あらすじ
【映画化で話題!石川慶監督 × 原作 平野啓一郎】
★第46回日本アカデミー賞で
作品賞を含む最多の8部門の最優秀賞を受賞
【第70回読売文学賞受賞作】
『マチネの終わりに』『本心』の平野啓一郎による、傑作長編。
人間存在の根源と、この世界の真実に触れる文学作品。
「愛したはずの夫は、まったくの別人でした──」
弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。
宮崎に住んでいる里枝には、2歳の次男を脳腫瘍で失って、夫と別れた過去があった。長男を引き取って14年ぶりに故郷に戻ったあと、「大祐」と再婚して、新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭を築いていた。
ところがある日突然、「大祐」は、事故で命を落とす。悲しみにうちひしがれた一家に、「大祐」が全くの別人だという衝撃の事実がもたらされる……。
愛にとって過去とは何か? 人はなぜ人を愛するのか。幼少期に深い傷を負っても、人は愛にたどりつけるのか?
「ある男」の人生を探るうちに、過去を変えて生きる男たちの姿が浮かびあがる。
『ある男』特設サイト ▶︎ https://k-hirano.com/a-man
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Posted by ブクログ
読み終わった時期は数か月前です。平野啓一郎さんの作品は初めて読みました。人間関係が複雑で込み入っていて、社会の問題に対する人間の向き合い方を考えさせられるストーリーでした。情緒面にも共感出来、展開も面白かったです。ラストはとても感動しました。
Posted by ブクログ
めちゃよかったです
血で受け継ぐものもあったし名前と環境で受け継ぐものも
ただ心に残る人であったというのは名前が変わっても変わりなく
本人は亡くなったけど記憶も子供も紡がれていくのめすね
Posted by ブクログ
最近軽めの本を続けて読んでたからか、
読み終わるのに時間がかかった。
おもしろくて、最後は少し泣いた。
また読みたいなと思える作品。
音楽の描写が多く、予備知識として知っていたら、
もっとのめり込めるのかなと思ったので、
いつかまた読むときは調べながら読むのもいいかもしれないと思った。
Posted by ブクログ
今の時代の恋愛は、ネット上での出会いが当たり前のようになってきていて、
匿名で知り合ったり、自分とは異なるプロフィールを使って出会ったり、
お互いに、相手をそもそも信用できるのかという段階で、各々に相手のことを好きになろうとする。
彼女のように、自分の愛する人の過去が、全くの別の人間のものだとわかったとき、その愛は果たして本物と言えるのだろうか。
私はそもそも、そんなふうに考えることはおかしいと思う。
作中、美涼さんの言葉の
「わかったってところから、また愛し直す」のように
自分が好きになったのは、相手の過去ではなく、出会ってからずっと自分の隣にいてくれた相手自身だから、、
相手を好きになった気持ちが間違いだったと思ってしまうのは、少し寂しい。
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この作品に出会えてよかったです。
ミステリーとしての謎が解けていくときの感覚、
そして、人を愛するということの意味を考えさせられる
そんな作品だと思いました。
もともとあまり読書をしてこなかった私のような人にとっては、常用漢字ではない言葉がおおく、少し読みにくいと感じるかもしれません。
また、登場人物の出自など、聞いたことのない分野のお話が多く、その都度調べるなど、読み終えるのに時間がかかってしまいました。
スラスラ読めるという印象はありませんが、自分が今まで知らなかった世界を、この本を通じて、たくさん教えていただいたと感じています。
私にとっては、それが本の醍醐味だと思っています。
とても楽しかったです。
この本に出会えてよかったです。
2026.2.12-2026.3.6
Posted by ブクログ
映画→小説→舞台
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言葉にならない。
自分は何者なんだろう。
悠人が自分の苗字が何度も変わることに戸惑うシーン、心が痛かった。
「お父さんが好きだった」への帰着…苗字がどうとか過去がどうとか以前に、その人自身を見つめる大切さ。
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最後スーッと背筋が凍る感じは、星新一の読後感にも似ている。
ラストはルネ・マグリットの『不許複製』。
冒頭をもう一度確認してしまった。
「ある男」は誰だったのか。
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上記は映画を観た後のfilmarks感想だが、小説は映画では描ききれなかった部分を淡々と埋めてくれる感じがして、より一層心を掴まれた。
匿名
人の感情を繊細に表現されていて登場人物それぞれがリアルに目に浮かぶようでした。Xに対して最初は不気味さを感じたけれど、弁護士の彼を通じて正体が明らかになるにつれ、Xの生い立ちが不憫で胸が苦しくなりました。最初の家族と過ごした時間だけは幸せだった。それが救いでした。
深い
重厚な文体ですが読みやすい作品。重犯罪加害者の家族の問題とか、社会問題を扱っていてとても考えさせられた。さすが作者は法律に詳しい。弁護士ではなく、渦中のXさんの視点で読んでみた。司法とかhateとか今まであまり考えないことを考える機会になって良かった。
匿名
読む価値有り!!
