平野啓一郎のレビュー一覧

  • サロメ

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    戯曲。これがとても面白かった。今はもうこういうの出てこないだろうけど新訳で読みやすくなり雰囲気がつかみやすかった。何を見るかによって印象が違うかもしれないがそれぞれに何かを象徴していて印象的だった。

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    2017年12月18日
  • 透明な迷宮

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    一つの体験を複数の人間が体験した時に、それぞれがどう感じ、どう行動するかの違いとか、自身の選択の結果で人生が決まっていること、他人の影響が自分の人生に関与してくることを、複数の短編を読みながら考えた。

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    2017年02月13日
  • かたちだけの愛

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    『一日二四時間の中で、人間が考えられることって、三つしかないと思うんです。ー過去のことか、現在のことか、未来のことか。』

    『人はなるほど、たまたまそんなふうに誰かを見ることなど出来ないのだろう。彼の中の何かが、そんなふうに彼女を見させていた。』

    『私は、人間のへそ曲がりなんだと思いますね。完璧だって言われると、完璧じゃないところが気になるじゃないですか。』

    『人が一緒の時には、相変わらずの他人行儀だったが、二人きりになると、もう敬語は使わなかった。お互いに、声のトーンが少し低くなり、ゆっくり話すようになって、ささやかな笑いの吐息が、電話をしていると、よく耳に触れた。大げさな相槌も、捻り出

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    2016年12月30日
  • 葬送 第二部(下)

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    ネタバレ

    結核に冒されたショパンに遂に死が訪れる.ショパンの矜持と高潔さ,一方の画壇の異端者ドラクロワの生きるための処世術と密かな望みが対比され,二人の友情を軸に,スターリング嬢を代表とする周りの人々の視野の狭さや俗さ,あるいはショパンの死に際しての悲しみ,サンド夫人親子の確執などの多層構造を,ポトツカ伯爵夫人やフランショームの言葉を借りれば「不協和音」として描いた大河小説である.
    細やかな心理描写が見事で,特にドラクロワの思考の流れに共感する場面が多々あった.また,本書の主人公は一見ショパンであるが,真の主人公はドラクロワであろう.ショパン死去,それにともなう葬儀の混乱,財産の処分などの喧噪から一歩身

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    2016年11月03日
  • 葬送 第二部(上)

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    ネタバレ

    二月革命の余波で,貴族に対するピアノレッスンによる生活が立ちゆかなくなり,病身を押してのイギリス渡航を決行するショパン.しかし,それはショパンの体をさらに弱らせるばかりであった.一方,天井画を完成させたドラクロアは革命後も上手く立ち回るのだが,友人ヴィヨに関してショックな出来事が起こる.
    時代と病に翻弄されるショパンを軸に話が展開するが,ドラクロワとヴィヨ夫人による天才についての談義も心に残る.

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    2016年10月25日
  • かたちだけの愛

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    「分人」という単語が直接出てくるわけではないが、2人の人間がいかにして「分人化」するか(関係を深めていくか)というのが主題となっている。
    平野作品の中では読みやすい、爽やかなラブストーリー。
    2人の肌と肌(指先)が初めて触れ合う瞬間の描写が秀逸。

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    2016年09月11日
  • 決壊(下)

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    再読。

    私が平野啓一郎先生の本に嵌る切っ掛けとなった本。

    2011年12月、これまで痛快娯楽小説しか読んでこなかった私が、単なる推理小説だと思い購入。

    読み終わると共に放心状態に陥った。
    感想は特に記録していなかったのだが、今でも覚えているのが、「この作者、天才!?」ということだけ。

    それから、「ドーン」「透明な迷宮」「本の読み方」「葬送」「顔のない裸体たち」「かたちだけの愛」「マチネの終わりに」「あなたが、いなかった、あなた」と読んでここに来て再読。

