平野啓一郎のレビュー一覧

  • 透明な迷宮

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    紹介文には「官能的な筆致」と書かれているが、言い得て妙。平野さんの本でしか見たことのない言葉が山ほど出てくるし、独自の言い回しは自分でも使ってみたくなる。
    何より、どの短編もアイデアがすごい。他人の筆跡を完全に真似ることができる人、自分と瓜二つの人を探すことを依頼される男、時間感覚を失った劇作家、…。表題作も、突如監禁され行為を強要されたり、相手の名前がいつの間にか変わる最後の結末まで、異様な世界に惹きつけられた。

    短編集って当たり外れあるけど、コレは全部面白かった。

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    2026年08月29日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    すごい。特定の人とうまく話せなかったり、あるコミュニティにだけ馴染めなかったり、飲み会を楽しめない自分に自己嫌悪したり、そういう過去の自分がまるごと救われた。人間関係に悩む思春期の人に読んでほしいな。

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    2026年08月25日
  • 葬送 第一部(上)

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    ネタバレ

    下まで読んでの感想

    上だけ読んだ時は、自分がまだ理解し切れていないのもあってピンとこない部分も多かった。けれど下に入ってから惹き込まれるように読んだ。
    ドラクロワの思想が、1番作家に近いのかなと思うけれど、どうしてショパンやクレザンジェはともかくサンド夫人やソランジュのあの心の機微まで描けるの…???
    ショパンをはじめドラクロワの友人たちがあの天井画を観て、何を思うか、第二章で書いてくれていないかしら。

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    2026年08月25日
  • 葬送 第一部(下)

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    上だけ読んだ時は、自分がまだ理解し切れていないのもあってピンとこない部分も多かった。けれど下に入ってから惹き込まれるように読んだ。
    ドラクロワの思想が、1番作家に近いのかなと思うけれど、どうしてショパンやクレザンジェはともかくサンド夫人やソランジュのあの心の機微まで描けるの…???
    ショパンをはじめドラクロワの友人たちがあの天井画を観て、何を思うか、第二章で書いてくれていないかしら。

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    2026年08月25日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    「自分」という存在を無闇に俯瞰しすぎて、
    コミュニティごとに違う自分を受け入れがたかったけど、ものすごく生きやすくなりそう

    物理的な1人の人間の中に、性格的に複数の人間(分人)がいることが自然なものだとはじめて受け入れられた

    分人は他者との相互作用で発生する
    文人の構成比率が個人の"個性"に影響を与える
    そしてその時々の関わる他者、その他者側の分人によって常に変化していくもの

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    2026年08月12日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    自己は他人との関わりによって構成されていて、何を好ましいとするか、どんな分人で人と関わっていくかが人生を豊かにするコツなんだと思った。
    今まさに人間関係に悩んでいる時だったから、この本を読んで新しい思考の示唆を得られてよかった。

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    2026年08月11日
  • 本心

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    『本心』という題名なのに、本心は分からないという感覚だった。
    亡くなった母の言葉や過去をたどり、母を再現したVFと向き合っても、母の本心そのものへ到達できるわけではない。そもそも人の本心は、心の奥に完成した形で隠されているものではなく、本人にも分からないのかもしれない。
    どうしても成長物語としては読めなかった。何かを理解して強くなったというより、他人も自分も完全には分からないまま、それでも人と関わって生きる位置を見つけていく話に感じた。
    この小説には、家族、友情、恋愛といった言葉だけではうまく名付けられない、人と人とのつながりが描かれていたと思う。相手を本当に理解しているのか、自分の願望を見ているだけなのか分からない。それでも、分からない相手との間に何かが生まれる。その書きにくいものを、小説にしようとしているように感じた。
    自由死については、まだ十分に理解できていない。ただ、作家の藤原が否定的に語る場面は強く残った。彼は作品内の世界では受けいられていないみたいだが、唯一の希望に見えた。
    そして不思議だったのは、主人公が肯定されることが、読んでいる自分たちの肯定にもつながるように感じられたことだ。明確な本心や強い意志を持てなくても、他人を完全に理解できなくても、生きて人と関わっていていいよ。そのような肯定だったのかもしれない。
    一番驚いたのは、これが新聞連載だったことだった。新聞小説には一回ごとの区切りや引きのリズムを感じ、そこで冷めることがある。しかし『本心』には、連載の区切りよりも作品全体を貫く何かが強く感じられ、書き下ろしを読んでいるようだった。
    何を伝えたかったのか、説明できない。それはつまらなかったわけではない。これまで言葉にされてこなかった難しい何かを、どうにか表現しようとした小説だったように思う。素晴らしかった