最近読んだ中で上位に入る作品でした。
続きが気になりすぐに読み終えました。
楽しい秋の夜長を過ごせました。
また、作者さんの他の作品にも興味がわきました。
是非、読んでみたいです。
複雑な背景に戸惑いながらも、その物語の世界に引き込まれていった。何も疑うことなく過ごす中で、触れることのない事実があるということが、衝撃的でもあった。人を愛することが人としての全てなんだと思う。家族のかたちはそれぞれであるが、子どもが穏やかに成長できるように、その根底に愛は存在して欲しい。
とてもいい作品
最近読んだ中で1番良い作品で、1番表現しにくい作品。
最後に幸せがそこにあって、本当のことを言うべきなのかすら悩んだのではないか、その事で3回目の自殺だったのではないか...。
想像できる限りの当事者の心情を慮ったが、正解はわからない。
生きるとは誰しも難しいのだと、そこに立場や出自は関係なく皆悩みながらそれぞれ懸命に生きているのだと思った。
Posted by ブクログ
人間なら誰でも一度は考えたことがあるであろう「別の誰かになったら」を体験できる今作。戸籍を変えたら別人になるのか。否、戸籍は変われど別人とはなり得ずそれも含めて1人の人間である、と自分は結論付けた。
中盤で間延びしている感があったが、全体的にはとても面白かった。豊富な語彙で人間の”存在”と”内面”を哲学的に描写する平野啓一郎らしさ全開の作品ではないか。
Posted by ブクログ
「一体,愛に過去は必要なのだろうか?」の問いに,今までとは違う観点から考えさせてくれた一昨.
心に残った場面.
「彼は今,自分とは何か,ではなく,何だったのかということを,生きるためというより,寧ろどういう人間として死ぬのか,ということを意識しながら,問い直すように迫られていた.」
「国家は,この一人の国民の人生の不幸に対して,不作為だった.にも拘らず,国家が,その法秩序からの逸脱を理由に,彼を死刑によって排除し,宛らに,現実があるべき姿をしているかのように取り澄ます態度を,城戸は間違っていると思っていた.立法と行政の失敗を,司法が,逸脱者の存在自体をなかったことにすることで帳消しにする,というのは,欺瞞以外の何ものでもなかった.もしそれが罷り通るなら,国家が堕落すればするほど,荒廃した国民は,ますます死刑によって排除されねばならないという悪循環に陥ってしまう.」
Posted by ブクログ
映画で見たのですが、どうしても登場人物たちの背景をもっと知りたいと思って原作を。
自分の人生を捨てたくなる時、全く別の誰かになりたくなる時、そんな瞬間がある人間が存在していて、
その方法があって、今までの人生を捨てて新しい自分で生きている
でも、その人の中身はその人
人間の汚い面と綺麗な面全部見せられた感じした
Posted by ブクログ
愛した夫の死後、彼が全くの別人だったと判明する。弁護士である主人公が「戸籍交換」の裏側に迫る展開には裏社会のリアルな生々しさがある。
在日3世である主人公の背景描写は少し冗長に感じたが、他人の人生を調べるうちに彼自身の中にも「別の人間としてやり直したい」という成り代わり願望が徐々に芽生えていく構成が面白い。
何より、主人公が今の家庭を守ろうと決心した直後に妻の浮気が発覚するラストが不穏で良かった。
Posted by ブクログ
愛にとっての、人にとっての過去とは何かを問う小説。面白い。
過去が人生を形作ってきたのは間違いなく、
