平野啓一郎のレビュー一覧

  • 葬送 第二部(下)

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    死が色濃くこの最終章を彩ってた。死について、そして生きるということについて、いろいろと考えさせられた。考えるという意味では、いろいろなことを考えさせられた。例えば、芸術について、愛について、恋について、愛の表現について、革命、政治、名誉、音楽、絵画、仕事、死ぬこと、生きること、友情、生きるということは喜びか、悲しみか、そういう意味では、さくっと読める作品ではないし、ある程度の時間を取って、ゆっくりじっくり読みたい作品だった。ここにもし、キリスト教やもしくは他の宗教的なスパイスが加わったら、どうなるんだろうと少し思った。それにしても、相当に質の高い本でした。

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    2009年10月04日
  • 葬送 第一部(上)

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    あのショパンやドラクロワが喋ってる、というだけで嬉しかったです。文章はやはりきれいですね。「日蝕」よりは読みやすい。

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    2009年10月04日
  • 葬送 第二部(上)

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    この人は、文章で絵を描き、文章で音楽を奏でるすごい人です。特に第2部の始めで展開される、ショパンの演奏会の描写。繊細、大胆、優雅、華やか、小心、独創、芸術、思わず、ショパンの生演奏を聴きたくなった。あの難しい曲を作曲した人が、生で演奏するわけなんだから、それはそれは感動的な代物になるのだろうと思う。

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    2009年10月04日
  • 葬送 第一部(下)

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    第一部(上)は、深い思索がとても哲学的で、時に難解さをも感じたけれども、(下)の途中からは一転、昼ドラ的などろどろとした人間模様が描写されていて、それはそれでおもしろかった。ドラクロワやショパン、ジョルジュ=サンドの感じている憂鬱は、現代の若者の抱えているそれにも通じるような気がしたが、これは、ドラクロワらが現代にも通じるような同じような悩みを抱えて当時を生きていたということを表しているのか、それとも著者である平野氏自身が感じている現代社会の若者の悩みを、ドラクロワ、ショパン、サンド夫人を通して語らせているのか、ちょっとした倒錯感があって、それがまたおもしろかった。

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    2009年10月04日
  • 葬送 第一部(上)

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    文庫なら…!と思って買ったのに、やっぱり積ん読になってしまった。。。
    精神的に余裕がないと読むのは辛いかもしれない。好きなのに、なかなか読んでいけないのはジレンマ。
    でもダメダメなショパンはちょっと分かった。

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    2009年10月04日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    この作品は464ページあるのですが、その真ん中あたりで三谷さんという方が、つい魔が差してある行動をしてしまうシーンがあり、そこから一気に物語に引き込まれます。
    序盤は音楽用語などのオンパレードで、もしかしたら音楽に詳しくない方は読むのを諦めてしまうかもしれませんが、そこはグッと堪えて、ぜひ真ん中あたりまで読み進めてみてほしいです。

    そして洋子さんは最初、婚約者がいるのにどんどん蒔野さんに惹かれていくのは読んでいて複雑だったのですが、終盤のとあるシーンがとてもカッコよくて印象に残っています。
    わたしもあの場面で、ああやって言えるような人間になりたいです。
    ただ、洋子さんはチケット代まで受け取ら

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    2026年03月23日
  • 本心

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    かなり哲学的で難しく、読むのに時間がかかった。
    中盤で出てきた「縁起」に引き込まれた。実際に体験してみたいし、文字として読んでいるだけで不思議な気分になり、印象に残った。

    自分は深く考えもせず自由死に賛成派だったが、社会の格差が広がり、強者が弱者に強いるために生まれるものなのかと衝撃を受けた。
    人生における「もう十分」が社会に言わされている言葉なのだとしたら、あまりにも救いがない。。

