平野啓一郎のレビュー一覧
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想像していたより遥かに重厚で濃厚な内容だった。正直一読しただけでは自分の中で理解や解釈が及んでいないところも多い。多面的多角的な考察や検証はすごいんだけど、特にファッションの話とかは背景知識や関心が不足している部分が少なくなく、感覚的な理解が及んでいないという感じ。まぁそれはそれで仕方ないかもしれない。でも総じての主張として、カッコいいって体感主義的ということと理解していて、それって結局自分の中でビビッと来たかどうかで、周りがどう思うかとかどう思われるかとかはあまり関係ない。それって頭ではわかっているんだけどやっぱり特に10代20代のころはそこまで割り切れなくて、常に周りの目や評価評判を気にして生きてきたって部分はあるよね。なんとなく自分の中で一定の基準や価値観が定まってきたり割り切ったりある種の"冷め"によって自分は自分と思えてきたところがあるように思う。でもそれはそれで、かつてのような体感主義的なビビッとくる感覚が減ってしまっているのも事実だろうな。どちらが良いとかって話ではないけど、カッコいいものに関心をもって、それを素直にカッコいいと思える感性を持っていたい、磨いていきたいと思った。
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少し前の本ですが、学びある。
動物の世界は必然性の世界であり、
アルゴリズムが支配する世界であり、
強いつながりの世界である。
それは友達を作りたいなと思ったら自分と趣味の合う人たちを探してオフ会をやる世界です。
人間が人間らしいと思っているものの多くは誤作動の結果起きている。
だから人間らしい感情は根拠づけたり設計したりするものではない。
人間のコミュニケーションには誤作動がすごく多くて、その誤作動こそが我々の自由や生きているという事実を支えている。
だから、それをなるべく潰していくというのはまずいと思います。
そうした誤作動をどうこれからの社会に組み込んでいくかという話になると思いますね。
――『人間と機械のあいだ』で池上さんは、人間と機械の関係について「相互に影響を与え合って、人も機械も新たに生命化していくということはあると思う」とも述べていますね。
人間はスポーツの練習、たとえばスキーの練習をするとき、人は機械になりたがる。何度も機械的に同じ動きを繰り返すことによって上達していきますよね。逆に、これからの機械に人間が求めているものは多分、誤りの多い人間的なものです。生命は機械を志向して、機械には生命を志向させると考えると、人間も機械も「人工生命化」していくものなんだと思います。
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ー それで、いつの間にか、こう思うようになってた。愛って、もっと偶然的で、選ばれる人間に優劣があるわけでもなければ、選ぶ人間が賢かったり、愚かだったりするわけでもない。ただたまたま、誰かと誰かが出会って、うまくいったり、いかかったりするだけだってね。
そう思えば、俺の家族は、誰も傷つかずに済む。組み合わせの不幸だったって。―けど、そんなのが愛なんだろうか?別れた俺の妻が、ど うしても我慢できなかったのは、俺のそういう考えだった。なぜわたしと結婚したのって、よく訊かれたけど、あの頃は、今みたいなことが自分の中で整理できてなかったから、きちんと答えられなかった。……悪いことしたよ、彼女にも。ー
主人公が本当の愛の形に触れていく物語なのに、なんでタイトルが『かたちだけの愛』なんだろう?そこだけがいまいち理解できず腑に落ちない。
「かたちだけの愛」で簡単にやり過ごそうとしてきた主人公が、本当の愛を見つめ直す過程を描いているのからなのかなぁ〜。 -
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今まで深くは考えられておらず、更生の望みや意志がなく、社会に不安定を及ぼすこと、被害者救済の観点で、死刑があることはやむを得ない、という漠然とした立場だったが、様々な観点と、特に被害者への丁寧な取材をベースとした意見で、より多面的にこのテーマを捉えられるようになった。
・憎しみに対する報復は、必ずしも死を持って償うことだけではなく、最高刑である点も重要。死刑があるからこそ、死刑でないことの説明に苦しむ被害者がいることはとてもその通りだと思った。被害者と一括りにするのではなく、より解像度高く、そしてその人たちの支援をいかにしていくか、が重要
