平野啓一郎のレビュー一覧

  • ドーン

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    これが「分人」の概念が登場した初めての小説らしい。2033年の火星探査とアメリカ大統領選という壮大な舞台とは対照的に、その時代でも尚続く人間の業の深さ、対人関係から生じる内面的葛藤が生生しく描かれている。
    この小説の世界では「分人主義」が概念として一般化しているが、読み始めはその明示的な設定に違和感を感じた。ただ、主人公をはじめ様々な登場人物たちは、それぞれある分人には葛藤・苦悩を抱えながらも別の分人には未来への足場をつくりながら生きていく希望の輪郭が次第にくっきりと見えてきた。
    後半、「恥」と「悪」に関する会話シーンがあるが、これが分人の考え方と相まって印象深かった。"恥"

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    2023年07月16日
  • ドーン

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    「閉鎖的な対人関係によって分人が過度に抑制されると、過去や未来の妄想の分人が大量に溢れ出て、収集がつかなくなる」

    この描写に自身の経験を重ね合わせ、離別による悲劇に見舞われた直後に誰にも会いたくなくなるのは、対象の分人を邪魔されずに大切にとっておきたいからなのだ、と合点がいった。

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    2023年07月12日
  • ご本、出しときますね?

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    3.7面白かった。二人づつなのが良。ラジオとかで続いてくれないかな。その方が出てくれる作家さん増えそうだし。

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    2023年06月20日
  • 死刑について

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    実際、あまり深く考えたことはない。死刑はニュースの中の話としてこれからもあまり考えたくない。でも平野さんの考えはものすごく納得できた。終身刑があれば廃止してもよいのではないかと思った。

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    2023年06月14日
  • 決壊(下)

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    言葉を重ねると悪魔はどんどん人間臭くなっていったなという印象。結局、最後までどのキャラクターも好きにはなれなかったし、物語の終わり方もモヤッとするものだった。それでも、「あー、こういう正義を振りかざす奴いるよな」とか「こういう境遇なら、こうなっちゃうかもな」とか、感じることは多かった。特に、「なぜ人を殺してはダメなのか」という討論会の内容は興味深かった。ある程度、共通の価値観(認識)を持たなければ、『なぜ?』に回答を示すことは難しい。悪魔の紡ぐ言葉がどうしても自己満足にしか聞こえないのは、私と悪魔の間の価値観(認識)が乖離しすぎているからだと思う。だから、悪魔が発する言葉は自己を満たすだけの、

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    2023年04月30日
  • 死刑について

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    ネタバレ

    私は死刑賛成派でした。揺らぎつつの賛成派で、本書を読んでからは揺らぎの振り幅が大きくなりました。
    絶対支持ではないけど遺族がいる場合の感情を考えたら受刑者に死刑を望むのはやむを得ないのでは、とこれまで考えてきました。

    ちょっと長いですが本書p37からの引用。
    「劣悪な生育環境に置かれている場合だけでなく、加害者が精神面で問題を抱えている場合もあります。本来なら、そういう状況に置かれている人たちを、私たちは同じ共同体の一員として、法律や行政などを通して支えなければならないはずです。しかし支えられることなく放置されていることがあります。」
    死刑についての話ではありますが、結局これは法で裁ききれな

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    2023年04月25日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    死んで生き返った「復生者」の主人公と、彼をとりまく人々の話。死因は自殺と言われているが本当なのか?などミステリー要素も。
    生き返ったらどうなる?というテーマひとつから膨大な思考や出来事が発生していて、それらはどれも納得のいく流れで、突飛な設定にもかかわらずリアリティがすごい。読み応えがあって面白かった。
    自殺について、ひいては死について、考えさせられた。

    自殺とは、単純に「1人で自分の人生を終わらせること」ではなく「自分を殺す」ということであり、もししてしまったらその人は紛れもなく「自分を殺害した犯人」なのだ、と認識させられた。「殺される被害者」のつもりでいても実際には「殺す加害者」「殺人犯

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    2023年04月28日
  • 死刑について

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    他の死刑に関する書籍と大きくはことらなかったが、死刑制度に対して多くの日本人賛成しているというアンケート結果は単に知識不足なのではないかと改めて思った。
    一度じっくりと向き合って考えてみると考えが変わる人も出てくるような気がした。

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    2023年04月08日
  • 決壊(下)

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    面白くて…というわけではなく、先を読まざるを得ない様な感じで、結局一気読み(^◇^;)

    難しいし、よくわからなくて読み飛ばした部分もあるんだけど、妙に共感しちゃう部分もあったり。

    あー、芥川賞作家らしいわー、文学だわー、ところでいつ殺されるん?と思いながら読んでたんだけど、いやー、重くて、重くて…。

    結末もね、衝撃的でしたわ、確かに。救いが無くて、ドーンと気分が沈んだわのさ…。

    まぁ、いろいろ考えさせられる、ってのはあって、普段ボーッと生きてる私でも、たまにはね、という感じで良かったといえば良かったけど、あんまり読みたい作家さんではないな、うん。

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    2023年03月27日
  • 『マチネの終わりに』無料試し読み

