【感想・ネタバレ】忍法忠臣蔵 山田風太郎忍法帖(2)のレビュー

あらすじ

殿中での吉良への刃傷沙汰により、浅野家は断絶され、赤穂浪士は仇討の機を窺う。一方、吉良方が頼りとする上杉家では、家老の千坂兵部が女忍者を用い、仇討防止に色仕掛けで浪士の骨抜きを企む。大石内蔵助が同志と密議の最中に、妖美と怪異の忍法が華と炸裂した! 殺気と妖気が奔流のごとくに交錯する!

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赤穂浪士の討ち入りの陰に、それを未然に防ごうとする勢力と応援する勢力があり、またその攻防に伊賀と加賀忍びが暗躍するといったお話。
加賀女忍が繰り出す性的な技はいかにも山田風太郎大先生の作品ですが、後書を読んで忍者を超人的な技を持つ存在として確立したのが大先生だと知って驚いた。
それまでは単なる諜報員に近い存在と認識されていたのでしょうか?
だとすればものすごい偉業なのに、その割に知名度がそれほど高くないのは何故だろうか。

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2025年08月05日

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ネタバレ

忍法の発想がぶっとんでいる。特に歓喜天はすさまじい。私は忠臣蔵をよく知らないが、面白くよめた。

千坂兵部が女忍者をもって仇討ち防止と能登忍者が赤穂浪士を殺害するのを食い止めるのは、はじめから成功を信じていなかったのではないかと思われる。この役割だと女忍者が相手の忍者より相当強くないとできない。それなのに人数も少ない。結局綱太郎が一人で相手の忍者を倒している。
死んでいった大勢の忍者はひとえに綱憲の復讐心の元に死んでいった。これは忠義の元に死んでいったわけである。綱太郎が忠義も女も嫌いと語って終わる。虚しい終わり方だった。

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2017年08月13日

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ネタバレ

相変わらずの面白さ、解説の馳星周氏の言葉の通り「読み出すと止まらなくなる」

元禄赤穂事件を題材にし、赤穂四十七士の討ち入りに至るまでの裏模様を描いている。発端と結末の史実を変えることはない、忍法帖の特色としてその紆余曲折を、虚実合わせて描き、歴史の裏に埋もれたであろう(全くの創作かもしれぬが?)人々(忍者等々)を、誰に偏るでもなく冷徹な視線で描く。その視線からこそが物語中において、強烈な叙情を持って読者に語りかけてくるに容易いのだ。

今作において赤穂四十七士の有名人物も多数登場するが、メインとなるのは「主君の仇をなす血の盟約」から脱盟した者達であった。松の廊下にての刃傷沙汰により浅名家は断絶、赤穂浪士は仇討ちの機を窺う…一方、吉良家が頼る上杉家では、赤穂浪士討つべし!なる勢力と、討たずに仇討ちを阻止すべし!という勢力の内紛が起こる。それぞれに能登忍者、能登くのいちがつき、当の赤穂四十七士のあずかり知らぬところでの忍法合戦が繰り広げられるのだ。くのいち側に主人公無明綱太郎がつき、決して討ち果たすことなく、くのいち忍法にて浪士を骨抜きにし、さらに命を狙う能登忍者から、浪士を影ながら守らねばならない!というハンディキャップマッチとなる。

登場する忍法がぶっ飛んでいるのは毎度ながらも楽しい、中途で脱盟した実在の浪士達がくのいち忍法に篭絡され打ち果てていく姿はまた哀しい。無明綱太郎はオブザーバー的役割でくのいちの補佐もするが、裏切った時の制裁役も兼ねており、「忠」を忌み嫌う虚無の忍者である。その虚無が「討ち入り、仇討ち」の虚無と重なる時、凄惨極まりなくも胸を打つシーンが登場する。