他人が関知する余地はない気もするが、犯罪者の子など知られたくない過去を持つ人からすると、他人に知られることで不条理にさらされる。
幼少期の環境や出自、学歴が原因で貧困になった人などは貧困のまま老後を迎えたりなど、環境のせいで人生が苦しい人がいる。
この小説のように悪手に縋ってでも過去を変えたい人がいるが、国家として救済の措置がない社会問題を反映した小説だと感じた。
Posted by ブクログ
「あなたはどうなのか」と問いかけられた。
世間の目を逃れて究極の手段で他人になり代わり、その過去まで引き継いで生きることで手にした幸せ。愛は若枝のように、中途からでも芽生え直し、従来の枝の延長上をしなやかに伸びゆくことができる…という像が思い浮かんだ。
この場合、彼を縛っていた「世間の目」とは倫理的に正当といえるのか。咎められることのない安全なポジションから、彼に不当な責め苦を負わせていたのではないか。
事実関係の輪郭を澄明に綴る筆致はルポルタージュさながら。この手触りが、愛と苦悩についての問いかけを、読者を当事者に巻き込みながら、生きたものにしているように感じる。
Posted by ブクログ
すごいお話だと思う。この言葉はどう紡がれたのかと考えてしまうくらい、人の出自、背景にまつわるいろいろが根底にあるのだなと感じた。
依頼人は大切な人との別れを経験し、特に子どもとの別れの話が辛く、なかなか読み進められずにいたが、「ある男」とは、、、という部分が気になり読み続けた。徐々に、出てくる人々の表面と中身、他者からの姿とその人自身が思うことなど、折り重なり、つながってくるところが、読み進めずにはいられない物語だった。
人生にはたくさんの悲しみがあるけれど、「幸せ」と感じた瞬間をずっとずっと大切にしようと思える話だった。
Posted by ブクログ
真実を求めるミステリー的な一面もありつつ、
自分を自分たらしめているものは何か?
他人の全てを知ることはできないのに、その人を愛せるのか?
といった疑問を投げかけてくるような一冊。
先日読んだ『怒り』にも通じるテーマでした。
余談ですが、直前に読んだ『君のクイズ』にクイズの解答として登場した『アンナ・カレーニナ』が引用されていて、その偶然に驚きました。
Posted by ブクログ
戸籍を交換して新たに他人の人生を生きていたある男の話。
法的にはよくないとされることではあるけれど、家庭環境や過去の人生から離れて新たな人として幸せを感じたいという心理からやっていること。
そのある男と家族になった人たちにとっては、家族として幸せな時を過ごせたと思えている事実がある。その男にとっても幸せだったと思う!
Posted by ブクログ
人は時の流れによって、関わる人によって印象か変わる。正体を偽って生活を営んでいたある男を調査するにつれて、自分自身のルーツとも向き合う。人は過去によって現在の印象をいかようにでも解釈できるが、その中において愛とはなにかを問い続けている。
Posted by ブクログ
夫だと思っていた人が夫ではなかった…という話。妻の里枝目線で全部進むのかと思いきや、弁護士の城戸目線中心に物語が進んでいく。Xの戸籍交換の話と、在日3世という城戸の出生の背景があって人生と出生について深く考えさせられた。戸籍交換ブローカーの小見浦のキャラが物語の中でスパイス的存在となっていて面白かった。映画の方も観たけど、全体的にナイスキャスティングだった!
