平野啓一郎のレビュー一覧
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SNSでの時事コメントやメディア上での時評では(ろくな文化人の少ないこの世代では例外的に)至極真っ当な平野啓一郎だが、肝心の書くもの(小説・評論)が個人的にはつまらないことが多い。本書も西欧中心主義的な思想系譜認識や、生理的な「体感」を「カッコよさ」受容の本質とするアクロバットな力技に恣意性を感じるが、その博覧強記による「情報量」自体が勉強になるため、読んで面白いことは面白かった。生まれてこの方「カッコよさ」とは無縁で、「カッコいい」「カッコ悪い」という価値判断自体の暴力性に対し、幼児の頃から嫌悪感を持ち続けている者としては、どうあっても「カッコよさ」という概念は肯定できず、(一応言及はされ
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ネタバレ 購入済み
しんどい
久しぶりにとても読むのが辛い本だった。中盤は噛み締めながら読むのが無理だった。明るい兆しを含むラストであったが、救われるわけではない。この本を読むには自分はまだ人間性や教養が足りてないと感じた。5年後10年後にまた読んでみたいと思う。その時人間的な深みを得られていればじっくりと読み込むことができるかもしれない。
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Posted by ブクログ
『ウェブ進化論』(ちくま新書)の著者である梅田夫望と、『日蝕』『葬送』(ともに新潮文庫)などで知られる小説家の平野啓一郎が、ウェブ世界の可能性とそれにともなう人間観の変化について語った本です。
両者とも、インターネットのもつインパクトの大きさを認めながらも、人間の理解については異なった意見をもっており、そのことは「おわりに」で梅田が次のような的確な表現で述べています。「私はむしろ「社会変化とは否応もなく巨大であるゆえ、変化は不可避との前提で、個はいかにサバイバルすべきか」を最優先に考える。……「社会の変容」への対応という視点から「個の変容」をとらえようとする傾向が強い。しかし平野さんは「人間 -
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「考える葦」
「透明な迷宮」「マチネの終わりに」「ある男」執筆時に、作家は何を考えてきたのか。
文学、思想、美術、音楽、エンタテインメントから社会問題まで広範なテーマに亘る六十七篇の論考を集成した批評・エッセイ集。
第1章:私達自身のような「夭折の天才」(ドナルド・キーン「石川啄木」)から始まる本書は、とにかく読む疲れるものであった。広範なテーマだけであれば良いものの、中身が難解。文章の視点や書き振りは文学的であったり哲学的であったり、思想的であったりする。
単に知識があればすらすら読めるってなもんでもない。読むのが大変。さらりと読めた所すら、果たしてこの解釈であっているのだろ -
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人類初の火星の有人探査船ドーン。迫るアメリカ大統領選挙の行方と陰謀に巻き込まれていくクルーの運命は。火星探査は正直おまけであり、メインは大統領選挙。SF要素はほぼない。
話としては正直詰め込みすぎで、宇宙の話必要なかったのでは?という気もする。しかし、背表紙解説にも書かれているが、「分人(ディビジュアル)」という概念については、かなりふに落ちるものがあった。作られたキャラクターではないが、相手や環境によって変わる自分をそれぞれのディブとして捉える考え方は、自分を統合しなければならないという考え方から自由になれる素晴らしい捉え方だと思った。対人関係と一くくりに考えてきたが、誰との関係が問題である -
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著者のデビュー作である『日蝕』と、第二作『一月物語』を収録しています。
『日蝕』は、ルネサンス期のリヨンを舞台に、トマス主義者である一人の青年僧が、ヘルメス主義にもとづいて錬金術をおこなっているという老人のもとを訪ね、奇怪な出来事を体験する話。『一月物語』は、明治30年の奈良県十津川村を訪れた青年が、夢とも現実ともわからないなかで美女と出会い、その謎めいた魅力に惹かれていく話。
両作品ともに、晦渋な文体とシンプルなストーリー・ラインがアンバランスさを感じさせます。デビュー直後には「三島由紀夫の再来」という煽り文句と、何人かの批評家たちの辛辣な評価に取り巻かれていました。なかには「暴走族の落 -
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ネタバレ様々な技法で小説、文章というか、本というメディアを
分解、再構成している、そんな短編集。
老いのために少しずつ体が崩れる世界の青年。
ただ、その小説のページ下部には短いエッセイが
挿絵の代わりについている作品。
一文だけの作品。
親子の人生をインタビュー形式で作り上げる作品 等々
だが、この短編で最もコアなのは主人公が自殺する小説を
書こうとしている小説家の作品だろう。
おそらくは著者自身(平野)が投影された「大野」が
主人公だが、その「大野」が、さらに自分の小説の
主人公をみつめるため、実に不思議な感覚に陥る。
さらにテーマは死である。
死とは何か。小説にとっての。自分にとっての。
小説