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    2026年08月11日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    ここまで言語化できるのが素晴らしい。
    自分の悩みは全てこの分人主義によって解決できそう。
    平野啓一郎さんの著作はどれから読もうか迷っていたところだったので、まずは「ドーン」を読みます。

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    2026年08月09日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    ネタバレ

    初めて恋愛の小説をちゃんと読めた
    正直、三谷が憎くて苦しかった。過ちと同じ分何かを失えばいいのにと思ってしまう自分もいた。
    でも蒔野との間の子供だったりいろんなことを考えたとき、それはバッドエンドだよなって。
    二人が再会できてよかった。
    二人の今後が展開されると思っていたから終わり方にもびっくりした。

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    2026年08月03日
  • 死刑について

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    ネタバレ

    死刑制度がある日本に生まれて犯罪の程度で死刑になることがあるというのが当たり前だったので、恥ずかしながら死刑制度の是非について考えたことがなかったが、『ある男』で死刑制度についての記述があり詳しく知りたいと思い読んだ。
    死刑制度存置派も廃止派もどちらも読みやすい内容だったと思う。
    著者が、殺人事件の被害者に焦点を当てて遺族に共感しながら物語を書く中で、死刑制度に対する感情が変わったというのが興味深かった。

    ・自分の死が恐いということと、相手の死がどうだったのかということは、交換可能ではありません。
    ・根本的な問題が解決されていない以上、〜〜〜 これは行政や立法の不作為と言ってもよいでしょう。

    『母という呪縛、娘という牢獄』を思い出した。社会福祉が機能していないという感想を持ったが、本書でも行政の問題として記述されている。
    社会的な要因が影響するものに対して、自己責任論で個人のみの責任として死刑にするだけで問題が解決するのか、というのは死刑制度だけに言えることではなく社会に生きる人間として常に持っておきたい考えだ。

    また、なぜ死刑が支持され続けるのかの章で「日本の人権教育が失敗している」という視点の記述があったが、この考えは他の本でも見たことのあるもので、人権に対する認識を感情に依るものにしてしまうことの危うさは深く共感できた。

    ただやはり実際に人を殺した人間が出所すると近くに住んだり関わったりすることは恐ろしいし避けたいというのが個人の感情で、どのくらいの期間収監されるかなど刑罰の重さ・更生のための取り組みは重要になると思う。
    日本において死刑制度を廃止することになれば、刑罰の見直しは必要不可欠だろう。
    死刑制度が廃止されている他国の刑罰についての本も読んでみたい。

    少ないページ数でも、とても学びのある1冊だった。

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    2026年07月31日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    就活時代、落ち続けるたび、自分のすべてを否定された気持ちになり病むことが多かった。でもこの本を読んで、否定されたのは自分全体ではなく、ほんの少数の「対・就活の分人」だけだったんだと気づけた。
    また、就活以降自分のアイデンティティについて考えがちになって、相手によって色んな顔を持つ自分に「一貫性がない」と悩んでたけど、複数の「分人」があるのは当たり前で社会を生きていくには必要なことなんだと学んだ。
    自分を肯定できるようになる一冊

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    2026年07月31日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    薄々感覚として理解していたものの、どこか受け入れられず追い求め続けてしまう「本当の自分」なるもの。その幻想を完全に破壊し、生きるということの本来の仕組み、各人とのコミュニケーションにおけるそれぞれの自分という存在の是非を受け入れて実践に繋げることのできる哲学的名著
    自分というものの芯を見つけられず中々苦労していた最中、読後から人生が変わるかもしれないような衝撃と納得感、感動さえ覚える論でした
    唯一、愛についての記述には少し疑問も持ちました。しかしながらこれほどの満足感を覚えた本も久しいです。おすすめの一冊です

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    2026年07月29日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    自分らしさとは何かと悩んでいる人にはぜひ一度読んでもらいたい!

