★いずれ、ロシアで逢おう(p.498)
【感想】ラスプーチンについてはずっと昔コリン・ウィルソンの著作を読んだことがあるくらいですがてきとーに読み流してしまったのでまったく覚えてないです。まあ、強烈な人物だったというくらいの印象。今回の本ではすでに妖怪。
【内容】日露戦争でかたちの上だけでも勝てたのはこの人のおかげかもしれないという大物スパイの明石元二郎の若かりし頃、豪放磊落で誰に対しても無遠慮で人タラシの彼はロシアからやってきた怪物と対峙する。稲城黄天という日本の怪人物とのいやがらせ合戦のさなかロシアからさらにとんでもない化け物がやってきて渦の中心になってしまう。
▼簡単なメモ
【明石元二郎/あかし・もとじろう】後の大物スパイ。この話の時点では二十五歳。豪放磊落を絵に描いたような人物。なにをやっても人に好かれてしまうタイプ。
【稲城黄天/いなぎ・こうてん】伊勢神道占(いせしんとうせん)という占いの主宰者。明石元二郎より二、三歳ほど年下のはずなのでこの時点で二十二、三歳くらいと思われる。乃木静子に作戦を与えた。静子は明石に似ていると言う。政治の中枢にまで入り込んだ怪人物で「日本のラスプーチン」と呼ばれることもあるらしい。名前は異なるが実在の人物がモデルらしい。
【入沢達吉】ベルツ博士の弟子。後に天皇の侍医。
【内村鑑三】下山宇多子が企画した下婢養成所にクレームをつけた。
【川上操六】明石の上司。参謀次長。実質的なトップ。四十二歳。
【木村荘平】いろは牛肉店の経営者。二十数軒の支店の支店長はすべて妾で合計三十人の子を生ませた。
【座田重秀】森有礼のボディガード。西野文太郎を斬った。
【サハリン】囚人のみの島。チェホフが旅の目的地とした。
【下山宇多子】実在の人物がモデルのようだ。女子教育に力を入れている桃夭女塾の創始者。華族女学校でも教鞭を取る。稲城黄天と親しく愛人だったという説もある。
【主役】《芝居なら知らず、ほんとうの人間の世界には、脇役というものはないもんだな、と明石は改めて感心した。》p.143
【竜岡左京】伊勢神宮の神官で津田の恩人。息子の綱彦、娘の雪香とともに連れて東京に来た。妻は行方不明。
【竜岡綱彦】左京の息子。血友病のようで一度血が出ると止まりにくい。
【竜岡雪香】左京の娘。美人。稲城黄天に巫女にと望まれている。
【タニジャキ・ジュンチロー】谷崎潤一郎かな? 谷崎活版所の子ども。幼い頃二葉亭四迷に連れられて建築中の聖ニコライ堂に登ったとき明石と出会う。
【チェーホフ】この時点で新進気鋭の作家。医師でもあったらしい。雪香の母を看取りラスプーチンと出会う。
【津田七蔵】乃木希典の馬丁。双子の兄、三蔵が滋賀県で警官をしている。
【夏目漱石】正岡子規が喀血して明石元二郎に助けられたとき傍らにいた。
【ニコライ大主教】聖ニコライ堂を建てた。その高さのことで乃木希典と言い争った。
【乃木静子】希典の妻。姑と不仲で別居中。
【乃木寿子】希典の母で希典より怖い。苛烈なスパルタ教育をおこなう。嫁いびりも得意。
【乃木希典】家に幽霊が出るらしい。子どものしつけは超スパルタ。
【西野文太郎】森有礼を襲った。
【長谷川辰之助】→二葉亭四迷
【二葉亭四迷】本名長谷川辰之助。建築中の聖ニコライ堂で明石と出会う。内村鑑三一行が極貧民街鮫ヶ橋を見に行ったとき再会し用心棒としてついてきた。
【フルイスティ】ロシアの古くからの邪教。キリスト教の異端のようだ。自分を鞭打つ。ラスプーチンがその隠者マカルイに自分に訪れた奇蹟を話にいった。
【ベルツ博士】エルウィン・フォン・ベルツ。医師。森林太郎の師匠。
【正岡子規】学生の頃カッケツしたところを明石元二郎に助けられた。
【松岡岩五郎】ジャーナリスト。二葉亭四迷とともに貧民窟を彷徨した。鮫ヶ橋の貧民窟などを描いたルポルタージュ「最暗黒の東京」を書いた。
【森有礼/もり・ありのり】イギリスかぶれの文部大臣。四十二歳。
【森林太郎】軍医大尉で陸軍軍医学校教官、陸軍大学教官となった超秀才。森鷗外。明石元二郎にベルツ博士を紹介してくれた。
【ラスプーチン】グリゴリイ・エフィモヴィチ・ラスプーチン。怪僧。チェホフと出会った頃二十歳前後だったのではないかと思われるがすでに得体の知れないところがあった。不思議な力を持っているのはたしからしい。似たタイプでも稲城黄天よりだいぶ大物のようだ。