田中啓文のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本能寺の変にて死んだはずの織田信長を名乗る書状が、羽柴秀吉、柴田勝家、高山右近、そして徳川家康の元に届く。三河湾の小島に一人で来るようにと。
信長の死に対して何らかの負い目のある彼らは不審に思いながらも招待に従う。
そして、京で流行りだした童歌の歌詞の見立て通りに島では殺人が起きる。
アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」へのオマージュ作品と銘打った時代本格ミステリー。6年ぶりに発売されたこの時代小説がすごい2022年版で4位にランクイン。
4人の武将の特徴が手く書き分けられストーリーに没入する。
本能寺の変に対して、驚愕の真相が待ち受ける結末。んな訳あるかい。さもありなん。フィクシ -
Posted by ブクログ
まあ、鬼と陰陽師がタッグを組む警察小説。アメリカン航空機が乗っ取られ、自爆テロで上野に墜落し、上野公園一帯が壊滅状態になり、上野寛永寺は移転し、その跡地に警視庁が新築されるという世界の東京のお話。ここで、ははあと気づいた人は凄い。上野寛永寺は江戸の北東にあり、鬼門の抑えになっていたのだ。頭が粉砕されて7人が一度に殺されるという殺人事件が、連続して起こる。鬼丸、小麦、ベニーたちは、殺人者の痕跡さえも見つけられず、捜査は混迷を極める。実は殺人者は、人間ではなく艮の金神だったのだ。3人の主要登場人物ばかりでなく、他の人物、妖たちも魅力的で、やり取りも面白い。最後に、ベニーを頭にして、警視庁刑事部陰陽
-
Posted by ブクログ
所は天下の台所、大坂は福島羅漢まえ。
四軒長屋、八軒長屋どころか計画なしのやたらめったら増築し過ぎた百軒長屋。「日暮らし長屋」と呼ばれるボロ家に棲まう絵師は貧乏神と呼ばれ、大名家のお抱え絵師であったが、今は筆作りの内職で糊口を凌ぐ日々を送る。
そんな長屋に一枚の絵がある。付喪神となった疫病神が絵の封印から飛び出し、不思議な日々が巻き起こる。
長屋の長男たちのすったもんだの珍事が頻発する中、ひょんなことから福の神と呼ばれる若旦那と出会い、毎度の珍事を解決してゆく。
長屋の心温まる人情もの。えてして、世の中ネガティブなことも多々起こるが、気の持ちようで何とでもなるよなと無責任だが優しい示唆を拾 -
-
Posted by ブクログ
本能寺の変後、信長を名乗る何者かによって無人島に集められた武将たち。それぞれに秘密を抱えた彼らはやがて、わらべ歌になぞらえるようにして順に殺されていく……と、「そして誰もいなくなった」シチュエーションなのは言わずもがな。犯人は誰なのか、果たして信長は本当に生きているのか、いやそもそも本能寺の変はなぜ起こったのか、などなど謎がいっぱいの歴史時代小説にして本格ミステリです。これが史実だったらめちゃくちゃ面白い(笑)。
あまり日本史には詳しくないのですが。それでも充分に楽しんで読めました。お勉強にも……なるかも? ミステリとしてはもちろん楽しくて仕方がありません。謀略に次ぐ謀略、そしてすべての真相は -
-
Posted by ブクログ
40年ぐらい前の昭和の小学生時代を思い出す。大阪弁が生きてる文章が好き。関西人やのに、西宮という土地柄はどうも「標準語」の人が多く居心地が悪いのだ。まぁそんなことはどうでもええけど。小学校の同級生が落語会を開いた時のこと、そしてその後そのうちの一人が真打になり、ほんまもんの噺家になったことを思い出しながら読んだ。
江戸時代の大坂、番頭さんや丁稚が出てくる船場の様子、そしてなんといっても落語の元祖と呼ばれる米沢彦八まで登場する。続きもあるらしいので、楽しみにしている。
これ、ラジオドラマにならへんかなぁ?なんて思っている。緊急事態宣言で寄席へも定席へもなかなか寄り付かれへんよってに。 -
Posted by ブクログ
田中啓文『件 もの言う牛』講談社文庫。
『件』をテーマにした伝奇パニックホラー小説。『件』と言えば、小松左京のホラー短編『くだんのはは』を思い出すが、果たして本作はどうだろうか。
単なるホラーに留まらず、スケールの大きい阿鼻叫喚の地獄絵図が描かれる。もう少し贅肉を削ぎ落とし、物語の筋を明確にすれば、もっと面白い作品になったかも知れない。
奈良県葛城山の山中で若い男女が遭難する。男性は牛に襲われ、崖から転落し、九死に一生を得る。女性は牛に食い荒らされ、無惨な遺体となって発見される。その2ヶ月後、岡山県の山間部でフィールドワーク中に土砂崩れに巻き込まれながら、難を逃れた大学生の美波大輔は助け -
-
-
ネタバレ 購入済み
物の怪よりも
人が一番怖いなあ。
もっとホラーテイストかと思って読んだけど結構なファンタジー(?)でびっくりだったけど、面白かったです。陰陽師刑事と鬼刑事コンビが今後どうなっていくか楽しみです。