山田風太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1作目の『赤い靴』でその動機に唖然。「そんなことで人を殺すなよ…」と絶句させられますが、2つの足切り死体という奇妙な状況がたった一言で綺麗にピースがはまる心地よさがあります。犯人と探偵のロマンスという点で『黒蜥蜴』が思い浮かびますが、あちらは犯人と探偵、正義と悪という決して相入れない性質により報われない悲劇を描いたものですが、こちらは探偵側の一方的な愛で成立した半共犯的な関係というのが新しいですね。犯人の犯行はすべて絶倫豪商への歪んだ愛に起因するので、探偵の献身的な努力も最初から報われないと分かっているのが切ないです。
本格として1番出来が良いのは『黒い乳房』、それ以外で気に入ったのは『漆絵の美女』です。稀世の美女で何者も惚れさせる金蓮が唯一叶わないと思った相手は死人でした。
p270より
「生きている李夫人は、あなたの恋敵のうちにも入らなかった。しかし、あの漆絵となった李夫人は恐るべし。失った小さな翡翠は、もっている大きな真珠より惜しいものだ。ふたたびかえらないものへの無限の哀情、追憶と幻想が、あの漆絵をまさにこの世のものならぬ夢幻の魅惑あるものに化粧させてしまった。」
うーんかっこいい