山田風太郎のレビュー一覧

  • 警視庁草紙(上) ――山田風太郎明治小説全集(1)

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    大好きなシリーズの第一弾を改めて読む。
    警視庁VS町奉行の闘いも去ることながら、実在の人物達が縦横無尽に活躍する姿が面白い。

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    2017年06月06日
  • 虚像淫楽 山田風太郎ベストコレクション

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    山田風太郎は本物のストーリーテラーであることが分かるし、本当に文章が上手い。長いことずっと忍法帖のイメージしかなかったのだが、ここ何冊かでそれは大きく覆った。ここには9つの短編が収録されているが、いずれもが変幻自在なアイデアに満ちている。その視点は人間の深層を探り、戦争を憎み、何よりも小説的な面白さの追求に向けられている。
    「厨子家の悪霊」と「黒衣の聖母」が好きだ。

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    2017年05月21日
  • かげろう忍法帖 山田風太郎忍法帖(12)

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     怪異忍者出現の短編9作品。

     怪しげな忍者の影を通して、歴史の裏側に迫るミステリー要素も楽しめる作品ばかりでした。

     特に、その中の一編「忍者本多佐渡守」は秀逸でした。

     権力を維持していく世代交代のために補佐役が果たす役割を忍者という非情の手段で決断していく展開はとても読みごたえがありました。

     忍者を通して歴史上の人物の新たな一面を知ることができた感じです。

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    2017年04月17日
  • 夜よりほかに聴くものもなし 山田風太郎ベストコレクション

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     犯罪者それぞれの背景に心揺れる一人の刑事を通して、哀愁漂う事件を描く連作ミステリー。

     犯罪の裏側に隠された悲しく切ない心の葛藤にページをめくる手が止まりませんでした。

     書かれた当時の世相を象徴しているような事件の裏側も描かれていて、今読むと当時の人々の息遣いが感じられるようでした。

     どの作品も最後に刑事の同じ言葉で締めくくられるのですが、その言葉の重みが最後に心に染み入るようでした。

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    2017年03月27日
  • 誰にも出来る殺人/棺の中の悦楽 山田風太郎ベストコレクション

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    何冊目かの山田風太郎。ほんと素晴らしい。ほんとの物語作家だ。これを読んでしまったら、そのへんの小説なんて薄っぺらくて読めやしない。それほどに。
    人間の醜さや狡猾さや情念や、様々な人間を描き出すこの物語たち。「誰にも出来る殺人」「棺の中の悦楽」の2編の短編連作が収蔵されている。どちらも面白いが、特に「棺の中の悦楽」にはやられた。序章から充分に興味を引き付ける舞台設定で幕を開け、途中のエピソードで人間の様々な在り様を見せつけ、終章でこれ以上ない皮肉で締めくくる。この苦さよ!!これこそ物語であり、小説の一つの頂点ではないかとさえ思わされた。素晴らしかった。

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    2017年03月21日
  • 虚像淫楽 山田風太郎ベストコレクション

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     山田風太郎の初期ミステリー傑作選。

     今まで作者の忍者物と明治物ばかり読み漁っていて、ミステリーの方は手に触れることがなかったのですが、読んでみたら、やはり山田風太郎、読み応えのある作品ばかりでした。

     忍者物に通じるエロティシズムや一筋縄ではいかない奇想天外なストーリー構成などが展開し、作者の魅力を再発見した感じでした。

     特に、人間の深い心の闇の部分を描写したストーリー展開は、ある意味人間ドラマのリアリズムを追求したようで、とても興味深かったです。

     まだまだ人について理解が不十分であることを実感しました。

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    2017年03月21日
  • 幻燈辻馬車 下 山田風太郎ベストコレクション

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    奇抜な設定で明治という時代を描いた秀作。辻馬車屋の千兵衛とお雛の前に現れる様々な人物の人間模様を通して、依然江戸時代~幕末の遺恨を引きずっている明治10年頃の在り様が、見事なまでの活劇となって活写されている。千兵衛のヒーロー感もあって、印象としては続き物の紙芝居を見ているような感覚だった。実在の歴史上人物も多数登場し、飽きさせない。たぶん歴史の勉強にもなる(笑)。
    残念だったのは、「太陽黒点」や「明治断頭台」のように物語が最後に暗転するといった趣向がなく、2作と比べての衝撃が少なかったことと、トト様とババ様の幽霊が出てくることについての理由付けと説得力が欠けていたことだ。
    しかしこれ読んで、板

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    2017年03月09日
  • 十 ~忍法魔界転生~(10)

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    おそらく、本編で一番オリジナル要素が多い巻ではないだろうか。

    原作では「文字ではいいけど絵にするとすげーしょっぱいだろうなぁ」と思っていた天草四郎戦が大幅改変。と、ここでこれまでの色々何気ない描写だった所が実は「この展開」のための伏線だったということに気づく。多分作者的に愛されていたんだろうなぁこの両人。

    と、突然意外なゲストキャラ。これもまたある意味せがわ先生のオリジナル展開で生まれたキャラですな。
    ドラマ的には彼を魔人宮本武蔵と出会わせたいところでありますが、このまま何事もなく余生を過ごさせてあげたい気もします。

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    2017年02月26日
  • 魔界転生 下 山田風太郎ベストコレクション

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    名だたる剣豪たちが魔界転生するまでが少し単調でしたが、魔人たちが転生衆として集って柳生十兵衛と相対するようになってからの盛り上がりが凄かった。
    研鑽を積んだ者同士、一太刀で勝敗が決する緊張感のある戦いを存分に味わうことができて、充足した思いに満たされています。

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    2017年01月25日
  • 警視庁草紙(下) ――山田風太郎明治小説全集(2)

