山田風太郎のレビュー一覧
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ネタバレ相変わらずの面白さ、解説の馳星周氏の言葉の通り「読み出すと止まらなくなる」
元禄赤穂事件を題材にし、赤穂四十七士の討ち入りに至るまでの裏模様を描いている。発端と結末の史実を変えることはない、忍法帖の特色としてその紆余曲折を、虚実合わせて描き、歴史の裏に埋もれたであろう(全くの創作かもしれぬが?)人々(忍者等々)を、誰に偏るでもなく冷徹な視線で描く。その視線からこそが物語中において、強烈な叙情を持って読者に語りかけてくるに容易いのだ。
今作において赤穂四十七士の有名人物も多数登場するが、メインとなるのは「主君の仇をなす血の盟約」から脱盟した者達であった。松の廊下にての刃傷沙汰により浅名家は断 -
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忍法帖も11まで来た。ずいぶん厚い。上下巻にわかれてもいいのではないか、という厚さ。一日で読めなかった。
今回の登場キャラクターは、7人の香具師、7人の女忍者、3人の魔人(強い忍者)。例によって多対多の戦い、と言いたいところだけれど趣がずいぶん違う。香具師のなかでもキャラの描写具合にずいぶん差があるし、女忍者などはもう誰が誰やら。
圧倒的にキャラ立ちしているのは、アイドル麻也姫である。言ってみれば天然、であるが、故にまわりをブンブン振り回し、いろんな人の運命が彼女を軸にかわっていく。げに恐ろしきは天然女である。
「胡乱」「凄艶」といった、普段使わない言葉が頻発する。胴切りになって死ぬ人は -
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「次は、『魔界転生』を描け~!!」
とわめいていたので、この展開は、けっこううれしかったりします。
このまま、十兵衛三部作を全部マンガにしてほしいです。
しかし、この題。ちょっと、笑いました。
Yは「柳生」で、十が「十兵衛」なのはすぐにわかったけど、Mって何?て思いました。
Mは、光厳のMなのね。
あと、「この物語は無論のこと創作物(フィクション)也」というのも、笑ってしまった。
「也」ってなんナリ?
そんなしゃべりかたする人は、「キテレツ大百科」のコロ助ぐらいしかしらないナリよ。
いや、ホント、期待しています。
「んふっ」
に若干の不安はあるものの(笑)
般若面、正体まるわかり( -
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小学生の頃に映画を見た覚えがある。断片的にしか覚えていないけど、天草四郎時貞、沢田研二の首が印象的だった。そちらと設定は共通だけど、登場人物は少々違う。ラスボスも違う。
転生衆の禍々しさに対して、柳生十兵衛と柳生衆の、お気楽とまでいったら悪いけど、事の重大さがどこまでわかっているのか(いや、転生など当初はわかるはずもないのだが)、その対比がすごい。
もともとは「おぼろ忍法帖」という名前だったそうで、忍法帖シリーズだけど、やっぱり「魔界転生」でよかったと思う。忍法の出番は多くない。転生衆との戦いも、基本は剣の戦いである。名だたる剣豪たちの夢の戦い。登場人物の心のゆらめき。ここまで読んできた忍 -
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八犬伝である。安房里見家、伏姫に由来する八つの珠が、バカ殿のスケベ故にすり替えられてしまう。取り返すべし、甲賀で修行を積んだ八犬士の末裔よ! というアウトラインだが、実はネオ八犬士たちは、修行なんてかったりいこと出来るかよ、と既に甲賀を逃げ出して、思い思いの暮らしを満喫中。珠大事、忠義大事の古い家柄に辟易としていて、さてコイツらをどのようにして引っ張りだしたら良いのか。けれど里見家の仕掛けでは、彼らを動かすどころか、見つけることさえ出来なかった。
彼らを突き動かしたのは何か。何を隠そう、彼らには共通のアイドルがいたのだ。彼らが出奔することになった原因でもあり、それ故にこの使命を果たそうと決意 -
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忍法帖シリーズも順調に進んでいます。全般的に美女とエロが出てくる忍法帖ですが、これまでの作品では手段であったエロが、はっきり目的となっているところがいとをかし。とはいえ、その目的を果たすためにすることが、またエロなのである!
それ故に、これまで以上に全編にわたって艶かしい話が続きますが、一方で登場するスタンド使い(違うが)も多彩になってきます。そして、悲しい別れもあるものの、この話はなかなかの勧善懲悪。主人公は敵のような特殊能力を持たず、がんばりと主人公補正でなんとか役割を全うしていくのです。当然のごとく人はバンバン死ぬし、血やらいろんな液がドバドバでるわけだけど、なのになんとも爽やかな -
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【元祖能力バトル】
ひょんなことから「柳生忍法帖」を読んだら大変興奮しましたので、忍法帖シリーズ全部読んでみよう、ということで第一弾から。「柳生」には実際のところ、そんなに多くの忍法は出てこなかったのだけど、こちらに出てくる伊賀甲賀の代表選手(選手なのだ)20名は、もう忍法というよりも超能力というか超生物というか、そういう方々ばかり。
でも、思いがけず清々しい人たちも登場する。
そんな人々の、末期こそ想像通りではあるものの、この能力がこいつに負けるのか、と…。後のジャンプ漫画の作者(よりも、編集者かな)に大きな影響を与えたに違いない、と思うのでした。古典と呼んでいいかわからないが、ああ堪