【感想・ネタバレ】明治十手架(下) ――山田風太郎明治小説全集(14)のレビュー

あらすじ

出獄人保護の仕事を行う熱血漢、原胤昭は悪逆な巡査たちの謀略により獄囚の身になってしまう。一方、無私の魂を持った姉娘の死をさかいに、原に恨みを持つ犯罪者たちの心は大きく揺り動いていく。十字になった秘密の十手架を持つ原の運命は? 幼き日の一葉、漱石、子規らも姿を見せ、奇想天外の物語は意外なクライマックスを迎える。他に大津事件関係者の後日譚を描いた『明治かげろう俥』、ロンドンを舞台にした『黄色い下宿人』の二篇を収録。

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Posted by ブクログ

忍法帖ばりに異形の半端者たちが正義のために暴れまくるエログロ山田風太郎の真骨頂、そこに信仰と神の奇跡を絡めた勧善懲悪痛快アクションエログロキリスト教伝奇小説。十手使いの元与力、原胤昭は石川島牢獄の看守を辞めて子供の頃から知る美人姉妹と絵草紙屋を営なむ。彼を慕ってやって来る出所した者たちの相談に乗りながら十手片手に極悪な官憲に立ち向かう。しかし原は嵌められて獄中へ。更に恋するお夕さんは追い詰められて自死。命を狙われる原。原とお夕にかつて助けられた異形の悪党どもが命を賭けて敵を倒していく。彼らはお夕の最期に神を見たのだ。ラストの奇跡は神の御技か超常現象か。抜群に面白い!

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2020年11月22日

Posted by ブクログ

善と悪、そしてその橋渡しの役目を担う主人公というわかりやすい構図。美人姉妹とのドキドキもあるし、「けだもの勝負第〜番」の流れはまるで「忍法帖」…というかなりサービス精神の強い作品。同時収録の『明治かげろう俥』は大津事件をきっかけに4人の男女の数奇で壮絶な運命を描く。かなり壮絶。『黄色い下宿人』はホームズパロ。

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2016年12月25日

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