平野啓一郎のレビュー一覧

  • ある男

    匿名

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    人の感情を繊細に表現されていて登場人物それぞれがリアルに目に浮かぶようでした。Xに対して最初は不気味さを感じたけれど、弁護士の彼を通じて正体が明らかになるにつれ、Xの生い立ちが不憫で胸が苦しくなりました。最初の家族と過ごした時間だけは幸せだった。それが救いでした。

    #切ない #泣ける #タメになる

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    2025年01月06日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    これは奇想天外でおもしろかった。 SF、ミステリー、ホラーがドッキング。ラストはなんかだカルトにも思える。感想は下巻を読んでから。

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    2024年12月30日
  • 死刑について

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    ネタバレ

    何年か前、英検1級の二次面接のために勉強しているときに、頻出のトピックとして「死刑制度に賛成か反対か」があった。著者の挙げる反対理由のほとんどは賛成反対ディベート、スピーチでの反対派の模範解答のそれと重なる。しかし、憎しみをわれわれの社会の基とするのではなく、被害者家族に対するケアから加害者、被害者双方に対してやさしく、思いやりのある社会を形成していくべきだという主張は著者独自のものである。死刑廃止論だけではなく、著者の最近の著作の根底にある倫理観、社会思想を理解するうえでも読者の役に立つだろう。

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    2024年12月28日
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践(PHP文庫)

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    作者の意図をいかに読み解くか、という事を解説する後半は非常に面白い。
    本を読んでいて、脳が知的興奮を感じているのが自覚出来た。
    助詞の使い方、表現の違和感から伝えたい事を読み解く等は、今まではなんとなくやっていた。
    しかし、これを意識するとしないでは今後の読書体験そのものが大きく変わるだろうと思う。
    個人的に今年(2024年)読んだ本の中では、ベスト。
    まずは今読んでいる本を、そしてその後は森鴎外の本を、ゆっくり読み解いてみようか。

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    2024年12月15日
  • 死刑について

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    【目次】

    死刑は必要だという心情

    「なぜ人を殺してはいけないのか」の問いに向き合って

    多面的で複雑な被害者の心に寄り添うとは
    ――「ゆるし」と「憎しみ」と

    なぜ死刑が支持され続けるのか

    「憎しみ」の共同体から「優しさ」の共同体へ
    ――死刑の撤廃に向けて

    あとがき

    付録:死刑に関する世界的な趨勢(すうせい)と日本
    (1)死刑廃止国と存置国
    (2)2020年に死刑を執行した国と件数
    (3)日本の死刑執行者数と確定者総数の推移
    (4)死刑をめぐる日本の世論

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    2024年12月02日
  • 死刑について

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    この本は、死刑存置派も、死刑廃止派の両方が、読める本に仕上がっていると思いました。
    ですが、私の態度は、両方の意見もわかるという立場になり、未だに死刑については、知れば知るほどわからないと、突き詰めることもなく、曖昧なままの姿勢に、自分で、自分が嫌になるばかりでいます。

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    2024年11月28日
  • 日蝕・一月物語

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    20年ほど前に一度読んで、今回再読。難解な漢字、擬古的と言われる文章、歴史的にも知らないことが多い中世ヨーロッパ、そしてキリスト教。20年経っても、私の知識は然程の進歩はなく、やっぱり難しいわ〜と思いながら読んだ。
    だが、両性具有者が登場してから物語にどんどん引き込まれて、日蝕の場面では自分もその場にいるような、そんな感覚に陥るほど物語にのめり込む。こうなってくると、難しい漢字も読みづらい文章もむしろリズムにのって読めてしまう。20年前も同じように日蝕の場面に衝撃を受け、その後なんとなく中世ヨーロッパが気になり出した。だが、衝撃は今回の方が上回った。少しは20年で場面を思い描けるだけの多少の知

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    2024年10月30日
  • 悲しみとともにどう生きるか

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    【目次】

    まえがき(入江杏)

    第一章 「ゆるやかなつながり」が生き直す力を与える(柳田邦男)

    第二章 光は、ときに悲しみを伴う(若松英輔)

    第三章 沈黙を強いるメカニズムに抗して(星野智幸)

    第四章 限りなく透明に近い居場所(東畑開人)

    第五章 悲しみとともにどう生きるか(平野啓一郎)

    第六章 悲しみをともに分かち合う(島薗進)

    あとがき(入江杏)

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    2024年10月11日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    これほどまで人の心の奥底に届き、深く感動させる名作と出会え嬉しい反面
    今後この作品を超えるものに出会えるだろうかと、心配です。

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    2025年11月24日
  • サロメ

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    好きな男が振り向いてくれなかったから殺す狂気の女、サロメ。そしてロリコンな王様。登場人物が個性強すぎ。

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    2024年08月27日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    著書で語られる分人という考え方は、ずっと頭の片隅にモヤモヤしていた対人関係の悩みに気づきを与えてくれた。

