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偶然に頼りすぎる展開が玉に瑕だが、これも娯楽小説ならでは。
ラスト近くでは太平洋戦争を予言するような少しシリアスな会話部分もあるのがちょっとしたスパイス。
実在の人物と架空の人物が絡んで物語が展開してゆく面白さは格別で、娯楽小説として満点の星五つ。
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警視庁VS江戸町奉行の対決という構図が素晴らしい。開化の時代の人々の心情などがよく描けていて、この時代でしか成立しえないミステリーになっている。
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ずっと読みたかった作品。
最初は久々の明治もので読みにくかったけど、展開の巧みさにどんどん引き込まれてあっという間に読んでしまった。いや、むしろ読み終わるのが惜しくて最後の方はわざと読むペースを落としたほどである。
山田風太郎作品の好きなところは、話のおもしろさ、飛び抜けた発想、読者を飽きさせない巧みな展開などはもちろんだが、何より風太郎独特の清々しくて切ない物語の閉じ方である。読後感をあえて言語化するなら、「卒業式の朝」だろうか。新しいスタートを感じさせる清々しさの中に、二度と手に入らない大切なものを失ってしまったような切なさがある。
本作もやはり、そのような終わり方で、心に残るものがある。そして、明治という、混乱した世の中で必死に生きていく人々の姿が鮮やかに描かれている。
心に残る一冊だった。
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初代警視総監である川路大警視と、最後の町奉行 駒井相模守という対照的な二人を中心に綴られる明治初期の物語。
川路大警視については、警視庁のポリスミュージアムで警察サイドから見た功績を学んだことがありますが、味方を変えれば目的のためなら手段を選ばない意思と強さと謀略の凄まじさは、ある意味ではこの時代だからこそ必要だった人だと改めて思い知りました。
明治が舞台だけあって少し読むのに集中力が必要かなところがありますが、とても中身の濃い作品でした。
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川路大警視とご隠居様の長い闘いがここで終結。
気球に乗ってしまうのはビックリだが、明治の文物、風土、思想まで全てが登場人物の動きにあわせて動いていく筆致が素晴らしい。