    初めて読んだ時は、難しい小説だなというのが正直な感想だったのだが、再読だと随分変わる。

    「葬送」に比べるとはるかに読み易い。
    当時

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    2016年08月28日
  • ドーン

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    すごい。こういうのが読みたかった。

    今の10代が30代、40代として活躍しているような近未来。
    大震災後、有人火星探査、可塑整形、散影(divisual/監視カメラのオープンなネットワーク)、AR(死んだ人間のその後の人生をプログラムし、立体映像化する)、分人主義(dividualism)、生物兵器(蚊)、ウィキノベル(Wikinovel)。
    これでもかというほどアイディアが詰め込まれている。
    全般的に希望的な未来としては描かれていない。
    書かれたのが2009年。東日本大震災以前というのがすごい。
    そして、現実はこの小説が持つ雰囲気に近い状態で進んでいるように感じる。

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    2018年10月30日
  • かたちだけの愛

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    平野先生の作品の中では、「決壊」が一番好きだったが、今日から「かたちだけの愛」が一番好きな作品になった。

    「決壊」や「葬送」に比べると話のテンポが早く、物語にどんどん引き込まれ1日で読み終えてしまった。

    こんなに美しい小説を読んだことが無い と感じる程、文章が美しい。

    「あわや だいさんじ」登場の度にクスっと笑ってしまった。

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    2016年03月21日
  • 葬送 第二部(下)

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    月並みだが、死と生を対照的に描ききった佳作であった。ショパンの死。一気に死ぬのではない。死んだ後も緩慢に過酷は続く。この感覚はかつてトルストイの作品だったか、感じたことがある。対して、ドラクロワの生。他の人物もそうだが、俗物性がこの物語の主題であったように思う。ショパンが姉に会えた感動を私も分かち合えたことも含めて。フランショームのグジマワ伯爵と交わした不協和音についての喩えが、その俗物性の象徴かと意味深であった。

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    2016年01月24日
  • 葬送 第二部(上)

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    ショパンのピアノ観、演奏。夫の凡人性を自覚したヴィヨ夫人とその後のヴィヨ。ミツキェヴィチのイデオロギー、宗教にとらわれていくさま。スターリング嬢の愛によって正当化した暴走ぶり。サンドのショパンを忘れた日常。ショパンを通して語られた母語が人生に持つ意味。ドラクロワとヴィヨ夫人による天才論も白眉。

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    2016年01月20日
  • 葬送 第一部(下)

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    第1部の締めは見事に芸術の本質をえぐっている。

    ドラクロワの使用人ジェニーがことのほか好ましい。そして、ドラクロワの人間味も。

    精神的なひ弱さ(ショパン)、傲慢さ(サンド)が恋愛の末期を通して、描かれている。いつの間にか感情移入している。そして、何かの教訓を引き出そうとしている。

    中年のビルドゥングス・ロマンを描くにはこのような文体でなければならなかったのかな、と思える。次第にこの文体に親しみを感じてきた。

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    2016年01月15日
  • 葬送 第一部(下)

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    読み終わって放心状態・・・。

    何と言う世界観・・・。

    文章で、これだけの世界を伝えられるのは凄い!
    圧倒的な文章力、表現力。

    一部の上巻から、随分主人公たちに動きがあり、お話としても面白いのに、とにかく文章が凄い。

    一行読む度に溜息が出る。

    気に入った場所に付箋を付けながら読んでいったら、付箋だらけになってしまった。

    そのくらい気に入る表現が満載だった。

    この巻の最後、国民議会下院図書室の天井画の完成の件は圧巻。たかが読書で戦慄を覚える程。

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    2015年08月28日
  • 葬送 第一部(上)

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    読書感想文は苦手なのだが、この小説に感想を書こうなんて百万年くらい早い気がしてきた・・・。

    再読しなければ、感想など書けないような、
    そんな壮大な作品だった。

    読み始めて挫折されている人が多いようだが、私も実にその一人である・・・。

    読書にじっくり時間を割けないのであれば、
    この作品は読まない方がいいのかもしれない。

    じっくり向き合える時に読むべき、超大作なのではないかと思う。

    この作品は「作者名」で「作者買い」してしまった一作なのだが、作者の初期の作品だからそこまでではないだろうと思ったのが敗因。。。

    これは素晴らしい。

    何度も何度も読み返し、web で調べて、また進んで、戻っ

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    2015年07月20日
  • 決壊(上)

