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分人と個人について
空白を埋めなさいのドラマを観て興味を持ち読みました。統一されない人格として人を考えると破綻してしまいますが、分人としてレイヤーする状態で存在する人と捉える考え方で少し気持ちが楽になりました。また分人の好き嫌い相手にも半分責任があるという言葉で何処で誰といる時の自分の状態を分析して考えられました。
自分という言葉も自らが分かる なのか 自ら分るなのか語源を調べて考えてみようと思いました。文明開花がもたらした意識改革は東洋的な自己理解とは異なりつつ整理できないままでしたが本書で整理できました。
「個人individual」という単語は否定語inと「分ける」というdividualでできていて、「(もうこれ以上)分けられない」という意味なのだそう。ひと(人格)はこれ以上分けられないのかというと、そうではなくて、対応する相手や場面によりすこしずつ違った人格が生じていて、しかしそれは何も多重人格という意味ではない。それについて平野啓一郎さんは小説を書きながら気づき、「分人」と名付けて、「ドーン」と「空白を満たしなさい」という小説を書き、「私とは何か-「個人」から「分人」へ」という新書を書かれた。人に合わせて自分を変えるというと、マイナスの印象もあるが、「分人」という考え方を使うとそうわなくてすむので、少し気が楽になったかも。
小説「空白を満たしなさい」と「ドーン」には、分人というテーマのほかに、「家族の幸せ(特に父親から見た場合の)」というのもテーマになっているのかなと思った。