Posted by ブクログ
重大な犯罪をおかして指名手配されている人間が、別人として生きる。
どうしてそんなことが可能なんだろうと前々から疑問でした。
悪いことをしたらどこかからか必ずばれるし逃げきれない。
社会の目は絶対にごまかせない。
そういう考えが、子供のころからガッチリと根付いているけれど、自分が知らないだけで、社会というのは割と穴だらけなんだなと思いました。
気になって調べてみたら、日本での年間行方不明者は約8万人いて、これは1時間に10人のペースという計算になるそう。
隣に住むおばあさん、散歩中に会うお姉さん、コンビニの店長さん、皆は本当に私の知っている彼らなんだろうか。
そんなことを考えると、なんだか怖くて、少しわくわくしてしまいました。
Posted by ブクログ
名前や戸籍は記号でしかない。それでいて、とりわけ現代人は記号に依存して生きている。戸籍交換をして幸せを掴み取った原誠と、対極とまではいかないものの、少なからず後悔をしている谷口大祐。子の成長とともに前に進んでいく里枝。
城戸は在日3世であることの悩みを抱え続けていた。何世代も前の木が、今の城戸を作っている。
自殺を2回試みて戸籍交換という手段で短いが確実な、目の前の幸せを得た原誠に対して、美涼との未来は選ばなかった城戸は大祐に対して尊敬と羨望の感情を抱いていたのではないか。
颯太への愛は絶対だとしても、幸せだと言い聞かせて、別の誰かに変身してまで変える勇気がなかった、もしくはそうしようとするほどの深い悲しみではなかったのかと思ってしまった。
この社会では我慢や理不尽からは逃れられないけれど、自分が"いま"どれだけ幸せなのか、足りないならどうするべきなのかそれを実行できるのか。飲み込むのも吐き出すのも正解なんだとは思う。納得感の問題なのだろう。
Posted by ブクログ
亡くなった夫が騙っていた名前は全くの別人だった。幸せな思い出だった結婚生活が急に不安定なものとなり、夫が隠していた人格、誰にも知られていない一面が明らかになるのでは、との不安を抱える里枝。自分が愛したのはその人の現在なのか、それとも過去なのか。弁護士の城戸を通して解明されていく真実に、城戸自身の在日3世という境遇や、死刑廃止運動など、色々な要素が絡み合って飽きることがなかった。心情や情景の比喩も面白く、自分好みの文体だったので、他の作品もどんどん読みたいと感じた。
Posted by ブクログ
たった今その人生を譲り受けたかのように生きられたら、どれほど感謝するだろう……のようなことを言っていた一節が良かった。
恵まれすぎている私たちは、それを忘れすぎるから。
愛にとって過去とは?の普遍的な問いを投げる物語。過去を知っていても、知らなくても、愛は存在できると思わせてくれる小説だと思う。
その人の本質は、その人の過去で説明できるものではないはずだから。
伊坂幸太郎さんの、確か「モダンタイムス」にでてきた「人生は要約できねぇんだよ」という台詞を思い出した。その人の人生を要約した途端に本質から離れてしまう、どれだけ正確に緻密に誠実に表現しても、その要約は失敗なんだ。
谷口(あらため、原)を夫として、父として、愛して一緒に生活した記憶の中に、確かに愛があったと信じられる。ただそれだけが本当のことなんだと、そういう着地をあの家族は見つけられたんだなと思って、最後は少し泣けた。
Posted by ブクログ
城戸章良
弁護士。里枝の離婚調停の代理人。里枝から谷口大祐の相談を受ける。在日三世。
小説家
書店で催されたイヴェントの帰り、たまたま見つけた一軒のバーのカウンターで、一人で飲んでいる城戸がいた。一九七五年生まれ。
谷口里枝
文具屋の里枝ちゃん。高校を卒業するまでS市の実家にいたが、神奈川県の大学に進学して就職。二十五歳で一度、建築事務所に勤務していた別の男と結婚している。谷口大祐と再婚したが、三年九ヶ月で先立たれてしまう。遺影の大祐が自分の弟ではないと恭一が言ったことで、大祐の身辺調査を城戸に依頼する。旧姓武本。
谷口大祐
里枝の亡き夫。林業で生計を立てたいと、未経験者として、三十五歳で伊東林産に就職し、四年間、働き続けた。最後は自分で伐採した杉の木の下敷きになって死んだ。
悠人
里枝が二十五歳で結婚した時に生まれた長男。
遼
里枝二人目の子。次男。二歳の時に脳腫瘍と診断され、治療の術なく、半年後に亡くなった。
奥村
里枝の母の旧い知り合い。
花
大祐と里枝の娘。
谷口恭一