    購入済み

    さすが山田風太郎

    スーパー明治初期大戦。あの時代の知識がある人ほど楽しめるはず。

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    2017年01月04日
  • 太陽黒点 山田風太郎ベストコレクション

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    ネタバレ

    あらすじから貧困層主人公の富裕層への復讐劇かと予想していましたが、男女の恋物語が始まって肩透かしを食ったわ~となってたらラストで見事にひっくり返されました。
    このトリックの成立するバランスと犯人の語る幻想と観念に完全にねじ伏せられ一気に手のひら返しちゃいました……

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    2016年12月28日
  • 太陽黒点 山田風太郎ベストコレクション

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    山田風太郎といえば忍法帖。なのだけれど、あえてこれを読んでみた。かつてどこかの本屋で偶然見かけて以来、ずっと気にかかっていた本。何年か経った今再び出会って読んだのも、すべては天の巡り合わせだろうと思う。今このタイミングで読むべし、ときっと誰かが言っていたのだろう。
    さて、なんの予備知識もなく読み始めてみたけれど、これはかなり衝撃的だった。わりと軽めの口調で語られる物語の滑り出しからは想像もつかないところへ最終的には連れていかれる。連れていかれてしまう。「堕落願望」「破滅願望」とでも言うべきものを描きながら、最終的には、そんな甘っちょろいこと考えてるお前らは平和ボケ野郎共だな!と糾弾されてしまう

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    2016年12月11日
  • 魔界転生 上 山田風太郎ベストコレクション

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    沢田研二映画を若山富三郎目当てで見たのがきっかけで。

    映画版とおそろしく内容が違うんですね。びっくりしました。
    昭和の脂ギッシュなサラリーマンが好きそうなえろぐろシーンになんども挫折しそうになりました。これさえなければめっちゃ面白いのに!と。

    十兵衛が出てくるあたりからテンポアップで一気読み。
    斬新な発想ですすめられるお話に、超ワクワク!

    しかし山田風太郎の作品はあまり巷の本屋さんで扱っていなくて探すのが大変です。巨大本屋さんまで行かないと……


    ※田宮坊太郎が講談や歌舞伎で有名だとか
    宝蔵院だれそれも有名とか
    十兵衛のお父さんたちの確執とか
    知らないことがいっぱいでした。
    こういった

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    2016年10月05日
  • 魔界転生 下 山田風太郎忍法帖(7)

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    ネタバレ

     魔界転生下巻。対宝蔵院まではとても面白く、先を読みたくて仕方がないほどの吸引力があるのですが、その後が、面白いは面白いものの、少し単調になってしまうのが難点かなと思います。
     魔剣士対十兵衛→なんらかの理由があって十兵衛に有利な事情が生じ、十兵衛が勝つ、というのを繰り返していくので驚きがなくなってしまうのです。
     特に十兵衛と関係のある又右得門や如雲斎、但馬守の扱いをもう少し工夫すればもっと面白くなったのではないか、と思ってしまいます。
     そういう意味では、但馬守を実質ラスボスに据えた深作版の方が、魔剣士の扱いは良かったかなと思います。
     また、柳生十人衆や三人娘など人数は多いため話の焦点が

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    2016年10月02日
  • 新装版 戦中派不戦日記

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    山田風太郎 「戦中派不戦日記」 昭和20年 敗戦前後における自分との対話という感じ。当時の著者は 戦争肯定、玉砕上等、復讐のための復興 という思想を持っている


    この本の命題は 著者の言葉「戦争の前は憤怒なり。戦争の中は悲惨なり。戦争の後は滑稽なり」にあると思う。

    著者は戦後の何に滑稽さを感じたのか 特定できなかった
    *死ぬべき世代(戦中派)である著者が 生きようとする姿?
    *戦争責任をすべて軍人に押し付けた民衆の姿?
    *科学を勉強し 軍事力を上げ 再び戦おうとする姿?


    8/15 の日記 「帝国ツイニ敵に屈ス」の一言のみ
    *ショックの大きさ、自暴自棄の心情を感じる
    *戦争=科学→戦争の

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    2016年09月25日
  • 夜よりほかに聴くものもなし 山田風太郎ベストコレクション

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    老刑事が様々な動機を持つ被疑者にワッパをかける連作ミステリー。
    キメのセリフは同じだが、そこに至るパターンは千差万別。密度が濃いの短編というのが素晴らしい。

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    2016年08月23日
  • 十 ~忍法魔界転生~(9)

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    今回の漫画化にあたり、お品が一番膨らませられているというか、ここまでお品メインな『魔界転生』があったであろうかw

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    2016年08月20日
  • 戦中派焼け跡日記

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     作家山田風太郎が昭和21年、24歳の医大生だった時に書き記した1年間の日記の記録。

     戦後の1年間を市井の人の視点から世相を書き表した貴重な記録だと思います。

     文体は文語体なので、なかなか読み進めるのが大変でしたが、当時の様子や気持ちが当時の雰囲気のまま伝わってくる感じでした。

     暗い日常にあって、文学と映画をこよなく愛し、自分のこれからの進路を見つめていく一人の青年の思いを21世紀に生きる自分が受け取った感じがしました。

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    2016年03月17日
  • 甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1)

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    まず何より読んでいて楽しい。
    大勢の忍者が出てきても、個性が埋もれることなく、相手によって武器にも弱点にもなるという勝負の妙がよく描かれている。

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    2016年03月05日
  • 十 ~忍法魔界転生~(8)

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    展開的には地味ともいえるんですが、せがわ先生の迫力ある描写が光る。

    にしてもやはり、四朗、お品あたり書いている時が一番生き生きしている気がするなぁw 『鬼切り』の頃から、こういう蓮っ葉(?)なキャラが好かれているような。

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    2016年02月14日