平野啓一郎のレビュー一覧

  • 本心
    人間の本心なんてものは
    その時々の社会の情勢によって形作られる
    必然的なものにすぎないのだろうか

    そういった意味では〈母〉に「母」の本心を求める行為をナンセンスだと言い切ることはできまい

    他社も自己もそれぞれにおいて、
    個々の本心など理解することはできない

    それでもなお根幹にある軸のことを
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  • ある男
    夫が仕事中の事故で死亡
    夫の親族に連絡を取ると別人であることがわかり
    それじゃあ彼はいったい誰なのかということで
    弁護士が調査するお話でした
    調査の過程や気づきなど
    内容的には満足できました
    そういうことだったのかという思いです

    読み切るのにかなりの日数を要してしまいました
    日々ちょっとづつしか読...続きを読む
  • ある男
    城戸さんが、本物の谷口さんと会った時の谷口さんの態度や発言ムカついた。
    氏名や過去じゃなく人柄で、「谷口君」は愛されたんだな。人生の最後の数年幸せで良かった。
  • 本心
    近未来の日本の設定がディストピア。この小説は過酷を生きるであろう未来人に対する作者からのエールだとかなり勝手に思っている。
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ
    「結局、教育現場で『個性の尊重』が叫ばれるのは、将来的に、個性と職業とを結びつけなさいという意味である」

    「職業の多様性は、個性の多様性と比べて遥かに限定的」

    「色々な人格はあっても、逆説的だが、顔は1つしかない。」

    「自傷行為は、自己そのものを殺したいわけではない。ただ、『自己像(セルフイメ...続きを読む
  • ある男
    事故死した夫は別の人だった。その男は誰なのか?依頼を受けた城戸弁護士はいろいろな人に巡り会いながら真実に近づいていく。自分の在日コリアン3世としての日本史上での過去と向き合って、ずれてしまった妻との関係も話し合いで修復しようとしていく。過去と今を愛すると言うことは愛が変化してきているのだろうと思いな...続きを読む
  • 透明な迷宮
    依田さんの話はインテリ過ぎてよくわからんかったけど、火しか愛せない彼と、書写の天才の彼の話がお気に入りでした。
  • ある男
    映画を見てスッキリしない部分の、補足説明的に読んでみた。
    映画と原作はそんなに違いはなかったが、原作の方がズドンと重い気持ちにはなった。
    他人と戸籍ごと人生を交換するなんて事あるのか?!という驚きがあったが、死ぬ以外で人生をリセットできる方法でもあるのかと考えさせられた。誰かと語りたくなる話だった。
  • ある男
    とても読み応えのある作品でした。
    愛とは家族とは自分の存在とは過去とは。

    ナルキッソスは一体何の暗喩なのか、まだ考え中です。
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ
    たしかに、誰かの知らない一面は裏の顔っていうよりもう一つの顔。たしかに、好きでいられる自分の割合を増やしていけば良いのだ。他人は自分を映す鏡ってそついうことか。。。納得の考え方
    結局、人間は社会の中、他人との関わりの中で形成されていくんだなあ。アドラー的。
    そのへん、動物ってどうなんだろう。
  • マチネの終わりに(文庫版)
    私自身もたしかに洋子であり蒔野であった
    たしかにそう感じた

    もうこの2人に出会う前の自分はいないのだ
    ただ感じたことのすべては未来によって変化するだろう
    過去はそのくらい繊細で大事なものだから
  • かたちだけの愛
    平野作品は「分人」という概念でよく言われますが、この概念を特に持ち出さなくても、愛することに揺れ動く主人公の気持ちや考えが丁寧に描き出されています
    無理のない、時にハラハラさせるストーリー展開で、ページがどんどん進みます
    悲惨な事故に遭った女性が、愛されることでそれを乗り越えていく・・・純粋な気持ち...続きを読む
  • ある男
    先日、NHKの「スイッチインタビュー」という番組で、 作家の平野啓一郎さんとタレントのpecoさんの対談を見ました。 pecoさんは昨年亡くなられたryuchellさんの元奥様で、 平野啓一郎さんは、私も「マチネの終わりに」や「ある男」が好きな人気作家です。 大きな悲しみに直面した時、 どのようにし...続きを読む
  • マチネの終わりに(文庫版)
    単純に恋愛小説だと思って読んでしまうと、物足りないと思うし、消化不良で終わってしまう。二人がそれぞれどの地点でどういう決断をして、後悔して、その先の未来で過去を振り返り、どう思うか。というのを環境の変化とともに見ていくと面白い。文章は少し難しい言葉も出てくるが、とても美しい。
    モデルとなった人物につ...続きを読む
  • ある男

    徐々に登場人物の過去、真実が明らかになっていく展開がおもしろくて、のめり込んでしまった。

    序章のバーで出会った「城戸さん」は、宮崎で谷口大祐のふりをしていた城戸章良だったのかな。その後出会った弁護士が中北のことで。
  • 本心
    主人公である朔也が急逝した母の本心を探りながら自分自身の本心に迫っていく物語です。

    自分の目の前にいる人や自分自身のことなど一見自分自身が理解できていると感じている人の行動が理解できていないことがあります。そんなことを伝えてくれる物語です。

    他者の言動というのは自分の思い通りにならないことがあり...続きを読む
  • かたちだけの愛
    ー それで、いつの間にか、こう思うようになってた。愛って、もっと偶然的で、選ばれる人間に優劣があるわけでもなければ、選ぶ人間が賢かったり、愚かだったりするわけでもない。ただたまたま、誰かと誰かが出会って、うまくいったり、いかかったりするだけだってね。

    そう思えば、俺の家族は、誰も傷つかずに済む。組...続きを読む
  • ある男
    読み終わった後、少し寂しさもありながらお腹の底からジーンと静かに伝わる温かさを感じた。人と関係を結ぶのに私はその人のどの部分を見ているのか考えさせられた。城戸の中で原誠が善人であって欲しいとする気持ちはとても理解出来た。最後の方でミスズの言葉からイメージしていた谷口大輔と城戸が実際にあった谷口大輔の...続きを読む
  • 死刑について
    死刑制度について深く考えたことはありませんでしたが、何となくあった方が良いと考えていました。しかし、作者の考えに触れ、感情とは切り離して、国家が合法的に人を殺すことができる恐ろしさを理解しました。ただ、もし自分が被害者家族になってしまったら、やっぱり死刑をもとめるかもしれません。それくらい難しい問題...続きを読む
  • 空白を満たしなさい(下)
    ・関わる人によって、分人が変わって、自分の中の不適切な分人をまともにするために攻撃して鬱になったり、自己嫌悪に陥る
    ・例)親と関わってる自分の分人:ほんまにいや、しんどい
    →時間的にも物理的にも距離とると分人が薄れて、楽になれる
    ・なにか気晴らしをしても体力を使うから、コップから水があふれるみたいに...続きを読む