本物の谷口大祐の兄。遺影を見て「大祐」が自分の弟ではないと気づく。群馬県の伊香保温泉の旅館の四代目。
香織
城戸の妻。
颯太
城戸の息子。
後藤美涼
本物の谷口大祐の元彼女。
中北
城戸の事務所の共同パートナー。
バーテンダー
小見浦憲男
戸籍交換ブローカー。
曾根崎義彦
杉野
城戸の友人弁護士。死刑廃止運動に熱心。
小林謙吉
死刑囚。二十年前に刑は執行されている。
川村修一
ノンフィクション作家。
原誠
小林謙吉の一人息子。離婚した母親の姓を名乗っている。父親が殺人事件を犯し、母親とともにすぐに転居、一時、前橋市の児童養護施設にいた。施設を出たあと、北千住のボクシング・ジムに所属していて、プロボクサーとしてデビュー。バンタム級の東日本新人王トーナメントで優勝している。リングネームは緒方勝利。田代と戸籍を交換。
門崎
杉野と一緒に死刑廃止運動に携わっている女性弁護士。
田代昭蔵
原誠を名乗っていた男。原誠と戸籍を交換した。
小菅
ボクシング・ジムの会長。
柳沢
原誠と一緒に練習をしていた元プロボクサー。
フルサワヨウイチ
伊東
原誠が谷口大祐として働いていた伊東林産の社長。
Posted by ブクログ
「ある男」の正体を追う弁護士にフォーカスした物語の流れに惹き込まれた。
重い出自を持つものは幸せになる権利はないのか?という問いが、主人公にも乱反射する群像劇。
音楽やお酒の固有名詞がたくさん出てくるのは、この時代おしゃれだったのでしょうかね。
きれいなところばかりではない、それぞれの人物の多面性が、人間らしく思えた。
Posted by ブクログ
『マチネの終わりに』が合わなかったのですが、この作品は面白かったです。
相変わらず無駄に普段使わない漢字や用語を使うので、読みにくいのが難点ですが。
この作家さんの作品はテーマは面白いので、文章の癖が無い映像化された方が伝わりやすいと思います。
後、気になったのは、147ページの伊藤社長と城戸弁護士の会話です。
伊藤社長の「古い山の持ち主を確認するために、戸籍を見ることがあるんですが、権利者が枝分かれして、もうグチャグチャなんですよ。」に対して、城戸は、「戸籍を見る」というのは、「登記簿を見る」の間違いだろうと思ったが、敢えて口にはしなかった。と有るのがよく分からなかったです。
登記簿は、おそらく土地の登記簿謄本の事を言っているのでしょうが、それを見ても今の名義人しか記載されていないので、それを見て伊藤社長が、枝分かれしてグチャグチャにとは言わないかと。おそらく調査をして戸籍謄本を見たからあの表現が出てくるのに弁護士が分からないわけないのに⋯。
作家さんの知識不足か勘違いか。
テーマは面白いので、無駄にインテリぶらない文章の方が、より良い作品になるのにと思います。
Posted by ブクログ
過去とは人を愛すにあたってなんなのか
レッテルで人をみるべきではないのか
大介の家族内で侮蔑と迫害を受けて肝臓の移植を押し付けられつつも被害者ぶることすら許されない過去と、xの殺人犯の父親が理由に虐められたことで強化された自分という姿かたちや人格や歴史への嫌悪感は、乱暴ながらも抽象化すれば同じく孤独にあるからこそ、小説を読んで共感するように、大介という人間の歴史に共感しながらxは生きたのか
リエと全く同じような境遇をXがしていたら、X自体の境遇だった場合には2人は結婚していなかったかもしれないが、実際はそうではなくリエが惹かれたのはXの孤独と抽象化した"辛い体験"の共有だったため、裏切りでも騙しでもないと言えるのかもしれない
現にリエはxを過去ではなくてその人となりを愛していたし、リエの息子も与えてくれた愛情を愛していた
過去とはきっかけであり、愛情の全てでは無い
肩書きとは形式であり、全てでは無い
この本の主題とは全く関係ないけど、リエの息子に対する配慮と理解と成長の喜びと諦めない強さをたたえた愛情や、城戸の粘り強い自己像の探求という自己愛的なものが理由ではあろうとも、暴力的な自分が許せないからといって過度に怒ってしまった息子に次の日ちゃんと対話し向き合い和解しているところが泣きそうになるほど暖かく感じた
あとは久しぶりに、語り部が人の孤独と背景を深く感傷的に考えて共感するような小説を読んだため、少し自分も感傷的に慣れて気持ちよかった
リエと城戸が芸術作品を見た時の着眼点の違い、Xの描いた中学生のような純粋な風景画、城戸が同情する時に自分を他人の不幸に位置させて見る癖、思考のくせとか人格のくせを描くのが丁寧だった
Posted by ブクログ
