平野啓一郎のレビュー一覧
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死刑について。私はどちらかと言うと存置派だと思ってたけど、これを読んで、被害者の気持ちは?などといった感情だけで人の人権(生存権)を判断する怖さを感じた。現代学校現場で行われている人権教育は相手の気持ちを考えるばかりにフォーカスしているが、到底受け入れられないような相手(例えば犯罪者のような)にも基本的人権が存在していることを教育すべきと言う意見がなるほどと思った。言ってしまえば暴力である死刑で解決することの怖さを知っておくべきと感じた。また、すでに死刑廃止されている欧米などの国家でも、廃止決定当時は存置派が圧倒的な数を占めていて驚いた。最高刑が無期刑などに置き換われば、必然的に受け入れるしかなくなるのかもなと思う。被害者(遺族)が加害者をゆるさないことと死刑廃止を望むことは両立することも覚えておきたい。生まれながらに犯罪者ばかりではなく、その生育環境などがそうした可能性もあるので自己責任論になり、そういう者は排除されるべきという考えは危険。筆者の言っていたように、立法と行政の失敗によって生まれた逸脱者を司法がなかったことにすることはあってはならないと感じた。こういう議論では廃止派が存置派を間違っている、劣っているという風に捉えて、説得させようとしてくる感じがして苦手だったけど、筆者にはそういうのを感じなくて良かった。法学部出身の作家という肩書きも面白かったし、筆者の作品を色々読んでみたいと思った。
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昔も今も遅読だ。
自分の脳が健康でいられる時間と、家に積まれたままの本や発行され続ける本、その両方から速くいっぱい読めたらいいのにと思っていた。
そんな私に、深くじっくり読むことの大切さや、本の世界の醍醐味を改めて気づかせてくれた。
中でも森鴎外の「高瀬舟」の解説は圧巻だ。
振り返れば、本を読み始めた中学生の頃は、辞書や注釈で確認するのを厭わなかったし、作者の生涯や年譜を読み作品の背景を想像するのも好きだった。
今は丁寧に読むことを面倒くさがり、わからないこともそのままにして諦めている。最近読んだSFは理解の領域外だと逃亡した感があり、自分が不甲斐なかった。
平野さんの文章はわかりやすく納得でき、実践してみようという気にさせてくれる。
丁寧にじっくりと、俯瞰で見つつも作者の術中にはまりながら読んでいこう。 -
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ネタバレ殺人犯の子供には何も罪はない、人並みの幸せを得る権利があるという意見もあるけど、被害者やその家族にだって殺されるべき何の罪もなかった。殺人犯の子供の人権を認めるというのなら、被害者とその家族の人権は認められなくてもいいのか。
もし自分が被害者の遺族だとしたら、殺人犯本人はもちろん憎いし、一緒に暮らしていた家族までみんな憎いと思う。。
自分の家族は死んだのに、犯人の家族は生きていて未来があるという事実が許せないだろう。
私は、やはり殺人犯と深い関わりがある以上、良くも悪くもその影響からは逃れられないし、全くの罪悪感を感じずに生きようとするのは無理なのだと思った。 -
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ネタバレ分人主義について書かれた、
「私とは何か」を読んで平野啓一郎さんの小説に興味を持ったのをきっかけに読みました。
朝から読み始めて1日で一気に読み終えました。
自分の一部である、
生まれ持った分人に全くコンプレックスの無いの人間は存在するのでしょうか。
みんな大なり小なりあるんじゃないかな。
でも、
その絶対に消すことのできない自分にとって不都合で不快な分人も、
実は他人とっては背負う分には大したことない傷だったりするのかも。
それは見ようによっては救いにも感じられるような気がしました。
愛は、愛し直しながら形を変えていく、
という考え方も分人主義らしいと感じ興味深かったです。 -
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めちゃくちゃ面白かったです!
人がその人たらしめるものってなんなのだろうと考えさせられました。
過去の話や戸籍という情報はアイデンティティになりえない、個の存在定義のゆるふわさを考えさせられた一冊です!
また、この物語を読んで、私も高校生のとき初めて行った美容院で、ここはずっと通えそうにないなと感じたときに、適当な作り話をしたことを思い出しました。
入ってる部活や家族の話などを友達のものと織り交ぜて作った、私とはまた違う私が出来上がった不思議でちょっと楽しい感覚を覚えています笑
主人公の気持ちが少しわかってしまう、そんなドキドキする読後感でした! -
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映画版を見たし、葬送を読んだので同じ著者の方という事で借りました。ギターを少し始めた事もあって、ギター用語は読んでいてわかったので興味深かった。映画と違うのは洋子の母親が長崎原爆の被爆者という事が強調されている点で、他にも蒔野の共演者がはっきり書かれていないがおそらく自殺したようなくだりは、映画には出てきたかと思います。また洋子が自爆テロに巻き込まれた後遺症でPTSDを患って服薬していて、その心理的負担からやすやすと別れ話を信じていったというのも、小説版では書かれていた事です。概ね普通なら早苗に非が集まるところを、それを回避しているのもこの小説の特徴で、それがこの小説の純な印象を深めていると思われます。
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平野啓一郎さんの作品は、「マチネの終わりに」「ある男」に続いて3作目。
こちらも素晴らしかったです。こんな作品や文章が書ける作家さん、とても尊いです。
これはこの国の少し未来のお話。事故で突然亡くなった母のVRを作ることから物語が始まる。寂しさからだけではなく、明かされなかった母の「本心」を知りたくて。
これだけでも続きが気になって仕方ないんですが。母の過去を知るために一人の女性と出会う。彼女の内面を知り、慮り、自分との関係性を考え、悩み、自分の現実の世界を生きていく。そこでまた、新たな人と出会い自分自身を発見していく。
…とにかく最初から最後まで心臓ギューッと掴まれて、その世界観で頭がいっぱいになりました。
このままAIが進み、政治が続き、貧富の差が広がり社会の分断が続くと…こんな思想や事件も起こりうる…なるほどと頷きながら様々な事を想像しました。
ラストにかけての衝撃ともよべる驚きが凄まじかったです。朔也と周りの人たちの幸せを願っています。