山田風太郎のレビュー一覧

  • 野ざらし忍法帖 山田風太郎忍法帖(13)

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    ネタバレ

    短編集。
    一話目の服部半蔵の話がすごい。
    あらすじだけ語れば、それほど奇想天外な話ではないのだが、こんなふうにさらっと書かれてしまうと、返ってゾッとしてしまう。
    作者の正体は天海僧正なのではあるまいか。
    その場にいるような臨場感ある描写であるのに、第三者的な視点が崩れない。
    日本昔話のように何度も語り継がれてきたことをそのまま文字に置き換えているだけかのようにも思える。
    とにかく忍法のようにあっ、と読者を煙にまいてしまう。

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    2012年11月18日
  • 新装版 戦中派不戦日記

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    こんなに透徹した、現実的な眼でみた昭和20年を読めるのは、本当に有難いこと。そのような資料的価値とともに、作者が心に抱える悲しみ孤独にも魅かれてしまう。「この不幸がやがておれの武器となる、とー。」橋本治の解説がまた過不足なくて凄い。文中に註や解説が全然無いので、この解説を先に読んでも良かったな〜

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    2012年07月01日
  • 妖異金瓶梅 山田風太郎ベストコレクション

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    自分の欲望の為なら殺しも厭わない、欲望に果てが無くて、底無しに愛を欲する女魔王。
    にも関わらず男女問わずに、その心を捕らえて離さない、非常に蠱惑的な魅力を持つ潘金蓮に飲まれた~。
    飲まれた胃の腑から這い上がれないよ。

    その金蓮に囚われの放蕩物な応伯爵が探偵役と言うのも、面白かった。
    決して、外に漏らさない代わりに欲を少しだけ満たしてもらう。
    だから、彼は欲を満たして欲しくて、また謎を問いてしまう。
    凄い蟻地獄。
    何回読んでも、その度に囚われてしまうんだろう。
    あぁ~面白かった。

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    2012年06月30日
  • 妖異金瓶梅 山田風太郎ベストコレクション

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    アクロバティックなミステリの極致。潘金蓮をめぐる武松、鳳春梅、そして応伯爵の「愛」のかたち。なんど読んでも、読むほどに、うちのめされる。

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    2012年06月26日
  • 柳生忍法帖 下 山田風太郎ベストコレクション

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    最強のバトルここにあり!

    会津七本槍の外道っぷりにむかむかしたが、復讐に燃える7人の女たちがその恨みを晴らすために戦うのは壮絶、そして心地よい。

    芦名銅伯のリンク設定も良かった。

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    2012年06月20日
  • 風来忍法帖 山田風太郎忍法帖(11)

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    人を騙し、女を売り歩き、戦場を荒らし、やることなすこと常識外れのとんでもない7人の香具師が主人公。行いを見れば到底ヒーローにはなりえない悪者達ですが、その大胆不敵、自由奔放な生き様はどこか憎めません。

    冒頭からの彼らの非道な行いに呆れたころに、絶世の美女、麻也姫が彼らを一刀両断するのがなんとも気持ち良く、風のように捕らえどころがなく、女を物のようにしか見ていなかった彼らが、強烈な一発を食らわせた麻也姫に執着することとなるこの場面が見事です。
    悪者の顔を踏んづけて決め台詞を吐く麻也姫に、7人の香具師同様読んでいる私もぐっと心を捕まれました。

    7人の香具師が恥をかかされた復讐の為だ!とかなんと

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    2012年08月10日
  • 風来忍法帖 山田風太郎ベストコレクション

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    奇想天外な物語ばかりの忍法帖シリーズの中でも屈指の異色作♪ でも香具師の主人公たち7人の悪辣で奔放すぎるえげつなさに圧倒されつつ、人間模様は刻々変化し、いつしか麗しの姫を命がけで守り通すようになると、俄然盛り上がる忍法バトル♪
    「のぼうの城」と同じ舞台設定(舞台というか場所と史実?)だとは後で知りましたが、先に読んでたのはこっちの方だし、あっちも悪くはないにしても、圧倒的に発想力に差があり過ぎて比べ物にならない♪ そもそも忍法帖だしw 規定の枠になど収まるワケがなく、暴走に次ぐ暴走が奇奇怪怪なSF伝奇ロマン風味でもあり、飽きることがない♪♪
    女性からすると読み進めるのがキツい場面が多々ある?か

