える本」というよりは「模索する本」という感じ。

「自由とは何か」という茫洋とした命題に対し、様々な角度からのアプローチが提示され、そして一つの答えを出すのではなく、それこそ分人主義的に多角的に完結されている感じ。

この本を読む前に筆者の分人主義に関する本を、小説でも新書でも良いので、読んでおくと、より理解が深まると思う。

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2017年07月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

⚫︎受け取ったメッセージ
膨大な選択肢から選び取る自由。
一つの分人が失敗したとしても、
別の分人たちが支えてくれる。
そして自分は死ぬ瞬間まで変化し続ける。

⚫︎あらすじ(本概要より転載)
人間がテクノロジーに管理される、暗い未来を乗りこえる――
ベストセラー『マチネの終わりに』著者が挑む、人間×自由の可能性とは。

人工知能、自動運転、ドローン、ビッグデータとレコメンド機能……
技術の進化によって、私たちの生活からは「自分で選択する機会」が失われつつある。
人間の自由意志はどこへ向かうのか?
予測不可能な未来と、その過渡期を乗りこえるための、新しい自由論。

田川欣哉氏(Takram代表)、大屋雄裕氏(慶應義塾大学法学部教授)、
上田泰己氏(東京大学大学院医学系研究科教授)――
現代の「自由」をめぐる三人の専門家との対談を収録。

⚫︎感想
多様性という言葉は昨今頻繁に使われる言葉となったが、それを自分個人に当てはめるのが平野啓一郎氏の提唱する分人主義である。
その分人たちが様々な選択をし、失敗したとしても他の分人が支えれば良いという前向きな考え方は素敵だと思う。そして、死ぬ瞬間まで変わり続けるのだというメッセージは、死ぬまで生きる希望にもなる。

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2023年11月23日

Posted by ブクログ

わざわざ「分人」などと言う概念をわざわざ持ち出さなくても、時と場合に応じて複数の自分を使い分けるなど、「ペルソナ」の概念と同じ話をしているだけで、特段新しい考え方でもなんでもない。

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2023年08月19日

Posted by ブクログ

さて、スノーデンのドキュメンタリーを見よう。

自由に関する考察。
自由とは、与えられるものなのか。
獲得するものなのか。
構築するものなのか。

自覚する、しないも自由なのである。

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2018年01月29日

Posted by ブクログ

「自由」を主張したり追求しようとすることは、とても難しい。ならば、どう生きればいいのか?「自由」のこれから「自由」の概念について考えさせられる本。

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2017年09月28日

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