田中啓文のレビュー一覧
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「シケメン」の小学五年生清海忠志(きよみただし)は、クラスのお楽しみ会で予定していた漫才を、相方の真一の裏切り(笑)によって、ひとりで何かやらなくてはならなくなる。「俺、落語する。落語やったらひとりでできるやろ」。
無謀とも思える忠志の落語への挑戦。誰もが不可能と思ったことを、忠志はやり遂げることができるのかーーーーー!!
というような大げさな話ではなく、お笑い好きの小学生がひょんなことから落語の魅力に目覚め、思いがけない展開になっていくようすが、大阪弁をベースにしたはんなりとした語り口でつづられます。田中啓文さんの本ははじめて読んだのですが、読みやすくてとても楽しかったです。
落語×SF×児童文学の奇跡のコンボ!タイポグラフィあり、筒井康隆ばりの爆笑セリフあり。巻末には桂九雀さんの落語解説も付いている親切設計。大阪弁文学としても第一級。落語を知っている人も知らない人も存分に楽しめると思います。
しかも、続編もあるとか?楽しみにしています。 -
Posted by ブクログ
22世紀末、過去の人間たちが次々に生き返り始めた。最後の審判だ。しかし神の審判が下る前に、六百億人の人口になってしまった地球は大変なことになった。幸いこの復活に先立って、人類は2つの発明を成し遂げた。ひとつは魂を肉体から取り出して他の肉体に移し替える技術である。税金を払えないものは肉体から取り出されて他人の肉体に間借りすることで何とかこの人工爆発に耐えることになった。
たぶん、この話の主人公と思われなくもない桃屋ピンクは、12歳の〈自由人〉だったが、〈自由人狩り〉に捕まって、額田王の体に間借りして2年。4人で一つの肉体を共有しているのであるが、4人で合議して体を動かすのではなく、6時間毎、交替で人格が発現するのである。そして出入り口のない〈集合住宅〉で無為な生活を続けている。ピンクはそこから逃げだそうとするのだが、逃げ道は当然、お下の方しかない。しかも殺人の嫌疑もかけられ、警察から逃れようとピンクの逃げ込んだ先は宇宙軍。
人口爆発の対策のもうひとつは宇宙進出。宇宙を亜空間飛行で移動する巨大な甲殻類のような宇宙生物ジャン・ゴーレが発見され、その死骸を宇宙船に仕立てて、亜空間飛行が実現されたのが、もうひとつの技術革新である。ところが、宇宙進出により、幾多の異星人との戦争が勃発。その後ろに徹底的に人類を嫌い、しかもコミュニケーション困難なエゾゲバロ・ログロ人なるナメクジのような宇宙人がいることがわかる。
ピンクは男性兵士の体に間借りすることになり、兵士の訓練を始めるが、戦局は悪化、訓練もほとんどなされぬまま、前線の惑星〈ジュエル〉に送られる。そこは聖書に書かれたエデンだと噂されていた……
各章タイトルは「復活の日」「宇宙の戦士」「宇宙兵ブルース」などとSFの名作で、その一部がエピグラムになり、オマージュが捧げられているが、内容はスラップスティック。ひどい地口で最後を決めたり、こんなオヤジギャグが受けるのかちょっと心配になる。でも、ど根性ガエルの登場はちゃんとあとのプロットの伏線となっていたり、ただの馬鹿話ではない、ということもできなくもない。ふざけた名前の登場人物と、一休宗純やイエス・キリストなどの復活した人物が相乱れ、最終章のタイトルは「南総里見八犬伝」(これもSFの古典か)。八つの玉が宇宙に飛び散って、八人の戦士を集めろという、これはこの1冊がプロローグだったのではないかという引き。
帯にあるように「日本SF史上、最大の大風呂敷(畳める保証はごさいません。あしからず。)」を広げたというものなのだ。
私が特に気に入ったのは、バカボン・パパの口調で喋るイエス・キリストなのだ。イエスはただの予言者だったのだということがわかっているなのだ。しかしなのだ。いまだに「神の子」として人気が高いなのだ。宇宙軍の要請で手品をして兵士を慰問しているのだが、どんどん巻き込まれていくなのだ。第2巻にも登場して欲しいなのだ。 -
