平野啓一郎のレビュー一覧

  • ある男

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    『ある男』という小説をいま読み終えた。
    長編小説にも拘らずこれはひとつの長い詩であると思う。文章はあくまでも澱みなく清冽で、決して難しくはなく、人間の心理のもっとも深い内部へ入リ込み、人の心を読み解く世界に引き込む力は、世界の名だたる小説家たちを前にしても曵けをとらない。
    作家という職業のみならず、芸術家のその生涯において代表作というものに拘ると思う。音楽でも絵でも映画でも、ひとつ、自他ともに認める唯一無比の作品を創りあげようとすることに自己主張の意義を見出すと思う。その意味でこの小説は平野啓一郎の代表作になるに違いない。
    設定が興味深い。4年近く一緒に暮らした夫が突然、木の伐採の仕事をしてい

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    2026年01月17日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    ジャーナリストの宿命と、彼らを阻む女性を超えて、男女がおたがいを想い、恋焦がれる様子が鮮明だった。最後はほっとした

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    2026年01月15日
  • マチネの終わりに

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    日記を書いたり写真を見返したりして思い出を振り返るばかりの私を掬ってくれるような一冊。明るい未来のために現在を生きるしい人よりも、過去の記憶を心に大切に携えながら生きるようなとても諦めの悪い人を中心に描いてくれて救われた。そういう意味でわたしにぴったりの本だったと思う未来のために今があると言うよりも、過去を変えてくれるいまの瞬間は多くあるのだから現在を過ごしてみようと思う方が私に合っている気がする。私はそういう後ろ向きな人間だとつくづく思う。

    「年齢とともに人が恋愛から遠ざかってしまうのは、愛したいという情熱の枯渇より、愛されるために自分に何が欠けているのかという、10代の頃ならば誰もが知っ

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    2026年01月14日
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践(PHP文庫)

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    ネタバレ

    ▼再読するもの
    ・夏目漱石 こころ
    ・森鴎外 高瀬舟
    ・三島由紀夫 金閣寺

    ▼はじめて読むもの
    ・カフカ 橋
    ・シャルル・ド・モンテスキュー 法の精神

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    2026年01月11日
  • マチネの終わりに

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    天才ギタリスト・蒔野聡史と、聡明なジャーナリスト・小峰洋子。細胞レベルで惹かれ合う二人の恋模様を描いた本作は、読み終えた後も、胸の奥で心地よい余韻が鳴り止まない一冊でした。

    特に印象に残ったのは、「言葉の旋律」「現実と虚構の融合」「ラストシーンの希望」という三つの要素です。

    1. 音楽のように響く、言葉の旋律
    この作品に散りばめられた言葉の数々は、まるで蒔野が爪弾くギターの音色のように、美しく気高い旋律を奏でていました。中でも、私の心に深く刻まれた二つの言葉があります。

    「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。」

    この本を貫く最

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    2026年01月09日
  • ある男

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    映画→小説→舞台

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    言葉にならない。
    自分は何者なんだろう。
    悠人が自分の苗字が何度も変わることに戸惑うシーン、心が痛かった。
    「お父さんが好きだった」への帰着…苗字がどうとか過去がどうとか以前に、その人自身を見つめる大切さ。



    最後スーッと背筋が凍る感じは、星新一の読後感にも似ている。
    ラストはルネ・マグリットの『不許複製』。
    冒頭をもう一度確認してしまった。

    「ある男」は誰だったのか。

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    上記は映画を観た後のfilmarks感想だが、小説は映画では描ききれなかった部分を淡々と埋めてくれる感じがして、より一層心を掴まれた。

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    2026年01月03日
  • 本心

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    Ai版の分人

    話す相手が違えば、性格が変わる分人説を、Aiに当てはめてるのが面白かったです。
    Aiに学習させて、そういう分人が複数作られていく中で、統合された人格が変わっていくのも興味深いです。
    そういう変化は、作りたてのAiだからわかりやすくて、大人の人間では表現出来なかった部分だと思います。

    主人公がAi(生前の母)をよく知ろうとして、分人すべてを知ろうとします。それがうまくいくのかどうかを、僕たちに問いかけてるようでした。

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    2026年01月03日
  • マチネの終わりに

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    大人の恋愛小説として儚くもあり、美しくもある小説。一方で、運命なのか自由(選択)なのかという切り口で、自身の過去と今、そして未来を少し考えさせられた小説。

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    2026年01月02日
  • ある男

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    面白い!心の動きが細かく書かれている。
    止まらなくなってしまった。
    最後はスッキリ終わった。

    以下心に残った言葉

    真の悲観主義者は明るい。期待して無いから。
    真っ当な考えでは無いが、愛する人が先に死んでいてくれる事は、死の不安をなだめ、孤独な生を支えている。
    人は思い出によって自分になる。
    何度もその人を愛し直す。愛は変化していく。

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    2026年01月18日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    過去はいとも簡単に変わっていく。むしろ脆いものだ。という文には衝撃を受けた。過去は変えられないもの、受け入れるしかないと思っていたが、きっとその気持ちすら変わっていくのだろう。
    近現代世界史や聖書を学んでいると尚更理解が深まるかも。

