山田風太郎のレビュー一覧

  • 八犬伝 上

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    この話もすこいし、滝沢馬琴もすごいし、山田風太郎もすごい。なにもかもすごい。南総里見八犬伝自体もよみたくなっているが、この小説を読んだ限りでは、しんどいか。

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    2025年11月12日
  • 魔界転生 下 山田風太郎忍法帖(7)

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    ネタバレ

    魔界転生衆との対決が描かれる下巻。柳生十兵衛は快男児かつ柳生の中でも異端でありながらも、その内面は人並みに怯えるしショックも受ける人間臭さに溢れており、他者視点で見るほどには万能ではなく、また完全無欠のヒーローというわけでもない。剣才に恵まれてはいるものの、単純な実力では魔界転生衆のほうが上であり、そんな怪物揃いの面々相手にどう立ち向かっていくかが本作の肝となる。それ故に戦いのほとんどはスポーツ的な競技性の強い真っ向勝負などではなく、奇策、計略、時の運がほとんどであり、そのほとんどの対決が一瞬で終わるあたりに無情性と真剣勝負ならではのリアリティがある。卑怯といえば卑怯なのだが、生前、どれだけ清

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    2025年10月15日
  • 魔界転生 上 山田風太郎忍法帖(6)

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    ネタバレ

    山田風太郎が描く伝奇時代活劇の傑作。天草四郎、宮本武蔵、宝蔵院胤舜、田宮坊太郎、荒木又右衛門、柳生但馬守、柳生如雲斎という歴代の名うての剣鬼たちが忍法魔界転生によって蘇り、魔人となって幕府の転覆を図るというストーリーがまず面白い。それに挑む飄々とした主人公の柳生十兵衛もカッコ良く、柳生一族の異端児という設定もいい。他にも、話の中核である魔界転生は日本古来の忍法に西洋の魔術を掛け合わせたハイブリットであったりと、とにかく細部に渡って読み手のロマンをくすぐってくる。

    能力バトルものの元祖というだけあってバトル描写は最高で、田宮流抜刀術の田宮平兵衛と関口流柔術の関口柔心という強すぎるジジイキャラ二

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    2025年10月10日
  • 警視庁草紙(上) ――山田風太郎明治小説全集(1)

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    元南町奉行、隅の老人。

    元八丁堀同心、千羽兵四郎。

    元岡っ引き、半七。

    明治の警視庁の初代大警視、川路。

    巡査で元新選組斎藤一、龍馬を斬った元京都見廻組今井、井伊大老を襲った元水戸浪士海後、元仙台藩士油戸杖五郎。

    明治の時代に不満のある隅の老人、兵四郎、半七たちが、警官たちをからかいつつ、事件を解決?していく…

    良いキャラがたくさん出て来て面白い。



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    2025年09月25日
  • 八犬伝 上

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    安倍晴明の山田作品の一節に惹かれて今作品を読む。圧巻の表現力に読む手が止まらない。滝沢馬琴の南総八犬伝と何ら遜色なく楽しめる。馬琴の暮らしぶりも知ることが出来て一石二鳥な作品。下巻を読後に映像化を試そうと思う。

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    2025年08月15日
  • 妖異金瓶梅 山田風太郎ベストコレクション

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    『金瓶梅を下敷きに、豪商西門慶の館で妾同士の嫉妬心から次々と起こる猟奇殺人の謎を太鼓持ちの広伯爵が解いていく。謎解きと共にお色気あり、コミカルな場面もあり面白い。最後はちょっとした感動すらも。ミステリー好きならば外せない一冊。

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    2025年08月03日
  • 戦中派虫けら日記――滅失への青春

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    敗戦日記の金字塔ともいえる『戦中派不戦日記』、本書はそれに先立つ昭和17年から19年までの日記。山田風太郎、20歳から22歳の日々。
    上京は昭和17年8月。日記を付け始めるのはその3カ月後。欠かさず付けているわけではない。でもしだいに、日記はほぼ毎日、内容もかなりしっかりしたものになってゆく。「あとがき」では、「自分との対話」をしてみたかったのだろうと書いている。
    前半は沖電気の社員、後半は東京医専の医学生。副題「滅失への青春」に示されるように、時代は重く暗く、どうにもならない状況に向かいつつあった。しかしそれにしても、風太郎青年はがつがつとよく食べる。同じく読書についても貪欲。そして五反田、