最後の脱盟者となった毛利小平太の章である。くのいちの手引きで、浪士達の妻、妹、娘、女達の悲惨な状況を知らしめられる。いずれも悲惨極まりない最下層の売春婦と墜ちており、性病に侵され、精神すらも病んだ女達を目の当たりにした小平太は心を変える。首魁大石内蔵助を自ら討ち取り、仇討ちを終わらせようとするのだ。しかしながらそれを阻んだのは墜ちた女達であった。彼女達が大石にかけた言葉は今作の中でも特に、さらに言うなら忍法帖の全てにおいても心に残った。「…首尾よう御本懐を……かげながらお祈り申し上げるまする。……」


小平太をして、仇討ちの虚しさを説いておきながら、手のひらを返したように仇討ち為すための犠牲となった女たちによって、それを正当化して見せた。この場面において風太郎氏の歴史観を垣間見た気がした。解説にもあった通り、善も悪もない、ただ人の心のままに歴史は動くのだと。

史実は変わらないのでその通りの結末なのだが、ラストにおいては無明綱太郎の心はさらなる虚無に晒されることとなり憐であった。にしても無明綱太郎強し!忍法帖シリーズにおいてもトップレベル、ライバルはおげ丸か?いや最強の術は甲賀弦之介の瞳術か?こういう楽しみもまた忍法帖なるかな。

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2014年10月02日

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これは面白い。仇討ちから脱盟した赤穂浪人達の物語と捉えれば、井上ひさしの「不忠臣蔵」に匹敵する程の面白さ。快男児然として登場した綱太郎の、終盤に向かうにつれてのあまりの変容ぶりに驚く。

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2014年09月16日

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相変わらずの面白さ。
ぶっ飛んだ忍者が出てくるという
風太郎パターンは同じなんだけど
ついつい読んでしまう中毒的小説。

堅い小説読んだ後にはこういうのお勧め。

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2014年05月27日

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忠臣蔵の赤穂浪士たちを阻止するために上杉家に依頼され、様々な罠を張り巡り画策する無明網太郎と能登の女忍者たち。

相変わらずハラハラドキドキ感がすごい!
一巻よりも更にグロテスクな描写が多いのでちょっとオエッとなったものの、忍法バトルのやり取りがおもしろすぎて一気に読んでしまった。

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2012年01月25日

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相変わらず奇想天外で、馬鹿馬鹿しい。今回は無明綱太郎という主人公の忍者の造型が抜群に良かった。再登場しないかな。

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2011年09月24日

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女体刺身!!

史実が基なので謀略の結果は見えているのですが、無明綱太郎のラストは虚無的で余韻を残します。
「忠臣蔵」という有名な「忠義」をテーマにした事件に、女と忠義を嫌う無明を絡ませたのがおもしろい。
気高き武士道を貫こうとする男達を、あの手この手で堕とそうとする女忍者達は淫乱で壮絶でした。

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2011年09月07日

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『拙者、忠義と女は大きらいでござる』

風太郎忍法帖第七作。
忠臣蔵に忍法争いを絡めるだけでも奇想天外ですが、その舞台設定も想像を超えています。
浅野家の浪士達の討入を阻止するため、忍者を放つは吉良家ではなく上杉家。主君「上杉綱憲」により主導者の討伐を命じられた「能登忍者十人衆」vs 家老「千坂兵部」により浪士討伐を阻止し色仕掛けにより浪士を骨抜きにするよう命じられた「能登くノ一六人衆」と伊賀忍者「無名綱太郎」。何とも複雑な構図です。
さらに、主人公の綱太郎は、風太郎忍法帖屈指の強さを誇りながら、忍法争いには積極的に参加せず、くノ一の補助と監視に徹するという、これまた異色な設定。

忠義と肉欲の間で揺れ動く浪士達の葛藤はもちろん、
忠臣蔵のテーマである「忠義」に投げかけられる疑問も印象的です。
世にもてはやされる忠義とその裏で生じる犠牲。
何が正しくて何が間違っているのか?