    個人は分けられない単位、しかしその個人には他者との関係で生まれる分人で構成されている。

    中学、高校、大学の友人と関わる自分、職場の人と関わる自分、夫と関わる自分、家族と関わる自分、どれもなんだか少しずつ違う。
    どれが本当の自分なのか?といった長年の疑問、とライフステージに変化するごとに心地よいと感じる交流関係が変わってきたことの違和感。
    夫や現職の同僚と会話する時間が心地よい、古い友人とはあまり会いたいとは思わない。けど、友人にとっては寂しい人、釣れない人と思われてないかみたいな自意識

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    2025年09月02日
  • かたちだけの愛

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    交通事故により片足切断という悲劇に見舞われ、悲しみと不安に沈む女優・叶世久美子(本名中村久美)と、たまたま事故から救助し、何の因果か彼女の義足のデザインを任される事になった主人公・相良郁也が、徐々に彼女と心を通わせていくラブストーリー。

    「焦らず少しずつ、未来のことを考えていきましょう。不安を感じる時には、どんなことでも相談してください。解決のための具体策を、一つ一つ考えていきましょう」
    「思ってること、感じていることを一つ一つ話していけば、一緒に考えられるんだから。少しずつでも前進するよ」
    「人のすべてなんて、見えるはずがない。だったら、自分の一番良いところが見えるようにすべきだよ。誰にだ

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    2024年07月25日
  • 「カッコいい」とは何か

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    我々はカッコ良さに呪われている。どこまでもかっこ良さを求めている。カッコ良さにこだわらないカッコ良さ。さらにはカッコ良さに素直に開くカッコ良さ。しかしながら、これらは他人をそのように思うだけで、「自分」は絶対にカッコよくなれないという構造。この構造が呪いだ。
    結局、カッコ良さは納得感ではないか。同じ著者の分人論では、関係の数だけ個性が存在するわけで、それらの統合がカッコ良さだという見方をやめるよう告げている。

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    2024年07月18日
  • ご本、出しときますね?

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    出てくる作家さんが、すごく豪華!
    性格の悪さもさらしていて、楽しかった。
    最後の光浦靖子と尾崎世界観との鼎談が一番笑った。

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    2024年06月18日
  • ある男

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    深い

    重厚な文体ですが読みやすい作品。重犯罪加害者の家族の問題とか、社会問題を扱っていてとても考えさせられた。さすが作者は法律に詳しい。弁護士ではなく、渦中のXさんの視点で読んでみた。司法とかhateとか今まであまり考えないことを考える機会になって良かった。

    #深い #共感する #切ない

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    2024年05月08日
  • 小説の読み方

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    物語を
    メカニズム、発達、機能、進化
    の観点から考察してみる。
    創造的な誤読を楽しむ。

    ケータイ小説「恋空」について、文体の特徴として、形容詞、形容動詞、副詞といった修飾語が極端に少なく、まるでマンガの一コマを思わせるテンポ感、という平野さんの指摘に納得。

    物語の中で、主人公がA君について語るとき、A君はそういう設定の人なんだろう、と思い込むことがあるけれど、それは主人公から見た視点のA君であり、そこに主人公という主語を補填する述語も含まれている、ということは新たな気づきであった。
    言われてみれば、それは当たり前なんだけれど、創作物を読んでいる、という前提がその感性を鈍らせていたように思う

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    2024年04月16日
  • 死刑について

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    ネタバレ

    死刑存置派も一考する内容がある。
    被害者への配慮は、存知派の方も根本では同じではないだろうか。
    著者は自身の意見においての変遷を丁寧に書いており、賛成派も反対派も頷ける部分もあると思う。
    結論や正しさを明確に述べている書ではなく、更に理解を深め、自身の意見を構築するために著者は投げかけているのではないだろうか。

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    2024年03月21日
  • ドーン

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    中盤まではなかなか読み進めるのがヘビーなのだが、登場人物たちが苦悩を自分自身の「分人」と結びつけて乗り越えようとしていく過程が読み応えがあり、特に主人公の明日人のそれの危うさを孕みつつ一種の誠実さと真摯さを手放さない感じが良かった。

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    2024年02月11日
  • 葬送 第二部(下)

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    「人生は大きな不協和音だ」

    これを20代で書ききった作者に感銘を覚えました。
    こんな描き物をされている最中、作者はすごい濃密な空間にいたんだろうなと、想像すると畏怖を覚えました。

    人は死ぬ、という事をこの2部ではずっと突き付けられた時間になりました。

    死が身の回りから現代的に忌避されている中、こんな形でしか段々と人へ伝えられなくなってきている気もします。

    天才ショパンを通して人生の歩み方を、凡人ショパンを通して死ぬ過程とは何かを問いかける。

    読んでいる途中より、読み終えた後の今の方が、頭の中でメロディーを奏でているのがすごく不思議。

    思考から他の事が消え去るくらい、いい時間になりま

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    2024年01月18日
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践(PHP文庫)

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    速読が推奨されていることをよく見かけるのもあり、読むのが遅いことが悪いことかと思っていました。
    紹介されているスローリーディングのテクニックをすぐに習得することは難しいが、本を自分のペースで楽しんでいこうと前向きになれました。

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    2024年01月10日