平野啓一郎のレビュー一覧
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ネタバレ結核に冒されたショパンに遂に死が訪れる.ショパンの矜持と高潔さ,一方の画壇の異端者ドラクロワの生きるための処世術と密かな望みが対比され,二人の友情を軸に,スターリング嬢を代表とする周りの人々の視野の狭さや俗さ,あるいはショパンの死に際しての悲しみ,サンド夫人親子の確執などの多層構造を,ポトツカ伯爵夫人やフランショームの言葉を借りれば「不協和音」として描いた大河小説である.
細やかな心理描写が見事で,特にドラクロワの思考の流れに共感する場面が多々あった.また,本書の主人公は一見ショパンであるが,真の主人公はドラクロワであろう.ショパン死去,それにともなう葬儀の混乱,財産の処分などの喧噪から一歩身 -
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すごい。こういうのが読みたかった。
今の10代が30代、40代として活躍しているような近未来。
大震災後、有人火星探査、可塑整形、散影(divisual/監視カメラのオープンなネットワーク)、AR(死んだ人間のその後の人生をプログラムし、立体映像化する)、分人主義(dividualism)、生物兵器(蚊)、ウィキノベル(Wikinovel)。
これでもかというほどアイディアが詰め込まれている。
全般的に希望的な未来としては描かれていない。
書かれたのが2009年。東日本大震災以前というのがすごい。
そして、現実はこの小説が持つ雰囲気に近い状態で進んでいるように感じる。 -
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読書感想文は苦手なのだが、この小説に感想を書こうなんて百万年くらい早い気がしてきた・・・。
再読しなければ、感想など書けないような、
そんな壮大な作品だった。
読み始めて挫折されている人が多いようだが、私も実にその一人である・・・。
読書にじっくり時間を割けないのであれば、
この作品は読まない方がいいのかもしれない。
じっくり向き合える時に読むべき、超大作なのではないかと思う。
この作品は「作者名」で「作者買い」してしまった一作なのだが、作者の初期の作品だからそこまでではないだろうと思ったのが敗因。。。
これは素晴らしい。
何度も何度も読み返し、web で調べて、また進んで、戻っ -
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『その苦しみを優しい寛大さと喜びもを以て耐えている姿にはね、生まれてくるこの子にとってだけじゃなくて、僕らすべての生を生きられるに値すると感じさせるような慰めがあると僕は思う。』
『この世界に3キロほどの重みを持って、最早、否定出来ないような事実として放り出される前にはね、やっぱり、母親という一個の人間の内部に、最初の場所を許されていた。これは、人間の生が始原に於いて抱えている根源的な条件だよ。』
『今もまだ、「優しい」理由は何だろうか? 別れてからも、いつまでもよく思われていたいという、男のあの見苦しい、単純な願望のせいだろうか?』
『なぜそうしたいんだろう? 俺が今、生きようとしてい -
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「決壊(上巻)」
きっかけは、日常にあり。
ある日に見つかるバラバラの遺体が発見された。被害者は沢野良介。平凡な家庭を営む会社員だ。事件当夜、彼は兄・崇と大阪で会っていたはずだった。
と言う文言が表紙に載ってしまっている。おかげで被害者は分かってしまうし、犯人も何と無く兄じゃないかと推測してしまう。
上巻は、事件の背景や刑事の捜査が描かれると思いきや、良介と崇の生活が主に描かれる。良介は家族と仲良く実家に帰り、久々に兄と語る。崇は、海外から帰ってきて公務に職しながら、独身生活を楽しむ。一見、楽しい生活である。
しかし、一見は一見。よく見ると葛藤が見えてくる。弟は、実家に帰る途中 -
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これは間違いなく「トンデモ本」だ。その爆笑性ゆえに5点満点である。2006年刊行であるため8年たって「トンデモ本」になってしまったともいえるが、何せ梅田何がしという「はしゃぐ猿」のはしゃぎっぷりがそもそもトンデモない。まず言っている事すべてが猿でもできる後知恵でしかない。刊行当時はそれこそ未知なものとしてのインターネットの権威としてかなりの人数をわかったような気にさせたことは想像できるが、8年たってのこのWEBを取り巻く世界がひとつも、本当にただのひとつも想像すらされていないところがともかくトンでもない。「10年から15年先のことは正確に予想できる」と自慢げに語り、グーグルのすべてを理解してい
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ネタバレ約1年前に、新書「私とは何か」を手にとって以来、ようやく分人小説4部作を読み切った。文庫化を心待ちにしていたこの作品のテーマは、ずばり分人と愛。事故で足を切断した女優と、義肢のデザイナーによる恋愛っていうと、ちょっとアルモドバルのトークトゥハーを連想して「献身」がテーマなのかと先入観を持ったのだが、さすがに平野文学は圧倒的なリアリティー。
刹那に宿る「恋」を花だとすれば、関係の維持に努める「愛」は果実であり、その狭間にあるセックスは、花が果実になるための季節の変わり目のようなものだという。愛は利他だけでなく利己が必要であり、利己の塊のような存在である三笠を通して相良は、完全な献身にも愛はな -
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芥川賞作家・平野啓一郎氏による初めての恋愛小説です。『日蝕』や『葬送』などの重厚な作品を書くというイメージが強い方だったので、最初は正直面食らいました。
この記事を書く際にはじめて知ったのですが、この本は平野啓一郎氏にとって初めての恋愛小説だったのですね。物語は交通事故によって左足を切断するという重傷を負った『美脚の女王』の異名をとる女優の叶世久美子と、離婚を経験し、デザイナーとしての仕事は順調なものの、心にどこか空白の部分を持ったデザイナーの相良郁哉が中心となって物語が進んでいきます。
さいしょは作中にちりばめられているiPod nanoやWikipediaやグーグルやユーチューブという -
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平野啓一郎氏の最初のエッセイ集です。三島作品を論じた「『金閣寺』論」「『英霊の声』論」を中心に、文学、音楽、美術、建築、そして自らの作品について論じたもので、平野文学を理解する『鍵』であると思います。
本書は作家、平野啓一郎氏の最初のエッセイ集です。対談集である『ディアローグ』とこの『モノローグ』発意をなす存在であると思っておりますので、一気に読もうかと思っておりましたが、諸般の事情でこっちを読むのが遅れてしまいました。しかし、内容の濃さとページの厚さを考えると、二冊同時に読むのはかなり苦労するだろうなと今にして思えばそう思います。
本書は三部作構成になっておりそのⅠは最初から平野氏の文 -
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作家、平野啓一郎氏の対談集です。ここで語られているのは本当に膨大な情報で、正直な話、ついていくのが本当に大変で、半分も理解できたかどうかは怪しいものですが、『現在』に至る様々な道筋が示されております。
作家、平野啓一郎氏の対談集です。20代の作家としてデビューした手の頃から31歳当時の時までのものが収録されており、作家、平野啓一郎の『始まり』と『現在』を結ぶ鍵のような位置づけに当たるものだな、と考え読んでおりました。
扱われているテーマも、非常に多岐にわたっており、自身の文学的な出発点でもある三島由紀夫をはじめとした文学論に始まり、デビュー作であり、また芥川賞を受賞した『日蝕』にも扱われて