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    2012年05月26日
  • 同日同刻――太平洋戦争開戦の一日と終戦の十五日

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    太平洋戦争開戦日・昭和16年12月8日と終戦までの昭和20年8月1日~15日までの15日間の記録。

    これ以上、どう言えば良いのか分からない。

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    2012年05月16日
  • 魔界転生 下 山田風太郎忍法帖(7)

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    伝奇界最上のエンターテインメント!
    収束のさせ方も素晴らしい!

    転生衆の悪逆非道っぷり、
    十兵衛の強さと飄々としている感じ、3女子の健気な愛らしさ。
    そして呆気無く(でも勇敢に)果てていく柳生衆。
    どのバトルも見応えがある。

    主人公側の良さは良いとして、
    悪側の悪辣っぷりはほんと見応えがある。
    最近、ダークヒーロー的な悪役が多くて、
    すっきりした勧善懲悪ものってあんまり見ないから、
    ここまでやってもらうと非常にスッキリ感があります。

    悪役の描き方って難しいけど、
    W主人公のつもりで書くんじゃないなら、
    文字通り屑でいいんですよ!

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    2012年05月07日
  • 魔界転生 上 山田風太郎忍法帖(6)

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    6年前くらい前に1回と、最近また読んだ。
    深作欣二の方の映画も見た。

    タイトルは初めこれじゃなかったらしいが、こっちにして正解。
    伝奇ものはやっぱり面白いなあ!
    なんで今でも流行んないのかな?
    山風がやり過ぎちゃったのかなあ。

    歴史はさして詳しくないんですが、
    山風のおかげでちょこちょこ知れました。
    まさにエログロナンセンスの極み。
    これだけあっけらかんと女性が道具にされてるのに嫌悪感を感じないのは、
    十兵衛サイドの三女子の愛らしさでしょうね。

    正雪の怪人ぷりが良い。
    魔人が全て大人物なのも良い。
    これはほんとに面白いなあ!

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    2012年05月07日
  • バジリスク~甲賀忍法帖~(1)

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    ネタバレ

    伊賀と甲賀の忍者同士の戦いが凄まじい
    この忍者たちの結末がいつ何回みても号泣する
    個人的に蛍火が可愛くて好きです。

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    2012年05月04日
  • 明治波濤歌(下) ――山田風太郎明治小説全集(10)

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    収録作・・・「巴里に雪のふるごとく」「築地西洋軒」「横浜オッペケペ」

    上巻よりも、やや群像劇風の印象が強かった。
    展開がめぐるましく、これでもかとばかりに(笑)著名人がたくさん登場して、サービス満点だと感心した。

    たくさんの登場人物が入り乱れ、あれやこれやとトンデモな展開が巻き起こるものの、読んでいてまったく呆れない。
    むしろ、山田風太郎とは、素晴らしいエンターテイメント作家なのだな、と驚いた。
    登場人物たちの魅力もさることながら、下巻ではその旺盛なサービス精神に魅了される。

    強烈なキャラクターを親しみのある人物として描くのが上手い。
    上巻でも私は樋口一葉のキャラクターにほれ込んでしまっ

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    2012年04月25日
  • 明治波濤歌(上) ――山田風太郎明治小説全集(9)

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    収録作・・・「それからの咸臨丸」「風の中の蝶」「からゆき草紙」

    いやはや、とても面白かった。大満足。
    この巻では、「波濤歌」というタイトル通り、どの短編でもいずれ日本を離れ海の向こうへと旅立っていく人々が登場する。それらの人生は、まさに波に揉まれる怒涛の人生である。

    それぞれの登場人物の描かれ方がとてもよい。いきいきしている。
    自分の信念を持ちながらも、時代に翻弄され、あるいはその信念ゆえに苦悩する登場人物たち。それでも彼らはひたむきに何かを見つめ、自分が自分であることに誇りを持とうとしている。

    特に樋口一葉のキャラクターが素晴らしかった。
    なんという心意気の美しさであろう。読んでいて、

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    2012年04月25日
  • 柳生忍法帖 下 山田風太郎忍法帖(10)