・基本的人権の内容については学校教育で触れてはいたものの、人類が獲得してきた歴史やその成り立ち、社会の基礎としてある考え方の大切さは、大人になって幸運にも学べたが、そうでないなら、他者への共感のみでの判断となり、感情的な意見になっていく構造はなるほど、確かに人権教育の失敗だ
・人を殺すことが、社会において何らかの判断で許される、相対的なものとした瞬間、失われるものがあり、そこに恣意性が生まれる(死刑執行のタイミングなどは典型例)社会として、殺人が例外なく絶対に許されない、と決め切ることのメリットは大きいように感じた
・死刑存置派の意見ももう少し丁寧に把握してみたいと思った、筆者の認識では被害者の処罰感情を一義的に捉え、被害者感情に寄り添うべし、という共感のみ、という論だが、果たしてそうなのか、は知りたい -
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本書は、タイトル通り、「死刑」について平野啓一郎さんが講演で語った内容をテキストにしたものです。
平野さんは死刑について、以前は存置派でしたが、いまは廃止派になったといいます。ヨーロッパの人々との出会いから変化していったのだそうです。
また、平野さんは小説家らしく、書くことで考えを深めて、存置派から廃止派になったとも語っています。犯罪被害者側の視点を究めた小説『決壊』を書く上での思索が、反対派になった理由でもあるそうです。
本書では、大きく三つの理由から反対を論じられています。ざっくりとご紹介すると、「冤罪の理由」「自己責任論の理由」「倫理上の理由」です。
ところで、一九九七年に、あるTV番組で「なぜ人を殺してはいけないのか」というテーマが高校生から出たそうなのですが、その場の大人はそれにうまく答えることができなかったそうです。
平野さん曰く、殺してはいけない理由は憲法があるから(基本的人権の尊重)だと書かれていますが、なぜか会場の大人にはそれを言う人がいなかったと。
それを、日本の人権教育の失敗につなげて書かれているのですが、このあたりは私も失敗かもなと思いました。
何故なら私は、「相手の立場にたって考えよう」という教育は受けたように思っていて、<共感>についてかなり刷り込まれたものがあると自覚しています。ですが一方で、私は<人権>についてかなり後追いで理解したところがあるからです。
実際に、私が「健康で文化的な最低限度の生活を送ること」などの人権があることを理解できたのは、20代半ばの独学でした。
私的なハナシに逸れてしまいましたが、本書では他に論じられていることとして、<被害者ケアの欠如の問題>にも踏み込んで書かれていました。また<メディアが強める勧善懲悪への共感>という小見出しのところも大変興味深かったです。
絶対的なモンスターとしての人間なんて存在しない。多面的で複雑な人間の、部分部分が見た角度によってモンスターに見える、そういうことなのかな?と思いました。
それが善い方に動けば、有名な大リーガーや天下統一の政治指導者、悪い方に動けば、殺人事件の犯罪者のような。
他の平野さんの著書でも語られている”分人主義”がここでは私のアタマの中を駆け巡りました。
予備知識的ですが、死刑を廃止した国は、(EUもそうですが)イギリスやフランス、ドイツ、イタリアなど108ヵ国が「すべての犯罪に対して廃止」との資料があります。(本書付録「死刑に関する世界的な趨勢と日本」より。)
本書は私が、ある殺人事件のことを思っていた時に、本屋さんで見つけて購入したものです。100ページほどの講演本ですが、非常に多角的ですので、「死刑について」考えること以外にも、「人権について」「被害者ケアについて」「冤罪について」「勧善懲悪について」などの考えを深めるきっかけになると思います。
「深刻で難しい問題を、粘り強く冷静に話し合うことは、民主主義社会に生きている私たちに負わされた課題です。」(p93)
という平野さんの言葉が、強く残って響いています。 -
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ネタバレ⚫︎受け取ったメッセージ
小説を読む上でのアプローチの仕方がわかる本
実際の小説を用いての実践編が充実している
小説家による読み方指南であり、
大変興味深かった
⚫︎感想
絵画、音楽、芸能…芸術はただ漠然と受け止めて楽しむのもいいだろうが、枠組みをベースに味わうことは、その作品への理解が深まり、自分にとってとても有意義なものになる。一冊の本との出会いを大切にするためにも、読み方を知っておくことは大変有用だと思う。
一冊の本を読み、「なぜ」と考えることが、その作品や作家と向き合い、自分と向き合う時間となる