主にメインとなる話題は死刑制度についてなのかなと感じた。私的には死刑制度について、賛成である。これは、犯罪は環境要因、遺伝要因から来ているもので、そこにある程度の自由意志は存在しないのではないかと考えている。しかし、その環境要因の中に、今の司法制度があると思う。なので、死刑制度によってある程度の人間が抑制されていることも事実なので、今のままでもいいと考えた。しかし、最近では加害者の肩を持つ警察官も少なくないらしいので、目には目を歯には歯をの精神を捨てることなく、もう少し慎重に、しかしある程度大胆に司法制度の改善も考えてもいい頃なのかもしれない。
この本の全体的な感想は、ストーリーの中間が非常に進まない。城戸の家庭事情が進まなかった。面白くはあるが、メインのストーリーからは遠い話で、個人的にあまりその部分は面白くなかった。特に美涼への恋情などの部分。そういう態度が家族との亀裂を生んでいるんじゃないのかと思った。原敬については非常に好感の持てるキャラで、結構好きになった。
Posted by ブクログ
文章含めすごく難しい内容だった。
作者が伝えたいテーマはたくさんあるんだろうけど、核心は掴めなかった。
Xが悪人ではなくてよかった。
自分の人生がもし元々は他人のもので、自分はそれを途中からもらったのだと考えれば、もっと日々を大切に生きることができるのかもしれない。
妻、母になったときに読んだらまた感じ方が変わるのかは気になる。
Posted by ブクログ
亡くなった夫は、別人だった。一体誰?!
衝撃の設定だが、蓋を開ければ戸籍交換。メインは弁護士城戸さんの苦悩。ちらりと垣間見た妻のスマホの怪しいやり取り。夫婦の再構築は疑心暗鬼が付きまとう、怪しい雲行き。そこは深掘りされずに、りえさんの息子の逞しい成長に心奪われるラスト。
匿名
良かったです!
人が人を愛することの多面性を改めて感じさせられる作品でした!
人が人を愛するとき、その根拠を過去の体験に求めることはあり得ます。
一方で、過去の自分に起きた出来事をどう感じとるかは人によって異なるのであり、今回であれば、〈入れ代わった人が語った〉谷口大介の過去にりえが惹かれたのではないかとも思います。
私個人の意見としては、入れ代わった人がありのままの自分の過去を理恵に話したとしても、世間体を抜きにして考えれば、りえに愛されていたのではないかと思います。
城戸も出自に対するコンプレックスを抱いているという意味では大介と僅かに共通点があり、それが城戸の大介に対する印象を美化させていたのではないかという妄想が膨らみました。
夫婦関係についても繊細な描写で、没入してあっという間に読み進めてしまいました。
ある男
この小説のミステリーな部分とあったかい部分の割合が心地よかったです。
じんわりあったまる感じが。
人ってびっくりするようなことが自分に起きたら、実際はこんな感じなんだろうな、て気がしました。
この微妙な感じをうまーく表現出来ていて、引き込まれたんだと思います。
家族の在り方てほんとそれぞれだけど、そこに心を乗っけるか乗っけないかでまるっきり行き先違うんだなぁ、て再確認した作品でした。
フィクションだけれどもこの家族がうまくいくように応援して祈りました。
アイデンティティを揺がす一作
「ある男」というタイトルは不確かな人物を指す筈だ。そんな曖昧で内容がなかなか見えてこないタイトルが故に「ある男」とはどんな奴だ?と気になり、さらには映画化も決まっているということで手にとってみた。
「ある男」というのは奴のことを差しているのだと思うが、正直なところ、その「ある男」は特別何か光って見えるとかそんなものではなく、日常のどこかに溶け込んでいるような平凡な人物であったなぁというのが私の受けた印象。
ではなぜ奴を「ある男」と呼んでいるかというと、名前を偽って生きてきていたからだ。
奴がしていたように、もし私の妻が名前を偽って、さらには戸籍を他人と交換して生きてきたのだとしたら私はどう思うのか考えさせられた。
そのまま好きでいられるのか?そんな嘘を許せるのか?など。たぶん無理。
他にも、実際戸籍の交換は不可能であると信じたいが、可能であったとして、この戸籍の交換というのは何かメリットはあるのだろうかと読んでいて思った。
戸籍を変えたいと思う理由でまず考えつくのは、傷のついた経歴を無かったことにしたいからだと思う。それって傷のついた経歴同士を交換することになるから、必ずどちらか一方はより傷の深い経歴を持つことになるのでは?