山田風太郎のレビュー一覧
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ネタバレ相変わらずの面白さ、解説の馳星周氏の言葉の通り「読み出すと止まらなくなる」
元禄赤穂事件を題材にし、赤穂四十七士の討ち入りに至るまでの裏模様を描いている。発端と結末の史実を変えることはない、忍法帖の特色としてその紆余曲折を、虚実合わせて描き、歴史の裏に埋もれたであろう(全くの創作かもしれぬが?)人々(忍者等々)を、誰に偏るでもなく冷徹な視線で描く。その視線からこそが物語中において、強烈な叙情を持って読者に語りかけてくるに容易いのだ。
今作において赤穂四十七士の有名人物も多数登場するが、メインとなるのは「主君の仇をなす血の盟約」から脱盟した者達であった。松の廊下にての刃傷沙汰により浅名家は断絶、赤穂浪士は仇討ちの機を窺う…一方、吉良家が頼る上杉家では、赤穂浪士討つべし!なる勢力と、討たずに仇討ちを阻止すべし!という勢力の内紛が起こる。それぞれに能登忍者、能登くのいちがつき、当の赤穂四十七士のあずかり知らぬところでの忍法合戦が繰り広げられるのだ。くのいち側に主人公無明綱太郎がつき、決して討ち果たすことなく、くのいち忍法にて浪士を骨抜きにし、さらに命を狙う能登忍者から、浪士を影ながら守らねばならない!というハンディキャップマッチとなる。
登場する忍法がぶっ飛んでいるのは毎度ながらも楽しい、中途で脱盟した実在の浪士達がくのいち忍法に篭絡され打ち果てていく姿はまた哀しい。無明綱太郎はオブザーバー的役割でくのいちの補佐もするが、裏切った時の制裁役も兼ねており、「忠」を忌み嫌う虚無の忍者である。その虚無が「討ち入り、仇討ち」の虚無と重なる時、凄惨極まりなくも胸を打つシーンが登場する。
最後の脱盟者となった毛利小平太の章である。くのいちの手引きで、浪士達の妻、妹、娘、女達の悲惨な状況を知らしめられる。いずれも悲惨極まりない最下層の売春婦と墜ちており、性病に侵され、精神すらも病んだ女達を目の当たりにした小平太は心を変える。首魁大石内蔵助を自ら討ち取り、仇討ちを終わらせようとするのだ。しかしながらそれを阻んだのは墜ちた女達であった。彼女達が大石にかけた言葉は今作の中でも特に、さらに言うなら忍法帖の全てにおいても心に残った。「…首尾よう御本懐を……かげながらお祈り申し上げるまする。……」
小平太をして、仇討ちの虚しさを説いておきながら、手のひらを返したように仇討ち為すための犠牲となった女たちによって、それを正当化して見せた。この場面において風太郎氏の歴史観を垣間見た気がした。解説にもあった通り、善も悪もない、ただ人の心のままに歴史は動くのだと。
史実は変わらないのでその通りの結末なのだが、ラストにおいては無明綱太郎の心はさらなる虚無に晒されることとなり憐であった。にしても無明綱太郎強し!忍法帖シリーズにおいてもトップレベル、ライバルはおげ丸か?いや最強の術は甲賀弦之介の瞳術か?こういう楽しみもまた忍法帖なるかな。 -
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忍法帖も11まで来た。ずいぶん厚い。上下巻にわかれてもいいのではないか、という厚さ。一日で読めなかった。
今回の登場キャラクターは、7人の香具師、7人の女忍者、3人の魔人(強い忍者)。例によって多対多の戦い、と言いたいところだけれど趣がずいぶん違う。香具師のなかでもキャラの描写具合にずいぶん差があるし、女忍者などはもう誰が誰やら。
圧倒的にキャラ立ちしているのは、アイドル麻也姫である。言ってみれば天然、であるが、故にまわりをブンブン振り回し、いろんな人の運命が彼女を軸にかわっていく。げに恐ろしきは天然女である。
「胡乱」「凄艶」といった、普段使わない言葉が頻発する。胴切りになって死ぬ人は、果たして何人いただろう。香具師の、人を人とも思わないような導入部分からしばらくは、ずいぶん非道い話なのであるが、終わってみればなんと爽やかであることか。これを読んで香具師になりたいと思った人は多いはず。ぼ、僕は違うんだからね!