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    2026年03月21日
  • ある男

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    ネタバレ

    重大な犯罪をおかして指名手配されている人間が、別人として生きる。
    どうしてそんなことが可能なんだろうと前々から疑問でした。
    悪いことをしたらどこかからか必ずばれるし逃げきれない。
    社会の目は絶対にごまかせない。
    そういう考えが、子供のころからガッチリと根付いているけれど、自分が知らないだけで、社会というのは割と穴だらけなんだなと思いました。
    気になって調べてみたら、日本での年間行方不明者は約8万人いて、これは1時間に10人のペースという計算になるそう。
    隣に住むおばあさん、散歩中に会うお姉さん、コンビニの店長さん、皆は本当に私の知っている彼らなんだろうか。
    そんなことを考えると、なんだか怖くて

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    2026年03月22日
  • マチネの終わりに

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    大人の恋愛小説の代表と言っても過言ではないでしょう。
    2人の間に強い気持ちがあるにも関わらず、環境や周りの人たちによって一つ歯車がズレるだけで、全然違う展開になっていくのが、読者にはわかっているだけにもどかしいです。
    最後の最後まで2人を見守っていたくなります。
    そして、滲み出てくる我慢の愛情を感じることができました。

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    2026年03月20日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    ネタバレ

    死んだ人間が復生者となって蘇る。自分は自殺するような人間ではない。自殺したのではなく、殺されたのではないかと疑い、自分が死んだ理由を追求していく。対人関係ごとに色んな自分がいて、〈個人〉に対して〈分人〉と呼ぶ考え方に出会う。的はずれであるけれども、NHKで漱石についての番組を見た直後に読んだので、明治になって近代人は〈国家〉と〈個人〉の問題に苦しんだが、〈分人〉という考え方は、現代人を〈個人〉から解放するのかみたいな、途方もないことを思い浮かべてしまった。

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    2026年03月17日
  • ある男

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    ネタバレ

    名前や戸籍は記号でしかない。それでいて、とりわけ現代人は記号に依存して生きている。戸籍交換をして幸せを掴み取った原誠と、対極とまではいかないものの、少なからず後悔をしている谷口大祐。子の成長とともに前に進んでいく里枝。
    城戸は在日3世であることの悩みを抱え続けていた。何世代も前の木が、今の城戸を作っている。
    自殺を2回試みて戸籍交換という手段で短いが確実な、目の前の幸せを得た原誠に対して、美涼との未来は選ばなかった城戸は大祐に対して尊敬と羨望の感情を抱いていたのではないか。
    颯太への愛は絶対だとしても、幸せだと言い聞かせて、別の誰かに変身してまで変える勇気がなかった、もしくはそうしようとするほ

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    2026年03月15日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    自分とは何か何者なのかがずっとわからなかったけど、この本を読んでその原因がやっとわかった。
    自分を一個人としか考えれてなかったからだ。分人としての単位、付き合うそれぞれの分人で考えると合点がいく。親友と話す時の自分、友達といる時の自分、ママと話すときの自分、同僚と話す時の自分、先輩と話すときの自分、全部違うし、それは当たり前のことなんだと。
    新しい発見は、どの分人でいたいかで付き合う人を選ぶ環境を変えることができるってこと。どの人といる時の自分が好き?そう考えて人間関係を少しずつ整理していくことも年齢を重ねていく上で、なりたい自分に近づくには重要だな。生きてる人間以外に対する分人もね。

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    2026年03月12日
  • 死刑について

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    私は死刑廃止派
    死刑について深く考えるために読む。
    在置派だった筆者による考察・論調は自分では到達出来ないような視点を提示してくれる。
    法のもとに人を殺すことが可能な国は…人権を軽視しているようで嫌だし、殺人をしてはいけないけれど死刑による殺人はOK(やむを得ない)というのは、人間が命に優劣をつけているとも取れる。
    同じ命あるものに、同じ人間の自分が優劣を決める可笑しさ、悲しさ、、不思議に思うけれど、自分が判断・手を下す訳じゃないから、他人事なのかな?廃止は理想なのかな?
    なんて自分の考えに固執しないよう、在置派の考え・論理をこれからも知っていきたい。

