平野啓一郎のレビュー一覧
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ネタバレ死にゆくショパンを中心に描いた巻
この本を読んでいた2週間に
iPodにショパンのプレイリストを作成して通勤の間にヘビーローテーションしたり、PCの壁紙をドラクロワの名画のスライドショーにしたりと、作品の世界にどっぷり浸かり込んでいた私には非常に辛かった、早く楽になって欲しかった。
ドラクロワはショパンの死に立ち会わない。
それは、彼の臆病さ故かもしれない。
ショパンと対照的に、彼は生きる。
自分の天才に忠実に生きて、作品を残す。
フランショームの言葉が印象に残った。
”「……いえ、固より人間の生活とはそんなものなのでしょうか?もし我々の時代の新し不幸があるとするならば、それは、嘗てはきっとそうした惨めな綻びのない幸福な人間関係があった筈だという郷愁を抱いてしまうことこそがそうなのでしょうか? 」” -
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ネタバレ天才音楽家ショパン。
生きたいと願いつつも病に冒されてゆく「生」。
ショパンの友人であった天才画家ドラクロワ。
老いを感じいつか訪れる死を感じながら生きる「生」。
この本はショパンやドラクロワの生きた1800年代においても2000年を過ぎた現代においても共通する主題で描かれている。それは「生と死」についてであり、芸術論であり、人間関係である。
ショパンという偉大な天才もドラクロワという偉大な天才もひとりの人間として描かれている。
当時彼らは200年先の現在においてこれほど有名であるとは知らず、いち音楽家としていち画家としてその天才に翻弄されながら現代と同じように凡人と同じように人間関係に悩みながら生きている。
ショパンとドラクロワふたりの天才を中心に、ショパンの恋人である小説家であり革命家であるジョルジュ・サンドやその娘、ふたりの友人たちが登場する群像劇でもある。
多くの登場人物がいることで、口では語らず胸中で語るそれぞれの人の思いの交錯の描写が実に興味をそそられる。
現代(いま)も同じである。相手を思い、心中を察し、言葉を選ぶ。
また逆に相手の言葉から相手の本質や心中を垣間見たり詮索したりする。
そして自分の発した言葉や示した態度に嫌悪したり後悔したりもする。
この作品は、様々な人間の様々な性格、様々な考え方というものがいつの世も変わらないのだと知らしてくれる。
生と死というモチーフはいつの時代でも変わらず、天才であろうが凡人であろうが変わらず、芸術家の作品に対する思いもやはりいつの時代でも変わらない。
人間関係の煩わしさとそれによる幸福もいつの時代もどんな人間でも変わらない。
作者が言いたいことを作品として読みやすく分かりやすくするためには、ショパンとドラクロワというふたりの天才、そしてその時代が必要だったのかもしれない。 -
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ネタバレ解説に作者のことばとして
「ある真理を明示的に分割してひとつひとつの要素で描き、それらが読者の心の中であわさった時、直接的には表現しにくい複雑な真理がいきいきと理解されるように試みた」とある。
なるほど、丹念な状景描写や心理描写は総合的に相まって、読者(私)が抱えている言い表せない心情を言い表してくれているように感じる。
私は物語というよりは自分が言わんとしていることを的確に言い表している文章を綴る作家が好きである。
私がイメージとしてしか包有出来ないものを言葉として文章として掲示してくれるというのは、私には感動的なことである。
たとえば、ドラクロワの創作に対するやる気と倦怠について思い悩む場面。
<病は気持ちのせいなのか? ただ怠けているだけなのでは? 描くことから逃げているだけなのでは?>と自問自答し続ける。その部分で結論は出ない。しかしそれに関連するような別の事柄があり前問いを思い出させたりする。そして読み進めて行くうちに最後の最後にそれに繋がる結論のような描写が出てくる。(勿論「結論のような」であって、結論として描かれているわけではない)
前述があり後述があり、そしてそれが心の中であわさっていく。すべてがそのようにして書かれている。
たぶんこれ以上露骨になると厭味でこれ以下だと分かり難過ぎるんだと思う。私には丁度いい塩梅だった。 -
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ネタバレ[ (注) 思ったこと感じたことをそのまま勢いで書いているので読みにくく、まとまりがないかもしれません。ご勘弁を。]
まず装丁。
大抵は単行本の方が良いのだけど『葬送』は文庫の装丁の方がいい。
たぶん単行本の方はショパンのイメージなんだろうと思う。軽やかで繊細で華やかで。
それに替わって文庫本の方はドラクロワのイメージ。
単行本の装丁の色みより文庫本の色みの方が内容に合っていると私は思う。
第一部(上)はあの有名なショパンの肖像。
第一部(下)はこちらも有名なドラクロワの自画像。下部には薄らと『サルダナパールの死』
第二部(上)はジョルジュ・サンドの肖像。本来ショパンの肖像と同じカンバスのショパンの隣に描かれていた絵。
第二部(下)は『サルダナパールの死』
私は元々平野啓一郎氏の作品が好きなのだけれど、この『葬送』は本当に良かった。私の好きな本ベスト3に入るかも知れない。そのくらい良かった。 -
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購入済み
内容(「BOOK」データベースより)
病躯を引きずるように英国から戻ったショパンは、折からのコレラの大流行を避けてパリ郊外へ移った。起きあがることもままならぬショパンを訪なう様々な見舞客。長期にわたる病臥、激しい衰弱、喀血。死期を悟ったショパンは、集まった人々に限りなく美しく優しい言葉を遺す。「小説」という形式が完成したとされる十九世紀。その小説手法に正面から挑んだ稀代の雄編。堂々の完結。
ショパンの死からその後の処理までで物語は終わる。
この巻になってからは泣き通し。
いろんな感情が入り交じってしまって、あげくにはしゃくり上げつつページをめくる。
この「葬送」はもう一度最初から読み返してみようと思っています。
繊細で、美しい音楽を生み出した作曲家は、その曲同様
繊細で美しく、控えめでみなに愛され天に召されて行ったのだと。
死の床でも歌をせがみ、自分の葬儀の音楽を指示し、自分の作品の行く末をフランショームに託すショパン。
今までもショパンは好きな作曲家でしたが、この本をよみだしてからは絶対的な見方が、聴き方が変わりました。
この巻に入ってからはずーっとJablonskiのなにがしのショパンを流しながら読んだのですが、
自分の中での音楽が変わっていくのが手に取るようにわかって不思議な感覚に陥りました。
同じ録音なのに今までとは違う音に聞こえてくる不思議さと言ったら!