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アケルダマ。この奇妙なタイトルを見て、咄嗟に新約聖書の福音書を思い浮かべる人は、残念ながら日本ではそう多くないと思う。
すぐに本書中で触れられるが、これは裏切り者の代名詞ともなっている「ユダ」が、キリストを銀貨30枚でユダヤの大祭司に売り渡し、その後その銀貨をもって購入した地所であり、ユダはその地で首をくくった(または身を投げた)。
と、されている。
まあ福音書というものは、イエス・キリストが死んでから何世紀か後に記されたものであるから、真偽のほどは定かではない。
しかし本書を読むまで、新約聖書にこれほど「血」に関する描写が多い事に、迂闊にも私は気付いていなかった。
子供の頃から何度となく再読しているにもかかわらず。
作中、聖書からの引用は最も日本で普及しているであろう口語訳を用いているが、登場人物のうち聖書に関連する人物名は全て英語式となっていて、これも一般にはわかりづらい仕掛けと思う。
そういや、聖書に登場する何人かのヤコブは、英語だとJamesになっているのとJacobになってるのとあるのか……ううむ、どこに差があるんでしょうねえ。
本作は伝奇小説家としての田中啓文が独自のアプローチで聖書を読み解いた伝奇小説でありながら、主人公を性格的にはごく普通の女子高生とした事で、よりライトな青春小説風味を与えており、ライトノベル間隔でどんどん読めるにもかかわらず、骨太のしっかりとした伝奇小説でもあるという、一冊で二度美味しい作りになっていた。
『水霊』にならぶ大ヒットになるのではないかと期待! -
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ネタバレ新書購入
推理。落語。現代。
続き物。
とさか頭の不良の竜二(芸名・梅駆)は、酒癖の悪く暴力を振るう師匠笑酔亭梅寿の元に住み込みで弟子入り中。
いろんな事件に巻き込まれて・・・。
いろんな才能があるらしい竜二。(演劇の才能も、落語家の才能も、推理能力もあるのですよ、彼は)
でも当人はまったく気がつかない。
思ったよりも素直・・・(お馬鹿さんなまでに素直)
師匠は理不尽だが、竜二のことをちゃんと考えているので、ときたますごーく能動的に裏で動く。
たびたび師匠の体の具合が悪いことが、作中に出ていたが、今回ついに入院。意識不明。
竜二は激しく動揺する。父親に倒れられたような心境に。
基本はギャグと人情物ですが・・・医者の言った言葉は深いです。
「笑芸人は死んだらあかん」
消えていくのみ。
そうでないと、客はその笑えるネタを思い出したときに、哀しい気分になるから。
なんだかとっても・・・厳しいですね。
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そろそろフリージャズに手を出すか。
引用
「マイルスが死んでジャズは終わったというひともいますがそれはとんでもない誤解です。各地のライヴハウスでは、若いミュージシャンたちが「今の音」を熱く奏でています。 本書は、そういったジャズに関する誤解を解く本です。現在進行形のジャズは、実はパンクと同じぐらい過激で、ポップスと同じぐらい楽しく、ヒップホップと同じぐらい身体に感じる、かなりヤバくて激アツで全身を直撃する音楽なのです。とくに「フリージャズ」と呼ばれるジャズは、その成立から、小むずかしい、わけのわからない騒音じみた、政治や思想臭がつきまとう、頭でっかちの音楽だと思い込んでいるひとも少なくありませんが、それは100パーセントまちがっています。実はこんなにわかりやすい音楽はありません。なぜならフリージャズは頭で聴く必要がないからです。身体で聴けばいいんです。フリージャズこそ、めちゃめちゃおもしろく、なーんにも考えなくても(もちろん考えてもいいんですが)ただただ楽しめる、かっこいい、ガツンとした手応えのある音楽なのです。」