あらすじ
それぞれ視察・研究などの目的でパリを訪れていた川路利良、井上毅、成島柳北。一行はゴーギャン、ヴェルレーヌが関係する日本女性の殺人事件に巻き込まれてしまうが……。円熟の筆致で描かれる華麗な人物絵巻。時代の変革期を舞台に、歴史を彩った人々が織りなす破天荒な物語の後篇。本巻には三篇を収録。
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Posted by ブクログ
収録作・・・「巴里に雪のふるごとく」「築地西洋軒」「横浜オッペケペ」
上巻よりも、やや群像劇風の印象が強かった。
展開がめぐるましく、これでもかとばかりに(笑)著名人がたくさん登場して、サービス満点だと感心した。
たくさんの登場人物が入り乱れ、あれやこれやとトンデモな展開が巻き起こるものの、読んでいてまったく呆れない。
むしろ、山田風太郎とは、素晴らしいエンターテイメント作家なのだな、と驚いた。
登場人物たちの魅力もさることながら、下巻ではその旺盛なサービス精神に魅了される。
強烈なキャラクターを親しみのある人物として描くのが上手い。
上巻でも私は樋口一葉のキャラクターにほれ込んでしまったが、下巻でも野口英世の描かれ方にとても惹かれた。強烈なエゴイズム、まさしく。しかし、そんな人物を魅力的な愛嬌のあるキャラクターに描く山田風太郎こそ、あっぱれである。