今までわたしが聞いていたのは「音」の羅列で「音楽」ではなかったのか?という驚愕すらあって。
もっともっと「音楽」を解し、演奏可能な人間になれるように、勉強したいと思うようになりました。
モーツアルトのレクイエムがまた違った意味で重要になり、
勉強してみたいと思いました。
いい作品でした。
たぶん一生手元に置いて、何かの折りにはよみかえすのだろうと。。。。
はじめ読めなかったのは嘘のようです。
重い本です、痛い本です。
でも興味のあるかたにはおすすめしたい作品となりました。 -
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購入済み
内容(「BOOK」データベースより)
千八百四十八年二月、大好評を博したショパン六年ぶりの演奏会の一週間後、フランス二月革命が勃発する。民衆の怒涛の奔流は、首相の解任、王の退位を実現し、共和国を生み出した。貴族達の惑乱と不安、活気づく民衆。ショパンは英国に移るが、過酷な演奏旅行を強いられ、体調は悪化する。一方ドラクロワは、ある画家の評伝の執筆にとりかかる。時代の巨大なうねりを描く第二部前編。
もう入れ込みすぎていて
「ショパン」の史実に基づいて書かれた小説だというのを忘れてしまう。
こんなこと続けたらショパン死んじゃうじゃない!
とか
本気で怒りながら読んでいる自分がいる(汗)
もう決まっていることなのにはらはらしてしまう。
7月革命後イギリスでの生活で疲弊していくショパンが痛々しくて。
さてこれから続きよみますか(^^♪ -
Posted by ブクログ
購入済み
内容(「BOOK」データベースより)
彫刻家クレザンジェは、ソランジュに求婚し、その母サンドはこれを了承した。病床にあったショパンは、ドラクロワとともに深い危惧を抱く。その彫刻家の軽佻・利己・浪費といった性行を知っていたからだ。事実、彼は二十万フランもの不動産を持参金という名目で略取しようとしていた。そして…。荘重な文体が織りなす人間の愛憎、芸術的思念、そして哲学的思索。感動の第一部完結編。
第一部の上はショパンのお葬式からはじまり
第一部の下はそのショパンとジョルジュ・サンドとの破局までが描かれてました。
とっても人間関係がおもしろくなってきて
第二部がとっても楽しみです。
今までのところ
わたしはジョルジュ・サンドとい人間が好きになれません。
読んでいくと変わるのかしら?
リストとショパンに愛されたと言うけれど
わたしはあまり好きではないのです。
この先どうなっていくかが楽しみです。 -
Posted by ブクログ
購入済み
内容(「BOOK」データベースより)
ロマン主義の全盛期、十九世紀パリ社交界に現れたポーランドの音楽家ショパン。その流麗な調べ、その物憂げな佇まいは、瞬く間に彼を寵児とした。高貴な婦人たちの注視の中、女流作家ジョルジュ・サンドが彼を射止める。彼の繊細に過ぎる精神は、ある孤高の画家をその支えとして選んでいた。近代絵画を確立した巨人ドラクロワとショパンの交流を軸に荘厳華麗な芸術の時代を描く雄編。
普段いかに簡単な本しかよんでいないかが露呈するぐらい「読む」ことに苦戦した1冊。
本屋さんで平積みになっている文庫をみて
「あれ?これショパンの肖像画???」
っていう動機だけで購入したものだから
読み出してびっくり!
この文章の主部ってなに???となるくらい
1文節が長い=理解できない=繰り返し読む=全体が把握できない=最初から読み直し
という悪循環にはまり
平野啓一郎さんは文章が難しいってmarshkaさんもおっしゃっていたからしょうがない!
わたしには読めませーーーん!
と開き直りかなーーーりの時間を放置していた本。
でも今年に入ってやっぱりショパンの時代のサロン風景は知っていたいな~と思い再読をはじめた。
そしたらなんと!
読めるではないですか!!!
理解できるではないですか!!!
そしたらとても興味深く(そりゃそうだ。音楽論や芸術論がちりばめられている上に、その当時の知識人との交流が山のようにでてくるので)
読めました。
とりあえず(下)に取りかかります。
本当はあと2部の上下巻があるので先は長いのですが
楽しみに読んでいこうと思います。
時には放置してみるのも手なんですね。
自分でブログみてびっくりした!2005年9月に買ってる(汗)
1年くらい放置していたのね(焦)
でも
なんでたかが1年で読めるようになったんだろうか?
自分でも不思議。。。。。
そして勉強不足のわたくしは
「え?この人とこの人も同じ時代に生きていたの???」の連発です(汗)
ドラクロワとショパンだけでも豪華なのにね。
ゲーテも同じ時代を生きているし
メンデルスゾーンやシベリウスなんかの名前も出てくる。
すごいなぁ、この時代。
美術方面には疎いので画家の名前も羅列するとすごいことになりそう(汗)
ジョルジュ・サンドって読んだことありません(恥)が
今のところいやな女です。
これからどうなっていくかとってもたのしみです。