平野啓一郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
死刑制度を取り巻く日本の現状と他国との比較をとてもわかりやすく書かれていた。
死刑を望むために犯罪をする者の存在や選挙などの政治による帳尻合わせとしての死刑を行うことなど、読んでいて死刑制度も意味、意義が一体何なのかよくわからなくなってきた。
私は日本の切腹という文化を持つ、罪を償うには死ぬことであるという認識がとても強くあった。
しかし、本書を読んで死刑制度とは問題をうやむやにさせようとする思考停止の一種なのではないかと考えた。
また、殺人等を犯す人間の環境や社会的背景はその人間個人と完全には引き離せないということも理解できた。
凶悪犯はすべて死刑にするだけでは何の解決にはならず、 -
-
-
-
Posted by ブクログ
壮大な物語と緻密な心理描写。なにより、日本語の美しさを感じる。「ある男」で感じた言い得て妙というか、細かな機微を言葉にする力を、また違った形で感じられる。平野さんの丁寧な言葉たちが、ともするとどこまでもひろがっていってしまいそうなストーリーをきれいにひとまとまりにおさめている。
分人主義というものを理解するためには必読の一冊で、もとより社会のなかで、家族といるときや友達といるときや先生に対してなど、様々な顔をして生活している我々は、現代においてネット世界の深化によりさらにその顔を複雑に入り乱れて所有し、使い分けることとなった。それこそ家族で幸せそうにターキーを囲むときにも自分の子どもに自分の知 -
-