あらすじ
昭和21年の日本を克明に綴った傑作日記。
昭和21年。のちに山田風太郎として、さまざまな人気作品を世に送り出すことになる希代の物語作家は、そのとき、24歳の医学生だった。勉学に勤しみながらも、大量の本と映画に囲まれていた。
〈吾々はこの前途に全く光のない暗黒の惨憺たる日本に生きている。聞こえるもの飢餓の呻きと「戦争犯罪人」への罵倒と、勝利者への卑屈な追従の声ばかりだ〉
激変する情勢、占領下での厳しい暮らし、東京裁判と天皇の巡幸、変節する人々の価値観……。
激動の一年を克明に綴りながら、透徹した目で何を見、何を考えていたのか。 第一級の昭和史資料が、ついに電子化。
『戦中派虫けら日記』『戦中派不戦日記』に続く、山田風太郎の戦後日記の第一弾。
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Posted by ブクログ
ほぼ同い年の時に、なんて厳しくてタフな次元で悩んでいるんだろう。
「真に勝利者を信ずべきか否か。」
「どちらがほんとうなのか?どちらもほんとうである。いや、ほんとうなのはこの「変化」そのものである。」
「吾々が「だまされていた」ことを確認するなら、まだ問題は簡単である。しかし「だまされていた」ことさえも信じられないものを!」
昭和21年の青年の深い困惑と懐疑を感じる。しかし、上の世代への怨みは感じない。プラカード事件への感想には、感じ入るばかり。