平野啓一郎のレビュー一覧
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芥川賞作家・平野啓一郎氏による初めての恋愛小説です。『日蝕』や『葬送』などの重厚な作品を書くというイメージが強い方だったので、最初は正直面食らいました。
この記事を書く際にはじめて知ったのですが、この本は平野啓一郎氏にとって初めての恋愛小説だったのですね。物語は交通事故によって左足を切断するという重傷を負った『美脚の女王』の異名をとる女優の叶世久美子と、離婚を経験し、デザイナーとしての仕事は順調なものの、心にどこか空白の部分を持ったデザイナーの相良郁哉が中心となって物語が進んでいきます。
さいしょは作中にちりばめられているiPod nanoやWikipediaやグーグルやユーチューブという -
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平野啓一郎氏の最初のエッセイ集です。三島作品を論じた「『金閣寺』論」「『英霊の声』論」を中心に、文学、音楽、美術、建築、そして自らの作品について論じたもので、平野文学を理解する『鍵』であると思います。
本書は作家、平野啓一郎氏の最初のエッセイ集です。対談集である『ディアローグ』とこの『モノローグ』発意をなす存在であると思っておりますので、一気に読もうかと思っておりましたが、諸般の事情でこっちを読むのが遅れてしまいました。しかし、内容の濃さとページの厚さを考えると、二冊同時に読むのはかなり苦労するだろうなと今にして思えばそう思います。
本書は三部作構成になっておりそのⅠは最初から平野氏の文 -
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作家、平野啓一郎氏の対談集です。ここで語られているのは本当に膨大な情報で、正直な話、ついていくのが本当に大変で、半分も理解できたかどうかは怪しいものですが、『現在』に至る様々な道筋が示されております。
作家、平野啓一郎氏の対談集です。20代の作家としてデビューした手の頃から31歳当時の時までのものが収録されており、作家、平野啓一郎の『始まり』と『現在』を結ぶ鍵のような位置づけに当たるものだな、と考え読んでおりました。
扱われているテーマも、非常に多岐にわたっており、自身の文学的な出発点でもある三島由紀夫をはじめとした文学論に始まり、デビュー作であり、また芥川賞を受賞した『日蝕』にも扱われて -
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ここで中心となって描かれるのはサンド夫人の娘であるソランジュと彫刻家のクレサンジェとの結婚と、金の絡んだ複雑な愛憎劇です。俗になろうと思えばいくらでもなるテーマをここまで重厚に纏め上げるのは凄いです。
やっと。やっとのことで読み終えました。しかし、これでもまだ道半ば。まだ後半分残っているかと思うと楽しみであり、また長い旅路になるなぁと思いながら最後のページをめくりました。ここで中心に描かれるのはサンド夫人の娘であるソランジュと、彼と夫婦関係になる彫刻家のクレサンジェが軸になって描かれます。
その結婚をサンド婦人は了承し、あちこちに手紙を書いてそれを知らせるのですが、その愛人であるショパン -
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ロマン主義の全盛期、十九世紀パリ。音楽家ショパンと画家のドラクロワとの友情を軸とし、女流作家でショパンの愛人でもあるジョルジュ・サンドを始めとする人物たちが織り成す豪華絢爛な芸術賛歌を描いております。
これは自分の中でずっと読むのを避けていた小説のひとつで、理由はというとなんといってもテーマの重厚さと原稿用紙2500枚分という膨大なボリュームからでした、しかし、今回この小説を読むきっかけとなり、また、僕の背中を押してしてくれたのは、誰あろう筆者である平野啓一郎氏その人でありました。
以前、平野氏のツイッター上で『葬送』の話題になっていたときに僕が
『僕も読もうと思っておりますが、あの重厚 -
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圧倒的な知識量で描かれる渾身の現代ミステリ。
まだ事件の起きない上巻では家族、友人、恋人に対して抱く微かな「不信感」や、自分以外が他者であるがゆえの「心のズレ」を感じる違和感を巧みに書いている。
人間関係を上辺では体裁良く保っていても、日常的に心の奥底に感じている上記のような空虚感は誰でも抱いた事があるのでは無いだろうか。
序盤のシーンで韓国語教室のCDを義母が流した時に、佳枝が「夫が在日韓国人なのではないか」と不意に疑ってしまう部分から、様々な人間が抱く不信感の連鎖はまるで自分を見ているかのよう。
ただ上巻は地の文が三人称なのだが、二次的な一人称が一つの章の中でコロコロと変わってしま -
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ネタバレ死にゆくショパンを中心に描いた巻
この本を読んでいた2週間に
iPodにショパンのプレイリストを作成して通勤の間にヘビーローテーションしたり、PCの壁紙をドラクロワの名画のスライドショーにしたりと、作品の世界にどっぷり浸かり込んでいた私には非常に辛かった、早く楽になって欲しかった。
ドラクロワはショパンの死に立ち会わない。
それは、彼の臆病さ故かもしれない。
ショパンと対照的に、彼は生きる。
自分の天才に忠実に生きて、作品を残す。
フランショームの言葉が印象に残った。
”「……いえ、固より人間の生活とはそんなものなのでしょうか?もし我々の時代の新し不幸があるとするならば、それは、嘗てはきっ -
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ネタバレ天才音楽家ショパン。
生きたいと願いつつも病に冒されてゆく「生」。
ショパンの友人であった天才画家ドラクロワ。
老いを感じいつか訪れる死を感じながら生きる「生」。
この本はショパンやドラクロワの生きた1800年代においても2000年を過ぎた現代においても共通する主題で描かれている。それは「生と死」についてであり、芸術論であり、人間関係である。
ショパンという偉大な天才もドラクロワという偉大な天才もひとりの人間として描かれている。
当時彼らは200年先の現在においてこれほど有名であるとは知らず、いち音楽家としていち画家としてその天才に翻弄されながら現代と同じように凡人と同じように人間関係に -
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ネタバレ解説に作者のことばとして
「ある真理を明示的に分割してひとつひとつの要素で描き、それらが読者の心の中であわさった時、直接的には表現しにくい複雑な真理がいきいきと理解されるように試みた」とある。
なるほど、丹念な状景描写や心理描写は総合的に相まって、読者(私)が抱えている言い表せない心情を言い表してくれているように感じる。
私は物語というよりは自分が言わんとしていることを的確に言い表している文章を綴る作家が好きである。
私がイメージとしてしか包有出来ないものを言葉として文章として掲示してくれるというのは、私には感動的なことである。
たとえば、ドラクロワの創作に対するやる気と倦怠について思い悩 -
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ネタバレ[ (注) 思ったこと感じたことをそのまま勢いで書いているので読みにくく、まとまりがないかもしれません。ご勘弁を。]
まず装丁。
大抵は単行本の方が良いのだけど『葬送』は文庫の装丁の方がいい。
たぶん単行本の方はショパンのイメージなんだろうと思う。軽やかで繊細で華やかで。
それに替わって文庫本の方はドラクロワのイメージ。
単行本の装丁の色みより文庫本の色みの方が内容に合っていると私は思う。
第一部(上)はあの有名なショパンの肖像。
第一部(下)はこちらも有名なドラクロワの自画像。下部には薄らと『サルダナパールの死』
第二部(上)はジョルジュ・サンドの肖像。本来ショパンの肖像と同じカンバスの