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2010年12月04日

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山田風太郎の忍法帖シリーズの2つ目。
甲賀忍法帖はバジリスクのアニメがあったので忍術やキャラクターがイメージしやすかったが、今回は自分の想像力が全くついていけなかった(笑)

女忍者の使う技が常人のアイデアを超越しすぎていてもはや訳がわからない。
これが山田風太郎の作品なのか…と大いに納得した。
んな作品が60年代に描かれていたとは。
当時の読者はどんなものを想像して読んだのだろうか。
男と交わると中身が入れ替わったり、男と交わると血管がくっついたりと、奇想天外な術のオンパレード。

歴史小説は読み慣れていなくて、中々読み進めるのが大変だったが、後半は人物名の漢字も読めるようになってきていた。
歴史小説は今後どんどん読んでいきたい。そうすればスラスラと読めるようになるのだろうか。

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2023年10月15日

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忠臣蔵って苦手です。
歴史ものは大好きなのですが、なぜか赤穂浪士だけは読まない、見ない、知らない、なのです。

しかし、山田風太郎の手にかかれば・・・
期待を裏切らないおもしろさ、相変わらず「んな、あほなぁ」と忍術に突っ込みを入れながら、あっと言う間に読んでしまいます。おもしろい!

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2023年04月24日

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ネタバレ

忠臣蔵の話は元々興味があったので、物語としても楽しめた。しかし、ストレートに忠臣蔵を描いているのではなく、主人公は、赤穂浪士の敵にあたる吉良側だ。主人公の綱太郎は、忠と女を憎む風太郎作品にしては変わった主人公だ。そんな彼は、忠を体現するかのような赤穂浪士たちを、敵陣営でありながら、将来の上杉家の安泰のため、守ることになる。複雑なストーリーだが、大石内蔵助サイドと上杉サイド両方の目線が楽しめる。

忠というのは善なのかそうでないのか。
忠のために捨てられ身を汚した女たちは、それでも敵討を望んだし、一方で忠のために生きようとした織江を綱太郎は許せなかった。
赤穂浪士たちの敵討ちは、彼らにとっては本望であるだろうが、それが必ずしも美談であるとは言えないのかもしれない。

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2022年12月04日

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ネタバレ

前作(甲賀忍法帖)に比べると、スピード感が若干弱いか?
忠臣蔵をベースに、能登忍者と能登くのいちの対決を描くが、主人公の無明綱太郎が別格過ぎて、なんというかもったいない。
そして、切ない。

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2016年10月16日

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ものすごい調理技術を持つ忍者(←かなり違っている)が、捻くれてドイツもコイツも死ねばいいのに、と暴れる話。いや、やはりちょっと違う。多対多、男対女の能力バトルではあるのだけど、主人公は片方の陣営の見張り役であり、見張りが必要なだけあって、登場する女たちはけっこうコロッと男に転んでしまう。忠臣蔵、と銘打っているだけあって、舞台は浅野内匠頭率いる四十七士を巡っての、吉良側の味方同士の駆け引きなのである。

「女と忠義が嫌い」という主人公。ところが実のところ、どいつもこいつも忠義野郎ばかりで、主人公はションボリと去っていく。忠義というのはかくも面倒くさいものか。僕も割と嫌い。

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2022年06月01日

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忠臣蔵か、と思いながら読見始めましたが大分雰囲気が違います。すごくよく考えてストーリーを構成しているなぁ、と素直に感心してしまいます。個人的には主人公の思考の動きがちょっと解せませんね。なので、最後の終わり方もちょっと納得いかないですね。
前作もそうですが、よくもまぁ、一人一人違う忍法を考えるものだと思う。

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2011年11月27日

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ちょっと変り種。主人公が基本的に傍観者なので。忍者対忍者も、間に赤穂浪士挟んでやってるからちょっと変わってる。
それがいいほうに行ってるかは微妙だけど…

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2009年10月04日

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