山田風太郎のレビュー一覧
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以前から、かなり長い年月、読んでみたいと思っていたんですね。山田風太郎さんの明治モノ。
というか、恥ずかしながら山田風太郎さんが、読んだことなかったんですね。
なんとなく、若い頃は、青臭い心に「忍術モノは別にいいや」とか思っていまして。
もうずっと、ほんとにこの10年くらい、読んでみたいなあ、とは思っていたので。ようやくでした。
面白かったですね。これ。
1973年から「オール読物」連載らしいですね。40年前ですね。
明治初期、明治6年から明治9年くらいのお話。連作短編です。娯楽作品です。
毎回、何かしらの犯罪があります。一応、「善玉=可哀そうな、応援したくなる人」がいて「悪玉=成敗したくな -
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幕末維新を牽引した偉人の夫人達を描いた歴史小説。
コミカルな中にも史実が散りばめられており歴史を学ぶ上でも為になる一冊。
男性側の人物の特徴もうまく捉えられており興味深い。
登場人物は井上馨夫人、伊藤博文夫人、山縣有朋夫人、黒田清隆夫人、森有礼夫人、大隈重信夫人、陸奥宗光夫人、ル・ジャンドル夫人。
そこに鹿鳴館の舞踏会の人集めに奔走する山本権兵衛と大山捨松が登場する。
偉人を支えている女性達がとても強かで、ある意味で彼女たちにも国家を支えていく気概が強かったのだろう。
明治時代は欧米化が進む中で女性の社会的立場も大きく変わりつつあり、戦前の昭和とは違い、当時の女性の生き方、考え方を知ることも -
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ネタバレ設定がいいですよね。
自由奔放に生きている青年たちが好きな女の為に命を賭けて使命を果たそうとする・・・。ワクワクするお話です。
この八犬士たちがお互いさほど仲いい訳じゃないってのがまたいい味出していたように思います。
確かにね、皆村雨を狙っていると知っているなら、変に手を取り合うよりも抜け駆けも辞さぬ、いい所見せたいと考えるのが自然でしょうから。
忍法合戦については・・・、ちょっと意図が分からない点もあったかな?
意図と言うか、なぜそこまでして性を絡めようとするのか。
犬坂毛野のち●こ切り落として影を作る忍法とか、作者にとってち●こじゃないとダメな理由って何かあったのかな?と変な所が気になり -
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安房の里見家に伝わる伏姫の珠がすり替えられてしまった!? 仁義礼智忠信孝悌の八つの珠に変わるのは、狂戯乱盗惑淫弄悦の偽の珠。全ては里見家取りつぶしを狙う本多佐渡守の仕業――自分の所為で里見が狙われたと思い、奔走する村雨姫。彼女の為に八犬士の子孫、けれどもろくでもない男ばかりの面々は甲賀で修業した忍術を駆使し、伊賀くノ一八人衆に立ち向かう。凄絶かつ妖艶な珠の奪い合い、ここに開幕!
山風の八犬伝は読んだことあるけど、思えばちゃんとした彼の忍者小説を読んだのはこれが初めてでした。忍法~の方を先に知ってたんですけどね。読むのが大分遅れてしまった。最初雑事があってなかなか読書が進まなかったけど中盤に入 -
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戦争ものに興味があり、自分なりに結構読んで来た……ようなつもりでしたが、こんなのがまだあったとは。
小説はたくさん読んだけど、あの頃を生きた人の「日記」を読んだのは初めてかも。
文語体の文章が少々とっつきにくいので、読み飛ばしてしまった箇所もあったけど、昭和二十年に東京で暮らしていた青年の生活や思ったこと、読んだ本などが書かれていて、とても興味深かったです。
驚いたことがいろいろ。
まず知らなかったのが、医学生は「学生」でいられた、ということ。
勉強不足でした。
東京大空襲があった日でも、大学では試験があったこと。
あんな時代にエイプリルフールで(この人だけかもしれないけど)嘘をつい -
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山風明治短編選集、最終巻は、明治ものを手がける以前の、たまたま(?)明治を扱った短編を集めたもの。
しかしここで扱われている作品は、図らずも「時代の大きな事件の影で、その人生を破滅へと向かわせることになった人々の物語」が集められているように感じた。そのため、読んでて実にキツいものが多かった。
それにしても、表題作の登場人物、向畑治三郎の本当どうしようもない人生の変遷を描き、最後に「この無類に好人物の、哀れな、罪のない男の幸福な晩年を祈りたい。」と表する、作者の度量の深さに驚嘆する。それとともに、その思いを裏切るかのようなラストの"史実"にもまたどうしようもない人間のあり