平野啓一郎のレビュー一覧

  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    二つの血を持つものとして、私とは何か、アイデンティティとは何か、何回も考えたことある。正解が見つからないままどこかで息苦しさを抱えていたが、この本を通してそのもやもやが解れた気がする。

    他者を介した自分はすべて本物の自分、

    生きるのを止めたいのは、複数ある分人の中の一つの不幸な分人

    分人という考え方は、これからの自分を肯定して生きていくための支えになると思う。心に書き留めていたい。

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    2026年02月26日
  • 死刑について

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    僕は、死刑は廃止にすべきと思っている一方で、死刑存置派の人から遺族感情はどうするんだと問われると、いつもゴニョゴニョと誤魔化すことしかできていなかった。
    この本は、この点についてもっと深く考えるきっかけを与えてくれた。
    死刑の存否にかかわらず遺族のケアが十分に行われていないこと。
    死刑と加害者を赦すことは不可分一体ではないこと。
    罰ではなく赦しも尊重できる社会にすること。
    いずれも僕が十分に持てていなかった視点であり、自分の高慢さを反省しながら読み進めた。

    また、僕は、死刑囚の境遇を知り、自分も同じ立場であれば同じことをしてしまっていたかもしれないと共感することこそが、死刑廃止につながると考

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    2026年02月26日
  • ある男

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    現実的ではないようで
    でもきっとこの世の中にあることであろう戸籍売買

    読み終えた後
    身の回りの人たちが
    実は全然違う人だったらと
    想像を巡らせてしまった

    全然別の名前を持つ人物だったとしても
    その人と出会った後の人生や関わりは紛れもなく事実なので
    それをどのよう折り合いをつけるかは
    その時その場にならないと分からないけれど
    かなり混乱することは間違いないだろう

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    2026年02月21日
  • 空白を満たしなさい(下)

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    最後の最後まで結末がわからず、ハラハラしすぎて本当に見てられない、、眩しくて残酷な運命の中でどう行き、どう死ぬのか。分人主義を切り口に、人が生きるとは、死ぬとはを深く感じさせる小説

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    2026年02月20日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    ネタバレ

    過去は変えられないと思いがちだが、未来によって常に過去は変えられているーーー。本作のテーマともいえるこの概念をベースにしながら、恋愛とも言えないけれども互いを思う気持ち、嫉妬により結ばれなかった結婚生活まで、静かに流れるクラシックのような物語だった。
    ミステリではないのに、先が気になり、でも一気に読み進められないような独特の雰囲気を感じた。他の作品も読み進めたい。

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    2026年02月15日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    とにかくわかりやすくて、時間に追われている中でもするする読むことができ、まずそのことに感動した!
    大人になりいろんな場面や環境でつながりが増える人間関係のなかで、ある人に対して無理して振る舞っていると感じる部分と、仲の良い友達と居ても無理はしていないけど疲弊してしまう部分と、1人でいる時間の圧倒的な落ち着きと安心に対しても、分人という考えが当てはまるなぁと目から鱗。
    いろんなパターンの自分がいることへの肯定と、それゆえに落ち着かない対人関係への理解が深まり、なんだかすっきり。

    作中にたくさんの積読(積読登録すらできていないものたちも含む)が出てきて、平野さんを構成する本たちが私の本棚にも並ん

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    2026年02月12日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    ネタバレ

    好きな作品。

    たった数回しか会わずとも強く惹かれ、紡ぎ合う時間がどれだけ短くとも二人の深い繋がりは、生き方、考え方、すべてに影響を与え続ける。

    再会の後、どんな話しをするのかな。
    互いの大切なものを、互いに受け入れ合って、精神的な深い繋がりを、穏やかな気持ちで語り合いながら歳を重ねて行ってくれたらいいな。

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    2026年02月11日
  • 文学は何の役に立つのか?