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    2025年05月05日
  • 新装版 戦中派不戦日記

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    山田風太郎、23歳、東京医専の医学生。その彼の昭和20年の日記、700ページ。授業と空襲、空腹と疲労、買い出しと疎開、そして所感と思索……日々起こったことを綴っているだけなのに、その完成度の高さに驚嘆する。本も読み続けている。医学書、科学書、哲学書、小説など、数えてみると150冊あまり。これにも驚かざるをえない。
    東京大空襲や城南大空襲は知っていたが、爆撃機(B29)や戦闘機(P51)がほぼ連日連夜飛来していたとは! 驚いたのは、空襲や死が日常になると、ほんとうに危険になる間際まで逃げることなく、日常の生活を送り続けるようになったこと。最たるは、未明に東京大空襲があったその日、新宿の医専にたど

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    2025年05月05日
  • 明治断頭台 山田風太郎ベストコレクション

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    山田風太郎は多分初めてだと思うのだけれど、めちゃくちゃ面白い。明治モノ×ミステリーっていうのもドンピシャだし、キャラも良い。これから色々読もうかな。

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    2025年05月04日
  • 甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1)

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    遥か昔に数冊だけ読んだ山田風太郎大先生の忍法ものを、最初から順番に読んでみようと思いたった。
    それぞれの忍者が持つ個性の独特さと、それを活かした闘いの展開が秀逸です。
    これは不朽の名作だと改めて思いました。

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    2025年03月16日
  • 銀河忍法帖

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    帯に「この男、しびれるほどにかっこいい!!」とあり、読み始めはどの人のこと??と思いながら読んでましたが、最終的にほんとにしびれるほどにかっこいいです。八犬伝の映画化でしばらく本屋さんに山田風太郎作品がたくさん並んでたので選び放題で楽しかったのですが、映画終了とともにまた消えてしまい残念です。
    それにしても女人酒が全くもって飲む気のしないレシピなのもすごい。

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    2025年02月01日
  • 八犬伝 下

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    虚の世界と実の世界を融合させた秀作だと思います。文化の花である江戸時代に生きた奇才の凄さを感じることのできる作品でした。

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    2025年01月21日
  • 甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1)

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    ネタバレ

    面白かった〜伊賀も面白かったけど、甲賀も面白かった。ぐんぐん引き込まれてあっという間に読み終わってしまった。
    バトルロワイヤル、もう少しそれぞれのキャラクターについてや戦いが掘り下げされても良いかもと思ったけど、そうすると人数も多いし冗長になってしまうんだろうなあ。

    女性キャラの造形が男性が性的魅力を感じられるキャラのみになっているのは苦笑だし、全員が全員性的に描写されててはあ、、って感じ。と言いつつやっぱり陽炎と、朧が好きだったなあ。最後もハッピーエンド(?)で大変好みでございました。

    弦之助と朧が最後言葉を交わさないのも良い。
    …と、甲賀弦之助ははじめてさけぶと、朧の刀でみずからの胸を

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    2025年01月13日
  • 八犬伝 下

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    映画もそれなりに面白かったけど、比べたらやはり原作の方が素晴らしかった。もっとやりたい事が明確だった。「シン馬琴伝」ですね。馬琴と八犬伝に対し、調べて得た知見と独自の解釈を読者に伝えたく、それを面白くする為に考案したのが虚実を並列する語り口であり、最後、虚実冥合とするあたりが見事としか言いようがなかった。