以下勉強になったこと。
2.4に関しては、意識的に考えていたが、
1.3については、個人的に意図して深めて考えたことはなかったなと思い、参考になった。
⚫︎小説を4つの質問から考える
1、メカニズム
作者の提示する一つの世界を動かしている仕組みについて理解しようとする態度で、これまでとは違った感動を味わえる
2.発達
1人の作家を追い、その作家のテーマの発展や変化の過程を追うと、気付きがある
3.進化
社会の歴史、文化の歴史の中でのその作品の位置付けを考える。
4.機能
作者が伝えたいこと、読者が受け取るもの。その小説が、作者、読者双方に向けて持っている機能について考える。本のジャンル分け(ミステリー、ホラー、SF、恋愛…)は、この「機能」を単純化して示したものである。「この小説は、読者に対してどんな意味を持っているのだろう」「自分は、この小説と出会ったことで、どう変わっただろう」「作者は、この小説でどんな考えを深めたのだろう」…そうした小説のふるまいを考えるのが機能の問題
これら4つのアプローチから批評をするとわかりやすく、どういう点に着目して議論しているかがよくわかる。
⚫︎知りたいという欲求と主語+述語
⚫︎究極の述語への長い旅
⚫︎大きな矢印は小さな矢印の積み重ね
⚫︎主語になる登場人物
主題や主役が際立つように工夫する。
(絵画と似ていると思った)
⚫︎話の展開が早い小説、遅い小説
「主語充填型述語」と「プロット前進型述語」
⚫︎述語に取り込まれる主語
主語が人物像を他の登場人物や出来事によって補填される
⚫︎期待と裏切り バランス
⚫︎事前の組み立てと即興性
⚫︎愛し方に役立てる -
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ネタバレ⚫︎受け取ったメッセージ
どちらかといえば死刑制度に賛成だった著者が
死刑制度反対に至るまで
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
死刑廃止の国際的な趨勢に反し、死刑を存置し続ける日本。支持する声も根強い。しかし、私たちは本当に被害者の複雑な悲しみに向き合っているだろうか。また、加害者への憎悪ばかりが煽られる社会は何かを失っていないだろうか。「生」と「死」をめぐり真摯に創作を続けてきた小説家が自身の体験を交え根源から問う。
⚫︎感想
死刑制度に賛成・反対どちらかだとしても、どちらの意見も自分なりに吟味した上で立場を考えねばと思った。日本に終身刑という最高刑があるのならば、多くの日本人は死刑制度を廃止しても良いと思うかもしれない。 -
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⚫︎受け取ったメッセージ
平野啓一郎さんの提唱する「分人主義」前期の作品。相手の、全く知らない相手の部分を知る怖さを、ミステリー、サスペンスの形で見せてくれる。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
地方都市で妻子と平凡な暮らしを送るサラリーマン沢野良介は、東京に住むエリート公務員の兄・崇と、自分の人生への違和感をネットの匿名日記に残していた。一方、いじめに苦しむ中学生・北崎友哉は、殺人の夢想を孤独に膨らませていた。ある日、良介は忽然と姿を消した。無関係だった二つの人生に、何かが起こっている。許されぬ罪を巡り息づまる物語が幕を開く。衝撃の長編小説。
⚫︎感想
一気に引き込まれる設定。すぐに下巻を読みたくなる。 -
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ネタバレ⚫︎受け取ったメッセージ
信じることの難しさ
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
戦慄のバラバラ殺人──汚れた言葉とともに全国で発見される沢野良介の四肢に、生きる者たちはあらゆる感情を奪われ立ちすくむ。悲劇はネットとマスコミ経由で人々に拡散し、一転兄の崇を被疑者にする。追い詰められる崇。そして、同時多発テロの爆音が東京を覆うなか、「悪魔」がその姿を現した! 2000年代日本の罪と赦しを問う、平野文学の集大成。芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。
⚫︎感想(ネタバレ)
一度疑い始めると、とめどなく押し寄せる不信感。
宗の完璧さは高知能は、平均的な平凡を生きるには、解像度が高すぎて難しいのだろう。それゆえに宗は誰も信じられないのだろうか、、、人を信じることの難しさと折り合いの付け方について考える一冊。