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    平野啓一郎の「文学は何の役にたつか」を読み終えた。エッセイや評論集の類いで、中には僕には難解のものがあったが、大半は興味が惹かれるものだった。
    三島由紀夫、ドナルド・キーン、瀬戸内寂聴、大江健三郎、安部公房、古井由吉、ハン・ガン、ドストエフスキー、森鴎外などたくさんの文豪が登場する。
    寂聴さんにはかなり可愛がって頂いたようで、お酒の席で寂聴さんからたとえば甘粕正彦のリアルな話を聞いていたなんてことが書かれていると僕までなんかワクワク楽しくなったのだ。
    この本を通じて、まだまだ読みたい本、読まなければならない本がたくさんあると実感した。
    ちなみに平野啓一郎は「正気を保つため」に文学は役に立ってい

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    2026年02月06日
  • トーマス・マンはなぜ日本で愛されるのか

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    実は、トーマス・マンを読んだことがない。そろそろその辺を読もうかと思い始めた頃にたまたま出会ったのが本著だ。
    分野を問わず、マニアがその世界を語りあうのを見るのが好きだ。そんなに面白い世界なのかと気になり始める。
    冒頭の対談が九州大学で行われたのも興味深い。これまで、トーマス・マンの勉強会がずっと行われてきたのだそうだ。また、平野啓一郎の講演は、同世代の地方出身として、多くの共感があった。

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    2026年02月05日
  • ある男

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    なんというかな、ストーリーそのものも勿論面白いのだけれど、登場人物、全員ではないが、一つ一つのシーンにおける感情が本当に細やかに目の前に揺蕩うように見せる筆致は凄いものだなと思う。なーんて偉そうなことを言える自分ではないのだけれど、やっぱり日本語で書かれた書物は、その中でも特に小説は、日本という国の日本人たちが、古今東西、紡ぎあげてきた表現にどれだけ逢えるのかというのが、自分がこの本は面白かったなと思える一つの基準?うーん、そんな言葉ではないような気がするが、ともかくそういう事なんだな。新書のカッコいいについての話ではあまり感じられなかったように記憶しているから、この本が最初出た時も興味はあっ

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    2026年01月30日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    本当の自分ってなんだろう、自分とは1つのキャラクターでないと偽りなのか。
    と今まで悩むことがあったけれど、分人という概念を知り、どの自分も本当の自分であったと気付かされた。

    また本書を読んでから、自分の中にあった不自然な分人の存在を発見することができた。

    過去、人生をやめたいと思ったことが何度かあるが、もしかしたらとある分人を止めたかっただけなのかもしれない。

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    2026年01月25日
  • 空白を満たしなさい(下)

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    すごく面白い小説でした。
    前半と後半が別の話のような展開ですが、最初から最後まで展開が多くて一気に読み進められました。

    「死」とは何か?
    「肉体的に無くなること」「人の記憶や様々な記録から無くなること」など、色々と定義されますが本の中でも登場人物が様々な解釈をしています。解釈は人それぞれで答えなんて無いのかもしれないですね。

    主人公ほど若い頃ではないものの、私も父親を亡くしています。大切な人が死ぬことで悲しみ苦しみますが、それを最初に癒して慰めてくれるのは作品でも言及がある通り「ある程度の時間」でした。そして、いつまでも悲しんでいられずに、大切な人の死を受け入れて普段通りに仕事をしなければ

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    2026年01月23日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    「生き返る」という皆が喜ぶであろう架空の現象に対して、それが本当に起こった場合「本人や周りの環境が果たして受け入れてくれるのか?誰しもが喜ぶのだろうか?」など、主人公と家族、周囲の人々のリアルな感情の中で展開されていく上巻の話は、ハラハラして引き込まれるように一気に読んでしまった…!