    まずは、考えるきっかけに良本だと思う。

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    2026年03月10日
  • 自由のこれから

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    「分人主義」という他者に対する「個人」という見方ではなく、いろんな他者と相対するときの複数の人格を自分と捉える考え方がベースにあって、そのベースの中で、「自由」「幸福」「テクノロジーの進化」「本当の自分」などのテーマをさまざまな専門家と対談しながら、書かれていた。

    分人主義という考えが非常にしっくりきて、心理学的には「自立」の考え方と似てると思った。「自立」は1人でなんでもできることではなく、様々な組織、コミュニティーに属することで依存先を増やすこと。そうやって、自分を見つけることが「自立」と言われたりしてる。
    「分人」や「自立」は全然違う表現だけど、複数の他者から見た自分という観点が全く同

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    2026年03月09日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    こういった正確な答えがない論題を自分で考えてみることが大切だと思った。

    学生時代や社会人1、2年目くらいは人に言われたことを真に受けすぎてきつかった。

    一つの発言には個人の思想だけではなく、今までの私的な経験や会社で教えられたこと、偉い人が言っていたこと等様々な要素が混ざり合っている。
    それが普通だし、純粋な個性とか意見とか考えすぎなくていいと思えた。

    分人の数は減らしたい。嫌な分人は捨てるが吉。

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    2026年03月07日
  • ある男

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    ネタバレ

    亡くなった夫が騙っていた名前は全くの別人だった。幸せな思い出だった結婚生活が急に不安定なものとなり、夫が隠していた人格、誰にも知られていない一面が明らかになるのでは、との不安を抱える里枝。自分が愛したのはその人の現在なのか、それとも過去なのか。弁護士の城戸を通して解明されていく真実に、城戸自身の在日3世という境遇や、死刑廃止運動など、色々な要素が絡み合って飽きることがなかった。心情や情景の比喩も面白く、自分好みの文体だったので、他の作品もどんどん読みたいと感じた。

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    2026年03月01日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    恋愛小説の形式をとっているものの、主題は比較的前半で語られる「過去は変えられる」ということではないだろうか。

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    2026年02月26日
  • 本心

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    エッセイや評論的なものは割と読むけど、小説は、日蝕で幾度となく挫折しているから、ほぼ読んでいない。しかし、さすがの平野啓一郎。ストーリー展開、リアリティ、言葉の選択、どれをとっても圧巻。読んでいて決して心地よい話でもないのだけれど、作者の筆力に圧倒される。どれだけ構想し、推敲したのかと唸らされる。薄っぺらい言葉や文章表現がネットもリアルも飛び交っているなか、この密度はすごい。何年かかるか分からないけど、真正面から向き合いたい、向き合わないとならない作家だなと再認識。

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    2026年02月23日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    著者は『「個人(本来の私)」が存在するのではなく、私たちは、他者との相互作用のなかで形成された「分人」のネットワークを生きている』と主張している。
    所属するコミュニティによって、様々な自分になることに対して罪悪感や羞恥心を覚えることは少なくない。
    しかし、この考えを持つことで他者も含めた自己肯定につながっていく気がして、罪悪感を和らげることができた。

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    2026年02月21日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    私は友達に「多重人格者」と指摘されたことがある。
    学校で見せる顔、サークルで見せる顔、バイト先で見せる顔、親しい友達にだけ見せる顔…たしかにすべて、同じ人物とは思えないくらい違う。

    だけど、それらは「ウソの自分」であるとは思わない。全部、偽りの私ではないように感じていた。じゃあ、本当の私って一体なんなんだ…?

    そんなことを考えながら、ちょうど読んだのが小説家平野啓一郎さんが書いたこの本。三宅香帆さんオススメということで読んでみた。平野さんが唱える分人主義、日常を振り返ると納得する事ばかりで、そして読みやすいためにスっと自分の中に落とし込むことができた。「ウソの自分/本当の自分」で二分するの

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    2026年02月19日