あらすじ
戦国の魔王松永弾正、己が邪恋を成就せんと、妖術師果心居士の弟子・根来忍法僧に数千の美女狩をさせた。伊賀忍者笛吹城太郎の妻・篝火もまたその贄となって果てた。だが奇怪! 復讐に起った城太郎の前に、弾正の寵姫が、篝火の顔で艶然と微笑み、地獄へと誘う。根来vs.伊賀、容喙する柳生新左衛門の死闘!
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いよいよ人間離れしていく忍者たち。
首から下を別の女とすげ替えられ、すこぶる邪悪で淫蕩な別人へと生まれ変わってしまった主人公の恋人、篝火=漁火。
ここまで読んだ山田風太郎作品の中でもダントツにどす黒いキャラだった。
まるでDIO。
設定からしてモラルを度外視してるんで、果てはどこまで逸脱するのか気になって目が離せなった。
ページから傲慢な高笑いが聴こえてくるようでした。
欲望剥き出しで誰憚ることなく我が道を行く松永弾正も魅力的な悪役だった。
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自らの邪恋を成就させるために根来忍法僧の力を借り、美女狩りを行い始めた戦国初期の奸雄、松永弾正。
伊賀忍者・笛吹城太郎の妻である篝火はその犠牲になってしまう。一命を取り留めた城太郎は七人の忍法僧達への復讐を決意するが、彼の前に篝火の面影を残す魔女と聖女が現れる―。
相変わらずの面白さです。
私的には忍法帖シリーズの中で上位に入ると思います。
同シリーズには珍しく戦国初期を背景としています。
淫石とか、根来忍法僧たちの忍術とか、物理法則を無視しつつも妙な説得力を持ってきます。山田風太郎節とでもいうのでしょうか。さすがです。
若干ややこしく感じましたが、ただの二元的な対立ではないところが、最後まで緊張感を持たせているのではないでしょうか。
お勧めです。
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瓜二つの二人の女。二人の女が愛したのは同じ人物。しかし二人は共に悪者に狙われて……。
という御伽噺のような物語。それを山田風太郎風に魅力あふれる内容に作ってみました、でした。
好きです。
これ。
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忍法帖シリーズ第三弾は映画にもなった伊賀。
このように忍者をただの隠密ではなく人間離れした術の持主としたのは山田大先生であり、世界的な忍者ブームの火付け役だと考えると偉大です。
今回はあまりにエログロな内容なので、流石に映画では本筋をある程度なぞりながらもマイルドな表現になっていました。
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個人的に、篝火のキャラがすごく迫力あって好きでしたね。
まぁ悲劇のヒロインポジションなんですが、死ぬ間際残した言葉が
『仇を討ってくれ』『私以外の女と寝ないでくれ』です。
物凄く素直な言葉だと思うんですよ。こういう役割を与えられた登場人物って、やっぱり綺麗な事を言う最期が多いような気がします。
それこそ私の事は忘れてだ、貴方は幸せに生きて、だ。
それが嘘だとは言いませんけどね。でもやっぱり、志半ばにしてこの世を去る人間としての、非常に説得力のある呪詛の言葉のように感じましたね。
新左衛門の立ち位置が格好いいんだけど・・・惜しいような。城太郎の知らない所で1人くらい根来衆を討つくらいの暗躍が見たかったなあ。
強者のポジションが与えられているだけに、尚更ね。
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忍法帖シリーズも順調に進んでいます。全般的に美女とエロが出てくる忍法帖ですが、これまでの作品では手段であったエロが、はっきり目的となっているところがいとをかし。とはいえ、その目的を果たすためにすることが、またエロなのである!
それ故に、これまで以上に全編にわたって艶かしい話が続きますが、一方で登場するスタンド使い(違うが)も多彩になってきます。そして、悲しい別れもあるものの、この話はなかなかの勧善懲悪。主人公は敵のような特殊能力を持たず、がんばりと主人公補正でなんとか役割を全うしていくのです。当然のごとく人はバンバン死ぬし、血やらいろんな液がドバドバでるわけだけど、なのになんとも爽やかなのである!