    登場する佐伯という人物は胸糞悪いが、もしかしたら佐伯のような人物は物言わぬだけで周りに居て、知らない間に私の生活を侵食して壊しているのかもしれないと感じるような、首にまとわりつくような気持ち悪さだった。

    謎が謎を呼んだ上巻。
    下巻をこれからすぐに読み始めます!笑

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    2026年01月21日
  • ある男

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    すさまじく重層的というか、複雑な、でも悪いことばかりではない。前を向いていこうと思わせる希望を感じられるような読後感。子供を持つ身として、悠人とのやり取りとか、彼が気丈にふるまう姿とかを見ていると本当に涙が出てくる。何かが解決するとか好転していくという訳ではなく、過去に起こった事実は変えられないんだけれど、でもその事実の一端を紐解いて知ることで何かが自分の中で繋がったり腑に落ちたりして、前に進んでいけることってあるんだろうなという気がする。
    彼とその家族が前に進める、幸せを掴んでいけると信じているし、幸せになってほしいと心から願わずにはいられない。そう思うのもやはり原誠が、真面目に真摯に生きて

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    2026年01月20日
  • 死刑について

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    自分の価値観が変わった本を読んだ時は星を5つ付けることにしている。この本もまさにその対象だった。
    文量は多くなく、1時間もかからず読める。その中で、いかに今まで私が犯罪をした人、その被害にあった人、もっといえば「人間」と分類される生物そのものに対する解像度が低かったのだと気付かされる記述が多かった。まさに私は人権教育の失敗の成果物だったのだと思う。
    一朝一夕で真逆に考えを変えることは難しいが、どんなに理解できない存在であっても、人間である限り人権があるという感覚は育てていきたい。本当に助けが必要な人は助けたいと思う姿をしていないと、誰かが言っていた言葉を心に停めておきたい。

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    2026年01月17日
  • ある男

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    『ある男』という小説をいま読み終えた。
    長編小説にも拘らずこれはひとつの長い詩であると思う。文章はあくまでも澱みなく清冽で、決して難しくはなく、人間の心理のもっとも深い内部へ入リ込み、人の心を読み解く世界に引き込む力は、世界の名だたる小説家たちを前にしても曵けをとらない。
    作家という職業のみならず、芸術家のその生涯において代表作というものに拘ると思う。音楽でも絵でも映画でも、ひとつ、自他ともに認める唯一無比の作品を創りあげようとすることに自己主張の意義を見出すと思う。その意味でこの小説は平野啓一郎の代表作になるに違いない。
    設定が興味深い。4年近く一緒に暮らした夫が突然、木の伐採の仕事をしてい

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    2026年01月17日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    ジャーナリストの宿命と、彼らを阻む女性を超えて、男女がおたがいを想い、恋焦がれる様子が鮮明だった。最後はほっとした

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    2026年01月15日
  • マチネの終わりに

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    日記を書いたり写真を見返したりして思い出を振り返るばかりの私を掬ってくれるような一冊。明るい未来のために現在を生きるしい人よりも、過去の記憶を心に大切に携えながら生きるようなとても諦めの悪い人を中心に描いてくれて救われた。そういう意味でわたしにぴったりの本だったと思う未来のために今があると言うよりも、過去を変えてくれるいまの瞬間は多くあるのだから現在を過ごしてみようと思う方が私に合っている気がする。私はそういう後ろ向きな人間だとつくづく思う。

    「年齢とともに人が恋愛から遠ざかってしまうのは、愛したいという情熱の枯渇より、愛されるために自分に何が欠けているのかという、10代の頃ならば誰もが知っ

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    2026年01月14日
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践(PHP文庫)

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    ネタバレ

    ▼再読するもの
    ・夏目漱石 こころ
    ・森鴎外 高瀬舟
    ・三島由紀夫 金閣寺

    ▼はじめて読むもの
    ・カフカ 橋
    ・シャルル・ド・モンテスキュー 法の精神

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    2026年01月11日
  • マチネの終わりに

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    天才ギタリスト・蒔野聡史と、聡明なジャーナリスト・小峰洋子。細胞レベルで惹かれ合う二人の恋模様を描いた本作は、読み終えた後も、胸の奥で心地よい余韻が鳴り止まない一冊でした。

    特に印象に残ったのは、「言葉の旋律」「現実と虚構の融合」「ラストシーンの希望」という三つの要素です。

    1. 音楽のように響く、言葉の旋律
    この作品に散りばめられた言葉の数々は、まるで蒔野が爪弾くギターの音色のように、美しく気高い旋律を奏でていました。中でも、私の心に深く刻まれた二つの言葉があります。

    「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。」

    この本を貫く最

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    2026年01月09日