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    続きが気になる

    無料版では、出会いのシーンが描かれていました。これから二人がどう発展していくのか、続きが気になる作品でした。

    #エモい #胸キュン

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    2023年03月22日
  • 小説の読み方

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    小説を読み慣れてないので、手に取った1冊

    小説の読み方について学んだ

    4つの質問 ニコラス・ティンバーゲン
    ①メカニズム②発達③機能④進化

    プロット前進型述語

    主語充填型述語

    トピックが何か
    今はどんな方向で矢印が進んでいるか
    やっと、平野啓一郎さんの「本心」が読める
    そして、分人も読み直そう

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    2023年03月18日
  • 高瀬川

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    とにかく実験精神に溢れた挑戦的な文学。
    最初の掌編は記憶と流水のイメージを重ね合わせる。屁理屈っぽさすらあり読むのが少し苦しいが、ここで語られていることが後の3作のモチーフになるため、よく読むと読後感が変わる。
    「高瀬川」は性交のための一夜の営みがクールっぽく描かれるも、何度か挟まれるダサい描写が印象的だ。
    「追憶」は最後のページを読んで思わず拍手。なお、文庫と単行本で文字組はかわるの?と思って単行本も見てみたが、流石に同じだった。
    「氷塊」は上下段の小説が同時間軸で展開され、終盤に交差する。読み応え抜群。

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    2023年02月27日
  • ドーン

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    分人主義の話。

    最近読んだ転職自己啓発本で、株式会社自分という概念があったんだけど、それと似ている。株式会社自分の中には、家族事業部やお仕事事業部、音楽事業部などがある。一個の事業が上手くいかなくなっても大丈夫なように、いろいろな事業部を抱えている方がリスク分散になって安心だなと、この本を読んだ時に考えたことを思い出した。

    分人も、色々なタイプがいていいんだと思えるし、むしろそれが健全な人生に繋がる。この哲学を身につけると本当の自分探しという不毛な命題から自由になれると思う。

    一つの分人だけだとやっぱりそれは息苦しい。リリアンが、誠実で正直な分人としての自分を生きていくと決めたシーンは感

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    2023年02月09日
  • かたちだけの愛

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    読みやすい恋愛小説。
    最後の愛についての考察、わたしもそうなのではないかと最近考えていた。
    自分のままでいられ、くつろげる、自分を含めたその空間と時間もまるごと好きでいられる。
    そうできる相手に出会い、同じでいられることは紛れもなく幸せだと思う。

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    2023年02月05日
  • 小説の読み方

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     「小説読んだら深い感想を書けるようになりたい」そんな思いで本書を手に取った。本の読み方に関する本はたくさんあるが、小説の読み方に特化した本は少ないので貴重。また著者が現役の小説家なので説得力がある。

     本書の重要キーワードでもある「四つの質問(メカニズム、発達、機能、進化)」が目から鱗だった。これを知れただけでも読んだ価値がある。本だけでなく映画を見るときにも役立ちそうなので汎用性が高い。

     今後読書や映画を見る際、四つの質問を意識して鑑賞後のアウトプットに活かしていきたい。また、他人の感想を見るとき「どの質問に重点を置いてるか?」を考えるのも楽しそう。

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    2023年01月10日
  • 平野啓一郎「分人」シリーズ合本版:『空白を満たしなさい』『ドーン』『私とは何か―「個人」から「分人」へ』

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    「個人individual」という単語は否定語inと「分ける」というdividualでできていて、「(もうこれ以上)分けられない」という意味なのだそう。ひと(人格)はこれ以上分けられないのかというと、そうではなくて、対応する相手や場面によりすこしずつ違った人格が生じていて、しかしそれは何も多重人格という意味ではない。それについて平野啓一郎さんは小説を書きながら気づき、「分人」と名付けて、「ドーン」と「空白を満たしなさい」という小説を書き、「私とは何か-「個人」から「分人」へ」という新書を書かれた。人に合わせて自分を変えるというと、マイナスの印象もあるが、「分人」という考え方を使うとそうわなくて

    #深い #切ない #タメになる

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    2022年12月17日
  • 小説の読み方

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    ネタバレ

    「機能」というのは、ある小説が、作者と読者との間で持つ意味である。人間の優しさを伝えたいと作者が意図し、読者がそのように作品を受け止める。あるいは、自分を理解してもらいたいと思って小説を書き、読者がそれを読んで、少しだけ作者のことが分かったような気になる。現代社会の複雑さが映し出す。人間の心の暗黒面を追及する。いずれも、その小説が作者、読者双方に向けて持っている機能である。もちろん、作者の意図と読者の意図とが擦れ違ってしまうことは幾らでもある。
     この「機能」を単純化して示したものが、ジャンル分けである。
     小説は、ミステリーや恋愛小説、SF、ホラー小説など、様々なジャンルに分けられている。実

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    2022年12月16日
  • ドーン

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    640ページ読み切った〜!人類初の火星探査の話にも関わらず、火星探査自体の話はなく、その過程で起こる深刻な人間模様。平野啓一郎さんが唱える分人論の予備知識がないと、少し分かりにくいところもあるかも。
    けれど、氏の著作なら後味の悪い終わり方はしないだろう、という期待が裏切られる事はなかった…

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    2022年11月23日
  • 小説の読み方

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    淡々と書かれている稚拙な文章と思っていたケータイ小説まで深く読み込んでおり、小説を書く人はこんな読み方をしてるんだとすごく参考になった本。小説家へのリスペクトも増す。

    こんな深く読み込めるようになるにはどうしたらいいんだろうか…

    前作「本の読み方」も読んでみたい

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    2022年11月01日
  • ご本、出しときますね?

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    西加奈子、朝井リョウ、長嶋有…。小説家は普段何を考え、どうやって作品を生み出しているのか。無類の本好き芸人・オードリー若林正恭と作家たちが“自分のルール”を語りつくす。BSジャパンの同名番組を書籍化。

    作家が何を考えているかがうかがえて面白い。

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    2022年10月14日