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「次は、『魔界転生』を描け~!!」
とわめいていたので、この展開は、けっこううれしかったりします。
このまま、十兵衛三部作を全部マンガにしてほしいです。
しかし、この題。ちょっと、笑いました。
Yは「柳生」で、十が「十兵衛」なのはすぐにわかったけど、Mって何?て思いました。
Mは、光厳のMなのね。
あと、「この物語は無論のこと創作物(フィクション)也」というのも、笑ってしまった。
「也」ってなんナリ?
そんなしゃべりかたする人は、「キテレツ大百科」のコロ助ぐらいしかしらないナリよ。
いや、ホント、期待しています。
「んふっ」
に若干の不安はあるものの(笑)
般若面、正体まるわかり(笑) -
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小学生の頃に映画を見た覚えがある。断片的にしか覚えていないけど、天草四郎時貞、沢田研二の首が印象的だった。そちらと設定は共通だけど、登場人物は少々違う。ラスボスも違う。
転生衆の禍々しさに対して、柳生十兵衛と柳生衆の、お気楽とまでいったら悪いけど、事の重大さがどこまでわかっているのか(いや、転生など当初はわかるはずもないのだが)、その対比がすごい。
もともとは「おぼろ忍法帖」という名前だったそうで、忍法帖シリーズだけど、やっぱり「魔界転生」でよかったと思う。忍法の出番は多くない。転生衆との戦いも、基本は剣の戦いである。名だたる剣豪たちの夢の戦い。登場人物の心のゆらめき。ここまで読んできた忍法帖とは趣が異なるが、しかし十分に堪能できた。
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八犬伝である。安房里見家、伏姫に由来する八つの珠が、バカ殿のスケベ故にすり替えられてしまう。取り返すべし、甲賀で修行を積んだ八犬士の末裔よ! というアウトラインだが、実はネオ八犬士たちは、修行なんてかったりいこと出来るかよ、と既に甲賀を逃げ出して、思い思いの暮らしを満喫中。珠大事、忠義大事の古い家柄に辟易としていて、さてコイツらをどのようにして引っ張りだしたら良いのか。けれど里見家の仕掛けでは、彼らを動かすどころか、見つけることさえ出来なかった。
彼らを突き動かしたのは何か。何を隠そう、彼らには共通のアイドルがいたのだ。彼らが出奔することになった原因でもあり、それ故にこの使命を果たそうと決意をするだけのアイドルが。
さあこのアイドルがどんなエロい目に、と期待した人、忍法帖に毒されすぎですよ。例によって8対8の能力バトル、ではあるけれど、直接能力よりも、バトルを有利にするための背景の仕掛けに妙がある。兎も角、アイドル村雨姫に萌えろ(違うぜ)! -
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忍法帖シリーズも順調に進んでいます。全般的に美女とエロが出てくる忍法帖ですが、これまでの作品では手段であったエロが、はっきり目的となっているところがいとをかし。とはいえ、その目的を果たすためにすることが、またエロなのである!
それ故に、これまで以上に全編にわたって艶かしい話が続きますが、一方で登場するスタンド使い(違うが)も多彩になってきます。そして、悲しい別れもあるものの、この話はなかなかの勧善懲悪。主人公は敵のような特殊能力を持たず、がんばりと主人公補正でなんとか役割を全うしていくのです。当然のごとく人はバンバン死ぬし、血やらいろんな液がドバドバでるわけだけど、なのになんとも爽やかなのである!
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【元祖能力バトル】
ひょんなことから「柳生忍法帖」を読んだら大変興奮しましたので、忍法帖シリーズ全部読んでみよう、ということで第一弾から。「柳生」には実際のところ、そんなに多くの忍法は出てこなかったのだけど、こちらに出てくる伊賀甲賀の代表選手(選手なのだ)20名は、もう忍法というよりも超能力というか超生物というか、そういう方々ばかり。
でも、思いがけず清々しい人たちも登場する。
そんな人々の、末期こそ想像通りではあるものの、この能力がこいつに負けるのか、と…。後のジャンプ漫画の作者(よりも、編集者かな)に大きな影響を与えたに違いない、と思うのでした。古典と呼んでいいかわからないが、ああ堪能した。