    こんな考え方があるのか、、と目から鱗。そして読み終えた時に世界が違って見える。

    私自身、すぐに他人に影響されて染まりやすいことが嫌だったり
    人によって全然自分のイメージが違かったりして

    確固たる自分なんて存在しないのか?それは自分に限った話なのか?とモヤモヤ悩むことが多かったから。

    常に自分を貫いて確立してる人って格好良く見えるけれど、そう言う人であっても他人の影響を受けながら自分というものが形成されていて、それは過去形ではなく、現在進行形であり、他人の影響を受け続けながら今後も自分らしさというものは変わっていくんだということ。
    また、変わっていくことは自然なことで、変わりたくないのであれば自分なりにコントロールしていくことも可能だということ。

    そのことがすごく自分を楽にしてくれたし、人間関係は意外とシンプルなんだなって思えた。

    これからも繰り返し読んでいきたい1冊。

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    2026年07月24日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    ずっと読みたくてやっと完読。運命的な出会いってあるもんだなぁと感じると共に、大切な人と良い関係性を築いていくためには自分自身が癒やされている必要があって、相手との相性も大切だけど、人生のどのタイミングで出会うかの方が大切なのかなぁと感じた。

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    2026年07月18日
  • 小説の読み方

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    前著のスローリーディングを読んで、ゆっくり読んでいいんだと安堵したことを思い出しつつ読んだ。 冒頭の読む時の視点については、今後読む際に意識したいと思う。作品を読む中で、この著者の作家人生の中でどういう位置付けなのか、という読み方などは考えたことがなかった。 各作品の分析はわかりやすく、普段読む際も細部まで楽しんで読みたいと思った。

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    2026年07月14日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    恋愛小説ではあるけれど、主人公2人の激動の人生の一部を覗かせてもらった気持ち。
    生きてさえいれば、未来を変えることができるだけでなく、過去でさえ変えることもできる。

    あと、自分が知らない難しい言葉や言い回しや当時の世界情勢がたくさん出てきて自分の無知さも知ることができた。過去と地続きの今を生きている1人の人間として、過去のこと色々知っておきたいと思った。

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    2026年07月10日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    比喩が認識のあり様と密接にくっついているのは当然ではあるのだが。分人は生きやすくしてくれるのだろうか?うーん。なんか引っかかるってる。

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    2026年07月05日
  • 空白を満たしなさい(下)

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    ネタバレ

    これ読んでると、マジで自分の分人について深く考えるし、みんなの分人についても考えるし、私の好きなみんなの私に対する分人が、その人にとってかけがえのない好きといえる分人だといいなと思う。結局何のために生きてるか、なんのために生き返ってるか、命は尊いものとこ自殺はダメとかそんなことを言いたいんじゃなくて、自分の好きと思える自分を生きることとか、そこに他者をうまく介入させなきゃいけないとか、どんなふうに生きたら良いのかなってことを深く考えさせられる。

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    2026年06月28日
  • 本心

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    一番心に残った言葉は「もう十分」。自分も孤独感に襲われた時、口にしていたかもしれないのでどきっとした。未来に期待することをあきらめた言葉ではないか。それを家族が聞いたら悲しむにちがいないと気付かされた。もし近くにいる人からその言葉を聞いたら、その人がその言葉を口にする原因を社会の中に探したい。そして私にもできることがあれば社会を変える活動に参加したい。

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    2026年06月27日
  • マチネの終わりに

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    なんてドラマチックな大人のラブストーリー!今までで1番の恋愛小説だった。イラク戦争、PTSD、金融市場、音楽業界、広げ過ぎというくらい複雑な設定を丁寧に点と点を結んでいく、深くて緻密なプロットが凄まじい。平野さんからは世界がこんな風に見えてるのか。本物の教養ってこれか、、、。文章は抽象的な形容詞をわかりやすく使って描写されていて、読みやすいのに圧倒された。
    一階の奥の席に座る洋子に幸福の硬貨を贈る場面、大泣き。これは泣くなと言われても無理!!!
    心がぴったり合う、運命的な出会い憧れるなぁ。現実は違うにしても、物語で追体験できるならこれ程幸せなことはない。平野さんありがとう。 そして洋子が終始素敵すぎる。賢くて温かくて、内面から溢れ出るセンスを身に纏うようなこんな女性になりたい、、、。余韻に1ヶ月くらい浸った。最高の読書体験をありがとうございます。

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    2026年06月25日