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    『その苦しみを優しい寛大さと喜びもを以て耐えている姿にはね、生まれてくるこの子にとってだけじゃなくて、僕らすべての生を生きられるに値すると感じさせるような慰めがあると僕は思う。』

    『この世界に3キロほどの重みを持って、最早、否定出来ないような事実として放り出される前にはね、やっぱり、母親という一個の人間の内部に、最初の場所を許されていた。これは、人間の生が始原に於いて抱えている根源的な条件だよ。』

    『今もまだ、「優しい」理由は何だろうか? 別れてからも、いつまでもよく思われていたいという、男のあの見苦しい、単純な願望のせいだろうか?』

    『なぜそうしたいんだろう? 俺が今、生きようとしてい

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    2015年02月21日
  • 決壊(上)

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    ネット社会の到来以前には感じることはなかったであろう違和感。よく知っているはずの人物が、自分以外の人と接するときに見せる意外な一面。他人の日記を盗み見るのとはまた違った感覚。
    我々は身近な人のことをどこまで知っているのか。あるいは本当に知っていると言えるのか。
    地の文の視点は目まぐるしく変わり、すべての登場人物が主観を語る。我々は登場人物のことを「よく知っている」ようなつもりになる。
    が、「悪魔」を名乗る謎の男の登場により、我々の偏見は打ち砕かれる。「悪魔」って誰?崇?良介?それとも?どちらでもないと言い切れない気持ち悪さ。

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    2014年12月20日
  • 決壊(上)

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    「決壊(上巻)」
    きっかけは、日常にあり。


    ある日に見つかるバラバラの遺体が発見された。被害者は沢野良介。平凡な家庭を営む会社員だ。事件当夜、彼は兄・崇と大阪で会っていたはずだった。


    と言う文言が表紙に載ってしまっている。おかげで被害者は分かってしまうし、犯人も何と無く兄じゃないかと推測してしまう。


    上巻は、事件の背景や刑事の捜査が描かれると思いきや、良介と崇の生活が主に描かれる。良介は家族と仲良く実家に帰り、久々に兄と語る。崇は、海外から帰ってきて公務に職しながら、独身生活を楽しむ。一見、楽しい生活である。


    しかし、一見は一見。よく見ると葛藤が見えてくる。弟は、実家に帰る途中

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    2014年08月20日
  • ウェブ人間論

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    これは間違いなく「トンデモ本」だ。その爆笑性ゆえに5点満点である。2006年刊行であるため8年たって「トンデモ本」になってしまったともいえるが、何せ梅田何がしという「はしゃぐ猿」のはしゃぎっぷりがそもそもトンデモない。まず言っている事すべてが猿でもできる後知恵でしかない。刊行当時はそれこそ未知なものとしてのインターネットの権威としてかなりの人数をわかったような気にさせたことは想像できるが、8年たってのこのWEBを取り巻く世界がひとつも、本当にただのひとつも想像すらされていないところがともかくトンでもない。「10年から15年先のことは正確に予想できる」と自慢げに語り、グーグルのすべてを理解してい

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    2014年07月07日
  • 賢人の読書術

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    読書において重要なのは、本を全部読んで内容を頭に詰め込むことではなく、読むことで衝撃を受け、自分の内部に精神的な組み替えを発生させることである。

    これだね!

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    2014年02月20日
  • かたちだけの愛

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    ネタバレ

     約1年前に、新書「私とは何か」を手にとって以来、ようやく分人小説4部作を読み切った。文庫化を心待ちにしていたこの作品のテーマは、ずばり分人と愛。事故で足を切断した女優と、義肢のデザイナーによる恋愛っていうと、ちょっとアルモドバルのトークトゥハーを連想して「献身」がテーマなのかと先入観を持ったのだが、さすがに平野文学は圧倒的なリアリティー。
     刹那に宿る「恋」を花だとすれば、関係の維持に努める「愛」は果実であり、その狭間にあるセックスは、花が果実になるための季節の変わり目のようなものだという。愛は利他だけでなく利己が必要であり、利己の塊のような存在である三笠を通して相良は、完全な献身にも愛はな

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    2013年10月03日