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Posted by ブクログ
死刑について。私はどちらかと言うと存置派だと思ってたけど、これを読んで、被害者の気持ちは?などといった感情だけで人の人権(生存権)を判断する怖さを感じた。現代学校現場で行われている人権教育は相手の気持ちを考えるばかりにフォーカスしているが、到底受け入れられないような相手(例えば犯罪者のような)にも基本的人権が存在していることを教育すべきと言う意見がなるほどと思った。言ってしまえば暴力である死刑で解決することの怖さを知っておくべきと感じた。また、すでに死刑廃止されている欧米などの国家でも、廃止決定当時は存置派が圧倒的な数を占めていて驚いた。最高刑が無期刑などに置き換われば、必然的に受け入れるしかなくなるのかもなと思った。被害者(遺族)が加害者をゆるさないことと死刑廃止を望むことは両立することも覚えておきたい。
Posted by ブクログ
僕は、死刑は廃止にすべきと思っている一方で、死刑存置派の人から遺族感情はどうするんだと問われると、いつもゴニョゴニョと誤魔化すことしかできていなかった。
この本は、この点についてもっと深く考えるきっかけを与えてくれた。
死刑の存否にかかわらず遺族のケアが十分に行われていないこと。
死刑と加害者を赦すことは不可分一体ではないこと。
罰ではなく赦しも尊重できる社会にすること。
いずれも僕が十分に持てていなかった視点であり、自分の高慢さを反省しながら読み進めた。
また、僕は、死刑囚の境遇を知り、自分も同じ立場であれば同じことをしてしまっていたかもしれないと共感することこそが、死刑廃止につながると考えていた。
しかし、平野さんは、共感により刑罰の当否を考えることは、共感できない対象の存在によって相対化されてしまうため、絶対的に犯すことが許されない基本的人権から考えるべきだとしており、この点ももっともな指摘だと思った。
当事者でも、政治家でも法律家でもない、他者の視点で物事を書くことができる小説家だからこそ書ける、とても良い本だった。
Posted by ブクログ
自分の価値観が変わった本を読んだ時は星を5つ付けることにしている。この本もまさにその対象だった。
文量は多くなく、1時間もかからず読める。その中で、いかに今まで私が犯罪をした人、その被害にあった人、もっといえば「人間」と分類される生物そのものに対する解像度が低かったのだと気付かされる記述が多かった。まさに私は人権教育の失敗の成果物だったのだと思う。
一朝一夕で真逆に考えを変えることは難しいが、どんなに理解できない存在であっても、人間である限り人権があるという感覚は育てていきたい。本当に助けが必要な人は助けたいと思う姿をしていないと、誰かが言っていた言葉を心に停めておきたい。
Posted by ブクログ
死刑制度については勉強不足で存置派とも廃止派とも言えない状態だったが、本書を読んでこれまでにない死刑制度に対する捉え方を知ることができた。テーマの割に薄いこの1冊で、世界の死刑制度の現状、事例、著者の考えが分かりやすくまとめられていること自体も凄い。
特に日本ではなぜ死刑が支持され続けるのかについて著者が考える要因が、どれも思いつかなかったもので印象的。
著者の実体験に基づく考えや、小説家としての発信について触れられていたのもよい。
本書ももう一度読み直しつつ死刑制度に関する他の書籍も読んで理解を深めたいし、著者の作品ももっと読みたい。
Posted by ブクログ
素晴らしい本だった。数十年来の考え方がガラッと変わった。
現在、日本人の8割が死刑制度継続を支持しており、年に数件執行されている。死刑制度が無い国が多数派を占めるなか、日本で依然として死刑が行われている文化的背景などが書かれてある。
本書を読むまで知らなかったのだが、死刑制度が無いことがEU(欧州連合)に加入する条件なのだそうだ。私が居住する国も死刑制度は何十年も前に廃止になっているが、その理由は冤罪が後を絶たないからということだった。
死刑制度が存続する理由は、被害者に対して責任を取る、自分がしたことに対して罰を受けるというものだ。こういう行動に対して、従来から日本では潔く良いこととされてきた。一方、被害者のケアや、犯罪が起こった背景の分析にはあまり力を入れてこなかった。死刑を執行することにより、その人物がいなかった(社会から抹消する)ことになる。
著者の平野啓一郎氏は、本当に優しい人なのだと感じた。著者と同様に、私も死刑を積極的に支持というよりは、被害者の心情を考えるとやむを得ないのではないか、というスタンスだった。「大切な人が殺されても許せるのか」と問われれば、許せないし、これは当然である。著者は小説家であるが法学部を卒業している。本書では彼が死刑について考えることや外国の例が理路整然と述べられている。私の知人2人も、この本を読んで死刑に対する考えが変わったと言っていた。ぜひ一読いただきたい一冊である。
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