• 義仲これにあり
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    「隅々まで遍く幸ある世」を造ることを夢と掲げる木曾義仲。
    まずはそのために平家を打倒すると。なぜならば平家は幸を独占しているから。
    世話になった中原兼遠に甘いと言われながら、それが理解できないまま旗揚げすると、
    平時はどちらかといえば穏やかな気性が一転、源氏の荒ぶる血の故か、バーサーカーと化してしまう。
    特に倶利伽羅峠の戦で平家を壊滅させたその戦のさなかの高揚と後の落ち込みの落差が激しい。

    京に上った後は、今度は公家や法皇との「付き合い」に翻弄され、人の欲を知り、苦悩する。
    また叔父である新宮十郎行家や遠く鎌倉の源頼朝は、同族であっても心を一つにできないことがなかなか理解できない。

    今まで

    #アツい #感動する

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    2025年02月24日
  • 鳩護
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    河﨑秋子さん、こういうカジュアルなのも書くんだ〜、と思いながら読みました。
    舞台が東京で、出版社勤めの女性小森椿が主人公。
    部屋のベランダに白鳩が迷い込んできて、好きでもないのに面倒をみていたら、「お前は次の鳩護だ」と先代の鳩護の幣巻という男に言われ。その後、初代や何代かの鳩護の夢を見て、最後、「ヤバい男」の鳩護をぶん殴って終わる…。
    と、書き出すとよくわからない話になってしまったけど、なかなか爽快だった。
    スピンオフの短編もついていて、ちょっとオトク感もあったり。

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    2024年11月13日
  • 遊部(上)
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    松永弾正久秀と三好勢の戦で東大寺の大仏殿が消失するところから物語はスタート。
    その後織田信長が正倉院を強引に開けさせ、蘭奢待を切り取らせ、さらに分割してばらまいた。怒りを覚えた東大寺の実祐は、古来からひそかに正倉院を護ってきた遊部にその回収を命じる。
    一方、信長とともに正倉院に押し入った商人で茶人でもある津田宗及は、その宝物にほれ込み、なんとか入手できないかと目論み、信長に反旗を翻して征伐された松永久秀の家人だった村上新佐に宝物の奪取を頼む。新佐は宗及の妾を寝取る。
    前の関白行空は、信長に滅ぼされた美濃の斎藤氏の家臣の娘お通を預かっていて、東宮の妃の侍女にするが、お通は信長の嫡男信忠と恋に落ち

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    2024年08月22日
  • 万葉恋づくし(新潮文庫)
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    万葉集の中から2首の短歌をモチーフにした短編が7つ。

    「紅はかくこそ」うかれ女(遊行女婦)に惑う下級官僚を、年下の上司である大伴家持が歌で諭すが効き目がない話。
    「弟」家持が、体が弱く気も弱くて出仕も続かない弟・書持(ふみもち)の将来を心配するが、その書持の言で橘奈良麻呂の変に連在するのを躊躇する話。
    「年下の男」年下の家持にかき口説かれる紀郎女が、久しぶりの恋に翻弄される話。
    「おその風流男(みやびお)」大名児をめぐる草壁皇子と大津皇子の話を、大津の内舎人だった大伴田主から大名児の妹の沙羅女が聞かされる話。
    「醜(しこ)の丈夫(ますらお)」田辺夏雄が主の藤原麻呂とともに陸奥へ蝦夷の征伐に行

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    2024年07月27日
  • 真田幸村の妻
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    大河ドラマ「真田丸」のDVDを見たので、もう少し真田幸村について読みたくなり、購入。
    時代背景は、関ヶ原の戦いの少し前、幸村が兄信幸と犬伏で別れ、父昌幸と共に上田城で徳川秀忠の軍を打ち破るところから、
    幸村の正室竹姫の視点から大阪夏の陣での幸村の討死の少しあとまで。
    九度山での生活が多かったかな。
    幸村の長男大輔が14歳で豊臣と運命を共にし、切腹するエピソードが悲しい。

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    2024年02月09日
  • 義経じゃないほうの源平合戦
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    朝廷と一線を画す武士の時代を確立した源頼朝(源義朝三男)と、類稀なる戦術家義経(九男)兄弟の間に挟まれて、イマイチパッとしない六男蒲殿範頼を語り手にした珍しい源平合戦記。
    実はあまり期待しないで読み始めたのだけど、敵の平家などより、冷徹な兄と、無邪気な弟の板挟みになって翻弄される凡人(?)ゆえの苦悩が描かれていて、後半になるほど引き込まれました。
    部下の天野遠景が優しい(^^)あと、犬のようなと表現される義経が好みかも(^o^)
    しかし、戦に兵糧は大事^^;