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    2025年12月21日
  • 本心

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    こちらを読んですごくおもしろくて、ある男、マチネ…と同じ作家さんの本3冊一気読みした秋。最終的に私は「ある男」派だけれど、こちらの作品もお母さんの不気味さと主人公の不安定さに最後までドキドキした。救いのあるラストでよかった。

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    2025年12月19日
  • マチネの終わりに

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    冬に合うほろ苦恋愛小説、クラシックやクリスマスジャズを聴きながら幸せで静謐な時間を過ごせた
    恋愛小説に出てくる人物の行き過ぎた心理や、何番煎じか分からない試練を斜に構えて見てしまうのだが、これは作家との相性なのか、本作の人物の肩書きは馴染みのないもので、それが逆に愛に対する人の熱や引っ込み思案は万人共通するんだと思えた。

    アポロ13の引用が本作の核だと思った
    『大気圏に無事突入するには、2.5度の幅の回廊を通らなくてはなりません。角度が急だと摩擦熱で炎上しますし、浅すぎると、池に石を投げた時のように、外に弾き飛ばされます。』

    初めての平野啓一郎さんでしたが
    持ちわせてる知識に圧倒されながら

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    2025年12月17日
  • サロメ

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    私の中で『サロメ』といえば、ビアズリーの悪魔的で蠱惑的なあの絵、あるいはモローのあの幻想的でアイコニックなあの絵。どちらもインパクト抜群でつい見入ってしまう歴史に残る絵ですが、当の文学作品は読んだことがなく、結局このワイルドの『サロメ』に私を導いたのはやはりビアズリーでした。ビアズリーの生涯を知るにつけて、ワイルドのサロメを読まずにはいられないわけだったのですが、もうひとつ、オスカー・ワイルドという人間への興味も、そこにはありました。
    本書はオスカー・ワイルドのサロメを平野啓一郎版新訳として、現代に生きる私たちに馴染みやすい文体で読める、という楽しみ方だけでなく、平野氏によるサロメの解釈、さら

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    2025年12月17日
  • マチネの終わりに

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    わたしは平野啓一郎がつくる、この独特な理解はできない難しいけどどこか素敵な世界観が大好きななので、、、!ただの恋愛のはずなのに、難しい言葉や色々な行為や自称に例え話に例え話を重ねるこのワールドに超魅了された!幸せになりたいね、そして人の幸せを奪いたくはないね、過去は変えられる、本当にいい言葉だ、、、

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    2025年12月11日
  • 文学は何の役に立つのか?

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    ぶっちゃけ、難しかった。ふわっと読めるような本ではなかった。わかりやすい、でも結局色々理解はしたけど、それといった結果には辿り着けなかった。ふわぁっとした概念(?)が生まれた(?)
    面白かった…。

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    2025年12月10日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    アラフォー大人の恋愛物語。
    インターナショナルギタリスト槇野と、インターナショナル優秀ジャーナリスト洋子が、びっくりするほどすれ違う話。

    いやいや。2,000年代に入って携帯も普及してる世の中で、
    しかもティーンでもなく、常人じゃ到底及ばない才能と知識のある良い大人がよくもまぁそこまですれ違うことができましたね?

    ってくらいすれ違う。

    最初から最後まで恋愛どっぷりだし、
    すれ違いすぎてイラついたし、
    飽きるかなーと思ったけど結局最後泣いた。

    そして、運命の人ってこーゆうことかって思った。

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    2025年12月07日
  • マチネの終わりに

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    なんて美しく、苦しい文章を書く人だろうか。
    経験したことのある感情からない感情まで、ありとあらゆるすべてが手に取れるところにゴロゴロと転がってきた。初めから終わりまで、心を揺さぶられ続けた。これから先、何度でも読み返したい一冊。

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    2025年11月29日
  • 自由のこれから

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    自由とは選択肢が多いこと。
    自動化により、「しなくていい自由」は得られるが、「何かをする自由」は奪われる。
    一旦、自由が奪われてしまうとそれを取り戻すのは難しい。システムが大きく変更されれば、個人の自由はそれに適応したが形の限定を受け入れざるを得ない。
    自動化、監視社会、法制度など、自由をどこまで譲り渡していいのかをしっかり考えていかないと。

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    2025年11月29日
  • 文学は何の役に立つのか?

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    平野啓一郎さんがこれまで講演で話されたことや、文芸誌などに寄稿された文学・文豪・文学作品への批評やエッセイなどを収録したものとなっています。その冒頭に収録されている或る研究集会の基調講演のテーマが「文学は何の役に立つのか?」ということで、これがそのままこの本のタイトルになっています。

    このタイトルを少し噛み砕くと、「文学は、私たちの人生や社会に対して、どんな価値があるのだろうか」ということになるのかと思いますが、この本を読んで私なりに思ったのは、以下のことでした。

    文学は、①社会の不条理に気づかせ考えさせてくれること、②人間関係の機微を巧みな表現で心を動かされること、③現実社会からの解放す

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    2025年11月24日
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践(PHP文庫)

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    今まで、様々な読書本を読んできましたが、1番自分に合っていると感じた本でした。私も速読や「とにかく本の冊数を多く読む」という考え方に違和感があったのですが、その理由がうまく言語化できずにいましたが、その正体がわかった気がします。本と対話したい方にオススメです

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    2025年11月22日