あらすじ
蔦屋重三郎の法要の膳を出すことになった福田屋善四郎。この日に賭けた善四郎の料理は
見事に座の賞賛を呼び、大田南畝、山東京伝ら時代の寵児と知己を得る。やがては料理の
道で天下が取れるとの南畝の言葉通り「八百善」の名は高まっていく。文政に入り善四郎
が著した『料理通』が大評判となる中、遂に店に将軍の御成を告げる使いがやってくる。
感情タグBEST3
江戸時代後期、お寺の御斎の精進料理がメインの福田屋の倅善四郎が、店を将軍家斉が御成をするほどの名料理屋「八百善」へと発展させる物語。
出てくる料理やその素材の描写も美味しそうだが、善四郎自身も卓越した料理人でもあり、客はその時代の文人墨客が名を連ね、その時代の文化を堪能することができたと思う。
一杯一両二分で有名なお茶漬けの逸話も出てくる。
Posted by ブクログ
八百善といえば江戸一番の料理屋。
名前は知っているが内実はあまり知らなかった。
八百善、本来の屋号は福田屋。4代目の善四郎の一代記。
福田屋は仏事の際の御斎で使われる、精進料理を出す料理屋だった。
それを善四郎がさまざまな出会いを通して江戸一番の料理屋に押し上げる。野心が旺盛な人物ではなく、人が喜ぶのが嬉しいちょっとおせっかいな、江戸っ子らしい善四郎がとてもいい。
善四郎は化政期に「料理通」という本をものす。当時著名な酒井抱一や太田南畝なども筆を寄せる。一流の人々もの交流もわかる。
もっと評価されて良い作品だと思う。
とても興味深かった。