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    2024年02月09日
  • 料理通異聞
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    江戸時代後期、お寺の御斎の精進料理がメインの福田屋の倅善四郎が、店を将軍家斉が御成をするほどの名料理屋「八百善」へと発展させる物語。
    出てくる料理やその素材の描写も美味しそうだが、善四郎自身も卓越した料理人でもあり、客はその時代の文人墨客が名を連ね、その時代の文化を堪能することができたと思う。
    一杯一両二分で有名なお茶漬けの逸話も出てくる。

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    2024年02月09日
  • 信長の血脈
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    織田信長の傅役平手政秀の諌死の真相、伊吹山に異人が欧州の薬草を植えるというのを阻止する話、
    「信長の棺」「秀吉の枷」「明智左馬助の恋」の三部作上における豊臣秀頼の「本当の」父親名古屋山三郎を巡り片桐且元が苦悩する話、
    明智左馬助の息子三宅藤兵衛からみた天草四郎の乱、の4つの短編集。
    作者の加藤廣さんが三部作を書いている最中に盛り込めなかったエピソードだそうだ。
    やっと生きている信長が出てきたなとか思ったり、キリシタンの話が意外と多いなと感じたり。

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    2024年02月09日
  • 安土城の幽霊 「信長の棺」異聞録
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    短編3話。
    今川方の武家松下源太左衛門に仕え始めた藤吉が、織田信長と出会い、取り立てられていく「藤吉郎放浪記」は、下っ端時代の秀吉を知らないので、作者の創作である「山の民」の出自と絡めているとはいえ、興味深かった。
    表題作「安土城の幽霊」は、信長の刀に宿る女の霊と、それに振り回される信長の話、「つくもなす物語」は、足利義満が入手した唐渡の陶器が、「天下壺」と呼ばれるようになり、山名、朝倉、松永、織田、豊臣へと渡り、落城で焼けた後継ぎ直されて徳川へ、最終的には明治の岩崎家へ渡る物語。

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    2024年02月09日
  • 読んで旅する鎌倉時代
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    鎌倉三代将軍家の時代の13篇の短編アンソロジー。
    タイトルは『旅する』だけど、旅自体を扱った作品はなかったような?(^_^;)各作品の冒頭に、作品にちなんだ名所の写真と説明がついています。
    前半は頼朝と政子の逸話が多く、後ろになるにしたがって時代があとになります。
    砂原浩太朗さんの「実朝の猫」が好きかも。鎌倉に行きたくなりました(^.^)

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    2024年02月09日
  • 颶風の王
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    馬と共に雪崩に巻き込まれた妊婦が、1ヶ月雪洞に閉じ込められ、最終的に死んだ馬を食べて生き延び、生まれたのが捨造。
    捨造は北海道に渡り、根室で孫和子とその馬の子孫を育てるが、島に送った馬が帰還できなくなり、馬の飼育から離脱。
    和子の孫ひかりはその島へ行き、残り1頭となった馬の子孫と出会う。
    母校がモデルになった大学が出てくるということで読んだが、切実な飢え、馬の生態の詳しさ、厳しい自然などの描写は、人の都合の良い話ではないと思った。
    それにしても、素晴らしい筆力。

    #切ない #感動する

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    2023年01月16日
  • 平野啓一郎「分人」シリーズ合本版:『空白を満たしなさい』『ドーン』『私とは何か―「個人」から「分人」へ』
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    「個人individual」という単語は否定語inと「分ける」というdividualでできていて、「(もうこれ以上)分けられない」という意味なのだそう。ひと(人格)はこれ以上分けられないのかというと、そうではなくて、対応する相手や場面によりすこしずつ違った人格が生じていて、しかしそれは何も多重人格という意味ではない。それについて平野啓一郎さんは小説を書きながら気づき、「分人」と名付けて、「ドーン」と「空白を満たしなさい」という小説を書き、「私とは何か-「個人」から「分人」へ」という新書を書かれた。人に合わせて自分を変えるというと、マイナスの印象もあるが、「分人」という考え方を使うとそうわなくて

    #切ない #深い #タメになる

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    2022年12月17日