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忍者同士のバトルを盛り上げる「能力」の演出。
敵の下劣さを鮮明にする卑猥な行い。
主人公の葛藤に同情せざるを得なくする悲劇の設定。
面白くないわけがないじゃないか。
山田風太郎は偉大です。
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一気に読めるスピード感とエロチズムに溢れた情景描写と構成。気軽に読めて、しかも、また読んでも愉しめます!ムズムズしちゃう場面がいっぱいですね。
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色んなものをぶっちぎった忍者集団vs.フツーの忍者
瓜二つの悪女系美人vs.聖女系美人(人妻)
松永弾正とか果心居士とか諸々一癖二癖のおっさん&じーさんとてんこもり。
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戦国の梟雄・松永久秀が悪逆の限りを尽くす。隠れ久秀ファンの自分としては嬉しい限り。ただ、果心居士の愛弟子の忍者が意外にあっさり倒されていくのは残念だった。久秀が三好家滅亡後もしばし生き延びていたため、はっきりしている史実は曲げないという方針の山田作品の都合上、強引に15年の間隔があいてしまうが、忍法というものを前提として読んできている以上、それを気にしても仕方がないだろう。史実を無視して久秀を無理に殺してしまうと、収集のつかない荒唐無稽になってしまうのだし。
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主人公地味だけど、少年漫画風の展開で面白いとは思う。中身は少年どころじゃないけど…汁が飛び交いますw
後半、かなり盛り上げといて、最後の最後で梯子外されたような落ちがおしいなぁ。
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甲賀忍法帖と共通するのは、滅びの美学、そして勧善懲悪ヒーローものではないということ。映画との大きな違い。けれども、果心居士=成田三樹夫を配役したのは絶妙。
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その昔、映画を見た記憶があるが・・・八犬伝と混じって覚えているようだ。原作は初読み。
相変わらず、すごい面白い物語だ。いよいよ人間離れした忍者たち。今回は主人公がわりと普通(必殺技がないだけ?)なので主人公に感情移入しやすい。が、出てくる女性キャラが素晴らしい。美人ですごくエロチックなのがまたいい。
この「篝火」、渡辺典子が演じたんだよなぁ。
男性陣、映像チェックしたくなりますよ。
Posted by ブクログ
久々の風太郎作品。主人公の笛吹城太郎のキャラが弱かったかもしれない!今回は1対7。敵の数は多いが、さくさく進んでいくので読みやすい一方、敵方にあんまり個性を感じられなかった。
しかし、山田風太郎の読ませる力って本当にすごいなと思う。忍法ものとはいえ、古い時代の本なのに、全く退屈させない。次はどの忍法帖を読もうかな。
Posted by ブクログ
いつもの超人忍者のバトルアクション小説。
ただ敵の忍者が超強くて、主人公が弱すぎる。
むーイライラする。
相変わらず面白いことは面白いが、
悪は死なずますます栄えるというのが、
どーもスッキリしねー。
Posted by ブクログ
チートな主人公よりも死線ギリギリで策を凝らしながら勝ち進む主人公のほうが肩入れできるというのを再認識しました。
奇人変人シリーズのなかにあって技も精神も青臭い城太郎が七人衆を一人一人倒していく過程もいいけど、果心居士に拉致されてから松永を斬るまでの間にどういう過程をたどったのかも気になる。篝火を死なせた遠因が果心居士にあるんだからなおさら気になる。
Posted by ブクログ
全然知らなかったがこの本ってかなり昔の本なんだねぇ。なのにこんなに読みやすく書いてあるなんてこの作者すごかったんじゃないかと思ってしまった。
今回の中心人物の一人が松永弾正。名前はなんとなく聞いたことある大名だったけど、小説なんで話半分にしてもなかなかあくどい人だったんすね。弾正が好きになった主家の奥さんに横恋慕しただけじゃなくて、我が物にしちゃおう!、とか考えちゃうところからスタート。考えてたところを、妖術使いの弟子達が手助けしてさぁ大変、という話。
まぁ、毎度毎度よくもまぁ設定を思いつくなぁと感心しますわ。はい。
Posted by ブクログ
構成や流れが良く、頭の中で映像化すると
漫画みたいで退屈せず楽しめた。奇怪な忍術など斬新だった。
忍術は魔法のようなもので、詳しく物理的な理由が
無かったのが残念だったけど、まあいっか。
最後の主人公の復讐像がちょっとフンワリしてた。
Posted by ブクログ
二人のそっくりな女…からさらにもう一人の女が加わる事によって、状況が思わぬほうへと転がっていく様がおもしろい。
漁火と篝火の二人で出来上がった、美しく聡明で豪胆で淫乱な女が壮絶でした。
若く荒削りな主人公が、自分よりずっと上手の相手に挑む復讐劇も楽しいです。
歴史的事実との辻褄合わせがいつもうまくて、最初に出てきた予知能力が最後の結末にこういった形で関わってきたのが意外でした。
だれもかれもがかっこよかったです。