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    2024年12月01日
  • 八犬伝 下

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    ネタバレ

    山田風太郎の『八犬伝』の下巻。
    虚と実が入り交じる作りが面白い作品だが、上巻とは打って変わって下巻では実の部分が面白くなっていく。
    実の部分というのは滝沢馬琴の生活の方である。
    数年毎にプラっと訪れる葛飾北斎に『南総里見八犬伝』のプロットを語ったり、そんなオジサン二人がおしゃべりばかりしている様を眺めて激しく愚痴る滝沢馬琴の妻のお百がいたり、そんなお百と馬琴の子どもで医者になった宗伯、そして宗伯の妻のお路などの生活が記されていく。
    特に面白くなるのが宗伯が亡くなり、馬琴の眼が見えなくなってからだ。
    『南総里見八犬伝』をついに語ることが出来なくなってから、馬琴はお路に執筆の手助けを頼む。しかし、

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    2024年11月05日
  • 八犬伝 上

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    『八犬伝』が映画化するということで手に取った本。
    山田風太郎作品は忍法帖シリーズを中心にいくつか読んでいるが、どれも良い意味で荒唐無稽で面白い。
    これぞジャパニーズニンジャ! ジャパニーズサムライ! みたいな部分もあり、エロもグロもあり、涙とアクションもある。
    『八犬伝』もファンタジー、伝奇要素を絶妙に織り交ぜながら紡がれている。
    その『八犬伝』の虚の部分に、この物語を書いた滝沢馬琴周りの実の部分が交互に描かれていく。

    上巻は虚の部分が面白かった。
    まるで漫画やゲームのパーティが集まるかのように個性豊かな登場人物たちが何かに導かれるかのように集まっていく。
    そこに敵の手も迫ったりと、盛り上が

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    2024年11月05日
  • バジリスク~甲賀忍法帖~(1)

    匿名

    ネタバレ 購入済み

    切ない

    全巻読んだ後のレビューです。
    弦之助と朧の関係切ないです。
    朧の弦之助に対する気持ち、、、
    とてもよかった。大好きな作品です。

    #切ない #泣ける #感動する

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    2024年11月04日
  • 八犬伝 下

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    やはり『風太郎八犬伝』最高! 歌舞伎舞台の奈落で、馬琴と鶴屋南北が対峙するシーン、虚実論争の面白いこと面白いこと。「虚の世界」の方は、やはり次々と犬士が現れてくる上巻と比べるとやや落ちるものの、犬江親兵衛再登場のシーンの驚きや親兵衛のキャラクターが楽しいてたまらん。そして馬琴の完全主義の凄まじさよ!登場人物の人生構築、物語の緻密な構成、伏線回収の執念! 登場人物たちの善悪の清算。よくぞそこまで丹念に描けることよ。 逃げる扇谷定正を追う犬山道節の足を止めさせた河鯉父子のかごを取り巻く青い炎の正体が分かったところで「うひゃあ!」言うたわw そして最終、語る盲目の馬琴と懸命に筆記するお路の姿に落涙。

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    2024年10月18日
  • 八犬伝 上

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    映画公開前に予習しておこうと(なんせ忘れているからね)、平成元年の文庫本(よくぞ置いておいたものだ)を引っ張り出して再読。馬琴の手による『八犬伝』の部分を「虚の世界」、それを執筆する馬琴と物語の筋をきかされる葛飾北斎とのやりとり等を「実の世界」として交互に配置。面白いのなんのって! 馬琴と北斎の人物造形、やりとりの楽しいこと楽しいこと。こちらの方が面白いかと思いきや、八犬士達の因縁の絡み具合出逢い、八犬士達が窮地に立たされ、それを逃れていく筋の展開、こちらは馬琴の構想によるのだろうが(たぶん。原作読んでいないから定かではない)めためた面白い! 多分原作では長々とあれこれ微に入り細を穿って描いて

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    2024年10月15日
  • 忍びの卍 山田風太郎ベストコレクション

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    忍法帖を読むのは久しぶりだけど、やっぱり面白い。作者もバカバカしいとか言っちゃってるのに、大真面目で奇想天外な実験をやって自分の足引っ張っちゃってるのとか面白すぎる。色んな伏線回収もすごい。こんなの新聞で連載しちゃうのもどうかと思うけど、スポーツ新聞だったのかな。知ってて読まないと毎日朝からドギマギしてしまう。

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    2024年10月14日