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    1ページ目を開いたところからもうおもしろすぎて止まらないこと必定です。
    上下巻これだけの長さがある大作ですが、中だるみなんて言葉は無縁でした。

    七人の女たちによる復讐が全編を通しての主軸であり、その契機となる冒頭の虐殺場面からしてまず凄絶。千姫の貫禄に惚れます。
    上巻ではかよわき女達が人間離れした敵たちにあの手この手で挑んでいく知略が楽しく、到底敵わない相手に一泡吹かせていくのが爽快です。
    加藤明成と七本槍も敵として申し分ない悪者達で、一層いい気味。
    そして女達を陰で支える十兵衛の男らしいかっこよさといったらありません。

    順調に果たされていく復讐ですが、下巻に入り芦名道伯老が登場すると、私

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    2012年03月15日
  • 山風短(2)

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    くっついちゃった男女。これはシュールな笑いをさそう。こんなのが目の前にきたら武蔵も困惑するわ…シリアスなのに笑っちゃう。

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    2012年02月28日
  • 人間臨終図巻 2

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    例えば小林一茶。イメージとしては俳句が上手で貧しい中にも心の豊かなおじいさんなんだけど、「俳句の世界から出れば、金銭的にも性欲にも、エゴイズムと性欲の化身だった」と著者は書く。まじか。様々な病に冒されながらも52歳で初めて妻を迎え、1週間で日当たり3交という奮迅ぶり。そんな有名な人、そうじゃない人たちの生き様、死に様が怖いくらいの表現力でつづられている。淡々と。この人天才かと思う。

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    2012年02月20日
  • 奇想小説集

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    ネタバレ

    「アースダイバー(中沢新一)」で「蝋人」が取り上げられていたので購入。
    荒唐無稽なんだけれど地に足が着いている、
    というものすごく面妖な物語を書くなぁ。
    この妙な社会性の帯び方は小松左京を彷彿とさせる。

    個人的には「黄色い下宿人」が一番面白かった。
    シャーロックホームズを日本人が言い負かすという構図は、
    日本人の劣等感と自尊心がよく描かれている。
    外国文学をその物語の中で超克しようとする様が非常にねじれていて、
    どうしてこう日本人は自分でルールを作らず相手の創ったルールの上で競おうとするのか、
    という風にも思うけれど。

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    2012年02月16日
  • 山風短(2)

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    山田風太郎好き!せがわまさきの絵が好き!

    という訳で買ってみました。
    ちょっと荒唐無稽の設定なのだけど、
    原作のエンディングよりも優しくて嬉しくて、
    最後の数ページだけ何度も読んじゃった。
    ほっとした。

    二人の想いに最後は、じんときたので素直に★5つ〜〜

    ちなみにその本屋には1巻がなかったのだけど、
    どうもイマイチ評価が低いのと、原作を先に読みたいので購入控え中。

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    2012年02月12日
  • 妖説太閤記(上)

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    ネタバレ

    上下巻の感想を合わせて。


    ・十三歳のお市さまに惚れる秀吉にじゅうさんさい。ちょっと待ってそれロリコ(シッ!)。
    ・安国寺恵瓊さんに孟子を教えてもらうねねとか…!そして小生意気な所がまた可愛い。
    ・突然吉川氏(『新書太閤記』の作者)の名前が出て来て吹いた。
    ・恵瓊さんのバックアップで見事ねねをゲットした秀吉。その年の差十三。やっぱロリコry。(黙りなさいよ!)
    ・秀吉の怖いもの:信長とねね
    ・はんべが光秀のこと「明智先生」っていうとる!もえ!にやにや笑う企んけはんべ!もえ!もえ!
    ・秀吉が墨俣に一夜城を築いていた時はんべは鼻毛を抜いていました。鼻毛て。
    ・秀吉がお市に想いを寄せていることをね

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    2012年02月05日
  • 明治十手架(下)

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    とある出来事に触れた悪党たちの慟哭が心を打つ
    。改心した犯罪者たちと看守たちとの一人一殺の壮絶な戦いは忍法帖を彷彿させ、抜群の面白さ。物悲しいラストも素晴らしい。

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    2011年12月28日